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MATstudio - MATstudio 1 (Melody As Truth:MAT-ss1)
MATstudio - MATstudio 1
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アンビエント/ニュー・エイジの再燃というムーブメントの中で台頭したMelody As Truthは、ギタリストであるJonny Nashが主宰するレーベルで、主にNashとそしてSuzanne Kraftによる作品をリリースする。音の間にある静寂やダンスの狂騒とは真逆の静謐を打ち出したその音楽は美しくも微睡みに落ちるように幻想的で、昨今のニュー・エイジ隆盛の中で現在形を提示している。そしてNashとKraftによるこの新しいプロジェクトである「MATstudio」は、彼等の説明ではMelody As Truthのスタジオにおける即興や実験に偶然の出来事のコラージュした作品との事で、Melody As Truthらしい穏やかな叙情性はあるが即興という事もあって今までの作品よりも随分とエクスペリメンタルな風合いが強い。2曲のみの収録ながらもそれぞれ17分越えの大作だからこそ、その長尺の中で明確な形を見せるのではなく即興セッション的な構成が定型の無い抽象的な音楽となり、静けさが持続しながらもある意味では刺激的な作品だ。ドローン的で不気味なギターの広がりから始まる"In Strange Company He Spoke Softly"はエレクトロニクスも加わるが断片的なパーツを切り貼りしたような展開で、意思が感じられる明確なメロディーではなく単なる音の連なりが気の赴くがままに刻まれる。暫くすると繊細なピアノが美しいメロディーを表現しウッドベースも動きを付けたりと、電子とアコースティックが一つとなりながら聞きやすいアンビエント展開を見せたりもするが、そのパートを過ぎると今度はドラムも入ってきて捻れたような電子音が躍動するエレクトロニカな構成もあったりと、一曲の中で様々な表情を見せるのはやはり即興による自由なプレイだからだろう。"The Land Through Which We Pass"はよりアンビエント的な始まりで、エレクトロニクスのドローンにディレイの効果を被せて音が放射しながら充満し、次第にミニマルな反復の展開からもやもやとしたアブストラクトな音像まで変化し、トリッピーなパーカッションを用いた異国情緒溢れるエキゾチックな終着点へと辿り着く、正にタイトルの如く複数の土地を通過してきたように様々なパートで成り立っている。確かに両曲ともアンビエント/ニュー・エイジという言葉で表現される音楽性ではあるが、単に心地好いだけのそれではなく、枠に当てはまらない偶発性やライブ感を重視した自由度の高さを目指した音楽は、単なるBGMにはならない刺激的な響きがある。こういった音楽のリバイバルが過去の名作掘り起こしに目が向けられる事が多いが、NashとKraftは未来へと視点が向いているアーティストとして好奇心を抱かせる。



Check Jonny Nash & Suzanne Kraft
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Muro - Elegant Funk ~Japanese Edition~ (Victor Entertainment:VICL-65091)
Muro - Elegant Funk ~Japanese Edition~
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おおよそ10年程前の日本のポップスや演歌をネタにしたエディット・ブーム、そして近年のジャパニーズ・アンビエント/ニューエイジの再発見と、何故か日本の中からではなく外の世界から再発見/再評価される日本の音楽。その理由が何であれ兎にも角にも日本人自らが気付かなかった日本の素晴らしい音楽に光が当てられるのは喜ばしい事であるが、その流れに日本のディガーとして世界的にも評価を獲得しているMuroが参戦している。数年前から既に「Elegant Funk」をコンセプトにしたミックスを手掛けていたのだが、これはライナノーツによればDaytonの"The Sound Of Music"に代表されるスタイリッシュなファンクを指しているそうで、ネオンライトの光に包まれた都会的な煌めきや芳香のする音楽という事なのだろう。そんな中で日本の音楽の再評価に合わせてこのJapanese Editionがリリースされたのも当然の流れではあるが、こちらには80年代の日本のポップスやファンクにディスコやブギーといった音楽が収録&ミックスされており、もう一回聞いただけで(当時これらの音楽を知らなかったのに)懐かしさに満たされる内容だ。フュージョン/シティポップで人気の高い佐藤博やカシオペア、演歌歌手の長山洋子、ファンク・バンドのChocolate Lips、シティポップのシンガーの国分友里恵やAOR性の強い岩崎宏美など、その他当方も全く知識を持ちあせていないアーティストが名を連ねており、程好くダンス・グルーヴと心に染みるポップなリスニング性を伴ってスムースな流れのミックスで気持ち良く聞かせてくれる。勿論ミックスはされているものの曲の性質上、テクノやハウス等におけるクラブでの4つ打ちガンガンで持続性というものではなく、あくまで曲自体が主体でそのものの魅力を主張するミックスなので、じっくりと各曲を堪能する事が可能だ。優雅なファンク、それはそれでこの作品から受ける印象は間違っておらず、曲がポップスであろうとフュージョンであろうとアタック感の強い打ち込みキックに透明感や煌めきを感じさせる豪華なシンセの響き、ファンキーなギターカッティングや肉体感あるベースで共通点があり、確かに音自体は古臭い筈なのにそれがださくなく洗練されて聞こえる(それは当時これらの音楽を体験していなかったため、逆に新鮮に感じられるのか?)。賑やかで華々しい雰囲気は勝手なイメージでは80年代のバブルで熱狂する日本のゴージャスな時代感さえもあり、ポジティブで輝きのある音楽は今聞いても眩しい位だ。屈指のディガーにより纏められたバブルな雰囲気を持った音楽、しかしそれは少しも下品ではなく永遠の輝きを放っている。

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Leon Vynehall - DJ-Kicks (!K7 Records:K7377CD)
Leon Vynehall - DJ-Kicks
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ストリーム配信により最新のMIXが無料で聞けるようになった今、敢えてMIXCDをリリースする意義は薄れつつあり、数多くあったMIXCDシリーズも時代と共に消えつつある現在。しかし恐らく現在残っているMIXCDシリーズでは一番古いであろう『DJ-Kicks』シリーズは、テクノ/ハウスに限らない音楽性と多種多様なジャンルからのDJを起用する事で、まんねりを回避しながら時流の音楽も掬い上げてMIXCDの存在感を示している。その新作はUKの新世代の中でも評価の高いLeon Vynehallによるものなのだが、このMIXCDシリーズがコンセプトとしてDJにとって自由でありパーソナル性が強い事を前提としても、このVynehallによるMIXは自由気ままである意味ではミックスというよりはコンピレーション的な雰囲気さえもある。ここではディープ・ハウスのアーティストというイメージはがらっとひっくり返され、幕開けは自身の新曲であるドローン・アンビエントな"Who Loved Before"により静粛な始まり方で、しかしそこからダンスホール・レゲエな"Genie"やノイズ混じりのアバンギャルドな"Giant Bitmap"、そして何と細野晴臣によるカントリー調の気の抜けた"Rose & Beast (薔薇と野獣)"まで幅広い音楽性を見せる事で、ミックススキルに拘るのではなく音楽そのものの表現力を主張しているようだ。ここまでの流れだけを見てもダンスフロアからは離れており何か統一感があるでもなく、本当にDJがかけたい音楽をただかけているという印象だ。ソウルかつファンキーな"Set Me Free"、アンニュイなシンセ・ポップの"August Is An Angel"、破壊的なインダストリアル調の"Moving Forward"、刺激的なエレクトロの"Nuws"など、全く予想もつかなければスムースな流れに乗って踊らされるでもなく、もしかしたら私的なホームリスニングの選曲という事なのだろうか。序盤は少々虚を突かれる展開ながらも、中盤のざっくりブレイク・ビーツとエモーショナルな旋律で一気に雰囲気を塗り替える"Mellow Vibe"以降はダンスフロアへと突入し、IDM調の鋭利なリズムが弾ける"Fushigi"や"Lapis Lazuli B2"、硬質なミニマル・テクノの"Ploy"、幻想を見るようなドリーミーなディープ・ハウスの"Ducee's Drawbar"と踊れるトラックを滑らかに繋いで、一気に高揚感を増してDJMIXらしい展開に一安心。終盤には更に激しくリズムは暴れ出して細かいリズムが刻まれるジャングルの"Unsung Hero Of Irrelevance"、そして余りにもアンビエントな浮遊感が心地好い名作ドラムン・ベース"Deep Rage"等のハイエナジーな時間を通過して、最後はピアノ演奏だけによる優雅ながらも静けさへと回帰する"Music For Piano"によって喧騒の後さえも消し去りMIXは終了する。一般的なMIXCDを想像していると確実に予想や期待は裏切られる、その意味では非常にユニークな内容で、Vynehallによる選曲重視としたアプローチによる音楽性は家で聞くMIXCDのホームリスニング性に適ってもいる。前半のばらばなら音楽性はやや違和感を感じなくもないが、こういった挑戦的なアプローチが『DJ-Kicks』が存続する理由の一つなのかもしれない。



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| ETC4 | 15:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Nightmares On Wax - Back To Mine (Back To Mine:BTMCD001)
Nightmares On Wax - Back To Mine
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普段は真夜中の熱狂的なパーティーでダンスさせる事を目的としてDJが、しかし逆にそんな喧騒から離れてパーソナル性の強いリラクシンな選曲を行う事をコンセプトにした『Back To Mine』シリーズは、1999年から開始して遂に20周年を迎えている。そんなアニバーサリーの作品のセレクターとして選ばれたのはGeorge Evelyn率いるNightmares On Wax。常に革新的であり続けるWarp RecordsというレーベルにおいてAutechreと並ぶ最古参の一人であるが、AutechreがWarpという音楽性を象徴するように常に変革と進化を繰り返すユニットなのに対し、このNightmares On Waxはスローライフを地で行く仙人か。この『Back To Mine』に対しても敢えてリスニング系を…というプレイではなく普段通りの選曲がそのままはまってしまう存在で、デビューから一貫してレゲエやダブの要素も兼ねるダウンテンポを軸にした音楽性だからこそ、このシリーズのアニバーサリーに抜擢されたのも納得だ。勿論変革の少ないアーティストだからといって懐古的な音楽性という事でもなく、ダウンテンポを徹底して追求しながらもここ数年にリリースされた作品を中心にミックスしており、最新の音楽の中から彼の包容力とメロウネスに叶う選曲によってNightmares On Waxの世界観を作り上げている。アルバムはUKマンチェスターの若手デュオであるChildren Of Zeusによるねっとりしたヒップ・ホップのビートとニューソウル風なメロウな歌による"Fear Of A Flat Planet"で始まり、Ladi6によるざっくりリズミカルなヒップ・ホップのトラックに甘く誘うような歌にしっとりするソウルフルな"Ikarus"、Creative Principleの優美なシンセ使いでジャジーな感もあるリズムで魅了する"Caught In The Middle"と、序盤は想定通りで正にこれぞダウンテンポという流れ。Bosqのアフロ/ラテンの感覚もあるディスコ・サウンドな"Step Into Midnight"からややグルーヴは強くなり、エレクトロニックなディスコトラックに妖艶な歌によって官能性を増すDim Zachの"Innocence"、アシッド・ベースが現れながらもメロウなジャズ・コードや優雅なストリングスがエモーショナル性を発揮するChieftainの"Out Of My Life"など、ここら辺の流れは上げ過ぎる事ないながらも明確に4つ打ちのダンスの時間。そしてSoulphictionの繊細なエレピとスモーキーな響きから黒さ溢れるディープ・ハウス"Gotta Have It"、力強いキックを刻みながら美しいコード展開や華々しいシンセに彩られるメロウネス全開の"Russia (Nightmares On Wax Remix)"と、終盤は完全にハウス・ミュージックに満たされる。余りにも素直で分かり易い展開に対し驚きを感じる事は全くないが、そもそもリラックスする事が前提なMIXCDシリーズであり、そのNightmares On Waxの音楽性自体がメロウでソウルフルなダウンテンポなのだから、これ以外の正解は無い位に的確にコンセプトに沿った作品になっている。ダウンテンポ好きにとっては長年愛すべき音楽になるのは当然として、落ち着けるBGMが欲しい人にとっても幅広く訴求する選曲で、期待通りのNightmares On Wax節で素晴らしい。なお、CDでは2枚組とミックスされていないディスクも収録されているので、DJにも便利な仕様になっている。



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| ETC4 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Cass. - Postclub Prism (Into The Light Records:ITLIntl01)
Cass. - Postclub Prism
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ニュー・エイジやアンビエントといった音楽の再興が盛り上がる電子音楽のシーンにおいて、それを語る場合において欠かす事の出来ないレーベルは複数あるが、2012年にギリシャで設立されたInto The Light Recordsもその一つだ。活動の当初はダンスかリスニングか、エレクトロニックかオーガニックかにこだわらずにギリシャの埋もれた秘蔵音源の発掘に力を入れてVangelis Katsoulisを始めとしてAngelo Ioakimoglu(過去レビュー)やAkis(過去レビュー)といった過去のアーティストの秘蔵音源のコンパイルを中心としていたが、そこから遂に過去音源ではなく新しい音楽を世界へとリリースすべく新しいカタログナンバーも付けたシリーズを開始したが、その第一弾が本作だ。手掛けているのはドイツ人であるNiklas Rehme-SchluterことCass.で、まだ27歳位と比較的若手の世代ではあるが既にInternational FeelやEmotional Responseといった著名なレーベルから電子とオーガニックの響きが共存したバレアリックな音楽をリリースしており、注目を集め始めている存在だ。そして本作によってその評価は決定的となるに違いない。光とロマンスをテーマにした本作は、プリズムが伸びる美しいジャケットのように音もクリスタルの煌めきのような電子音が用いられており、ノンビートの"1000 Superdolphins"では透明感のある電子音響の中から陽炎のようなギターも切なく湧き上がりぼんやりとしながらも情緒に溢れている。続く"The Diary"ではミニマルなシンセのリフに繊細ながらも多層にシンセやギターが被さりながら、ドローン色の強い夢現なアンビエントを展開する。"Leaving"ではスローながらもジャジーで生っぽいリズムも入ってくるが、それよりも悲哀に満ちたシンセは咽び泣くように感情を吐き出す点に耳は惹かれ、現実と夢の世界の狭間を夢遊する。ぼんやり抽象的な濃霧のアンビエント層が広がる"Painful Love In 96Khz"は、ただただ意味もなくふんわりとしたシンセのレイヤーが牧歌的な雰囲気を作り上げており、心を空っぽにしてその幻夢の世界に浸れる事が出来るだろう。そしてノイズにも近いサイケデリックなドローンが続くインタールードの"Chromakey Interlude"を通過した後には、切ないストリングスや幸福感のある朗らかなシンセが絡み合って可憐に彩る"Be My Blessing And My Lesson"によって何処までも緑の草原が広がる牧歌的なムードに包まれて、現実の時を忘れてゆっくりとした時間軸の中に逃避する事だろう。基本的にはビート無しのアンビエント/ニュー・エイジで統一されており、淡い色彩が正にプリズムの様に広がる幻想的で美しいサウンドがドリーミーで、汚れの無いピュアな感覚が素直に伝わってくる。2018年のレビューには間に合わなかったものの、本来はその年のベストにも推したかった程に素晴らしい。



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| ETC4 | 20:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Musica Esporadica (Nigra Sintezilo Rekord:NSR-24)
Musica Esporadica
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アンビエントやニュー・エイジの再考/再興が著しい電子音楽のシーンにおいて、神秘的でありながら深い叙情性によって心に染み入る音楽を制作するSuso Saizはそのムーブメントを本人が意図せずとも結果的に牽引しているアーティストの一人だ。その為新作のリリースのみならず過去の作品も積極的に再発や編纂されており、その流れの一環になるのがMusica Esporadica名義では唯一の作品である本作だ。リリースされた1985年当時はSaizは歌手のMaria VillaとパーカッショニストのPedro Estevanと共にOrquesta De Las Nubesというバンドを組んでおり(2018年に『The Order Of Change』(過去レビュー)というコンピレーションがMusic From Memoryより発売されている)、更にそれが発展してより辺境音楽らしい神秘性にミニマルの性質等も取り込んだプロジェクトがこのMusica Esporadicaだ。前述の3人に加え、フレームドラム奏者のGlen VelezとLayne Redmond、そしてスペインのギタリストであるMiguel Herreroが加わったこのプロジェクト、結果的には本作のみしか歴史に残す事は出来なかったがたった一枚の作品だからこそ現代という時代の中でより強い視線を向けられる事にもなっている。コンガやカリンバの民族的であり軽く爽快に広がるパーカッションが心地好い"Musica Esporadica"、SaizやHerreroによる繊細で掴みどころのない神秘性を生む透明感のあるギターや電子音響が浮遊しながら、そこに祈りを捧げるような声も加わってひたすら静かに漂流する如く12分にも渡ってアンビエントの海を漂う。"I Forgot The Shirts"ではマリンバとギターの音階やミニマル性は現代音楽のミニマル、もっと言えばSteve Reichを強く思い起こさせる作風で、囁くような声も歌というよりはミニマル性を強めるリズム的に用いられており、繰り返しという構成ながらも少しずつ変化を行い実に豊潤な響きを生み出している。再び"Meciendo El Engano"は静けさが支配するニュー・エイジ色の強い曲で、どんよりとしたフレームドラムが薄っすらとリズムを刻む中で、そこに線の細い浮遊感あるギターや透明感のある綺麗な電子音、可愛らしいヴィブラフォンがゆったりと絡み合い溶けていくようで、穏やかな空気がゆっくりと満ち溢れて安堵する。そしてどこか古代的な感覚もあるドラムのリズムに肉体性なり生命力を感じる"Combustion Interna"、そこにマリンバのミニマルな音階が動きを作り電子音が豊かな色付けを行っていくこの曲は、現代音楽のミニマルに影響を受けながらもバレアリックな雰囲気もあり心も自然と弾む。僅か4曲だけではあるがそこにはミニマルに民族音楽、アンビエントやニュー・エイジといった要素が含まれており、それらが一体となった霊性サウンドは正にSaizの音楽そのもの。プロデュースはSaizなのだからそれも当然で、実質Saizの作品と呼んでも過言はない名作だ。



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Grandbrothers - Open (City Slang:SLANG50126)
Grandbrothers - Open
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2014年のデビュー作である『Ezra EP』(過去レビュー)はGilles Petersonを含む多くのDJに絶賛され、一躍時の人となったGrandbrothers。Erol SarpとLukas Vogelから成るこのデュオはリズミカルなプリペアド・ピアノとクラブ・ミュージック的なプログラミングを武器に、現代音楽やモダン・クラシックを咀嚼したハウス・ミュージック性のある音楽で注目を集めたが、その後のアルバムではそういったクラブ・ミュージック性を排除してよりクラシックな作風へと向かっていた。そして待望の2017年リリースのこの2ndアルバムもやはりというか前作の流れを引き継いで、打楽器的なプリペアド・ピアノや繊細な美しさの光るグランド・ピアノの音色を軸に、前作以上に静けさの間が際立つリスニング志向となっている。アルバムはプログラミングによる打撃音とプリペアド・ピアノの打撃音で幕を開ける"1202"で始まり、早速音の数を絞りながらも重厚感のあるグランド・ピアノが壮大さを演出し、これからのストーリの大きさを予感させるような雰囲気だ。バックにパーカッションが硬いリズムを刻む"Bloodflow"はややエレクトロニカ風でもあるが、ピアノのコードやメロディが重層的に被さってくると途端に悲哀が漂うミニマル性もあるクラシックな響きへと変貌する。"Long Forgotten Future"は比較的電子音が強く現れた曲で、ピアノが連打されながらも引っかかりのあるキックやパーカッションはダンスビートに近く、控えめながらも鈍い電子音が唸っていてピアノの美しさをより際立たせている。その一方で"Honey"ではリズム的なプリペアド・ピアノとメロディー的なグランド・ピアノを対比的に用い、"Alice"では両者が調和するようにそれぞれを異なるメロディーで被せて、ピアノのオーガニックな美しさを印象に刻ませる。アルバムは恐らく多くのファンが期待している通りの、つまりは1stアルバムの延長線上にあるピアノを軸にクラシックや現代音楽にアンビエントといった成分を含んだ音楽であり、ある意味では安心感を覚える。がしかし、1stアルバムの時にも感じたように彼らの音楽は個性的が故に完全に形成されてしまっているため、これから進化する先があるのだろうかという懸念を感じないわけでもない。



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| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Kode9 & Burial - Fabriclive 100 (Fabric:fabric200)
Kode9 & Burial - Fabriclive 100
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ロンドンのクラブ兼レコードレーベルであるFabricが2001年から長きに渡り送り出してきた4つ打ち中心のFabric、そしてブレイク・ビーツ等を中心にしたFabricliveというMIXCDシリーズも、それぞれ丁度100作目をもって完結した。20年近くにも及ぶこれらの作品はクラブ・ミュージックのこの20年の歴史を体験出来ると言っても過言ではないが、その最後の作品もリリース前から話題沸騰。というのもベース・ミュージックやダブ・ステップのパイオニアでもあるKode9、そしてそのミステリアスな存在もあって特別な存在感を放つBurialがDJを担当しているのだから、普段この方面に馴染みの無い人達にとっても興味を惹かれるのは極自然な事だ。特にBurialにとっては販売されるMIXCDとしては初の作品であり、また普段DJを披露する事も無いわけだから、その意味でも非常に特別な作品である。そしてその音楽はある意味では愉快痛快、また一方では支離滅裂で、ダブ・ステップからドラムン・ベースにグライムやジューク、テクノからアシッドにハードコアからエレクトロなどを用い、ジャンルの壁を壊しながら縦横無尽に暴れまくる展開はFabricliveというシリーズを総括しているようでもある。正直二人がどの選曲を担当しどのようにミックスしたのかという事は伝わってこないが、持続性を無視した変幻自在で激しいビートの変遷がただただ衝動的に体を突き動かし、しかし陰鬱でダークな世界観の中にはひっそりとメランコリーが紛れ込んでいる。ちらほらと微細なノイズも聞こえるのはいかにもBurialらしい演出で現実が霞んで消え行くような感覚も覚えるが、獰猛に切り込んでくるレイヴ全開な激しいビートに目を覚ませられ、猥雑とした音楽観を目の前にすれば踊らずにはいられないだろう。特に中盤のレイヴを象徴するハードコア・ジャングル・クラシックの"Drug Me"からどぎついアシッド・トランスの"Black Acid"へと繋がる快楽的なハイエナジーの瞬間は、このMIXCDの中でも最も印象に残る場面だ。半ば理性的な展開も無視した圧倒的な勢いの最後には、何も残らない焼け野原が広がっているようでもあるが、それはFabricシリーズの終焉を迎えた事を示唆する如くでもある。個人的な思いではこのMIXCDを聞いた上で彼らがDJとして来日したとしても恐らく聞きに行く事はない。というのもやはり展開が唐突過ぎてテクノやハウスの永続的に続くグルーヴを感じられないからではあるが、しかしまあ長く続いたMIXCDシリーズの最後に花火を打ち上げる的な派手な作品としては面白いと思う。



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| ETC4 | 11:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Fabrizio Fattori - Mediterranean Africa (Best Record:BST-X052)
Fabrizio Fattori - Mediterranean Africa
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ダンス・ミュージックの界隈にて盛り上がるバレアリックなムーブメントは、それは現代に生まれた新しい音のみならず時代から忘れ去られた過去の音楽の掘り起こしにまで及び、そのおかげもあって当方のように過去の作品に対し造詣が無い者にとっては新たなる出会いが多いこの頃。本作もそんなリイシューの一つで、Fabrizio Fattoriによる1985年作である『Baraonda』と『Appunti D'Africa』からの再収録に加え、更には未発表曲も収録した最初期作品のコンピレーション的なアルバムだ。Fattoriは80年代から活動するイタリアのプロデューサーかつDJで、アフロからコズミックにイタロ・ディスコやファンキー・ハウスまで手掛けていたようだが、特に日本においては知名度も無いようで当方も含めて本作で初めて存在を知る人も多いかもしれない。しかし今まで知らなかった事がもったいない位に音楽自体は素晴らしく、先ず未発表曲の"Running On The Nile"は打ち込み系のディスコ・ファンクといった趣きで、どたどたといなたいリズムマシンがビートを刻んでいるものの快楽的なイタロなベースラインに甘いシンセやピアノの音色が絡んで、古い時代の空気感ながらもねっとり絡み付くような人情味溢れるダンス・トラックからして魅力的だ。対して"Leg Pulling"は安っぽいスラップ・ベースや雄叫びのような歌も相まってアフロ・ファンク化しているが、ブラス系の音色やまろやかなシンセの響きなど彩りの良い装飾によって今で言うバレアリック感も湧き出ている。メランコリーなピアノと木琴らしきリフが印象的な"Babe Black"は、そこから熱き感情が猛るサックスやブイブイとしたシンセベースも加わり非常に情熱的なディスコだが、その別バージョンとなる"Babe Black (Night Version)"ではリズムは抜かれる事でメロディアスな面が際立ってドリーミーなインストになっている。もう一つの未発表曲である"Bara-Hum-Ba"も奇妙な歌や生々しい土着的なパーカッションがアフロ感を生むディスコだが、エレガントなピアノのコードや熱いサックスや笛など色々なメロディーがかわるがわる出てきて、レトロな空気が溢れるマシン・ファンクでもある。最後の"Babihe"はエキゾチック感溢れるパーカッション使いながらも、爽快なギターや透明感溢れるギターに清々しい歌の効果もあって青空広がる海岸沿いをドライブするようなトロピカル感に満たされており、現在のバレアリックに合わせても違和感は無いだろう。音自体は流石に時代感が強く安っぽいシンセ・ファンクやイタロ・ディスコといった印象は残るものの、それでも尚心に沁みるメロディーセンスの良さや解放的なバレアリックなムードは素晴らしく、時が経っても色褪せない魅力がここにある。



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Jon Hassell - Listening To Pictures (Pentimento Volume One) (Ndeya:NDEYA1CD)
Jon Hassell - Listening To Pictures (Pentimento Volume One)
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幾つになっても枯れない意欲と才能があれば素晴らしい音楽は生み出せる、そんな事を成し遂げた分かりやすい一例が本作。81歳という高齢のJon Hassellはトランペッターかつコンポーザーであり、Terry Rileyらの現代音楽やミニマル・ミュージックに影響を受けつつインド古典音楽にも傾倒し、古典と未来を繋ぐ試みを行う事になる。それが結実したのが電子音楽を嗜む方面からは有名なBrian Enoとの共作である1980年の『第四世界』で、今でこそ珍しくないアコースティックと電子的トリートメントの融合による何処でもない民族的音楽と呼ぶべきアンビエント・ミュージックを成し遂げていた。その後の長いキャリアについては割愛させて頂くが様々なアーティストとのコラボーレーションも含め活動は継続しており、そしてECMからの2009年作である『Last Night The Moon Came Dropping Its Clothes In The Street』がそれまでの最新作であった。それから9年、その間に電子音楽の界隈ではアンビエント・ミュージックやニュー・エイジの再考と再評価のサイクルへと突入し、今その音楽は再度春を迎えている。そんなタイミングに丁度良く完成した本作は現在のトレンドにもなっているアンビエント・ミュージックの中に自然と溶け込む存在感があり、恐らくHassell自身は最近の音楽を意識したわけでもないだろうから、つまりは時代がHassellに追いついたという事なのだろうか。始まりの"Dreaming"こそ幻想的なシンセのコードラインにぼんやりとしたトランペットが溶け込む正に夢のアンビエントだが、敢えて生音を強調する事もなく電子音楽の質感に寄らせ、アブストラクトさもある現代アンビエントを展開。しかし次の"Picnic"からは特異性が現れ、チョップしたようなIDMらしきリズムや振動するシンセが躍動し、またピアノやベースにドラム等の生演奏も加わってはいるが、やはり全体像は電子音響に染められてメランコリーながらもぼやけた世界に沈み込む。繊細な電子音の上モノが美しくループも用いてミニマルでもある"Slipstream"は、しかしダビーなパーカッションやHassellによる酩酊したトランペットはエキゾチックな匂いを誘発し、古典音楽からの影響が強く表現されている。"Al-Kongo Udu"もタブラらしきパーカッションが心地好いリズムを刻むエキゾチック色濃い曲で、そのリズムのループとパルスのような電子音の持続によって刺激的な催眠効果が発するが、中盤以降のコラージュらしき電子音響に変容する展開に最新のエレクトロニック・ミュージックとの親和性を見つける事が出来る。アルバムはアンビエントでありながらもリズムへのこだわりも強く、"Ndeya"ではパンチの効いたキックやノイズのような電子音が変則的なリズムを刻み、そこに奇怪なバイオリンやトランペットもメロディーとしてというよりはムードとして存在するように鳴りながら、刺激と穏やかさが同居したアンビエントを奏でている。スリリングな電子音や幽玄なアコースティックな響きに生命の胎動のようなリズム、それらが一つとなったエクスペリメンタルかつアンビエントな音楽は、本当に81歳の人が作ったのかと疑う程に現在の電子音楽のシーンの中に違和感無く存在する。2018年のレビューには間に合わなかったが、年間ベストに入れたかった傑作の一枚だ。



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