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ACID CITY 3 (JUGEMレビュー »)
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Vangelis Katsoulis - If Not Now When (Utopia Records:UTA004CD)
Vangelis Katsoulis  - If Not Now When
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古典になっているハウス・ミュージックの掘り起こしから、現代的なジャズや電子音楽にまで影響を受けたダンス・ミュージックまで手掛けるUKの新興レーベルであるUtopia Recordsは、確かにカタログにLars BartkuhnやModajiが並んでおり、まだ作品数は少ないもののレーベルの方向性は窺い知れるだろう。そのレーベルにとって初のアルバム作品を提供したのがギリシャのシンセサイザー奏者であるVangelis Katsoulisで、1980年代前半からジャズを基調にニューエイジやフュージョンも融和させながら活動を続ける大ベテランだ。2015年には彼の曲を現在のダンス・ミュージックのアーティストにリミックスさせた『The Sleeping Beauties Remixed』(過去レビュー)も送り出し、ジャズや現代音楽からよりダンスへと接近するような方向性も示唆していたが、その結果としてこのニューアルバムは確かにジャズが軸にありながらも現代的なバレアリックやアンビエントの感覚も含んだモダンな作風になっている。始まりの"All The Blue Skies"から自由なビートを叩き出すジャズ色強めだが、オーガニックとエレクトロニックの調和や美しいサウンドスケープが広がっており、やはりジャズを提示すると言うよりは結果的にベースにジャズがあるもののコンテンポラリー・ミュージックと呼んだ方がしっくりくるか。続く"Zarrin"ではビートは排除しつつ女性の優しいボーカルを導入し、静謐で研ぎ澄まれたピアノの旋律を基に白昼夢を誘うかのようなアンビエント的な面も。そしてテクノの要素を取り入れた"Grand Delusions"では硬いビートがリズミカルに弾けるが、やはり温かくドリーミーな上モノはバレアリックの開放感があり、リスニングとダンスの程良い中庸を保っている。トランペットを導入した"Midsummer Tobago"もややジャズの匂いはあるものの、情緒的な雰囲気を生むシンセサイザーのな導入によってニューエイジ的な曲調になったり、深みのある音色を聞かせるフリューゲルホルンを用いた"It Not Now, When"もジャズに加えてダブの音響や透明感を作る電子音のヴェールが効果的に作用しており、単にジャズと呼ぶには難しい現代的な感覚が通底している。音楽的にはECMや昨今再評価の高いGigi Masinと近いだろうか、単に古典に留まらずに現代音楽ともコミットする拡張性があり、それでも尚クラシカルな響きもある実にリスニングとして心地良い現代音楽だ。



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Good Mellows For Stardust Memory (Suburbia Records:SUCD1009)
Good Mellows For Stardust Memory
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2015年春に開始し本作にて通算7枚目となる『Good Mellows』シリーズ最新作は、その名も「星屑の記憶」と先ずタイトルからして素晴らしい。橋本徹が正にそのタイトル通りにメロウな曲をジャンルに拘る事なく選曲し、それぞれの時間帯やシーン毎に風景を喚起させるようなコンセプトを用意し、ダンス・ミュージック側の視点からリスニング志向となる音を聞かせるシリーズ。バレアリック、アンビエント、又はハウスでもありテクノでもありジャジーでもあり、橋本によるメロウへの確かな審美眼がジャンルを超越して纏まった世界観を作り上げるシリーズは、埋もれた古典やレア曲に現在の時流まで網羅する事でも非常に音楽的な価値を持っている。アルバムの始まりはサンプリングを用いてチルなヒップ・ホップ風な"By And By"、優しく心に染みるピアノのフレーズが印象的な曲。そこからこのシリーズではお馴染みのGigi Masinによる新曲"My Red Rose"、彼らしく開放感溢れるシンセに耽美なピアノが滴り落ちる静謐なインストで、平穏な情景が伸びていく。続くも常連のInternational Feel主宰のMark Barrottによる"Over At Dieter's Place (Luis Delgado Mix)"では、青々しい木々が生い茂るエキゾチックな密林を思わせるバレアリックな世界を広げ、そしてそこに繋がるのは井上薫によるChari Chari復活作"Luna de Lobos"。ネオアコを思わせる枯れ感漂う哀愁のアコギから徐々にハウスへと変化するチルアウト・ハウスは旅情にも似た侘びしさがあり、そこから中盤は"Waiting"や"Love Story"等淡い色彩感覚のハウス色でスムースな流れに乗って、後半には"Miles Away"によって夜の帳が落ちたようにしっとりとした闇に染めてくディープ・ハウスへと入っていく。そこから鳥の囀りも交えて微睡みを誘発するダウンテンポ・バレアリックな"Tropic Of Capricorn"で真夜中を迎え、その闇の先には朝の光が優しく射し込むような正しくタイトル通りの"Sunday Morning"によって暗闇が明けていく。何処を切り取ってもメロウでバレアリックな、そして星屑が飛び交う夜空のようなドラマティックな世界観は、ゆったりと大らかで包容力に満ちている。疲労の溜まった夜や心に余裕がない忙しない日常に、そんな時でもほっと心身をリラックスさせてくれる音楽がここにある。

