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FRKWYS Vol.15: serenitatem
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Kode9 & Burial - Fabriclive 100 (Fabric:fabric200)
Kode9 & Burial - Fabriclive 100
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ロンドンのクラブ兼レコードレーベルであるFabricが2001年から長きに渡り送り出してきた4つ打ち中心のFabric、そしてブレイク・ビーツ等を中心にしたFabricliveというMIXCDシリーズも、それぞれ丁度100作目をもって完結した。20年近くにも及ぶこれらの作品はクラブ・ミュージックのこの20年の歴史を体験出来ると言っても過言ではないが、その最後の作品もリリース前から話題沸騰。というのもベース・ミュージックやダブ・ステップのパイオニアでもあるKode9、そしてそのミステリアスな存在もあって特別な存在感を放つBurialがDJを担当しているのだから、普段この方面に馴染みの無い人達にとっても興味を惹かれるのは極自然な事だ。特にBurialにとっては販売されるMIXCDとしては初の作品であり、また普段DJを披露する事も無いわけだから、その意味でも非常に特別な作品である。そしてその音楽はある意味では愉快痛快、また一方では支離滅裂で、ダブ・ステップからドラムン・ベースにグライムやジューク、テクノからアシッドにハードコアからエレクトロなどを用い、ジャンルの壁を壊しながら縦横無尽に暴れまくる展開はFabricliveというシリーズを総括しているようでもある。正直二人がどの選曲を担当しどのようにミックスしたのかという事は伝わってこないが、持続性を無視した変幻自在で激しいビートの変遷がただただ衝動的に体を突き動かし、しかし陰鬱でダークな世界観の中にはひっそりとメランコリーが紛れ込んでいる。ちらほらと微細なノイズも聞こえるのはいかにもBurialらしい演出で現実が霞んで消え行くような感覚も覚えるが、獰猛に切り込んでくるレイヴ全開な激しいビートに目を覚ませられ、猥雑とした音楽観を目の前にすれば踊らずにはいられないだろう。特に中盤のレイヴを象徴するハードコア・ジャングル・クラシックの"Drug Me"からどぎついアシッド・トランスの"Black Acid"へと繋がる快楽的なハイエナジーの瞬間は、このMIXCDの中でも最も印象に残る場面だ。半ば理性的な展開も無視した圧倒的な勢いの最後には、何も残らない焼け野原が広がっているようでもあるが、それはFabricシリーズの終焉を迎えた事を示唆する如くでもある。個人的な思いではこのMIXCDを聞いた上で彼らがDJとして来日したとしても恐らく聞きに行く事はない。というのもやはり展開が唐突過ぎてテクノやハウスの永続的に続くグルーヴを感じられないからではあるが、しかしまあ長く続いたMIXCDシリーズの最後に花火を打ち上げる的な派手な作品としては面白いと思う。



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| ETC4 | 11:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Fabrizio Fattori - Mediterranean Africa (Best Record:BST-X052)
Fabrizio Fattori - Mediterranean Africa
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ダンス・ミュージックの界隈にて盛り上がるバレアリックなムーブメントは、それは現代に生まれた新しい音のみならず時代から忘れ去られた過去の音楽の掘り起こしにまで及び、そのおかげもあって当方のように過去の作品に対し造詣が無い者にとっては新たなる出会いが多いこの頃。本作もそんなリイシューの一つで、Fabrizio Fattoriによる1985年作である『Baraonda』と『Appunti D'Africa』からの再収録に加え、更には未発表曲も収録した最初期作品のコンピレーション的なアルバムだ。Fattoriは80年代から活動するイタリアのプロデューサーかつDJで、アフロからコズミックにイタロ・ディスコやファンキー・ハウスまで手掛けていたようだが、特に日本においては知名度も無いようで当方も含めて本作で初めて存在を知る人も多いかもしれない。しかし今まで知らなかった事がもったいない位に音楽自体は素晴らしく、先ず未発表曲の"Running On The Nile"は打ち込み系のディスコ・ファンクといった趣きで、どたどたといなたいリズムマシンがビートを刻んでいるものの快楽的なイタロなベースラインに甘いシンセやピアノの音色が絡んで、古い時代の空気感ながらもねっとり絡み付くような人情味溢れるダンス・トラックからして魅力的だ。対して"Leg Pulling"は安っぽいスラップ・ベースや雄叫びのような歌も相まってアフロ・ファンク化しているが、ブラス系の音色やまろやかなシンセの響きなど彩りの良い装飾によって今で言うバレアリック感も湧き出ている。メランコリーなピアノと木琴らしきリフが印象的な"Babe Black"は、そこから熱き感情が猛るサックスやブイブイとしたシンセベースも加わり非常に情熱的なディスコだが、その別バージョンとなる"Babe Black (Night Version)"ではリズムは抜かれる事でメロディアスな面が際立ってドリーミーなインストになっている。もう一つの未発表曲である"Bara-Hum-Ba"も奇妙な歌や生々しい土着的なパーカッションがアフロ感を生むディスコだが、エレガントなピアノのコードや熱いサックスや笛など色々なメロディーがかわるがわる出てきて、レトロな空気が溢れるマシン・ファンクでもある。最後の"Babihe"はエキゾチック感溢れるパーカッション使いながらも、爽快なギターや透明感溢れるギターに清々しい歌の効果もあって青空広がる海岸沿いをドライブするようなトロピカル感に満たされており、現在のバレアリックに合わせても違和感は無いだろう。音自体は流石に時代感が強く安っぽいシンセ・ファンクやイタロ・ディスコといった印象は残るものの、それでも尚心に沁みるメロディーセンスの良さや解放的なバレアリックなムードは素晴らしく、時が経っても色褪せない魅力がここにある。



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| ETC4 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jon Hassell - Listening To Pictures (Pentimento Volume One) (Ndeya:NDEYA1CD)
Jon Hassell - Listening To Pictures (Pentimento Volume One)
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幾つになっても枯れない意欲と才能があれば素晴らしい音楽は生み出せる、そんな事を成し遂げた分かりやすい一例が本作。81歳という高齢のJon Hassellはトランペッターかつコンポーザーであり、Terry Rileyらの現代音楽やミニマル・ミュージックに影響を受けつつインド古典音楽にも傾倒し、古典と未来を繋ぐ試みを行う事になる。それが結実したのが電子音楽を嗜む方面からは有名なBrian Enoとの共作である1980年の『第四世界』で、今でこそ珍しくないアコースティックと電子的トリートメントの融合による何処でもない民族的音楽と呼ぶべきアンビエント・ミュージックを成し遂げていた。その後の長いキャリアについては割愛させて頂くが様々なアーティストとのコラボーレーションも含め活動は継続しており、そしてECMからの2009年作である『Last Night The Moon Came Dropping Its Clothes In The Street』がそれまでの最新作であった。それから9年、その間に電子音楽の界隈ではアンビエント・ミュージックやニュー・エイジの再考と再評価のサイクルへと突入し、今その音楽は再度春を迎えている。そんなタイミングに丁度良く完成した本作は現在のトレンドにもなっているアンビエント・ミュージックの中に自然と溶け込む存在感があり、恐らくHassell自身は最近の音楽を意識したわけでもないだろうから、つまりは時代がHassellに追いついたという事なのだろうか。始まりの"Dreaming"こそ幻想的なシンセのコードラインにぼんやりとしたトランペットが溶け込む正に夢のアンビエントだが、敢えて生音を強調する事もなく電子音楽の質感に寄らせ、アブストラクトさもある現代アンビエントを展開。しかし次の"Picnic"からは特異性が現れ、チョップしたようなIDMらしきリズムや振動するシンセが躍動し、またピアノやベースにドラム等の生演奏も加わってはいるが、やはり全体像は電子音響に染められてメランコリーながらもぼやけた世界に沈み込む。繊細な電子音の上モノが美しくループも用いてミニマルでもある"Slipstream"は、しかしダビーなパーカッションやHassellによる酩酊したトランペットはエキゾチックな匂いを誘発し、古典音楽からの影響が強く表現されている。"Al-Kongo Udu"もタブラらしきパーカッションが心地好いリズムを刻むエキゾチック色濃い曲で、そのリズムのループとパルスのような電子音の持続によって刺激的な催眠効果が発するが、中盤以降のコラージュらしき電子音響に変容する展開に最新のエレクトロニック・ミュージックとの親和性を見つける事が出来る。アルバムはアンビエントでありながらもリズムへのこだわりも強く、"Ndeya"ではパンチの効いたキックやノイズのような電子音が変則的なリズムを刻み、そこに奇怪なバイオリンやトランペットもメロディーとしてというよりはムードとして存在するように鳴りながら、刺激と穏やかさが同居したアンビエントを奏でている。スリリングな電子音や幽玄なアコースティックな響きに生命の胎動のようなリズム、それらが一つとなったエクスペリメンタルかつアンビエントな音楽は、本当に81歳の人が作ったのかと疑う程に現在の電子音楽のシーンの中に違和感無く存在する。2018年のレビューには間に合わなかったが、年間ベストに入れたかった傑作の一枚だ。



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| ETC4 | 22:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Max Essa - Themes From The Hood, The Cad & The Lovely (Deconstructed By Balearic Demand) (Hell Yeah Recordings:HYR7183)
Max Essa - Themes From The Hood, The Cad & The Lovely (Deconstructed By Balearic Demand)
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イタリアから現行バレアリックを先導するHell Yeah Recordings、そこから2017年にリリースされたMax Essaによる『Themes From The Hood, The Cad & The Lovely EP』はレーベルオーナーのMarco Peedooをして「これまでにリリースした中でも最もバレアリックなレコード」と言わしめた作品だ。英国生まれ日本在住のEssaはBear FunkやIs It Balearic?からも作品をリリースするなど、現在のバレアリック隆盛以前からその音楽性をハウスに取り込んで開拓してきたアーティストで、特にここ数年はその音楽性は豊潤さを増している。その決定打とも呼べる作品が前述のEPなのだが、そこから更に「バレアリックな需要に合わせて解体された」という作品が本作だ。元々は12分にも及ぶ「Themes From The Hood, The Cad & The Lovely」がここでは4つへのパートで計17分への作品へと生まれ変わっており、曲そのものは殆ど変わっていないものの曲を分割する事でバレアリック向けのDJに使いやすいように編集したというところか。ベルや笛に弦楽器らしき音などを用いてどこか和のスピリチュアル感もある始まり方の"Setting Sail"、重厚で美しいシンセストリングスも入ってきて深い瞑想を誘うニュー・エイジ/アンビエントなスタイルのパートで、終盤では繊細ながらも悲哀のムードを注ぐピアノが感傷的だ。そこに続く"Gold Hush (Part 1)"で軽くビートも入ってきて視界も開けたように清々しくクリアなバレアリック性が湧き出し、大海原をヨットに乗ってクルージングするような大らかで爽やかな世界へと出航する。"Dance Indigo"はおそらくニューパートだと思われるが、前のパートの雰囲気を引き継いだダウンテンポで、透明感のあるパッドやディレイするシンセで空間の広がりを作りながら、微かにしっとり切ないピアノの用いて叙情をもたらす。そして最後の"Gold Hush (Part 2)"で清らかでメロウなピアノのコード展開を続けながらまた静けさが漂う凪の状態へと戻りながら終息するなど、4つのパードで構成された組曲は薫風がそよぎ燦々と太陽の光が降り注ぐ大海原やビーチを思い起こさせる真夏のバレアリック・ミュージック。これからの季節にもぴったりなスローモーバレアリック、季節感があって実に素晴らしい。



Check Max Essa
| ETC4 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Shelter - Profondeur 4000 (Growing Bin Records:GBR016)
Shelter - Profondeur 4000
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2018年も絶好調だったGrowing Bin Records、ダンス・ミュージックの枠に収まらずにオーナーの音楽観に適ったものであればジャンルに関係なく取り上げられるが、特に昨今のニュー・エイジやアンビエントの再燃の中でこそこのレーベルは輝きを取り分け放っていると感じられる。2018年には幾つか素晴らしい作品がこのレーベルからリリースされていたが本作もその中の一枚であり、手掛けているのは過去にはInternational FeelやIs It Balearic?傘下のUber等からリリースをしているパリジャンのAlan BriandことShelter。これまでの作品ではエキゾチックやカリビアンな雰囲気を軸に生音も用いながら緩く開放的なバレアリック・サウンドを展開していたが、このニューアルバムもバレアリックという方向性は変わらないものの1960年代のフランスの短編映画にインスパイされたとの事で、何処かサウンド・トラック的でもある。ハープの深い残響から始まる"Variation Abyssale (Part 1)"はビートも無く静謐さの中に美しさが持続するアンビエントで、続く"Immersion"は神聖なシンセのレイヤーに繊細で民族的なパーカッションも加わりながら荘厳さもあるニュー・エイジ風と、以前の作風に比べると随分と慎ましい。"La Vie à L'Ombre"も音の数は制限され空間の静けさが際立ち、そこに点描のように描かれる電子音のメロディーや管楽器やピアノらしき音を微かに用いて、映画の一場面のようなBGM感覚が強い。と思いきや一定間隔のシンセのディレイが多幸感を生む"Plenitude Azotee"は極楽浄土へ向かうドリーミーなアンビエントで、その意味を含まない音の心地好さは無垢そのものだ。"Dans La Jungle De Varech"では不思議なシンセの鳴りにかつてのジャーマン・プログレを思い起こす点もあり、しかし生命力が息衝いているかのようなエキゾチック感もある世界観は過去の作品とも共振する。そして無重力空間に放り出されるフローティングなシンセが特徴の"Fumeurs Noirs"、ぼやけたアンビエントの中に時折スピリチュアルな打楽器や鈍い電子音が現れ、快楽的ながらも聞き流す事を許さないぐっと意識を掴む個性がある。アルバムは過去の単純明快なエキゾチックやトロピカルなバレアリック性に比べると随分と観念的でエクスペリメンタルなニュー・エイジ色が打ち出されているが、そういった音楽だからこそ自由度の高いGrowing Binからリリースされたのも納得であり、昨今のニュー・エイジの流行りの中でもユニークな個性を確立させている。



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| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Motohiko Hamase - Reminiscence (Studio Mule:studio mule 10)
Motohiko Hamase - Reminiscence
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アンビエントやニューエイジの再評価、そして7〜80年代の日本の音楽の再発掘、ここ数年のこの動きは最早一種のムーブメントであるのは間違いなく、そんな動きに追随するのはダンス・ミュージックの業界において日本から世界へと羽ばたいたMule Musiqだ。別ラインとして立ち上がったStudio Muleはダンスに拘らずに制約から解放され、その動きは現時点では和モノへと向かっているようで、2018年にはジャズ・ベース奏者である濱瀬元彦の『Intaglio』(過去レビュー)をリメイクという形で復刻させている。それから間髪入れずにリメイクされたのが本作『Reminiscence』で、こちらは1986年にリリースされた濱瀬の初のソロアルバムだ。本作も『Intaglio』と同様に諸般の事情により本人によって新たに再レコーディングとなっているが、一般的なジャズという音楽から想像される音楽そのものではなく、エレクトロニクスも大幅に導入しながら現代音楽のミニマル性やアジアのエキゾチックな雰囲気、勿論濱瀬の武器でもあるフレットレス・ベースのジャズ性もあり、もし何かの言葉で述べるとすればアンビエント・ジャズという事になるのだろうか。木琴系のミニマルなフレーズがパーカッションが先導する"Childhood"はその構成が現代音楽的な要素があり、そこにオーケストラも加わるとクラシックにも聞こえ、咽び泣くような感情的なベースやしみじみとした笛の音色も渾然一体となり、幕開けから非常にドラマチックに展開する。"Intermezzo"も高速に連打されるマリンバのミニマルなフレーズが耳に付くが、静かに躍動するフレットレス・ベースはジャズのスウィング感があり、エキゾチックな軽く響くパーカッションの連打も加わって後半に向かって徐々に盛り上がっていく流れはミニマル性が活かされている。もう少しジャズの要素が感じられるのは"Tree"だろうか、繊細で優美なピアノのメロディーや朴訥とした笛の音色、そして自由に踊るベースラインはエモーショナルなのだが、そこに民族系のメタル・パーカッションや壮大なオーケストラも入ってくるのは最早ジャンルの形容がし難く面白い。"Na Mo Che"では打楽器や木管系の笛も用いて、メロディーというよりはリズム的に用いる事でビートは入っていないものの疾走するリズム感を生んでおり、Steve Reichを思い起こさせる世界観もあるのはやはりコンテンポラリー・ミュージックや現代音楽としての要素も含んでいる。ただどの曲にしても濱瀬によるフレットレス・ベースはリズムとなるための単なるベースラインではなく、これが曲の印象を作っていくメロディーの一つとして存在している事で、それがジャズの雰囲気を醸している事もありベース奏者らしい音楽性も十分にある。こんなユニークな音楽が80年代の日本にあった事は驚きだが、廃盤になった憂う状況から現代になって再評価されるも、時代を越えて聞けるエモーショナルかつメロウな普遍性があるかであり、文句無しに素晴らしい名作と断言する。



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| ETC4 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Dalholt & Langkilde - Sur Plus (Music For Dreams:ZZZV17001)
Dalholt & Langkilde - Sur Plus
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現行バレアリックを引率するレーベルの一つ、2000年初頭にKenneth Bagerが設立したデンマークのMusic For Dreamsはそのジャンルの中では最早老舗と呼んでも差し支えないレーベルで、膨大なカタログにはイビサ系のベテランから新進気鋭のアーティストまで名を連ねており、このレーベルからリリースされる事はある意味では太鼓判を押されているのと同義だ。そんなレーベルから2018年5月に突如リリースされたのが本作で、デンマーク出身のMads DalholtとFrederik Langkildeのデュオによる初のアルバムとなっており、過去にEPさえもリリースしていないアーティストがこのようにいきなり名門レーベルからアルバムを出すのだからレーベルとしてもそれなりの一押しでないかと伺える。アルバムはもはやダンス・ミュージックの延長線上ですらなく、レイドバックしたダウンテンポ〜バレアリックが中心で、哀愁が滲むスパニッシュギターも効果的に用いる等バンド的なサウンドも強い。虹色に染まった夕日の中に薄く広がっていくようなスパニッシュギターがサウダージを奏でる"Charite"でアルバムは始まり、朗らかながらも咽び泣くようなギターソロに心酔する緩やかなダウンテンポの"Doucement"で何だか空が暗い闇へと移ろい変わる時間帯のよう。"Disco Disco"は軽いキックの4つ打ちも入ってスムースなグルーヴに乗り、そこに喋り口調の歌やチョップ風なコズミックなシンセも加わってバレアリックを通過したモダン・ディスコか。そしてタイトル曲の"Sur Plus"、静寂の中にか細いアコギの残響が広がりオルガンや乾いたパーカッションが無味乾燥に味付けする非常にブルージーな曲で、この枯れた感もある円熟味は長年活動を続けたベテランアーティストかのよう。また比較的ハウス・ミュージック寄りな"Groovin Man"では爽快なタブラが空へと抜けつつメランコリーなアコギとキラキラしたシンセが絡み合いながら、ぐっと情感を強めて興奮も高まりながら夜が深まっていく曲調でもある。ただやはりアルバム全体の印象としてはバレアリックではありながらも、明るい青空が広がるよりは夜の闇が広がる空のイメージで、大きな空間に残響が広がっていく開放感がありながらもそれは多幸感よりは侘び寂びにも近い質素な美意識が通底している。



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| ETC4 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Chris Coco - Indigo (Music Conception:MUCOCD031)
Chris Coco - Indigo
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バレアリック・ミュージックが世界的に盛り上がる現在のシーン、日本においてはその道を求道的に歩み続けるCalmがその先駆者である事は間違いないが、そのCalmが自信を持って彼が主宰するMusic Conceptionから送り出したのがChris Cocoによるニューアルバムだ。Cocoは80年代後半から活動を開始し、90年代初期に訪れたイビザのバレアリック・ミュージックに強い影響を受け開眼し、その中心的存在であるイビザのCafe Del MarやCafe MamboのレジデントDJを務めるなどこのシーンの重鎮の一人。そんなアーティストが最新作に名付けたタイトルは『Indigo』で、日本に何度か訪れる度に日本の藍色に魅了されたそうで、この色に対するイメージや意味を音楽へと転換させたと本人は述べている(参照)。そんなコンセプトから生まれた音楽は全編淀みの無いクリアな多幸感に満たされたチルアウト/バレアリックな響きで、開始となる"Event Horizon (In)"からしてビートレスな空間にほのぼのとした電子音のメロディーが静かに浮遊しながら淡いシンセのディレイが広がるこの曲は、Meditation Y.S.(Yoshihiro Sawasaki)の音に意味を込めずに底抜けにオプティミスティックなアンビエントを思い起こさせる。続く"Pou Des Lleo"もビートの無いぼんやりとしたアンビエントだが、ピアノやギターにベース等の有機的な音色を前面に打ち出しながら透明感あるエレクトロニクスも自然に溶け込んで、喧騒から離れた何処か落ち着いた時間が過ぎる田園地帯の牧歌的な雰囲気に心が安らぐ。そしてCalmと一緒に制作した"Indigo"は胸を締め付けるトランペットやピアノも用いられて確かにCalmらしいセンチメンタルな雰囲気が強く出ており、ざっくり生っぽいリズムも合わせてしみじみとした郷愁が溢れ出る音楽は、静寂の中に凛とした気品が感じられる。"You Are Exactly Where You Need To Be"も繊細で美しいピアノが静けさの中に点々と描かれ、抽象的でぼやけたシンセがキャンパスに滲みながら広がっていくようで、淡くも美しい色彩感覚がドリーミーな風景を喚起させる。"Onda"はまたしてもMeditation Y.S.路線のオプティミスティックな響きを活かしたダウンテンポ・アンビエント、天上へと誘われる夢心地な時間。最後は"Event Horizon (In)"と遂になった"Event Horizon (Out)"、豊かな色彩とクリアの響きの電子音と壮大なオーケストラの音が一つとなり豪華絢爛でありながら、音の隙間を活かす事で気品良さも残した壮大なバレアリック・サウンドは、またここからアルバムの開始へと繋がる事でアルバムの世界は何度でもループする。イビザと言うとどうしても夏の商業的で享楽的なパーティー・シーズンが有名なものの、其の地には豊かな自然が自由奔放に広がる場所もあるようで、このアルバムからはやはり後者のイメージが適しているだろうし、それは日本の藍色の深い感情や穏やかな安堵のイメージと被さる点もあったのだろう。ただひたすら心の安静を取り戻す清々しくもドリーミーなこのバレアリック・ミュージックは、流石イビザでの長い音楽経験に裏打ちされた真髄がある。



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| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Midnight In Tokyo Vol. 2 (Studio Mule:Studio Mule 6 CD)
Midnight In Tokyo Vol. 2
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近年再発掘がされる和モノはもはやムーブメントに近い勢いとなっているが、その流れに乗るレーベルも少なくはない。2005年の設立以降、ダンス・ミュージックのシーンにおいて世界規模での成功を成し遂げた日本のMule Musiqもその流れに同調し、2018年初頭からダンス・ミュージックという制限を取り払ったStudio Muleから和モノのシリーズとして『Midnight In Tokyo』を開始させている。第一弾はディスコやブギーが主題となっていたが、その第二弾となる本作は全体としてエレクトロニックなフュージョンやジャズ、またはシティーポップが中心となっており、当方は収録されているアーティストについて大半は知らないもののそれでも尚直ぐに魅了される程の普遍的な魅力を持った曲が集められている。オープニングはサックス奏者の沢井原兒による"Hikobae"だが、これがかなり異形なフュージョンで面白い。回転数が狂ったのかスローモーなテンポに和なのかエキゾチックなのか訝しいサックスのメロディーに民族的なパーカッションも加わり、空間も歪むようなサイケデリックな感覚に満たされるこの曲は、Bill Laswell率いるMaterialがプロデュースしたとの事で納得。続くTodayʼs Latin Projectはラテンのカバープロジェクトだったようで、"Danza Lucumi"は燦々とした太陽の日が降り注ぐカリビアンの長閑な雰囲気に溢れており、その青々として清々しいイメージは正に南国だ。そして坂本龍一も制作に加わった鈴木茂による"On The Coast"は、AORやシティー・ポップの範疇だろうかレトロながらもキラキラとした都会的な響きで、特に咽び泣くようなメロウなギターが心に染みる。一方でかなりジャズ色の強い曲もあり、King Kong Paradiseによる"Samarkand"はリズムは大胆かつライブ感溢れて展開しギターも感情が爆発した如く咆哮し、ラテンとジャズが融合したセッション性の強い激熱な展開が繰り広げられる。そしてアルバムの終盤は特にメランコリーなフュージョンが中心で、鳥山雄司による透明感のあるシンセに切ないギターが表情を付けていくアーバン/ブギーな"Bay/Sky Provincetown 1977"、しんみりとしたエレピに女性ボーカルも起用して切なくしとやかなAORに仕上げた奥慶一による"Heat Wave"、そして最後はSafariによる南国のリラックスしたビーチサイドな雰囲気が溢れる郷愁のレゲエ風味もあるラテン・フュージョンの"Day Dream At The Bob's Beach"と、メランコリーな曲調が続きぐっと引き込まれる事間違いなし。7〜80年代の日本に、そしてクラブ・ミュージックではないものの、こんなに素晴らしい音楽があったなんて今更ながら再発見であり、こうやって素晴らしい音楽に出会う機会を提供するStudio Muleの役目は非常に大きい。



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| ETC4 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
山口美央子 - 月姫 (pinewaves:PW-04)
山口美央子 - 月姫
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ダンス・ミュージックの界隈で発生している和モノ・ブームだが、例えばニューエイジやアンビエント方面で前衛的な活動を行うMusic From Memoryからもニューウェーブ・ポップのdip in the poolがリイシューされるなどの流れを見ると、それを単なるブームとして冷ややかな視点で見逃してしまうのはもったいない。時代に埋もれながらも魅力ある作品だからこそリイシューに至っている事も事実であり、例えば2017年に纏めて3枚リイシューとなった山口美央子のアルバムも、当時は売れなかったものの同様に魅力的だ。1980年に「シンセポップの歌姫」というキャッチコピーでデビューしたそうだが、売上的には芳しくなくその当時の最終作品である本作で自身の作品を制作する事は止めてしまう。その代わりに作曲家として様々なアーティストに楽曲を提供し、表舞台には立たずとも音楽的才能を発揮していたようだ。

さて、1983年にリリースされた本作は、それまでのオリエンタルなシンセ・ポップ/テクノ・ポップな作風ががらっと変わったわけではないが、しかしジャンルとしてのアンビエントではなくアンビエントなムードが全体に立ち込めており、その意味では昨今のアンビエントやニューエイジの再評価の中に含められてもおかしくはないだろう。プロデューサーに立川直樹、アレンジャーに土屋昌巳、シンセサイザープログラマーに松武秀樹など一流のサポーターが揃っている事も影響は大きいだろうが、何処か懐かしいレトロなシンセのサウンドの響きと共に哀愁が溢れ出す山口のメロディーの素晴らしさは、非常に耳馴染みが良いという意味でポップだ。風鈴のサンプリングから始まるアンビエント調の"夕顔 ―あはれ―"はしかし繊細で美しいピアノのコードへと展開し、シンセの効果音も色々と鳴る中に切なく悲哀の歌が続く。続く"夏"は流麗なシンセストリングスやアナログのキックが印象的で、演歌にも似たようなゴージャスな感もありつつ、物悲しい歌によってしんみりと纏められている。そして"沈みゆく"では何とTR-808のリズムマシンによる素朴で簡素なリズムが鳴っており、そこにシンプルながらも繊細な美しさが際立つピアノが淡い叙情を付け加え、シンプルな構成だからこそ音の響きや心に染みる旋律の良さが際立っている。本作を最も特徴付けているのは"白昼夢"で間違いなく、浮遊するようなアブストラクトなシンセから始まり、そこからほんのりとメランコリーなピアノの旋律が現れ霧がかったようなシンセが全体を覆うこの曲は、正に白昼夢に溺れている状態のポップ・アンビエントだ。中には"月姫 - Moon Light Princess -"のようにアニメソングにも似たような弾けるシンセ・ポップな曲もあるが、変わったシンセの使い方の響きやアタック感の強いキックなど、ここら辺はYMO辺りのファンにも訴求出来るだろう。アンニュイだったりメランコリーだったりという要素が曲によって現れながらも 全体としてはポップでアンビエントな響きで山口の書く旋律が非常に心打つもので、時が経とうとも全く風化しない普遍性がある。何故当時これが売れなかったのか、それは時代が早過ぎたのかもしれないが、こうやって和モノ・ブームの中で再発掘されたのは当方にとっても山口というアーティストに出会うきっかけとなり非常にありがたいものだ。





Check Mioko Yamaguchi
| ETC4 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |