The Kings Of House Compiled By Masters At Work (Rapster Records:RR0045CD)
The Kings Of House Compiled By Masters At Work
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長らくNYハウスミュージックの歴史を切り開いてきたMasters At Workが、ハウスミュージックを根こそぎ掘り下げたMIXCDが本作。最近のハウスはほぼ皆無、なのでまあこれに食い付くリスナーはだいたい30歳以上とかのクラバーが多いんじゃないかと。Kenny Dope Gonzalezはシカゴ〜デトロイト、Little Louie Vegaはシカゴ〜ニューヨークのハウスを中心にガチなオールドスクールっぷりを発揮。80年代のトラックが多めでやっぱり音自体は古いと言うか時代を感じるし、最近の綺麗目でお洒落かつ洗練されたハウスに慣れている人は、こんな昔のハウスを聴いてどう感じるのだろうか。確かにここら辺の80年代のトラックは素人臭さの残る未完成な部分もあったりするんだけど、それでも何かが生まれる胎動や衝動も確かに存在している。技術や知識よりも勢いや気持ちが前に出ていて、とにかくハウスが爆発しようとしていたその瞬間の空気がここにはあるんじゃなかろうか。特にKenny Dopeの方はシカゴアシッドとかデトロイトのクラシックがたんまりと使用されていて、デトロイトファンとしは血が騒ぐってもんです。最初期のハウスの歴史を知る為の教典として、そして昔を懐かしむためのアーカイブとしても良さそうです。

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| HOUSE4 | 00:30 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Detroit Beatdown (Third Ear Recordings:3ECD 001)
Detroit Beatdown
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デトロイトと言えばテクノ。そんな風に考えていた時期が俺にもありました…。あぁ、でも本当はテクノもハウスも根底の一つには同じブラックミュージックがある訳だし、区別なんか必要無かったんですね。URの最初のリリースだってハウスだったし、Carl CraigやKevin Saundersonだってハウス作ってるし、デトロイトには昔からハウスと言う音楽は存在してたのでしょう。そんなデトロイトハウスの最良のコンピレーションが、本作"Detroit Beatdown"。つまりはテンポを遅くした、ビートを落とした音楽なんですが、ここら辺はあくまでテクノの外向的で衝動的なエネルギーに対して、ビートダウンは比較的ゆったりとして内向的なだけです。もっと注目すべきはよりルーツであるジャズやディスコ、ファンクを意識した音楽であり、黒き熱きソウルが燻り続ける様なホットな音楽であるって事。未来を突き進むテクノの攻撃的なパワーは無いかもしれない。だけどビートダウンにはひっそりと燃え続ける内なるソウルがあり、それは音の強度だけではない芯のある強さを感じさせてくれるものなのです。艶かしい色気のある曲もあれば、手に汗握るファンク、メロウでジャジーなハウスまで、とにかくデトロイトの感情がぎっしり詰まっている。デトロイトの荒廃した街で逞しく生きる人達のソウルミュージックとはこれだったのか。

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| HOUSE4 | 05:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Diviniti Sings Selected By DJ Kawasaki (CORE-MUSIC:CCRM-2017)
Diviniti Sings Selected By DJ Kawasaki
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常々思うのは日本はクラブミュージックに対して、意外にも良い環境を持った国であるのかなと感じる。何故ならば本作の様にデトロイトハウスの歌姫・Divinitiの編集盤をリリースしちゃったりするから。デジタル配信が増えてきてはいるものの、やはりアンダーグラウンドな方面ではレコードがいまだに主流であったりする訳で、その点では複数のレコードを一まとめにしてくれるのは大変有り難いのです。

Divinitiと言えば兎にも角にも「Find A Way」、ハウスシーンで大ヒットし一躍注目を集めているのですが、本作はそれ以外にも素敵なボーカルハウスがぎっしり。2曲は沖野修也が手掛け、残り8曲は旦那でもあるPirahnaheadとの共作。ハウスとは言ってもソウルフルじゃあない、手に汗握るシャウト系でもない。HOTじゃなくてWARM、そっとエロティックな吐息を吐くような優しくてリラックスした歌い方が彼女の特徴。トラックの方もアッパーで派手な物は一つとなく、クラブだけでなくホームリスニングにも耐えうるメロディー重視の温かい傾向が強いです。素朴な生音と洗練された打ち込み音が自然と混じり合って、押し付けがましさはなく心にほっと温かい灯をともしてくれるみたい。やっぱりデトロイト系なんでちゃらちゃら安っぽい音楽性は皆無で、根がシリアスと言うか音楽に対しての誠実さが伝わってくるんですね。しっとりとしたい夜に聴きたくなるセクシーな音楽だし、カップルで聴くのにもお勧めしたい。

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| HOUSE4 | 00:10 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Toshiyuki Goto - Two-Way Traffic (Cutting Edge:CTCR-14223)
Toshiyuki Goto-Two-Way Traffic
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イーバンク→楽天銀行に商号が変わるそうだが、サービス糞悪いのな。入出金が昼間でも手数料取られるのって、どこのメガバンクでそんな手数料取ってるんだよ?どう考えても財務悪そうだし、顧客減らすだろ。三井住友とか三菱東京UFJなどのメガバンクならWEB通帳なりクレカ兼用なりで大半のATMで24時間無料で出金出来るし、イーバンク終わったな。

90年代はNYで音楽活動をしていた後藤俊之の1stアルバム。変名でWave MusicやNite Grooves、Life Lineなどからリリースを行い評価を高め、満を持して発表されたのが本作でした。と言う事で半分以上は既にリリースされていたシングルなどが収録されていて新曲は少なめですが、全てのシングルを揃えている人は少ないであろうし、どの曲も日本人離れしたストイックなダブハウスなので内容は素晴らしいです。NYで音楽経験を積んだ事に対し意外にもソウルフルな歌物ハウスは一切無し。逆に重くダビーなキックとパーカッションを活かしたアフロでトライバルな硬めのハウスが中心で、硬質的なテクノのイメージも湧いてくるクールなトラックが中心です。温度を感じさせないひんやり冷然とした音ながらも、やはりずんどこと突き抜けるパーカッションが効いていてしっかり踊れるフロア仕様な所が素敵ですね。派手ではないけれど、高水準のフロアトラックが満載で良し。

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| HOUSE4 | 00:05 | comments(0) | trackbacks(0) | |
桑田つとむ - This Is My House (Ene Records:DQC-233)
桑田つとむ-This Is My House
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普段はヒップホップDJとして活躍しているDJ Quietstormが、25年前のシカゴハウスの体験を基に現代にそれをリアルに蘇らせるべく、桑田つとむと言う別人格が作り上げたオールドスクールなシカゴハウスアルバム。古いリズムマシンのようなチープなキック、アシッディーで狂ったベース、ジャッキンでファッキンなボイスサンプルと、シカゴハウスに必要な物がそのまんま真空パックの如く詰められております。ここに新しい物が何一つ無いのは別に新しい物を拒否する訳でもなく、誰にもあろう古き良き時代への熱い思いからなのか。古いはカッコ悪い?否、古いはイケテル。ダサいは格好良い。シカゴハウスは理性より衝動、頭で考えるのではなく体で感じる音楽。単純で雑なシカゴハウスの奥底には、凶暴さとドラッギーを兼ね備えた恍惚が潜んでいる。BPMは120に統一されハウスが一番輝くテンポを貫き、トラックは全てミックスされグルーヴは止まる事を知らない。流行のお洒落なハウスとは一味も二味も違う、不良のための野暮でワイルドで強靭なハウス。

これがオレのハウスだっっ!!

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| HOUSE4 | 00:10 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Classic Classic (Classic Music Company:CMCCD101)
Classic Classic
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シカゴハウスを色濃く継承するDerrick CarterとロンドンのLuke Solomonが運営するClassic Music Companyは、世界中の特徴を持ったアンダーグラウンドハウスをリリースしてきた素晴らしいレーベル。最近はレコードリリースは止めちゃって、データ音源の販売しかしていないみたいですね、残念です。かつてはDJ SneakやRoy Davis Jr.などのシカゴ勢から、Isolee、Losoulなどのジャーマンハウス、ミニマル勢のStefan Goldmann、Rekid、そしてなんと奇才・Herbertまでもリリースしていた幅のある面白いレーベルだったと思います。本作はそんなレーベルのコンピレーション。10曲、膨大なストックのあるレーベルからたったの10曲だけなのでレーベルの一端を知る事しか出来ないであろうが、それでも内容は抜群に良いです。目玉は何と言ってもBlazeの"Lovelee Dae"でしょうかね。後にドイツのPlayhouseにライセンスされ大ヒットを記録した、余りにもエモーショナルで深いジャーマンディープハウス。Blazeの中でも異色なエレクトロニックで暗めのハウスなんだけど、どことなく漂ってくる優雅な香りはアメリカのハウスではなくヨーロッパ的。Blazeが何でこんなトラックを作ったのかは今でも謎だけど、普段の生っぽい楽曲よりこっちの方が好きですね。あとはHerbertがミニマルハウスをやってた頃の曲も素晴らしいです。スカスカでリズム中心のハウスなんだけど、最近の余りにもポップよりな曲より遥かにファンキーです。シカゴ100%なDJ Sneakは、元気バリバリなフィルターハウスを提供。とにかくイケイケです。その他Luke SolomonやDerrick Carter、Gemini、Rob Melloらが関わった曲が収録されていて、ハウスファンなら存分に楽しめる内容かと思います。



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| HOUSE4 | 10:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Tom Middleton - One More Tune (Renaissance:REN49CD)
Tom Middleton-One More Tune
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元Global Communication…と言う肩書きは最早不要ですね、Tom Middletonの最新MIXCDは、パーティーの最後にかけるアンセム曲を自身でリミックスやエディットを施した曲を中心に選りすぐりした内容。GC解散後は色々な名義を使い分けてかなりポップなハウスを作っていた時期もありましたが、本作のリミックスも予想以上にポップなハウスが多め。開眼したのか突き抜ける程に耳に残るメロディーがあって、まずは素直に良いトラックだなと感じました。もちろん根はクラブアーティストなんでしっかりと踊れるテックハウスの4つ打ち仕様で、それらが隙間無く繋がれる事により快楽は持続し、いつの間にか快楽は恍惚へと、恍惚は郷愁へと変化していくドラマティックな展開が広がっています。GCとの方向性は確かに異なるけれども、洗練された煌びやかな音色の美しさと言う点では共通点も感じるし、曲単位での出来はかなりハイクオリティーですよ。そんな訳でDJの為にと、DISC2はノンミックス仕様。"Strings Of Life"のリミックスだけじゃなく、全てがキラートラックとさえ言えるレベルに到達しております。テックハウスの参考書としてお勧めしたいですね。

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| HOUSE4 | 15:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Prins Thomas Presents Cosmo Galactic Prism (Eskimo Recordings:541416 501724)
Prins Thomas Presents Cosmo Galactic Prism
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Lindstromとのコンビでディスコダブブームを席巻するPrins Thomasの、タイトル通りでスペーシーな2枚組MIXCD。ジャーマンプログレのHolger Czukay、ファンクのParliament、スペースロックのHawkwindに混じって、Boards Of CanadaやTres Demented(Carl Craig)などのテクノ、日本からはCrue-L Grand OrchestraやDub Archanoid TrimとWaltz(Altz)、そしてハウスやイタロディスコ、レアグルーヴなどがまとまり一つの宇宙を形成する面白いミックスだと思います。本人曰わく2枚まとめて一つの作品だと言う事で1枚目のラストから2枚目の出だしが繋がっておりますが、1枚目は2枚目までにじわじわと上げていくゆったりとした内容、2枚目はよりダンサンブルでよりエモーショナルな内容。いやダンサンブルではあるんだけどやはり肩の力が抜けリラックスしふらふらとしたトラックが多く、ベッドルームで広がっていく宇宙を想像しながら聴けるような音で、決して馬鹿になって大騒ぎする様な音楽じゃあないです。でもバレアリックでもコズミックでもスペーシーでもサイケでも何でも良いんだけど、開放的で楽天的な恍惚の中毒がじわじわと浸透してくるんですね。選曲の幅の広さとは対称的に音の雰囲気にばらつきは感じられず、CosmoでGalacticでPrismなキラキラとしたハッピーな音に統一されていて気持ちEーです。力作っちゅーか怪作っちゅーか、ブームの先端にいるアーティストの本領が炸裂したお勧めの2枚。

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| HOUSE4 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Spirit Catcher - Coast2Coast (NRK Sound Division:NRKCD044)
Spirit Catcher-Coast2Coast
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たっましぃ〜を掴みし者!って事でNRKのCoast2Coastシリーズの最新作は、ベルギーのディスコテック大使・Spirit Catcherが担当。彼等が鳴らす音楽はまるでディスコの様に煌きと輝きがありつつも洗練された華々しさを持ち、フロアでも聴衆を歓喜の渦に巻き込むドラマティックなテックサウンドが特徴なんですが、DJの方でも割かしとそんな特徴は受け継いでいるみたいです。やはり綺麗目のテック系やミニマル系が中心で、まるで雲一つ無い空の透き通るような透明感と清涼感に包まれて、ヨーロッパの典型的なテックハウスを十分に味わえる選曲ですね。ただ以前のMIXCDにも感じた事なんだけれど、どうもこの人達はDJ気質ってよりはアーティスト気質なんでしょうかね?良い選曲だとは思うんだけど、余り展開が無くて全体的にのっぺりしていてイマイチどっかんっと盛り上がらないのが残念。終盤は少々上げ目にはなるけれどパンチは弱く、メインフロアよりはラウンジとかで緩めに流れているミックスと言った風に感じられてしまうのですね。やっぱり序盤は緩めでじわじわ、終盤はアゲアゲってのが僕は良いと思うのですが、どうなんしょ。ミックス仕様、DJユースの為のアンミックス仕様の2枚組み。

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| HOUSE4 | 09:15 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Tokyo Black Star - Black Ships (Innervisions:INNERVISIONSCD03)
Tokyo Black Star-Black Ships
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1stEPから早四年、その間にリリース毎にフロアを賑わし確固たる地位を築き上げ、今最も待ち望まれていたユニット・Tokyo Black Starの1stアルバムが遂に登場。この四年間、Sonar Kollektivの子レーベルであったInnervisionsはいつの間にか親レーベルを追い抜きトップレーベルへと変貌を遂げ、素晴らしいフロアトラックを量産してきましたが、そんなレーベルの中でも注目を集めていたのがDJ Alex From Tokyoと熊野功雄によるTBSだったのです。この1stアルバムは今までにリリースされたヒット作をほぼ収録したベスト盤的な内容でもあるのですが、期待を裏切らない本当に素晴らしい一枚となりました。テクノ、ハウス、ミニマル、ダウンテンポ、エレクトロ、アンビエント、あらゆる音楽が極彩色に散りばめられていて、フロアに必要な高揚感とグルーヴ、ドラマ性や叙情性がこれでもかと言わんばかりに詰まっているのです。そしてやはり注目すべきはツールとしてのダンスミュージック性だけでなく、リスニングに耐えうる楽曲性がある事。フロアでミックスされるのに必要な機能性だけでなくアルバムを通して聴きうるだけの展開があり、ハッと息を飲む瞬間が何度も波のようにやって来るのです。長年DJ業を通してフロアで培ってきた音楽性を生かしつつも、リスニングも重視した旋律がふんだんにあり、トータルで文句無しの作品が出来上がりました。今最も注目すべき一枚。

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