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Dego & Kaidi - Adam Rock Dissed!! (Sound Signature:SS054)
Dego & Kaidi - Adam Rock Dissed!!

近年活動を共にしている4 HeroのDegoとBugz In The AtticのKaidi Tathamは、どちらもウェスト・ロンドンに於けるブロークン・ビーツの代表格と呼んでもよいだろう。元々2000 Black名義としてユニットも組んでいたりとその付き合いは長いが、近年その活動は再度活発化している。そんな流れがあったとしてもTheo Parrishが主宰するSound Signatureから新作をリリースするとは、誰も予想出来るわけがないだろう。確かにブラック・ミュージックという根源を同じくする点はあるものの、Dego & Kaidiはどちらかと言えば4つ打ちから遠くへ飛翔するフュージョンやジャズなどを得意とするだけに、ファンクやジャズをベースにしながらも比較的4つ打ちのスタイルも保持するSound Signatureと繋がったのには、驚きを隠せない。しかしそんな意外性はよそに作品自体は当然素晴らしく、タイトル曲である"Adam Rock Dissed!!"からしてフュージョン風な麗しく艶のあるエレピ使いは豊潤な音色を奏で、変則的ながらもタイトに刻むビート感はしなやかさもあり、華麗で軽快なブロークン・ビーツを聞かせている。逆に"Moths In Wallets"ではねっとりと絡み付くような粘りのあるビートと湿った低重心のベースがビートダウン風な様相も見せるが、上モノはやはり輝くような鮮やかさや躍動的な動きもあり、現代版ファンクやフュージョンといった趣だ。裏面の"Backchat For Toprock"はより自由度が高くブロークン・ビーツと言うよりはもはやジャズと呼ぶべきか、変則の極みに達するビートとがらっと変わる展開は圧巻ながらも、コズミックなシンセやエレピに爽やかなカウベルの音色が色鮮やかに舞い踊る世界観はひたすら爽快で美しい。Sound Signatureがリリースしてきた作品の中でもその自由で躍動的なビート感は一際目立っており、レーベルに新風を巻き起こすようにDego & Kaidiの個性が光る作品だ。



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
James Mason - Recollection ∈ Echo (SHOUT! PRODUCTIONS:SHOUT-278)
James Mason - Recollection ∈ Echo
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2012年、『Rhythm Of Life』(過去レビュー)の日本盤リイシューに合わせてWax Poetics Japan No.21に掲載されたインタビューで、2012年の年末には未発表曲を出す予告をした時には胸が高鳴ったものだ。結局、それが実際に遂行されるまでには3年もかかってしまった訳だが、しかしそれでも尚この失われた作品が日の目を見る事に、感動を隠さずにはいられない。そう、今ではレア・グルーヴやフュージョン・ソウルを象徴するアーティストの一人と呼んでも過言ではないJames Masonの新作は、歴史的傑作である1977年作の『Rhythm Of Life』の直後に制作された未発表曲集であり、本来であれば当時リリースされる予定であった2ndアルバムに収録アルバム向けの曲も含まれている。アルバムは"Sweet Power, Your Embrace"の続編として作られたという"The Love Song"で幕を開けるが、そこから既に『Rhythm Of Life』と何ら変わらない流麗でエモーショナルなメロディーやファンキーなベースやギターが鳴り、アーシーで生っぽい質感と人間味のある温かさに満ちている。続く"Angel Eyes"で聞けるソウルフルで歌声や気分を高揚させる嬉々としたサックスからは、輝かしい未来さえ感じられるだろう。"I've Got Your Love"では一転して感傷的なフェンダー・ローズのコード展開を用いたバラードを披露し、"Cool Out"ではエレクトロ風なビートも用いて現在のディープ・ハウスに繋がるような深さも演出するなど、『Rhythm Of Life』同様にジャズ/ソウル/ディスコ/フュージョンを咀嚼しJames Masonたる個性を放つ音楽へと昇華させている。ディスコ的な輝かしいビートやシンセに美しいコーラスを導入した"The Dance Of Life"、そして同様に自由にメロディーを奏でるシンセがコズミック感さえ生む"Space Walking"と、躍動感あるダンス・トラックも古くはあるが決して色褪せない魅力を放っている。そう、『Rhythm Of Life』に魅了されたファンならば再度このアルバムに魅了され、そして虜になる事は間違いのない作品だ。Masonがライナーノーツで述べるように残念ながらオリジナルテープの損傷は酷く、音の歪みや揺らぎを取り除く事は出来なかったが、しかし尚それが本作の価値を失わせる事はなくMasonの魅力を再度世に知らしめるマジックさえ感じられるのだ。ただただ本作がリリースされた事に感謝したい。