Tracklistは続きで。
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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Fred P. - Sound Destination (Soul People Music:SPMBLP002)
Fred P. - Sound Destination

NYを拠点に活動するダンス・ミュージックのFred PeterkinことFred P.は、Black Jazz ConsortiumやFP-Oner等複数の名義を用いてアンビエントとエモーション豊かなテック・ハウスを手掛ける事では随一のアーティストで、特に今人気が絶頂にあるのは間違いない。事実、多くのアーティストからリミックスを依頼され、彼のリミックスが収録された新作EPを見ない月は無いと言っても過言ではない程だ。DJではあるがトラックメーカーとしても活発に活動しており、アルバム/EP共に早いペースでのリリースを継続しているが、どれもフロア仕様かつリスニングにも耐えうる万能性がある点も評価の一因だろう。本作はそんな彼が2015年10月に突如としてSoundCloud上で公開していた作品で、いつしかウェブからは姿を消したものの2016年の中頃になって目出度くLP化されたのだ。制作は2012〜13年頃で古い作品を掘り起こした内容らしいが、彼の作品の中でも最も瞑想的なアンビエント性がありそこに生っぽいジャズ・グルーヴを組み合わせた音楽性で、深遠な世界を展開する事でリスニングとしての快適性が発揮されている。始まりの"Countryside Train Ride"はビートレスな正にアンビエントで、アトモスフェリックなパッドが揺らぎ笛の音などの有機的な響きが微睡みの中に引き込んで行く。続く"Leaving You Behind"は柔らかく繊細なジャズのリズムが刻まれ、そこに霧のような淡いシンセや癖のあるベースが水飛沫が飛び交う爽快な森林の中の雰囲気を思わせ、滴り落ちるピアノは神々しい光の木漏れ日のようだ。そして宗教的にも神秘的なアンビエントの"Dark Halls"を通過し、原始的なパーカッションが穏やかになりフォーキーなサウンドが落ち着いたダウンテンポとなる”Longing For You”、ざっくり生っぽいジャズーグルーヴが昼下がり3時の微睡みに誘う"Watch Over"などが待ち受けており、やはりそのオーガニック性とジャジーなビートが本作の肝だろう。短い曲が中心のアルバムに於いて"Berlin Sunrise"は13分にも及ぶ大作で、こちらは普段のFred P.らしい穏やかで幻想的な霧に包まれるようなディープ・ハウスなのだが、キラキラとした星の瞬きのような音も散りばめられており、いつにもまして静謐で神秘的だ。元々特徴でもあったアンビエント性はより存在感を増し有機的なグルーヴと融け合う事で、Fred P.流のフューチャー・ジャズとでも呼ぶべきアルバムとなった。斬新な音楽性でもなければ流行とも無縁の本作は、半ばクラシカルな佇まいさえ発している。



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 16:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Romare - Love Songs : Part Two (Ninja Tune:ZENCD234)
Romare - Love Songs Part Two
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UKは老舗レーベル・Ninja Tuneからの新進気鋭のアーティストであるRomareは、しかしブラック・ミュージックからの影響を現在形のダンス・ミュージックへと見事に投影し、ヒップ・ホップとハウスの絶妙なバランスの上にある - 例えばデトロイト・ハウスのMoodymannやAndresのような - 音楽性によって一躍注目の的になった。2015年の初のアルバムである『Projections』 (過去レビュー)ではサンプリングを駆使したコラージュ的なビートダウン・ハウスとでも呼ぶべき音楽を披露し、UKのアーティストでありながらアフロ・アメリカンを存分に感じさせる作風が高い評価を受け、彼の方向性を決定付けたのは記憶に新しい。そこから一年半で届けられた2ndアルバムは、しかしサンプリングは用いつつもシンセサイザーからリコーダーにマンドリンまで生楽器も導入した事で、コラージュやハウス・ミュージック性は抑えながらも艶かしい胎動が伝わるブラック・ミュージックに磨きを掛けている。アルバムはヒップ・ホップ風のもっさりしたビートの"Who To Love?"で始まるが、湿り気を帯びたピアノや生温かいシンセとの組み合わせにより、実に官能的でディスコやソウルの匂いを漂わせる。続く"All Night"は比較的ストレートなハウスではあるが、やはり生々しく浮かび上がるベース・ラインやざっくりしたパーカッションが訝しいサイケ感を演出し、"Je T'aime"も同様に4つ打ちながらもパンキッシュなシンセやファンキーなベースによってディスコティックな躍動を生んでいる。"Honey"は前作には無かったタイプで、可愛らしい鉄琴やリコーダーがほのぼのレイドバックしたエレクトロニカを思わせ、Romareのメロウな性質が強く現れている曲だろう。逆に"Come Close To Me"は前作から続くコラージュ色の強いビートダウン・ハウス風味と言うべきか、リズムにも癖がありRomareの特徴が活きている作品だが、やはりデトロイトなんからに比べると随分とアーバンで洗練されているのはUK育ちだからなのか。本作ではコラージュによる不鮮明な霧が晴れ、生演奏の比率を増やした事で音の構造がよりすっきりして明快な音楽展開がされており、『Love Songs』なんて言うタイトルも嘘ではない温かいロマンティシズムが通底している。但しその分だけ前作にあったスモーキーなサイケデリアがやや後退している点は、それをRomareに求めている人にとっては物足りなさを感じる要因になるかもしれない。



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
DJ Mark Farina - Mushroom Jazz Eight (Mushroom Jazz:MJ012)
DJ Mark Farina - Mushroom Jazz Eight
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もうすぐ久しぶりの来日を予定しているアメリカは西海岸ダンス・ミュージックのシーンを代表すると言っても過言ではないMark Farina。シカゴ生まれでサンフランシスコで長く活動をする彼は例えば同郷の盟友であるDerrick Carterらとも活動しているが、その周辺の中でもFarinaの特異性を端的に表しているのがこの「Mushroom Jazz」シリーズだろう。シカゴ・ハウスではなくヒップ・ホップやダウンテンポを中心に気怠く甘美な夢の中へ誘うような世界を展開するそのプレイは、マッシュルームを喰ってジャジーな雰囲気に意識も朦朧とさせるような…かはさておき、ひたすら溶けるように気持ちが良いのは間違いない。ヒップ・ホップ中心ながらもガシガシと激しく繋ぐのではなくスムースにメロウに、しっとりとした質感と地に足が着いたグルーヴによって意外にもチルアウトな感覚させ漂わせる至高のミックス。前作から実に5年半とシリーズ物にしては随分と間が空いてしまったが、しかし全くその音楽性に陰りはなく相も変わらずトロトロとした白昼夢を体験させてくれる事だろう。このシリーズ、Farinaのファンがハウス・リスナーである事を差し引いても例の如く馴染みのアーティストの楽曲は少なく、当方もセットリストを見ても何が何だかではあるのだが、しかし一旦そのミックスを聴いてしまえば途端に魅了される事は間違いない。燦々と太陽の陽が降り注ぐ海辺をリラックスして散歩するような長閑な始まりから、ジャジーグルーヴも現れてうっとりと白昼夢に浸り、気怠さは保ちながら鋭利なビート感覚で体を揺らし始める中盤、ハウス感を増して滑らかなビートで心地良く揺らす後半と、実に大人びて優雅なプレイは真夜中のパーティーの興奮とは異なる昼間の陽気なムードが満ち溢れている。これがきっとサンフランシスコの温和な雰囲気なのだろうか、非常にアンダーグラウンド性の高い選曲をしながらも決してこれみよがしになる事はなく、弛緩して開放感溢れる気持ち良さをそのままに体験させてくれる事にDJとしての姿勢が現れている。今回の来日でもハウス・セットだけでなくMushroom Jazzセットを予定しているそうなので、その予習としてもお勧めする。

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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Hanna - Bless (Sound Signature:SSCD08)
Hanna - Bless
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デトロイトの鬼才・Theo Parrishが主宰するSound Signatureが久しぶりのレーベル・コンピレーションをリリースしたのと同時に、珍しくTheo以外のアーティスト・アルバムもリリースしている。手掛けたのは過去にもTheoを含むバンドであるThe Rotating Assemblyにも演奏者として参加し、またソロでもTrack ModeやSublime Recordsを含む複数のレーベルからアルバムをリリースしているWarren HarrisことHannaだ。所謂DJではなくてアーティストのとしての活動がメインのようで、デトロイト界隈のアーティストにしては珍しくアルバムも今までに7枚程はリリースする制作意欲の高さがあり、しっとりと官能的で甘いテイストにシルクのような滑らかな質感を持ったジャジー・ハウスを得意としている。そんなHannaも8年程新作のリリースが無かったが、Sound Signatureからは初となるアルバムは以前にも増して官能を強め、そして湿っぽく艶かしいセッション性の高さを強調している。幕開けとなる"Hanna's Waltz"からしてベースラインはうねりまくり、ドラムも4つ打ちを刻む事なく自由に跳ね回り、そして何よりも麗しいキーボードワークが耳を魅了する。まるで目の前で複数人のアーティストがセッションを繰り広げているような構成は、もはやハウスに括られるにはその世界は狭すぎるだろう。勿論クラブ・ミュージックとしての要素も十分に残しており、2曲目の"His Eyes"ではゴスペル的な熱い歌とドスドスと太いキックが打ち付ける中、透明感のあるパッドや情感のあるシンセが舞い、実にグルーヴィーなディープ・ハウスと言えよう。大手を振ってスキップするような軽快な4つ打ちの"A Moment in Time"もハウスではあるが、この開放感のあるリラックスした作風はLarry Heardとも共振する。他にもダウンテンポやR&Bを意識したような溜め感のあるメロウな"Effervescence"や、生っぽさを残しながらエッジの効いたドラムン・ベース調の"The Sketch"など、ハウス以外にも手を広げながらHannaらしい艶かしさは全く失わずにアルバムをより豊かな音楽性へと作り上げるのは生粋のアーティストだからだろう。ダンス・ミュージックとしての前提があるが、やはり宅内でじっくりと耳を傾けて聴く価値のあるリスニング性が素晴らしい。



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Chari Chari - Fading Away / Luna De Lobos (Seeds And Ground:SAGV034)
Chari Chari - Fading Away

2014年のResident Advisor @ agehaにて10年ぶりの復活ライブを敢行したChari Chariは、井上薫がアーティスト活動の初期から用いているプロジェクトであり、特に国境を超越してコスモポリタンな音楽性を追求した特別な名義だ。一般的なダンス・フロアにおける分り易いストレートな4つ打ちのダンス・ミュージックとは異なり、民族や人種の枠組みを無くすように音楽のジャンルがクロスオーバーしつつ原始的な踊る欲求を呼び覚ます根源的な要素があり、井上のパーソナル性が特段強く打ち出されているものだ。2015年には変則的な覆面プロジェクトとして「C2-R2」(過去レビュー)名義でエスノ・ファンクな新作がリリースされたが、それを経てのこのChari Chari名義ではより自由度が高まりダンスの中に多様な要素が詰め込まれている。この新作では前述のライブにも参加したギタリストのTakamasa Tomaeが制作に加わっており、"Fading Away"では鋭いブレイク・ビーツが大地と共鳴するように響き、そこに高らかに祝福を宣言するようなバグパイプと魂の咆哮にも思えるギターが切り裂く如く挿入され、そして底辺ではアシッド・ベースが蠢きながら、渾然一体となってゆっくりながらも広大な大河の流れに飲み込まれるロックでファンクなダンス・ミュージックを展開する。原始と文明、過去と未来、東洋と西洋、そういった対極的な要素の交差や共存と呼ぶべきか、実にChari Chariらしい無国籍感が発揮されている。柔らかく美しいギターのアルペジオから始まる"Luna de Lobos"は中盤までは井上のギターインスト・プロジェクトであるAurora Acousticっぽさもあるが、次第に優しい4つ打ちのキックが入りだすと速度感や爽快感を得て、南国のトロピカルな味わいもあるギターソロが琴線に触れるように旋律をなぞり、またディレイ処理されたギターが広大な空間演出も行いサイケデリックな香りも漂い出す。本人のコメントによれば4ADやECMをキーワードに本作を制作したそうだが、確かに無国籍な雰囲気の中にも耽美な世界観が投影されている点はその通りで、その上でダンスとしての古来から人間に潜むトランス感(ジャンルのトランスの意味ではなく)を誘う所がこのプロジェクトの重要な点だろう。どちらも10分超えの大作、激昂させる事なく静かにトランスするには十分な長さで、窓を全開にして聴きたくなる開放感のある作品だ。



Check "Kaoru Inoue"
| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Byron The Aquarius - Euphoria EP (Sampling As An Art Records:S3AREC07)
Byron The Aquarius - Euphoria EP
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2016年の初頭、突如としてSound Signatureからデビューを果たしたByron The Aquariusは、デトロイト出身で現在はアトランタ在住のキーボーディストだ。OnraとのユニットであるThe Big Paybackとして、そしてFlying Lotusの作品にもキーボードとして参加するなど、よくよく調べてみると才能の片鱗を見せていた訳だが、2016年の2作目は何とWild Oatsからリリースとその躍進にはどうしたって目が留まる。そして今年の3作目はS3Aが主催するSampling As An Artからと、デトロイト・ハウス系を好きな人にとっては注目の的の一人だろう。本作のスタートを告げる"Intro"はヒップ・ホップのリズムに優雅なストリングスと美麗なエレピを纏わせ、優雅な船出を演出するようだ。続く"The Love Below"でグルーヴは軽快に走り出すが、ここでも流暢なキーボードのコード使いと優しいヴィブラフォンの響きが温かみのある音楽性をもたらし、DJ的と言うよりはやはりキーボーディストとしての手腕が光っている。そして分り易いタイトルの"Coming To Detroit"、これはざくざくとしたリズムが心地良いメロウなインタールードで、その先にはフューチャー・ジャズとでも呼ぶべきしなやかなリズムを刻み優美なピアノ使いに酔いしれる"The Essence"が待ち受けている。裏面へと変わるとS3Aとの共作である"Nights in Tokyo"が始まるが、街中のノイズらしきサンプリングやマイナー調のメロディーと弾けるベースから生まれる漆黒のハウスは、KDJスタイルのデトロイト・ハウスを強烈に踏襲している。鋭角的に切り込む硬いビートが強烈なヒップ・ホップの"Spacing Out"は、しかしそれでも艶のあるシンセワークがフュージョン的でもあり、最後の"Memories of Kenzu"は特に鍵盤演奏を主張したファンキーかつメロウなハウスで、胸の中にしみじみとした感情が湧き起こるだろう。ハウスを軸にヒップ・ホップ、ジャズやフュージョンの要素を自然と織り交ぜ、インタールードも使用してEPながらも展開のある本作は、単にツールとして以上の演奏者としての表現力が発揮されており、結果的にはデトロイト・ハウスのリスナー以外にも訴求する魅力に溢れている。



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 19:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Good Mellows For Sunrise Dreaming (Suburbia Records:SUCD1004)
Good Mellows For Sunrise Dreaming
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週末の海辺〜海辺の夕暮れ時〜月明かりの下のランデブーと刻々と時間の経過を辿ってきた『Good Mellows』、次なるシリーズは真夜中の眠りから目覚め、朝日の到来と共に訪れるまだ瞼の重い夢の様な時間帯、それが『Good Mellows For Sunrise Dreaming』だ。メロウというコンセプトを様々な風景・時間帯で演出してきた橋本徹が、目覚めの為に用意した音楽はシリーズの中でも特に穏やかで、そして透き通るような透明感を持った清純な響きが静寂の中に広がるようだ。アルバムの冒頭は夢から優しく現実へと引き戻すMiguel Atwood-Fergusonによる"Intro Eternity"で、引いては寄せる波の音や鳥のさえずりと共にか弱いピアノの音色が夢現な状態にそっと目覚めを告げる和みのインストで、刺激を与える事なくゆっくりと心身を起床させる。続くWooによる"A Little Long Way"、気の抜けた笛の音色と牧歌的な電子音からなる現代で言うフォークトロニカと呼ぶべきか。夢の余韻を残しながら続く"Brasil (Abel's Gavea Mix)"では開放感を演出するアコギが爽やかなバレアリック感を生み、少しずつ肉体にも力が入るようにビートが流れだす。中盤ではクラブ・ミュージック性の強いディープ・ハウスであるDeep88による"Harmony"、Optikによる"Illusions"が続くが、この辺の浮遊感溢れるアンビエンスや清純な透明感は、今までのシリーズの中でも特に群を抜いており本作のコンセプトを象徴するようでもある。後半にはジャズ・ピアニストとその仲間のBugge & Friendsによる"Breed It"が待ち受けており、繊細で憂いに満ちたピアノソロから徐々にアフロなパーカッションも加わわってドラマティックに盛り上がる流れは、穏やかな興奮を誘うだろう。そこから哀愁のトライバルなハウスや落ち着いてエレクトロニックなハウスを通過して、最後はUyama Hirotoによる"End Of The Road"が魂を揺さぶるスピリチュアルな世界観のダウンビートを刻み、心の拠り所を見つけたように安堵なムードでラストを飾る。踊り疲れた後のチル・アウト…とも異なるこれからの活動を促すための促進剤と呼ぶべきか、開放的でバレアリックではあるが休むのではなく体に静かに活力を生む音楽性で、正に一日の始まりを告げる内容なのだ。

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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Lay-Far - How I Communicate (House of EUREKA!:ERKCD002)
Lay-Far - How I Communicate
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日本の新進気鋭の若かりしパーティー集団・Eureka!の強い後押しの影響もあってか、国内でもLay-Farの存在感は日に日に強くなっている。2011年頃にデビューしたLay-Farはロシア出身モスクワ在住のロシアン・ディープ・ハウスを代表する一人ではあるが、単にそれだけではなくヒップ・ホップも含めたデトロイトのモータウン感覚を吸収し、そこにヨーロッパのブロークン・ビーツやフュージョン等の優雅な空気も纏い、レトロとモダンを難なく同居させる新世代のハウサーだ。本作は彼にとっての3年ぶり2枚目となるアルバムだが、海外でのリリースは蜜月の関係を築いているLocal Talkからと満を持しての内容だ。そして喜ばしい事に海外では2枚のEPに分けてリリースされたアルバムが、ここ日本ではEureka!の支援により纏めてCD化されたのだから、通して聴く事を可能とするCD版を買わない訳にはいかないだろう。アルバムは優雅さが薫り立つような静謐な"Intro"から始まり、直ぐにスウィートな女性の歌と艶かしいベースラインが躍動するフュージョン風な煌きもある"Like the First Time"へと繋がり、優雅さを振り撒きながら心地良いダンス・グルーヴを刻み出す。華麗なストリングスに心が踊りどっしりブギーなビートに体が揺れる"Dva Kolca Dva Konca Interlude"による短いインタールードを挟んで、エレピがそっと耽美な空気を添える"Lock and Rock"やざっくり生っぽい変則ビートも伴ってライブ感溢れるノリを生む"Slope (Upbeat)"と、どれもこれも耽美なキーボードの旋律や豊かな音色と複雑かつ肉体的なビート感が融け合ったクロスーオーヴァーな路線は既に円熟の位置にある。中には少々重心低めでロウなビートにぶりぶりとしたシンセのベースが電子化を強めたディープ・ハウスの"Submerging"や、湿った歌も相まって温かさに包まれるダウンテンポの"Drop The Time"など、アルバムの中にちょっとしたアクセントを添える曲もある。アルバムの華々しさや豊潤な構成は勿論Lay-Farの実力があっての事だが、それを支えているAshley BeedleやMark De Clive-Lowe、Phil AsherやSean McCabeら実力者のサポートも加わる事で、本作は見事なまでに現代のクロスーオーヴァーな音楽性を成し遂げている。となれば、90年代に栄華を誇った西ロンのブロークン・ビーツにはまっていた人にも、この音楽はきっと高らかに響くに違いない。





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