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Moonboots - Moments In Time (Music For Dreams:ZZZCD0121)
Moonboots - Moments In Time
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デンマークはコペンハーゲンからバレアリック・シーンを先導するレーベルの一つ、Music For Dreamsからまた素晴らしいコンピレーションが到着している。手掛けているのはマンチェスターでAficionadoというレーベル/パーティーを主宰するバレアリック系のアーティストであるMoonbootsで、MFDのレーベル紹介としてではなくあくまでバレアリックという音楽性に沿って選曲を行っていて、これがまたジャンルや時代を超越してムーディーな世界を作り上げており素晴らしい。ミックスではなく敢えてコンピレーションな事で、それぞれの曲毎の良さを十分に体感出来る、またそれだけにどの曲もそれだけで成り立つ質の高さが保証されており、Moonbootsの審美眼が光っている。アルバムはシンプルなピアノのメロディーとゆったりと浮かび上がるストリングスによるインスト曲の"Simple Trust"で始まるが、静謐で穏やかな響きは何処までも澄んでいて、この時点でもう気分はうっとり。続くはDavid Darlingによる"Cello Blue"で、鳥の囀り等のフィールド・レコーディングに加えチェロとピアノの落ち着いて優雅な旋律を聞かせるニューエイジ色の強い曲だが、スピリチュアル性に向かうでもなくあくまで自然体な響き。そしてJuly Skiesの"The Softest Kiss"、Beginの"Names In The Sand"とアコースティック・ギターの爽やかな響きが強調されたフォーキーな曲も続き、エヴァーグリーンな豊かさも聞かせる。一転してクラブ・ミュージック側からの選曲としてはFarbror Resande Macによるサイケデリックで幻惑的なダウンテンポの"Janne"、Gryningenによるしなやかなストリングスが延びメロウなギターが広がっていく海沿いのBGM的な"Fran Andra Hand Till Stranderna I Nice"もあり、ジャンルとしての制約から解放されて美しくメロウな曲が続く。後半ではジャズトリオであるBombay Hotelによる年を重ねて熟成されたような深い哀愁が滲み出るフュージョンの"Between Leaves"、Matt Deightonによるジャズの影響が感じられるフォーキーな"Tannis Root"もあり、円熟味は高まっていく。そしてラストはMFDでも活躍するThe Swan & The Lakeによる"Waiting For Spring"、可愛らしいマリンバに先導され浮遊感のあるシンセが広がっていく天上一直線なニューエイジ/アンビエントなこの曲はこの世とは思えない程に美しい。ここにはジャズやフォーキーなロックにフュージョン、アンビエントやダウンテンポにニューエイジなど複数のジャンルの音楽が収録されているが、それらはある種の雰囲気で統一されており、その感覚こそバレアリックを形成するものだ。特に本作ではメランコリーという感情が強く打ち出されており、ダンスで踊り疲れた時や忙しない日常の癒やしとなるであろう音楽がここにはある。



Tracklistは続きで。
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| ETC4 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Nightmares On Wax - Shape The Future (Warp Records:WARPCD275)
Nightmares On Wax - Shape The Future
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ダンス・ミュージックという荒波に揉まれる業界において、彼ほどマイペースで自然体という言葉が似合うアーティストはそう多くはないだろう。George EvelynによるNightmares On Waxは求道者としてダウンテンポを追求してきたアーティストで、ダブやレゲエにソウルやファンクなどのエッセンスも咀嚼しながら、溶けるように甘美でメロウな音楽を制作してきた。特にWarp Recordsという革新的なレーベルの最古参でありながら、その最新を切り開くレーベルの音楽性とは相反するように流行の波はそっちので心身共にリラックスさせるダウンテンポを追い続ける姿勢は、アーティストとして強い信念に基づいた事を考えると信頼の於ける存在だ。人気アーティストでありながらこの新作も前作から4年半と随分と長い時間が経過するほどにのんびりとした活動ではあるが、それだけの時間が経過しても多少のムードの移り変わりはあっても音楽的に大きな変化は見られない。アルバムは先行EPである"Back To Nature"から始まるが、しっとりとしたピアノや物哀しいストリングスに深みのあるボーカルも導入したダブ寄りのダウンテンポは正にNightmares On Waxのクラシカルな作風だが、前2作品の開放的で陽気なムードに比べるとじめじめと湿り気を帯びて内向的だ。続く"Tell My Vision"はもう少し小気味良いリズムにゆらゆら揺れるがしっかりと低音が支えとなり、二人の掛け合いのような優しいMCによって心地良いグルーヴを作っている。タイトル曲の"Shape The Future"はメロウの極みだろう、闊歩するようなシャッフル調のリズムに力強いピアノや幻想的なストリングスを配し、ゆったりとしながらも確実に身体を揺らす湿り気を帯びたR&B調のダウンテンポだ。"Tomorrow"辺りも彼等の古典的とも呼べる気怠く生温いダブ・サウンドでじめじめとしながらも甘美な空気が滲み出ているが、もう一つの先行EPである"Citizen Kane"は力強いゴスペル・コーラスをはじめ優雅なストリングスや躍動感に満ちたドラムのリズムも一体となり最早ダウンテンポではなく祝祭感もあるソウルと言った趣だ。どの曲も基本的にはリラックスしていてメロウなムードである事に変わりはないが、全体的にはシルキーな優しい響きがありメジャーなR&Bにも接近したよう作風で、良い意味でポピュラーな印象だ。驚くべき斬新性がある訳でもないが、日常的に聞きたくなるしとやかな音楽は正にダウンテンポとして機能している。



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| ETC4 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
D.K. - Distant Images (Antinote:ATN 038)
D.K. - Distant Images
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2017年はMelody As TruthのSuzanne Kraftとの共作、2018年はMusic From Memory傘下のSecond Circleからも新作をリリースするなど、ニューエイジ/アンビエント系では知名度を一躍高めているDang-Khoa ChauことD.K.。ロウ・ハウス寄りなマシンビート性が強い45 ACP名義、The Trilogy Tapesからの更に実験的でインダストリアル性もあるSlack DJs名義と、その名義毎に異なる音楽性を披露しているが、2016年にAntinoteからリリースされたD.K.名義の『Island Of Dreams』(過去レビュー)を聞けば分かる通りこの名義ではドリーミーで黄昏時のメランコリーが滲むダウンテンポな作風だ。本作は同様にAntinoteからの新作となればその路線を踏襲する事が期待されるが、冒頭の"Keyboard Study"からして"Electric Counterpoint"風なメロディーを反復させながらそれを割って入ってくる情緒的なストリングスや耽美なピアノが夕暮れ時のメランコリーを描き出す印象的な作品だ。静かに引いては寄せる波のように繰り返し感動がやってくるノンビート・バレアリック、先ずこの曲だけでも一気に耳を惹き付けられる事だろう。本作では曲毎にイメージは異なっており、"Days Of Steam"では弦楽器や木琴らしき音色がどこか異国の長閑な街並みを描写した音楽と言うか民族的な感覚もあり、そして同様にマリンバと思しきフレーズが心地良く弾みドリーミーなシンセが伸びていく清々しさ溢れる"Leaving"と、開放的な感覚に長けている。"Shaker Loops"でもやはりマリンバの連打が用いられているがここまで来ると現代音楽のミニマル的と雰囲気もあるが、胸を締め付けるような切ないメロディーが入ってくればシネマティックな作風へと変化する。そしてラストの"Distant Images"は鳴きのギターサウンドや感情的なピアノ、そしてカモメの鳴き声なども導入したいかにもD.K.らしいバレアリック/ニューエイジ風で、感動的な映画のワンシーンを見ているような余りにもメランコリーな響きが琴線に触れるラストを締め括るに相応しい曲だ。エキゾチックからトロピカルまで横断する音楽性は世界を旅するような感覚もあり、ゆったりと風景が移ろいゆく正にDistant Imagesなミニアルバムだ。



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| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
The Swan And The Lake - Clouds + Moments (Music For Dreams:ZZZCD0127/107)
The Swan And The Lake - Clouds + Moments
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明らかに賑わいを見せているバレアリック・シーンではInternational FeelやMusic From Memoryなど新興勢力の台頭に依るものが大きいだろうが、その一方でより以前からバレアリックを深掘りしているレーベルにも注目が向けられる機会もあり、例えばデンマークはコペンハーゲンのMusic For Dreamsは2001年から運営を続けているこのジャンルでは老舗とも言える名門レーベルだ。ダンスやロックにジャズやヒップ・ホップにその他色々なジャンルに渡って作品をリリースしているが、それらはチルアウトやバレアリックに包括されるべき内容で、長い運営を続ける中でこの種の音楽の拡張と深堀を行っている。そんなレーベルから今一押しなアーティストがデンマークのEmil BreumによるThe Swan And The Lake(「白鳥と湖」、なんてアーティスト名なんだ!)で、2016年と2017年にはアナログで『Moments』と『Clouds』をリリースしてちょっとした注目を集めていたが、この度目出度く2枚セットでのCD化が成されている。The Swan And The Lakeの音楽は何と言えばよいのか、ほのぼのとした雰囲気の中で何処までも穏やかな地平が続くリスニング仕様な音楽は、アンビエントと言い切るのも難しくもニュー・エイジぽさもありチルアウトの落ち着きもあれば、開放的なバレアリックなムードもある。オープニングは悲哀の強いキーボードと控えめに挿入されるコンガに泣きを誘われる"Fresh Food"からしてしっとり情緒的な出来だが、逆にノンビートながらもLarry Heardぽさもある安らぎのシンセコードを展開しバレアリックな爽快感のある"Clouds Over Osterbro"もあったり、透明感のある美しいシンセを丁寧に聞かせながらパーカッションやマリンバ等の温かみのある響きも用いて人間の感情性を伝えるような作風だ。特に美しいバレアリック性が強いのは"Summer In December"だろう、青空の中に消えてしまうような美しいシンセが浮遊しながらそこに優しさに包まれるスパニッシュ・ギターが歌うような開放感抜群のフローディング・アンビエントは、その無重力感もあって何物にも束縛されない。または"Deep Red"のようにシンセが層になったようなドローンが持続する抽象的なアンビエント、嬉々としたマリンバがダンスを踊るようなクラシック的な"Moment Of Lost Swans"、味わい深いスパニッシュ・ギターにより夕暮れ時の海辺で感傷に浸るような"Dive"、映画のワンシーンに使われるようなロマンティックで情感たっぷりな歌モノの"Weather"など、意外にも曲毎に作風の変化を見せたりもする。そんな幅の広さはあってもThe Swan And The Lakeのシンプルな美しさはどの曲に於いても不変で、曲毎に風景を喚起させるシネマティックな作風によって夢の中を彷徨うようだ。CD化に際してはアナログ未収録の曲も追加されており、これは是非ともお勧めのアルバムである。





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Tommy Awards - Inre Rymden (Remixes) (Origin Peoples:OP005)
Tommy Awards - Inre Rymden (Remixes)
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静謐なアンビエントやバレアリックを手掛けるJonny Nash、Earth Trax名義でのディープ・ハウスで注目を集めるBartosz Kruczynski、UKの現行バレアリック前線のCoyoteらがリミキサーとして参加した本作、そういった名前でピンと来た人はTommy Awardsなるアーティストを知らなくても本作を聞いておいて損はないだろう。Awardsはスウェーデンのバレアリック系のユニットだそうで、2017年中頃にはアルバム『Inre Rymden』をリリースしている。そちらは購入はしなかったものの試しに聞いてみた限りでは、ゆったり夢現なニュー・エイジやニュー・ディスコの要素を用いながら桃源郷広がるバレアリック色に染め上げており、朗らかでメロウな世界観を作り上げていた。そんな作品を前述のアーティストがリミックスしたのが本作で、参加しているアーティストからも分かる通りリスニング向けな落ち着きのあるバレアリック・ミュージックを更に深化させており、元の作品を一切知らなくてもこの手の音楽を好む人にとっては愛聴盤になるに違いない。"Prometheus (Jonny Nash Remix)"は原曲よりも更にビートや音数を削ぎ落としサックスやピアノを用いながらも、音の間に美学を見出すような静謐さ際立つディープ・ジャズへと姿を変え、如何にもNashらしいスピリチュアルな作品だ。本アルバムで特筆すべきは15分まで拡大した"Hans Logan (Bartosz Kruczynski Remix)"だろうか。元々は空高く飛翔するような開放感溢れるバレアリック作品だったが、序盤の想像力を刺激する重厚な瞑想ドローンによるニュー・エイジの展開から、清々しい電子音のシーケンスが浮かび上がって反復によるアンビエントへと移行、その間もピアノや木琴が耽美な響きを聞かせながら瞑想状態を持続させる流れは、壮大な一大叙事詩のようだ。こちらも10分に及ぶ大作の"Mike Sierra Foxtrot (Eirwud Mudwasser Nag Champa Radio)"は元のサイケデリアを活かしながら、廃れたような簡素なリズムも導入して侘び寂びなエレクトロニカ風にも思われる。"Ursa Minor (Coyote Remix)"は原曲の牧歌的なムードを壊す事なくおおよそ予想のつく開放感のあるバレアリック仕立てだが、"Rexy (The Normalmen Savana Reinterpretation)"は元の幻想的なスローなバレアリックからがらっと姿を変えて、奇抜な効果音もふんだんに用いて陽気なトリップ感のあるニュー・ディスコでアルバムの中で一番のダンス色強い曲だ。5曲のみなものの40分を超えるボリューム、そして期待通りに各アーティストのバレアリック性が現れた充実した内容で、Music From MemoryやMelody As Truth周辺の音楽が好きな人には食指が動くに違いない。



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| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jonny Nash & Suzanne Kraft - Passive Aggressive (Melody As Truth:MAT8)
Jonny Nash & Suzanne Kraft - Passive Aggressive
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「静寂の次に美しい音」というコンセプトを持つECMという有名なレーベルがあるが、Jonny Nashが主宰するこのMelody As Truthもそんな音楽性からは決して遠くないのではと思うこの頃。2014年から活動を始めたこのレーベルは主にJonny NashとSuzanne Kraftの作品をリリースする場所になっているが、ニュー・エイジからバレアリックにアンビエントやドローン等の音楽性の境目を無くしたリスニング性の高い音楽が特徴で、特にアルバムに力を入れた構成力が耳を惹き付けている。本作はそんなレーベルの主軸二人による共同作品だが、今までに二人がソロで手掛けてきた音楽性が反映されながらより抽象度を高めた静謐なアンビエントへと至っている。正にタイトル通りのようにモノクロな電子音のドローンから始まる"Photo With Grey Sky, White Clouds"は物悲しく囁くような繊細なピアノが現れて、薄っすらとした電子音の持続にそっと情緒を付け加えるが、大きな展開はなく静寂さが際立つオープニングだ。"Refractory Cafe"では朗らかなエレピに合わせて弾力のあるウッドベースが刻まれるのが目立ち、動きの多さが静けさの中に落ち着いた躍動を生んでいる。"Hanging Glass Structure"でもウッドベースや透明感のある電子音の持続が聞こえるものの多少の原始的なパーカッションがアクセントになっており、それが素朴さへと繋がっている。"Inside"は特に音の隙間を強調した曲で、微かな持続音に上に一定間隔でピアノのコードを鳴らしてある意味ではミニマル的な展開を見せ、静謐の中に響く美しさが映えるのだろう。一方で"Small Town"では静けさを発するピアノに合わせヴァイオリンだろうか、弦楽器らしき音が強弱を付けて大胆にメロディーをなぞる動きの強い曲で、アルバムの流れの中ではっと目を覚まさせる。ラストの"Time, Being"ではNashによるメランコリーなギターをフィーチャーし、そこにピアノやウッドベースに和んだ電子音も登場して、それらが一体となりぐっと切なさを誘うコンテンポラリー・ミュージックとなっているが、余韻を残す事なくさっと音は消えてしまう辺りにこのアルバムを直ぐにでもリピートさせたいと言う欲望が生まれるのだ。気持ちを高めるでもなく冷めさせるでもなく、淡々とした佇まいを保ちながら空気に馴染んでいくような快適性の高い音楽は、日常の中で心地良い環境音楽になるに違いない。



Check Jonny Nash & Suzanne Kraft
| ETC4 | 10:00 | comments(1) | trackbacks(0) | |
Garrett - Private Life (Music From Memory:MFM021)
Garrett - Private Life
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過去の時代に埋もれてしまった作品から現行バレアリックまで、知名度に関係なく音楽そのもののに焦点を当て今という時代にも適合する掘り起こしを行い、鋭く確かな審美眼を持つMusic From Memory。新作が出れば当然の如く試聴すべきレーベルの一つであり、このGarrettなる聞き慣れないアーティストのミニアルバムも試聴してみれば、結果的には即購入を決断する程の内容であった。レーベルインフォでは「L.A.のミステリアスなプロデューサーGarrettによるアルバム」との触れ込みだったが、調べてみると実はメロウなモダン・ファンクを手掛けるDam-FunkことDamon G. Riddickによる変名である事を知った。Music From Memoryと言えばジャンルを固定する事なく良質な音楽の紹介に力を入れている事もありファンクな作品をリリースする事も決して意外ではないが、まさかDam-Funkの完全新作をリリースすると予想していた者はいないだろう。しかしMusic From MemoryとDam-Funkの相性は一体どうなのか?という杞憂は、1曲目の"Apocalyptic Sunrise"を聞けば消し飛んでしまう事は間違いない。空へと飛翔するような美しいシンセのアルペジオと痺れる刺激的な電子音がフリーキーな展開となるアンビエント系のこの曲は、確かにレーベルのバレアリックなムードからは全く外れていないどころか、Dam-Funkのコズミックな響きのシンセ使いがレーベルの豊かな音楽性と調和を成している。続く"Right Now"は2分に満たない曲だが、光沢や艶のあるシンセ使いにファットなドラム・マシンによるリズムは正にモダンなPファンクといった趣きだ。残響を強調したリズムで開放感を打ち出した"Slow Motion"は情熱的で咽び泣くようなシンセのラインが夕暮れ時の切なさにも似た郷愁を誘い、ゆったりとした長閑なダウンテンポによってしみじみと感傷的なムード、これをバレアリックと呼ばずして何と呼ぶのか。再度ビートレスな構成で可愛らしい音色と優しさが満ちるコード展開によるキーボード使いに心もほっとする"Sweet Dreams"、タイトル通り甘美な夢に溺れるリスニング系の曲ではメロウネスが際立っている。最も切なく感傷的な"Angel Reflections"は12分にも及ぶ大作で、もやもやしたシンセや繊細なエレピをロマンチックに聞かせて白昼夢に浸るような微睡んだリスニング曲。リズムは入らずに上モノやメロディーだけで情緒を強め、静けさの中に燻り続ける感情性を生んでいる。そしてリズムマシンによる軽快なヒップ・ホップのビートながらも流麗なキーボード使いや太いシンセベースでファンクらしさもある"Home"、有終の美を飾るジャジーなリズム感に耽美なピアノを重ねた余りにも穏やかな"The End Theme"といった流れで、アルバムは平穏を取り戻すように終わる。ヴィヴィッドな緋色のジャケットから感じられる黄昏時の切なさ、アルバムは正にそんな気分に浸れる穏やかなバレアリック・ムードが通底しており、これは確かにMusic From Memoryらしい音楽だと深く感じさせるのだ。



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| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Mark Barrott & Pete Gooding - La Torre Ibiza Volumen Dos (Hostal La Torre Recordings:HLTR002)
Mark Barrott & Pete Gooding - La Torre Ibiza Volumen Dos
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現行バレアリック最前線、International Feelを束ねるその人こそMark Barrott、そしてPete Goodingと二人でイビサのバレアリックな空気を音像化したのが本作『La Torre Ibiza』シリーズだ。イビサ島にあるホテル「Hostel La Torre」でBGMを担当する前者、同じくイビサにある「Cafe Mambo」でレジデントを担当する後者、そのバレアリック・シーンの中心で活躍する二人だからこそイビサの長閑な雰囲気を伝えるにはこれ以上はないだろう。狂乱にも似たような興奮の坩堝であろうイビサのクラブというイメージはそれは局所的なイメージでしかなく、しかし小さなイビサ島とは言えども平穏で落ち着いた田園地帯もあるわけで、Barrottの示すバレアリックとは正に自然豊かな明るい陽が降り注ぐ開放的なサウンドなのだ。このシリーズは基本的には二人がホテルやカフェでプレイする曲から選曲しているようだが、激しいダンス・ミュージックは皆無でしっとりと肌に寄りそうなラウンジ色が強い。先ずはMusic From Memoryもリイシューを行ったDip In The Poolのクールで洗練されたポップの"On Retinae (East Version)"で開始し、ユニークさもある崩れたビートのディープ・ハウス"Tema Perr Malva"、民族的なソウル・ミュージックと呼ぶべきかアフロな感もある"Diya Gneba"とジャンルとしては全くの統一感無く、しかし平穏な時間帯に浸る事を前提とした選曲。それはバレアリックがジャンルではなく、雰囲気である事を宣言する。 まさかネオアコのThe Duritti Columnの"Otis"まで飛び出すなんて想像だに出来ないが、大空へと響き渡る軽やかなアコギの響きはバレアリックと呼んでも違和感は全くない。中盤のLord Of The Islesの"Expansions"、Tornado Wallaceの"Today"など落ち着いた陶酔感のムードたっぷりな現在形のダンス系もあれば、そしてVangelisによるシネマティックで静かに心に火を灯す"Abraham's Theme"まで情感たっぷりに少しずつ夜の帳が落ちるような雰囲気も。夜とは言っても当然騒ぎ立てるのではなく淑女のような官能が満ち始める闇で、アンビエントで静謐な美しさが光る"Finding"からBarrott自身による新曲である豊かな自然風景も喚起させ開放感溢れる"What About Now ?"まで落ち着いた興奮を呼び起こし、最後は映画「ニキータ」からエキゾチックな響きにニューエイジ風な神聖さも加わった"Learning Time"でうとうとと眠りに落ちていく幕切れ。文章だけでは一見取り留めのない選曲…と思うかもしれないが、これが極上のリラクシング・ミュージックであり、そしてただの部屋をラグジュアリーな雰囲気へと一変させるムード・ミュージックであり、何よりもイビサという街を訪れた事のない人に対してもそこを旅させるような喚起力がある。International Feelを引率するだけあり、非常に説得力のあるコンピレーションだ。



Check "Mark Barrott" & "Pete Gooding"

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| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Gigi Masin For Good Mellows (Suburbia Records:SUCD2002)
Gigi Masin For Good Mellows
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良質な音楽を提供するカフェブームの発端の一つでもある渋谷のCafe Apres-midi。そのオーナーである橋本徹がメロウな音楽にこだわって選曲する『Good Mellows』シリーズは、リスニング性重視しながらも彼の有名なシリーズである『Free Soul』よりも現代のクラブ・ミュージック的でもあり、尚且つ橋本のメロウな音楽への愛情が実直に表現された素晴らしい作品集だ。基本的には作品毎のシーンに合わせて多岐に渡るアーティストの楽曲を収録したコンピレーションではあるのだが、本作は一人のアーティストに焦点を当てたコンピレーションとなっており、それこそ近年再評価著しいアンビエント/音響音楽家であるGigi Masinのメロウな音楽が纏められている。彼が再び日の目を見るようになったのはMusic From Memoryからリリースされたベスト盤の『Talk To The Sea』(過去レビュー)である事は明白だが、ここで橋本はメランコリーなコンセプトを元に更にはMasinが参加しているユニットのGaussian CurveやTempelhofとの共同制作まで幅を広げて、Masinの琴線に触れる音楽性の魅力をあまねく知らせる事に成功している。代表曲である"Clouds"は、滴り落ちるように美しいピアノの響きと静けさの中でか弱く鳴る電子のリフレインが絡み合い、これ以上ない慈愛に包み込むメランコリーな一曲だが、Masinの音楽はそれだけではない。同じくピアノや透明感のある電子音を用いた"Tears Of Clown"は、しかし開放的で晴れ晴れしく、そして祝福を告げるようなトランペットの音色によって天上へと導かれるようだ。Gaussian Curveによって制作された"lmpossible Island"ではユニットらしく音楽性もより豊かで、乾いたドラム・マシンや流麗なギターサウンドに明るめのシンセによって朗らかな情景が描かれ、メランコリーは根底にありつつも懐かしさのある田園風景が目の前に広がるようだ。"My Red Rose"は2016年にリリースされたばかりのアートブック『Plays Hazkara』から選ばれた曲で、つまりは最新のMasinの音楽ではあるのだが、悪い意味ではなくて昔からのMasinの音楽性と大きな変化は無い。繊細でか細いピアノをメインに極力か弱く鳴るドラムマシンやひっそりと装飾する電子音を用い、荒波を立たせる事なく静けさによって感情の起伏を作る作風は、Masinの音響へのこだわりが反映されている。現代のクラブミュージック系のユニットであるTempelhofと共作した"The Dwarf"においても素晴らしい相乗効果を見せており、オレンジ色の朝焼けに遭遇したかのような美しいシンセのレイヤーに耽美なピアノを散らし、自然と郷愁に浸ってしまう感傷的な音楽性を披露している。今までにシリーズを重ねてきて『Good Mellows』、しかしその流れはMasinの音楽こそ最もそのコンセプトを現しているのではと思う程で、その切なさと優しさに満ちた心象風景を有む音の響きは正にメロウの一言。『Good Mellows』と言う言葉通りの嘘偽り無しの世界観に癒される。



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Various - Turn On, Tune In (Lullabies For Insomniacs:LFI 005)
Various - Turn On, Tune In
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2016年にオランダはアムステルダムにて設立されたLullabies For Insomniacsは、ラジオショウやポッドキャストから進化したレーベルで、クラブで機能するダンストラックではなく実験的でアバンギャルドに向かったリスニング向けの音楽性として一貫している。設立から間もないがリリースペースは早く、その動きと呼応するようにレーベルの音楽性を示唆するコンピレーションが早くも今年4月に届けられた。本作にはLullabies For Insomniacsから過去に作品を出したアーティストも含めて7人の作品が収録されているが、確かにどれもこれも一筋縄ではいかないユニークさを持っている。The Magic Carpathiansによる"Thalassa"は悲壮感漂うピアノを軸にエキゾチックなベルの音や不気味な電子音も使用され、クラシックやネオフォークの範囲に収まりそうだが、何処か陰鬱なムードに心は晴れない。
アンビエント的であるのはUnearth Noiseの"Immortality Spell"で、不鮮明な電子音のドローンを用いつつそこにギターらしき音でフリーなソロを被せていくだけの展開のほぼ無い曲だが、普段テクノを聞く耳からは親和性が高い。Sugai Kenの"Bantotenmoku"は過去にリリースされたアルバムに収録された曲だが、フィールド・レコーディングらしき環境音と優しいシンセのリフレインに晴々しいトランペットの音を合わせたアンビエント・ジャズと呼ぶべきか、寺院を思わせるようなスピリチュアル性もあり、日本という国の風土さえも喚起させる世界観がある。同様に風土の音が反映されているのがGeorgiaによる"Mist ∞ Skat"で、NYのチャイナタウンで制作する事が反映されたように中華風なメロディーや打楽器によって長閑な情景が浮かぶリラックスしたリスニング曲。Electroscopeは1996〜2000年に活動していたバンドのようで、本作には1999年作の"December Moods"が収録されている。VCS3シンセサイザーを用いた制作が特徴らしく、霞となって消えそうなボーカルと不安定なシンセの音、そして混沌としたサックスによって退廃的なムードが出現する。年代もジャンルもばらばらではあるので纏まりには欠けたコンピレーションだが、レーベルの実験的な精神を指し示すコンピレーションとして聞く者にそれは正確に伝わるではあろう内容だ。勿論ホームリスニングとしても心地良い時間を約束してくれる。



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