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Box Aus Holz 001 Lost Tracks (Box Aus Holz:BAH001)
Box Aus Holz 001 Lost Tracks

ドイツはベルリンと言えばテクノ…だけでなく、近年のハウス隆盛は是非ともチェックしておくべきだろう。西洋的に耽美で洗練されたテック・ハウスや黒く深いディープ・ハウスの充実は言うまでもないが、よりブラック・ミュージック色の強いビートダウン系のハウスなら例えば新興勢力のBox Aus Holzは勢いのあるレーベルの一つだ。2012年に発足したこのレーベルは当初からAndy HartやMax Graefなど今では注目を集めるアーティストをフィーチャーし、ディスコやファンクの要素を持ち込んだラフな質感のあるビートダウン・ハウスを手掛けて、局所的ではあるのかもしれないが話題となっているようだ。本作は失われた作品集と名付けられたレーベルカタログの第一番であるが、しかりリリースは2015年の初頭なので空いていたカタログ番号を埋める形でリリースされたのであろう。本作で先ず目が行くのはReverend G名義の変名も合わせて3曲に関わっているMax Graefだろう。Delfonic & Max Graefによる"Kimmenschwitzer part 1"ではねっとりドロドロとした低重心のビートと切り刻んだようなサンプリングを散りばめたビートダウン・ハウスを展開し、Kickflip Mike & Reverend Gではヒップホップ色の強いざっくりしたビートやファンキーなラップに耽美なフェンダーローズのメロディーを導入した"Magic Loop"を披露するなど、ビートへの拘りとソウルフルでメロウな世界観の確立が成されている。他のアーティストで面白いのはHubert Davizによる"9 To 5 Wecker"で、もはやハウスのフォーマットからは逸脱したヒップホップの影を残しながらも歪なビートを生み出すカットアップ具合が個性的だ。またレーベルが発掘したニューカマーと思われるAxel Sは、切り刻んだようなファンキーなサンプリングとうねるブレイクビーツで腰にぐいぐいくるグルーヴを体感させる"Riesenglied 95 (Fur Nano)"を提供しており、デトロイト・ハウス系との親和性の良さも感じさせる作風が印象的だ。計6曲、ディスコやファンクにヒップホップをビートダウン・ハウスに落とし込んだねっとり濃厚な黒い音楽性が素晴らしく、しかもこれがベルリンから届けられていると言うのが何とも面白い。

| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 21:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Romare - Projections (Ninja Tune:ZENCD218)
Romare - Projections
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いつの時代も突如として現れる新星に驚かされる事は少なくないが、このロンドン出身のArchie FairhurstことRomareのデビューアルバムもその一例だ。2013年にはブリストル初のソウルフルかつ変態的なダブ・ステップ〜エレクトロを手掛けるBlack AcreからEPデビューを果たし、彼が若い頃から影響を受けてきたアフロ・アメリカンの音楽を最新のスタイルであるフットワークに投影し、その特異な音楽性が既に注視されていたようだ。そして遂に放たれたアルバムはUKの老舗レーベル・Ninja Tuneからとなるが、ビートへの偏執的な拘りを持つレーベルとRomareの相性の良さも相まって、更に注目を集める事は想像に難くない。本作に対しRomare自身が「ジュークやフットワークは無くよりリスニング向けな曲が増えた」と発言している通り、アルバムは過去のEPのコラージュ的な作風は残しつつもディープ・ハウスやヒップ・ホップ、そしてジャズなどに傾倒している。特に音楽性が新しいと強く感じる事はないし、例えばデトロイトのTheo ParrishやAndres辺りのジャズやヒップ・ホップを咀嚼したディープ・ハウスの一連と見做す事も出来なくはないが、それでもデビューアルバムにして非常に高い完成度を見せているのだから評価しないわけにはいかない。眠気を誘うようなスモーキーな音像とざらついたビートから浮かび上がるソウルの熱さにしっとりする"Nina's Charm"から始まり、ジャズセッションを繰り広げているような跳ねるビートがキモの"Work Song"、正にAndresスタイルなざらついたヒップ・ホップのビートにフュージョン的な優美なシンセが色付けする"Ray's Foot"など、序盤から黒黒としながら人の血が通った温かみを強く打ち出している。そして先行EPとなった"Roots"は完全にMoodymannスタイルの紫煙が充満する中で蒸し返すような湿度を放つディープ・ハウスで、そして「デトロイト!ニューヨーク」といったボイスサンプルも闇の奥から聞こえてくるが、やはりRomare自身もその辺の音楽を意識しているのは間違いないのだろう。アルバムは上々の出来である事に異論はないが、ただその器用さ故からざらついた生の質感を打ち出しながらも綺麗に聞かせようと洗練され過ぎているような印象や、また全体的な音の厚みが薄いかなと思う点もある。しかしサンプリングを使いこなし断片をコラージュ的に組み合わせながら、アフロ・アメリカンの音楽を現代風に再構築して情感たっぷりに仕上げた音楽は、ジャンルにカテゴライズする事なく黒人音楽の一つとして聴いて楽しめるだろう。



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 08:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
DJ Mitsu The Beats - Celebration Of Jay (Jazzy Sport:JSPCDK-1023)
DJ Mitsu The Beats - Celebration Of Jay
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デトロイトから生まれ多くのアーティストに影響を残した今は亡きJay DeeことJ Dilla。その音楽はヒップホップを中心にしながらもレア・グルーヴやダンス・クラシックにエレクトロ等多彩なルーツを盛り込み、ヒップ・ホップと言う枠を越えて音楽シーンに少なからず影響を与えている。当方の様にヒップホップに造詣の無い人間でも多少はJ Dillaの音楽に触れているのだから、よりヒップホップを熱心に愛する人達にとってJ Dillaの存在はきっと計り知れない大きさなのだろう。そしてここ日本でも非常に強い影響を受け本人の音楽的な基礎となったと公言するのがDJ Mitsu The Beatsだ。日本に於ける、いや世界的に見てもジャジー・ヒップホップの先駆けの一人でもあるDJ/アーティストで、事実日本のみならず海外のアーティストとの交流(共作やリミックス等)も多くその評価に偽りなく、メロウな旋律とファンキーなグルーヴをクロスオーヴァーさせる手腕は世界レベルだろう。本作は師と仰ぎ尊敬するJ Dillaの為に、そして今のDJ Mitsu The Beats自身を確認する為に、J Dillaへと捧げられたと本人は述べているが、正にその通りで20曲45分と短い時間の中に多くの曲を詰め込みJ Dillaスタイルにより、多彩なビートと豊かなメロディーを披露している。生っぽいざっくりとした、しかし温かく血の通ったビートはキレとしっとりした質感があり、そこにフェンダーローズ等のキーボードの麗しいメロディーが丁寧に彩っていくスタイルは、ソウルの情熱やジャズのニュアンスも含んでJ Dillaの音楽を咀嚼した上での回答となるような作品だ。全編微睡んだように気怠く甘い夢を見るようなメロウな雰囲気に統一されているが、リラックスしながらも引き締まったグルーヴを生み出す厚みのあるループのおかげで、単に雰囲気なだけのヒップホップとは異なるビートに強い拘りを持った確固たる意志が感じられる。曲尺の短さを活かして小気味良く展開する流れも余韻を残さずにさくさくと多彩なビートを聞かせる事に繋がっており、良い意味でそのあっさり感さえも清々しい。J Dillaをこよなく愛する人にも、そしてヒップホップに馴染みの無い人にも是非とも手に取って聴いて欲しい一枚だ。



