2014.05.21 Wednesday
Amazonで詳しく見る(日本盤)
ブリストルの伝説的ユニットとも言えるMassive Attack、その前身として存在したThe Wild BunchのメンバーにMilo JohnsonことDJ Miloが居た。しかしアブストラクトなヒップホップにも多大なる影響を及ぼしながらも、90年代の活動と言えば表街道を突き進むMassive Attackとは対照的にアンダーグラウンドに身を沈めていた。そのDJ Miloが再度日の目を見るようになったのが2010年からのGolf ChannelからリリースしたDJ Nature名義の一連の作品であり、その行き先は様々なブラック・ミュージックをコラージュ的に掛け合わせた"Return Of The Savage"(過去レビュー)へと繋がった。同時にDJ Natureは並行して日本のJazzy Spotとも接続し幾つかのEPをリリースしていたのだが、その作品も高い評価を得た成果がこのニューアルバムへと結実した。Golf Channelの作品群と同様にブラック・ミュージックへの愛情は変わる事はないが、それらと比べると本作はハウス・ビートが中心となっており、生っぽいざらつきを残しながらもより清廉とした音の選び方がある。エレピやサックスはアドリブ的に自由さを残した旋律を奏で、そこに優雅な佇まいを演出するストリングスが彩りを施し、デトロイト・ビートダウンのようなざらついたリズムが臨場感を生んでいるが、そのどれもが過度に鳴り過ぎる事もなく控え目に情緒を演出する事に繋がっている。コラージュの魅力と雑っぽくも力強いビートへこだわった前作とは異なり、アフロやジャズにソウルなどブラック・ミュージックを丁寧に発酵させ成熟させたような大人っぽさがあり、良い意味でも非常にお洒落で優雅なハウス・ミュージックでもある。"Return Of The Savage"が裏街道だとしたら、"Let The Children Play"は表街道か、2枚どちらも聴く事でDJ Natureの魅力をより理解する事が出来るだろう。
Check "DJ Nature"