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DJ Nature - Let The Children Play (Jazzy Spot:JSPCDK-1021)
DJ Nature - Let The Children Play
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ブリストルの伝説的ユニットとも言えるMassive Attack、その前身として存在したThe Wild BunchのメンバーにMilo JohnsonことDJ Miloが居た。しかしアブストラクトなヒップホップにも多大なる影響を及ぼしながらも、90年代の活動と言えば表街道を突き進むMassive Attackとは対照的にアンダーグラウンドに身を沈めていた。そのDJ Miloが再度日の目を見るようになったのが2010年からのGolf ChannelからリリースしたDJ Nature名義の一連の作品であり、その行き先は様々なブラック・ミュージックをコラージュ的に掛け合わせた"Return Of The Savage"(過去レビュー)へと繋がった。同時にDJ Natureは並行して日本のJazzy Spotとも接続し幾つかのEPをリリースしていたのだが、その作品も高い評価を得た成果がこのニューアルバムへと結実した。Golf Channelの作品群と同様にブラック・ミュージックへの愛情は変わる事はないが、それらと比べると本作はハウス・ビートが中心となっており、生っぽいざらつきを残しながらもより清廉とした音の選び方がある。エレピやサックスはアドリブ的に自由さを残した旋律を奏で、そこに優雅な佇まいを演出するストリングスが彩りを施し、デトロイト・ビートダウンのようなざらついたリズムが臨場感を生んでいるが、そのどれもが過度に鳴り過ぎる事もなく控え目に情緒を演出する事に繋がっている。コラージュの魅力と雑っぽくも力強いビートへこだわった前作とは異なり、アフロやジャズにソウルなどブラック・ミュージックを丁寧に発酵させ成熟させたような大人っぽさがあり、良い意味でも非常にお洒落で優雅なハウス・ミュージックでもある。"Return Of The Savage"が裏街道だとしたら、"Let The Children Play"は表街道か、2枚どちらも聴く事でDJ Natureの魅力をより理解する事が出来るだろう。



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| HOUSE9 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Terrence Parker - Life On The Back 9 (Planet E:ple65361-1)
Terrence Parker - Life On The Back 9
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デトロイト・ハウスの一般的な評価と言えばTheo ParrishとMoodymannに集約されてしまうのだが、彼等の活躍と共に再評価され出しているのがデトロイトの古参アーティストであるTerrence Parkerだろう。来日頻度も高くはなくアルバムのリリースが多いわけでもなく、粛々とEPをリリースし続けている活動は目立つものではないが、昨年の"Finally EP"(過去レビュー)は世界的にもヒットしより注目を集める契機となった作品だ。本作はそんな彼にとって17年ぶりのアルバムだが、デトロイトの至宝であるPlanet Eよりアナログ3枚組でのリリースとなっている事からも、かなりの自信作であるのが伝わってくる。アルバムとしては随分と間が空いてしまったのだが、しかしその空白を埋めるには十分過ぎる素晴らしいハウストラックが並んでおり、特に時代に迷わされずに自身の道を見据えた揺るぎない自信が満ち溢れている。時にゴスペル・ハウスとも称される彼のDJやトラックの背景にはディスコやガラージが存在するが、本作ではそんな要素を更に丁寧に磨き上げて洗練させ、温かくソウルフルな気分としっとりと優美な官能が同居するデトロイト・ハウスへと進化させているのだ。曲単位で強烈な印象を植え付ける個性を発しているわけではないが、ピアノやオルガンの優雅なコード展開を軸に滑らかなグルーヴを生み出すリズムを組み合わせた作風は、どれも優しく柔軟な響きが大らかな包容力となって聴く者を穏やかな気持ちにされてくれる。確かに享楽的なクラブでの盛り上がりと言うよりは教会の中の慎ましやかさもあるようで、彼の音楽性がゴスペル・ハウスとも称されるのはそういう点からなのだろうが、だからと言って彼の心がフロアから離れたわけでもなく清廉な高揚感が込み上げる誠実な音楽なのだ。奇を衒う事もなくハウス・ミュージックに対して忠実な精神が感じられるアルバムであり、デトロイト・ハウスの熱心な信者だけでなく多くのハウスファンへ訴えかけられるであろう傑作だ。

※11/8追記
アナログと配信だけのリリースでしたが、Defectedよりリミックス・ワークスを含むボーナストラックも合わせた2枚組でCD化されました。



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| HOUSE9 | 13:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
Specter - The Gooch EP (Sound Signature:SS052)
Specter - The Gooch EP

Sound Signatureは基本的にはTheo Parrishが自身の作品をリリースするレーベルではあるが、時折彼の目に止まった期待株のアーティストの作品をリリースする事もある。となると得てしてインパクトのある事は必然ではあるが、このSpecterによる新作も並々ならぬ個性を放っている。SpecterことAndres Ordonezはシカゴ出身のアーティストであり、2000年代前半には華麗なるディープ・ハウスをリリースしていたようだが、一時期の活動休止を得た後のSistrum RecordingsやExquisite Musicからの作品を聴いてみるとロウ・ハウスを先取りしていたようにも見受けられる。本作はSound Signatureからは2枚目となるEPであるが、やはりその方向性は変わっておらず今どきのロウ・ハウスを踏襲しつつ音を彫刻するようなレーベル性を発揮している。A面の"The Gooch"は一見ディープかつミニマルな淡々とした作風ではあるが、音自体が圧縮されたように籠もりつつ荒削りなリズムトラックが生の臨場感を生み出しており、そこに不思議な効果音なども混ぜたりと不気味な様相を呈している。B面の"Body Blow"は更に初期シカゴ・ハウスの安っぽいジャッキンな鳴りやネジが外れた感もありつつ、その荒ささえも機能的なツール性へと直結しているようで、正にロウ・ハウスという形容が相応しい。残りのもう1曲である"Zodiak"は正統派のアシッド・ハウスではあるが、やはりハイハットも錆び付いたようにざらついていたりと、光を失った金属が擦れるような悪い音が特徴だ。Theo Parrishに比べるともう少々フロアでの使い易さも考慮されていたりと、ある意味では常軌を逸脱するかしないかのぎりぎりで保っているところもあり、テクノと混ぜても映えであろうフロアトラックだと思う。

試聴

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| HOUSE9 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Rondenion's Ragrange Symphony - Triple Joker (Ragrange Records:UGRR-01)
Rondenions Ragrange Symphony - Triple Joker
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かつては日本は世界中から膨大なレコードが集まり、大小様々なクラブに世界各国のDJ/アーティストが出演する特別な場所であった。そう言った環境面からは優れていたのは事実であるが、しかし制作面から見ればやはり日本から世界へと飛び立つ事は今尚容易くはない。そんな状況に於いても海外でこそ認められ、逆輸入的に日本での評価が高まったアーティストもいるが、Rondenion's Ragrange Symphonyはそんな一例と言えるだろう。2010年の"Tokyo Connection EP"(過去レビュー)での共演、そこからユニットへと進化した"Ragrange Symphony"(過去レビュー)、そしてRondenion's Ragrange Symphony名義で遂にアルバムを完成させたのが、日本の中でも黒い音楽の化身と化しているRondenionとKez YMとNo Milkだ。彼等の単独の活動と言えばRush HourやYore Recordsからのリリースと海外では高い評価を得ていたが、しかし不遇にも日本に於ける扱いは海外程ではなかったように思える。そんな状況を打破すべくRondenionが日本のアーティストを紹介すべく立ち上げたレーベルがRagrange Recordsであり、本作はその活動の集大成と言っても過言ではないだろう。予てからサンプリングと言う手法を得意とする面々が集まっただけあり、本作でもサンプリングによるミニマルなループが軸となっているが、ハウスをベースにしながらもテクノやヒップホップにディスコなど黒人音楽由来の要素がこれでもかと詰まっている。荒々しく逞しく野太いグルーヴに色気を発する猥雑な雰囲気が広がる音楽は、日本人離れしている程にファンキーに黒く染まっており、彼等が以前から実践してきた音楽が自然と混ざり合い一つの融合体となっているのだ。サンプリングを使用しながらも機械的になる事もなく、むしろそこには生きているかのような躍動が込められており、シカゴ・ハウスやデトロイト・ハウスのように洗練されていない"粗雑さ"が強調されている。またこのユニットは決して固定メンバーではなく拡大を伴う流動的なユニットでもあるそうで、1stアルバムにて既にACA3もメンバーとして名を連ねている。ならばこそ、この先に待っている世界はこれまで以上に広く、Rondenion's Ragrange Symphonyが更なる飛躍をする事を期待せずにはいられない。



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| HOUSE9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
The Pink Collection (Eskimo Recordings:541416 506032)
The Pink Collection
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ベルギーのEskimo Recordingsと言えばLindstrom & Prins Thomasを輩出していたりとニュー・ディスコ系に強いレーベルではあるが、それと共にOptimoやIvan Smagghe、Rub' N' Tugらフリーキーなアーティストが個性的なMIXCD/コンピーレションを手掛けている事でも知られている。そのレーベルからの新たなシリーズが"The Pink Collection"なるニュー・ディスコのコンピレーションで、何と全曲新録と気合の入ったアルバムになっている。ジャケットからは大人びてお洒落なイメージが伝わってくるが、実際にそれは間違っておらずディスコ的な汗臭さや熱狂は皆無で、モダンかつ洗練された甘いなディスコが満載だ。特にかつてのディスコ的な生音よりも綺麗に伸びる電子音が強調され、シンセの快楽的で甘い旋律と覚醒的なシンセベースのブリブリとしたラインが基軸になったトラックは、ディスコの一聴して耳に残る性質を伴いながらも再生ではなく進化と言った意味でのニュー・ディスコと呼ぶ表現が相応しい。キラキラと煌めくようなゴージャスな音使いでは熱いと言うよりは温かく、ソウルフルと言うよりはスイートで、また全曲がミッドテンポでゆったりと聞かせるタイプである事がより大人びたゆとりとなり、バレアリック感を増長させているのだ。ニュー・ディスコに対し造詣があるわけでもないので収録されているアーティストを知らなかったが、ベテランから新鋭まで起用しているそうなので、これからこの周辺の音楽を知るための道標にもなりそうである。



Tracklistは続きで。
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| HOUSE9 | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Future Disco Vol. 7 - 'Til The Lights Come Up (Needwant Recordings:NEEDCD013)
Future Disco Vol. 7 - Til The Lights Come Up
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2009年にUKに設立されたNeedwant Recordingsはハウスとディスコに焦点を当てたレーベルで、発足当時からモダンなニュー・ディスコを集めた"Future Disco"なるシリーズをリリースし続けている。2010年にはその第3弾の"City Heat"(過去レビュー)もリリースしていて、その頃は額面通りにディスコな愛くるしさが強く出た作品だったと思う。そして久しぶりに手に取ったこの第7弾"'Til The Lights Come Up"のコンセプトは、パーティーの早い時間帯から最後まで踊る者に捧げたそうで、「パーティーの早い魔法のような時間帯」をイメージしているそうだ。大半はこの1〜2年にリリースされた新しい作品が収録されているが、以前のシリーズに比べるとディスコ色は残りつつも今風のフロアを意識したディープ・ハウス色が前に出ており、その意味ではより洗練されたトラックが多い。Terrence Parkerによるピアノのコード展開が煌めく美しいハウスの"Finally"や、Mount Kimbieの曲をDJ Kozeがリミックスした"Made To Stray (DJ Koze Remix)"が収録されている時点で、ディスコよりは整ったビート感とすっきり整った電子音が打ち出されたハウスに重点が置かれているのは分かるだろう。ブリブリしたベースラインに透明感のあるパッドのメロディーが快楽的なMirror Peopleの"Kaleidoscope (Psychemagik Remix)"、ADAの可愛らしいキャッチーなメロディーと牧歌的なボーカルが絡む"Maps (Michael Mayer / Tobias Thomas Remix)"など、ディスコの一聴して心を惹き付けるようなポップな感覚も勿論ある。パーティーの早い時間帯をイメージしているのでアッパーな勢いよりも、じっくりとフロアを温めるようなしっとり感情的な趣が強く、特にホームリスニングとしても良いBGMになる事請け合いだ。CD1はミックス仕様、CD2はアンミックス仕様なのでDJをする人にも便利な作品となっている。