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Afrikan Sciences - Circuitous (Pan Recordings:PAN 54. CD 2014)
Afrikan Sciences - Circuitous
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Aybee率いるDeepblak Recordingsは当初は彼がRon Trentとも交流のあった事から、フュージョン感覚のあるディープ・ハウスを中心に手掛けていた認識だ。しかしそのレーベルにおいて異質な才能を放つEric Douglas PorterことAfrikan Sciencesは、そこにブロークン・ビーツやジャズの要素も持ち込んで、一般的なクラブ・ミュージックからのビートからは解放されたように自由なビート・ミュージックを生み出している。2014年にはAybeeと共同でMiles Davisからインスピレーションを受けて制作したとされる"Sketches Of Space"をリリースしたが、そのアルバムではもはやインプロヴィゼーションから生まれた変幻自在な電子音響が異形とも言える世界観を確立していた。本作はそれに続いてリリースされたAfrikan Sciences単独によるアルバムなのだが、本作においても即興ライブを反映させた内容と断言している通りに、並々ならぬビートへの拘りを打ち出したライブ感溢れる音楽性が持ち味だ。ハウス・ミュージックの要素が全くない訳ではないが、その成分はジャズやアフリカンビート、そしてヒップ・ホップなど他の黒人音楽の要素に上塗りされ、一般的なハウスとしての心地良い4つ打ちが刻まれる事は殆ど無い。その代わりにではあるがビートは一定感覚から逸脱しながら生命の胎動のような動きを見せ、手弾き感のある自由に展開するシンセやベースが不協和音の中に有機的な色を描き出し、黒人音楽をベースとした様々な音楽の要素が一体となってSF志向の強いアフロ・フューチャリズムを表現するのだ。決してすんなりと体に馴染むような、いやそれどころかクラブで踊る事を否定するかのような変則的かつ自由なビートは余りにも個性的だが、電子音楽をもってして黒人音楽を進化させたらという果敢な実験精神に溢れた作品であり、如何にもAfrikan Sciencesらしい独創性が溢れている。その癖の強さが故に好き嫌いは分かれるだろうが、一旦好きになってしまえばその魅力に囚われてしまうだろう。




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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
CitiZen of Peace - Intersoul (Lifetimeboogie:LTBCD-004)
CitiZen of Peace - Intersoul
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ダンス・ミュージックは太古から伝わる人間の根底にある本能や衝動を呼び起こすものであり、それに対する感情は時代が経過しようと決して無くならずにDNAへと刻まれているものだろう。Ignat KarmalitoによるプロジェクトであるCitiZen of Peaceは、過去から存在する民族的な音楽要素を継承しながら現代的なエレクトロニクスと掛け合わせ、肉体と精神を刺激する音楽であり、正に古い文明から最新のテクノロジーまで駆使したダンス・ミュージックだ。森の奥深くに住むピグミーの人々との交流から2011年に生まれたこのプロジェクトは、2013年にはカラハリ砂漠に住むブッシュマンの人々との出会いを機に更に進化を遂げて、この2ndアルバムへの制作へと繋がる事になった。本作ではエンジニアに内田直之と益子樹、ミュージシャンに沼澤尚や森俊之など、そして前述のピグミーやブッシュマンも制作に参加し、国も文化もジャンルも越えた音楽家が渾然一体となり原始の衝動を呼び起こすべく民族的なダンス・ミュージックを作り上げている。冒頭の"See Cure"からしてブッシュマンによる原始的な手拍子や歌声が心身を刺激するが、Ignatによるシンセサイザーやフルートにパーカッションなどの演奏が加われば、初期衝動のグルーヴを伴いながらも現代の音色と混ざりながらトランス感を増長する。スペーシーなギターや躍動的なベースやドラムを組み入れた"Intersoul"は、人力によるダンス・ミュージックで実にこの上なく軽快かつ爽快だが、その中で突き抜けていくブッシュマンによる雄叫びは何処までも広がる青い空を喚起させる。アルバムのピークは"Now We Fly"だろうか、ジャンベやパーカッションによる怒涛のリズムや祭事を祝うかのような歌声が押し寄せる中、シンセやフルートが希望のメロディーを奏で、祈りを捧げるように盛り上がっていくこの曲は感動的だ。アルバムは辺境の地から生まれた音楽が都会へと向かっていくように、太古から受け継ぐスピリッツやエナジーが未来へと進んでいく。そんな音楽も然る事ながら、特殊印刷されたパッケージやIntersoulのメッセージを語る漫画が記載ブックレットも収録されており、音楽だけでなく一つの芸術作品としても優れたアルバムだ。物理メディアとしての価値を存分に発揮しており、素晴らしい作品である。



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
field.echo (Music Conception:MUCOCD026)
field.echo
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活動開始から4年半、長らく温めてきたプロジェクト・field.echoのアルバムが遂にリリースされた。field.echoはCalmとして活動する深川清隆、そしてそのCalmにも関わってきたサックス奏者である加藤雄一郎によるユニットで、当初はライブのみの活動であったが実際にはその影で制作も行っていたそうで、長い時間を掛けてようやくプロジェクトの作品の形として結実したのが本作だ。深川清隆はCalm名義以外にも様々な名義を使い分け、ハウスやジャズにテクノやダウンテンポなどに取り組んできたが、このfield.echoはフィーリングやジャムを前提としているそうでCalm曰く「Walking Groove」との事だ。アルバムには僅か7曲のみが収録されており、そのどれもが10分前後の大作なのだが、しかしその長尺な曲に対しゆったりとしたグルーヴ感が正に街中をのんびりと散歩するような感覚を生み出している。今までにCalmが取り組んできたどのプロジェクトとも異なる非クラブ系・非ダンス・ミュージック、何気ない日常の生活の中に存在する空気のような音楽と呼べばよいのだろうか、肩の力が抜けた緩んだ雰囲気にはほっと安堵する。サックスは加藤が、ギターをCalmが、そしてそれ以外のエレクトロニクスなどは両者で担当しているそうだが、沸き立つ事のない穏やかな地平が続くグルーヴの上に切ないサックスやギターの音色、控え目に情感のある電子音が添えられながら、フラットな展開が何処までも伸びて行く。過密に作り込んだと言うよりは同じ空気を吸いながら自由にセッションを行ったようなラフな感覚までもがライブ感へと繋がり、ほのぼのした日常の空気で満たされているような音楽はパーティーの喧騒とは真逆のものだろう。ジャンルとしてはやや異なるのだろうが、この穏やかなアンビエンスの雰囲気や静かに湧き起こる叙情はCalm名義の大傑作「Ancient Future」の世界を継承するものであり、派手ではないが確実に心に染み入る音楽として愛すべき作品になるだろう。

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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
The Far Out Monster Disco Orchestra (Far Out Recordings:FARO 181DCD)
The Far Out Monster Disco Orchestra
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ロンドンにて運営を続けるFar Out Recordingsはブラジリアン音楽を根底にクラブ・ミュージックを取り込みながら、時代に則しながら様々なアーティスト・音楽の発信を行っている。元々はその活動15周年の記念として2008年頃からFar Out Recordingsに所属するリオのアーティストが集まり立ち上がったプロジェクトがFar Out Monster Disco Orchestraであり、またプロデューサーとしての立場でレーベルオーナーであるJoe DavisとIncognitoの息子であるDaniel Maunickも参加している。2010年にはようやく初の作品がリリースされたのだが、そこにはオリジナルは収録されずJohn MoralesやMarc Macのリミックスのみが聞けたのだが、その後も同じようにリミックスのみを収録したEPを2013年まで計8枚リリースし続けていた。そして2014年、レーベルの20周年記念としてようやくプロジェクトのオリジナル音源を収録したアルバムである本作がリリースされた。ブラジリアン音楽と共にディスコやファンクを愛する音楽性はオーケストラも起用する方向へと繋がり、ライブ感溢れる演奏と生々しい音の連なりは南国の陽気なムードと胸に染み入るサウダージをさらっと表現している。音楽自体の斬新性というよりはブラジリアン音楽への実直な愛を曝け出すクラシカルな作風で、そこにディスコのビートやファンクの熱量が融け込みクラブとしてのダンス・ミュージックの機能も兼ね備えているが、切ない歌や哀愁のメロディーはどこか望郷の念を呼び起こすようで人肌の温度感が心地良い。当方がブラジリアン音楽に教養があるわけではないが、ディスコ/ファンクの影響も含まれている事もあってか軽快でしなやかなダンス・グルーヴが耳に馴染む事もあり、特に生音系のそれが好きな人にはこんなブラジリアン音楽も気に入るのではと思う。そしてCDには今までにリリースされたリミックスEPも収録されており、テクノからビートダウンまで色々なスタイルが聞けるが、特にTheo Parrishのリミックスが圧巻だろう。オリジナル/リミックスの豪華2枚組と大変お得なアルバムになっているので、ブリジリアン音楽好きもダンス・ミュージック好きにもお薦めだ。



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
N’gaho Ta’quia - In The Pocket (disques corde:dccd-032)
N’gaho Ta’quia - In The Pocket
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Red Bull Music Academy出身のNobuyuki Suzukiは、Sauce81名義でヒップ・ホップやソウルを咀嚼しながらハウスのフォーマットにも沿った作品をリリースしている。その名義でも特定のジャンルに縛られる事なくモダンなダンス・ミュージックを披露しているのだが、そんな彼の別の顔であるN'gaho Ta'quiaではよりルーツを見つめ直しつつ、ライブ・フィーリングを重視したバンド的な音楽性を演出する事に成功した。N'gaho Ta'quia名義では初のアルバムとなる本作は、ファンクやソウルにゴスペルなどSauce81名義と同様に黒人音楽が根っこにある事に変わりはないが、クラブ・ミュージックを意識したSauce81名義に比べるとよりジャンルのカテゴライズから解放され、音と戯れるような自由な独創性が感じられる。ギターやベースにドラムやキーボード、プログラミングから果ては歌まで殆どの楽器を自分で演奏したそうだが、そんなDIYな制作が功を奏したのか、単なる短いループのカット&ペーストな作品になる事はなくどこまでも音は自由に羽ばたき豊潤なメロディーを奏でるのだ。生き物のようにうねるベースラインや宇宙から降り注ぐようなコズミックなシンセのSEは高揚をもたらし、メロウな旋律をなぞるエレピのコードは華やかさを添え、ざっくりとビートダウンした粘り気のあるリズムがしっかりと土台を支える。多重録音とは言えども殆ど一人で手掛けたようには思えない息のあったバンド演奏をしているような一体感、そして生演奏が生み出す土臭さや汗臭さから生じるファンクネスがあり、単に黒人音楽というルーツを掘り下げた懐古的な音楽にも陥らずに未来を見据えたビートが鳴っているのだ。またアルバムは16曲収録ながらもどれも3分前後なのでさくさくとビートが入れ替わっていき、とてもテンポの良い流れを生み出している。実にメロウで実に軽快なアルバムだ。



Check "Sauce81"
| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |