2012.07.31 Tuesday
実直に言うとダンスミュージックに於いてはオーストラリアはそれ程先進的とは言えないが、Torquhil AndersonことThe Tortoiseのように確かな才能を以って評価を集めつつあるアーティストもいる。The Tortoiseは2011年にロンドンの3rd Strike Records(ErdbeerschnitzelやVakulaもリリースするカルトレーベルだ)からデビューを果たし、更にはデトロイトの新興ハウスレーベルであるUndertonesからも作品を送り出し、ビートダウン・ハウス的な作風が高い評価を得ている。そして3rd Strike Recordsに戻っての通算3枚目となるEPには、The Mole & HrenoやRondenionをリミキサーに迎えている。タイトル曲である"The Puffing Tortoise"はフィルターを大胆に利用して展開を付け更にガヤガヤしたファンキーなボイスサンプリングを導入し、過剰なエネルギーを放出するスローモーなビートダウン・ハウスでこれは間違いなくフロアでバカ受けするであろう。それをThe Mole & Hrenoは展開を抑えた冷たいミニマルなテック系へと作り変えて、淡々とした電子音のリフが長い時間をかけてドープに染める印象だ。それとは対照的にカットアップさせたように鋭利な切れ味を強調しつつ、熱量を増幅させるべくファンキーなベースやらギターカッティングが導入されたRondenionのリミックスは、正に彼らしいファンクネス溢れるブギー・ハウスへと生まれ変わっている。そしてもう一曲、"Keep On Keepin On"は金属質なパッド音が執拗に繰り返されスペーシーなSEが飛び交う、ある意味未来的なディスコ・ハウスで華々しいモダンなダンスミュージックだ。まだ作品数は少ないながらも自身の音を確立しており、今後にも期待の出来るアーティストの一人だ。
試聴
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