Tracklistは続きで。
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| HOUSE9 | 13:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Danito & Athina - Deep Inside Your Love EP (JEUDI Records:JEUDI007V)
Danito & Athina - Deep Inside Your Love EP
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最近はドイツ製のディープ・ハウスの紹介が続いているものの、やはり今でもドイツからは竹の子のように生まれるハウス系の新興レーベルの躍進が目に付き、本作もその流れでキャッチした一枚。リリース元となるJEUDI Recordsはドイツはハンブルグに設立されたまだ新しいレーベルで、まだ知名度はそれ程でもないようだがDJからは高い評価を得ているようだ。そんなレーベルからDanito & Athinaなる男女のユニットのアナログでの初の作品がリリースされた。過去にはCocoonやGet Physicalからもリリースしているようで、特にDanitoは音楽活動が20年にも及ぶ程のベテランだ。そんな経歴もあってか、この新作も非常にベテランらしくアーバンな佇まいもあるディープ・ハウスを3曲収録している。タイトル曲の"Deep Inside Your Love"はディスコが根底にあるようなブリブリとしたベースラインが下地にあるものの、可愛いタッチのシンセと透明感のあるパッドが薄く伸びるディープ・ハウスで、過去のディスコを音楽を現代に蘇らせたようだ。また彼等は特にフィリーサウンドに影響を受けているとも発言しており、裏面にはそんなディスコやファンクの要素がより強く出ている。流麗なピアノのコード展開にゴージャスなシンセ使い、そしてしっとりした吐息を吹きかけるような歌が甘さを広げる"Really Like"、ディスコらしい生っぽく力強いリズムとうねるベースがファンキーな"Money Girl"、とそのどちらもがどこか古い香りを含みつつも今っぽく洗練されたディープ・ハウスへと生まれ変わっている。正直なところドイツのハウス隆盛はバブルを迎えているような気もしないが、まだまだ注目しておいて損はないだろう。



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| HOUSE9 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Garage Shelter - Garage Shelter #1 (Wax Classic:WXC12)
Garage Shelter - Garage Shelter #1

フランスのSkylaxはフロア最前線ながらも普遍的なハウスを追い求めるレーベルであり、特にシカゴ・ハウスへの深い愛を示すような作品が多い。2011年にはその傘下にWax Classicと言う姉妹レーベルが設立され、Jason Groveを含むよりカルト的なアーティストの作品をリリースしているが、本作を手掛けたGarage Shelterもそのカタログに加わる事になった。NYハウスの大ベテランであるJovonnの作品名から取られたこのアーティストについて、詳細が全く明かされてはいないのだが、このデビューからして既に貫禄のあるガラージ・ハウスを披露している。雑然としたガヤ声に渋いサックスのソロ、そして控え目に情感のあるパッドを忍ばせた"Moanin' (Tribute Edit)"は、ジャズとブルースの要素を含む真夜中のディープ・ハウスだ。更に色気のあるキーボードのコード展開にうっとりしながらも、生っぽいジャジーグルーヴが軽快な"Political Content (Full Contact Mix)"、対照的に熱の籠もったソウルフルな女性ボーカルと重く太い4つ打ちが反復するファンキーな"Step In The Raw"と、時間帯別に効力を発揮するであろう作風の豊かさは目を見張るものがある。更に裏面にも3曲、アブストラクト度を高めた煙たいハウスやブロークンビーツ気味の曲まで収録し、ハウスファンのためだけではない多様性を兼ね備えたソウルフルな音楽性を展開している。これだけの高い質を誇りながらもGarage Shelterと敢えて秘密めいた名義でのリリースをしているのは…もしかすると誰かベテランによる変名なのではないかと推測するのだが、それにしてもオールド・スクールなUSハウスを律儀に現代へと展開する姿勢には感服した。



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| HOUSE9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Moodymann (Mahogani Music:KDJ44)
Moodymann
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Kenny Dixon Jr.ことMoodymannはやはり世界的に見ても並ならぬ人気を博しているようで、リリースと共に本アルバムのアナログ盤は即完売となっていた。その一方ではかつて"Technologystolemyvinyle"と皮肉っていた男も、最近ではデジタル配信も行うなどその行動は抜け目ない。とは言ってもアナログ盤には過去のEPをランダムで封入する仕掛けを施すなど、やはりアナログにはこだわりを持っているのも事実だ。そのアナログ盤とここで紹介するCD盤は曲数も大幅に異なり、通して音楽性を体験するのであればやはりCD盤をお勧めしたい。純然たるアルバムとしては"Black Mahogani"から10年ぶりとなるが、それだけ時間が経てば音楽性もかなり変わっている事は否定出来ない。本アルバムは前アルバム以降にリリースした複数のEPや他アーティストのリミックスなどをさり気なく取り纏めており、その意味ではここ数年のベストアルバムと言えなくもないが、サンプリングの魔術を極めDJとしてのダンストラックを量産していた面影は過去のものとなり、今彼が目指しているのは音楽を通しての表現者としてブラックミュージックを掘り下げる事だ。勿論ベースにはハウス・ミュージックがあるのは間違いないが、ここにはディスコやファンクにR&Bやヒップホップなどこれまで以上に豊かな音楽性があり、その分フロアから離れながらもより多くのリスナーに訴えかけるポピュラリティーを含んでいる。本人もかつてエンターテイメント的なライブ・ショーを行っていたのは懐かしいが、今彼が求めているのはDJの強烈なグルーヴではなく演奏が生み出すライブフィーリングであり、自身の黒人音楽のルーツを曝け出しながらリスナーと共にそれを楽しむかのように感じられるのだ。実際にこのアルバムにはインタールードも多く挟まれ、以前と比べると随分とリラックスしたムードが伝わってくるのだから、不機嫌な男も随分と丸くなったものだ。勿論Moodymannらしいダーティーで卑猥な歌や煙たくも優美な旋律、生まれたてのような混沌とした世界観は失われていないが、その聞かせ方は以前よりも遥かに穏やかだ。激しくグルーヴを打ち鳴らしていた頃から確かに変化はしているが、リスナーと楽観的な気分を共有するかのような本アルバムも、Moodymannにとってのパーティーミュージックなのだ。



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| HOUSE9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
STL - At Disconnected Moments (Smallville Records:SMALLVILLE CD08)
STL - At Disconnected Moments
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昨今のドイツのディープ・ハウス台頭の一つとして、ハンブルクのSmallville Recordsの成功は見過ごす事は出来ない。Lawrence、Julius Steinhoff、Just von Ahlefeld(Dionne)の3人が設立したレコードショップであり、レーベルでもあるSmallvilleは、USのシカゴ・ハウスやデトロイト・テクノに影響を受けたムーディーを作風を得意としている。特にクラブトラックとしてEPが大量生産されるご時世に於いても、それだけではなくアルバムとしての総合的な完成度を軽視する事なく、粛々とリスニングにも耐えうるアルバムを提供し続けている事はレーベルの確かな実力を証明している。そんなレーベルの最新アルバムが、Stephan LaubnerことSTLによるSmallvilleからは初となるアルバムだ。掻い摘んで言ってしまうとBasic Channelをディープ・ハウス化した現代版になるのだろうか、深く揺らめく残響音とざらついて湿っぽいリズムが脈打つミニマル・ダブである。最初から最後まで抑揚は統一され、モノトーンな感情に支配されたミニマル度の高い作風は一聴してひんやりとクールな様相ではあるが、静かに湧き出るような感情にはやはりSmallvilleらしいムーディーな叙情が見え隠れしている。あくまでBasic Channelが音響の美学と共にEP単位でフロアでの機能性を追求していたのに対し、STLのアルバムは機能性よりもホームリスニングとして部屋の空気に馴染む音に重きを置き、不鮮明な音像の中から繊細で流麗なコード展開が微かに浮かび上がらせる事で、幾分か感情的なハウス色を打ち出しているのだ。とは言え半分以上の曲が10分超えと少々大作を狙い過ぎた感も拭えなく、全体の統一感が高いだけに冗長になっている点は否めない。それでも陶酔感をたっぷり含むディープ・ハウスとミニマル・ダブの邂逅は、Smallvilleのレーベルの名声を更に高めるであろう。



Check "STL"
| HOUSE9 | 23:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |