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Max Essa - Lanterns (Music For Dreams:ZZZV18005)
Max Essa - Lanterns
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Bear FunkやIs It Balearic?にHell Yeah Recordingsといった人気のバレアリック・レーベルから作品をリリースしている日本在住のUKアーティストであるMax Essa、その才能と人気は間違いなく今度はデンマークの最早伝統的ですらあるバレアリック系のMusic For Dreamsから初の作品となるアルバムをリリース。以前は生っぽくメロウなディスコやハウスが中心だった作風もここ数年はバレアリック/ダウンテンポへと移行しよりレイドバックした作風を強めていたが、本作ではその最終地点へと辿り着いたように半分程はビートレスな曲が占め、更にニューエイジな雰囲気も纏い美しい景色を喚起させる音像により癒やしのひとときを提供する。本人の紹介では一人誰もいない道路をタクシーに乗っている時に日の出に隠れていくネオンの灯り、出雲への寝台列車、沖縄の夕暮れ時のビーチなどをイメージにしているそうで、騒がしい都会の真夜中からの逃避と考えるべきだろうか。静けさの中に残響心地好いアコースティックギターの響きから始まる"Lights Painted For A Road Trip To Spain"、星が瞬くような電子音も散りばめながら中盤からは眩しいシンセのレイヤーが浮かび上がり、徐々に太陽の光に包まれていくような和んだアンビエントだ。"Beautiful Western River"ではやや内向的で暗めのドローンが支配し、宗教的なパーカッション使い等の響きもあって精神世界へと潜り込むメディテーション的な意味合いが強い。静謐なピアノや朗らかなギターが絡み合い霧が立ち込める中から朝焼けが浮かび上がってくるような"Orange Trail"、感傷的なアコーディオンとそれを装飾するピアノやストリングスによる昼下がりのうたた寝を誘うドリーミーなダウンテンポの"I Love You Today Too"と、リラックスした雰囲気の中に美しい情景も広がっている。B面に入ると柔らかいリズムも加わった曲も並んでおり、色彩豊かなシンセのドローンが静謐に伸びていく上に耽美なピアノやギターが情緒を加え、そして軽くふんわりとした生っぽいリズムが優しくビートを刻む"Lanterns"、つんのめる角ばったリズム感で軽く躍動し可愛らしいポップなシンセで意気揚々と散歩を楽しむようなダウンテンポの"Twenty Types of Dusk"と、ここら辺の曲調は現在のバレアリック系と親和性がありながらEssaらしいオーガニックでセンチメンタルなムードに陶酔させられる。ひたすら世の中の喧騒から離れた長閑な空気に覆われて、程好い情緒性で体の隅々まで清らかな音が浸透するリスニング性の強いアルバムは、忙しい日常の中でほっと一息つくのにも一役買う事だろう。



Check Max Essa
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Michal Turtle - Return To Jeka (Music From Memory:MFM029)
Michal Turtle - Return To Jeka
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2018年もオブスキュアと呼ばれるスタイルの音楽はMusic From Memoryが先導していたように思う。特定の音楽のジャンルに縛られる事なく、また有名無名といった知名度にかかわらず、時代の狭間に埋もれた音楽から今という時代に生まれた音楽まで、今年もMFMは多くの作品を掘り起こした。そんな作品の一つがUKのドラマー/鍵盤奏者であるMichal Turtleによるもので、2016年には同レーベルより未発表曲集の『Phantoms Of Dreamland』(過去レビュー)もリリースしていたのは記憶に新しいだろう。バレアリックからファンク、ポスト・パンクにフュージョンからダブにエキゾチック等掴みどろこの無い音楽性は実験的と呼ぶに相応しく、しかし公式には1983年にアルバムを一枚のみリリースしたのみのアーティストを音源を掘り起こすMFMの目の付け所は流石と言う外にはないが、またしても更なる未発表曲をリリースするのには舌を巻いてしまう。本作は1983年にリリースされたアルバムの後の2年間に録音されていた音源だそうで、その意味では前述の未発表曲集と音楽的に大きな差はなく、つまりは特定のジャンルに当て嵌めるのが難しいエクスペリメンタルな音楽になっている。呻き声のような不思議な楽器の唸りが持続する"Reincarnation"はピッチが狂ったような音響を奏でつつ、ベースやメロディーは未開のエキゾチックな感覚もあり、この時点で国籍やジャンルでの区分けが無意味である事を理解する。"Hyper Ethnic Blues"はそのタイトル通りで民族的でカラカラとしたパーカッションに引かれ、シタールらしき弦や電子音のミニマルな展開によりサイケデリックな目眩を引き起こす人力ミニマルか。一方で抜けの良いダブのリズム感を活かしたそのまんまタイトルの"Dub This Heavy"、土臭い生感覚のドラムやギターにベースなどその荒っぽい音さえもが臨場感に繋がる土着ファンクといった趣きで、しかしその脱力加減が心地好い。高揚感のあるシンセのアルペジオの幕開けがバレアリックぽい"Feel The Pain"は、そこからぐっと土着感あるリズムが入ってきてアフロ・ファンクな様相を見せれば、"Jovan's Island"ではウクレレの響きだろうかハワイアンの開放的な南国ムードたっぷりながらも奇妙な電子音が飛び交うなど、やはり本作も国やジャンルを超越した面白さがある。それが物珍しさだけではなく全編宅録精神爆発なDIYが故の自由さがあり、曲自身のリスニングとしても揺蕩う感覚にBGMとしての快適性もあり、個性的でありながらも難解さをひけらかすようなものではないのだ。



Check Michal Turtle
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Alex Kassian - Hidden Tropics (Utopia Records:UTA 008)
Alex Kassian - Hidden Tropics

リニスングからダンス・ミュージック、過去の名作からカッティング・エッジまで、オブスキュアなレーベル性で展開するUtopia Records、レーベルとしてはLars BartkuhnやVangelis Katsoulisらがカタログに名を連ねており、単に踊らす事を目的としただけではない芸術的な美しさや豊かさも含む音楽性で、まだ歴史は浅いものの注目すべきレーベルの一つだ。そのレーベルの新作は二人組ユニットのOpal Sunnの一人でもあるAlex Kassian(Al Kassian)によるもの。Opal Sunnではフロアに適した現代的なテック・ハウスを手掛けているが、ここでは「未踏の地」という記載に津和の鷺舞という神事を写したジャケットからも分かる通り、何処かエキゾチックで神秘性もある音楽性を披露しておりUtopia Recordsのレーベル性を更に拡張するような作品だ。引いては寄せる波の音と木琴系のアルペジオや幽玄なストリングスが神秘的ながらも叙情的な世界へと引き込んでいくアンビエント寄りの"Olson Waters"から始まり、EPの中で最もハウシーかつダンスな作風の"Hidden Tropics"は民族的な笛の音やボイス・サンプルを用いて熱帯の深い森の中を思わせるエキゾチックな感覚があるが、そこに謎めいたシンセのソロが入ってくる途端にスピリチュアル性を増す。"Quiet Dawn"も水の流れる音を微かにバックに流し、そこに和楽器だろうか笛や木魚らしき音色によって瞑想へと引き込んでいく、自然と一体化したような寂静かつ侘び寂びのアンビエントを展開。B面は更にエキゾチックと言うか日本的な雰囲気を増し、尺八のぼうっとした音色や宗教的な鐘や木魚の深い音響、そこに鳥の囀りも入ってくる"Birds Of Bahia"は完全に環境音楽の一種で、その神聖な世界観に対し背を正して向かい合いたくなる。そしてミニマルにゴーンと深く響く鐘や木の打楽器の優しい音色が静寂の中に浮かび上がり、厳粛な雰囲気の中で抽象的な尺八が更に深くインナートリップを誘発する"Bells Of Ukyo"、尺八や篠笛の和楽器と豊かな電子音の絡みがビートレスながらも豊かな高揚感を生む"Hidden Tropics Revisited"と、全編通して自分の内なる心と向き合い瞑想にぴったりなイマジネーション溢れる音楽性だ。煩悩や欲望を捨て去りただただ音に耳を傾けたくなる静謐なサウンド・スケープ、Music From MemoryやGrowing Bin好きな人にも引っかかるのでは。



Check Alex Kassian
| ETC4 | 15:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Steven Legget - Bathhouse (Firecracker Recordings:FIREC024)
Steven Legget - Bathhouse

UKはエジンバラのミステリーレーベルであるFirecracker Recordingsから、また気になるアルバムがリリースされている。手掛けているのはSteven Leggetなるアーティストで、この名義での作品は殆ど無いものの過去にはFour HandsというユニットでClaremont 56から幻想のアンビエントを、また2017年にはArtwhoreというユニットでもノイズ混じりのドローン中心なアルバムをリリースしていたりと、過去作からはアンビエントやレフトフィールドな音楽性を持ったアーティストである事を伺える。Firecracker自体もテクノ/ハウスの型に嵌まる事なくフィールド・レコーディングも用いた辺境的な音楽性もある事から、レーベルとLeggetとを結び付ける共通項は十分にありこの度アルバムのリリースに至ったのも自然な流れなのだろう。本作は嘘か真かUKのトルコ式バスで演奏された音源を元にしているそうだが、アルバムのオープニングである"Siga-Siga"は引いては寄せる波の音や虫の鳴き声などのフィールド・レコーディングの環境音で構成された短い曲で、そこから途切れる事なく重厚で美しいチェロやぼんやりとした電子音のドローンによるサウンド・トラック的な"Forte"へと続き、深く深く心の中を潜っていくようにイマジネーション溢れる大らかな世界観。森の中に居るような微かな鳥の鳴き声の環境音の中から、落ち着きのある静謐な弦楽器のメロディーが浮かび上がる"Low"も、ミステリアスな雰囲気はありながらも楽園的な優美な美意識があり、安堵の時間を与えてくれる。そしてしとしとした雨音の中でやはり弦楽器がドローン的に用いられる陰鬱な"Still"、そこから途切れずに繋がる"Swivel"では一転して微かな生物の営みの音をバックに凛とした気品のある弦楽器が軽やかに躍動し陽の中に戻って行く。アルバムの後半はどちらかというと電子音の性質が強いか、"Golden"では繊細なピアノの点描をバックに神秘的な電子音の効果音や薄いドローンが貼られ静謐な佇まいがあり、眠気を誘うような心地好い電子音の流体的なドローンでアンビエント性を鳴らす"River"や、遠くでフィールド・レコーディングが鳴りつつハートビート風な4つ打ちを刻みながら不鮮明なガスが満ちるようなドローンで覆われる"November"と、そこら辺はダンス・ミュージックの音楽性にやや接近している。とは言っても全編通して享楽的なダンス・ミュージックとは無縁で、景色を喚起させるような正に想像力を働かせるサウンド・スケープといった趣きで、現代音楽や電子音響等のエクスペリメンタル・ミュージックとしての範疇だろう。



Check Steven Legget
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Jonny Nash / Lindsay Todd - Fauna Mapping (Island Of The Gods:IOTG003)
Jonny Nash Lindsay Todd - Fauna Mapping
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ニューエイジの再評価が著しい昨今の中で、その要素の一つであるスピリチュアルな癒やしを体現する作品がリリース。リリース元はインドネシアはバリの新興レーベルであるIsland Of The Godsからで、「Island Explorer Series」ともう安直以上の何物でもないシリーズ(レーベル名もだが)の一環となっているが、それを手掛けているのが現行バレアリックを代表するMelody As Truthを主宰しMusic From Memory等からも作品をリリースするJonny Nash、そしてエジンバラの秘境レーベルであるFirecrackerを運営するLindsay Toddの二人だ。そんな二人が揃えば当然現実から逃避したミステリアスな辺境音楽が繰り広げられるのも自然な事だが、その上本作は2016年12月にバリにてセッションを行い録音されたと言う内容で、その島に息衝く生命の響きも含まれるフィールド・レコーディングを用いてこの上ないニューエイジを展開している。アルバムは便宜上各曲はタイトルは分けられているが基本的には一つの連なりとして聞ける持続性があり、バリという島の秘境めいたエキゾチック性が続く。原始的な打楽器の訝しい響きや水しぶきらしき音の静かな胎動から始まり神々しい電子音が入ってくると、途端にスピリチュアル性を増す"The Gecko That Wore Its Skin Inside Out"で開始し、土臭いパーカッションや不思議な木製の打楽器の響きが絡み合い未開の森の中を彷徨う"Dengue"、深い残響のダブ・パーカッションが広がって大気が振動するような"Pigeon"と、バリ島とは言っても観光向けのバカンスな海ではなく人の手が入っていないような生命力に溢れた緑が茂る森のムードだ。フィールド・レコーディングや電子音や交えてごちゃごちゃと音が混沌とした"Fauna Mapping"は、その不鮮明な音像の中から生命の胎動にも似た動きが感じられるだろう。そして沼地を歩くズブズブとした環境音で臨場感を生む"Petrol & Nag Champa"を通過し、桃源郷へと辿り着いたのか美しいパッドが伸びる夢現なアンビエント"Kokokan (Heaven Herons Of Petulu)"に安堵する。しかしそこから不思議な民族系打楽器や笛の音色に環境音が気分を高揚させる"Pipe To Pipe Bushment"でビート感を獲得し、宗教的なガムランと鳥や蛙の鳴き声による"A Series Of Small Frogs"で深い瞑想へと誘われ、最後の"Mushroom Omelette"ではオーガニックな響きと合わさった牧歌的な電子音のドローンによって内面を探るアンビエントへと振り切れる。フィールド・レコーディングを大量に用いた事で神秘的な森の中の生命力がリアルに迫ってくるような臨場感が生まれ、そしてその大自然の中で心の平穏へと行き着くヒーリング性を兼ね備え、バリ島に行った事の無い当方にとってもその風景を換気させていっときの現実逃避となるようだ。ある意味、極楽浄土が広がる霊的サウンド・スケープでもある。



Check Jonny Nash & Lindsay Todd
| ETC4 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Wolf Muller & Niklas Wandt - Instrumentalmusik Von Der Mitte Der World (Growing Bin Records:GBR 013)
Wolf Muller & Niklas Wandt - Instrumentalmusik Von Der Mitte Der World
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バレアリック/ニューエイジ音楽が勢い付く現在のクラブ・ミュージックの界隈の中で、その流れに自然と乗って頭角を現したGrowing Bin Records。音楽的なジャンルで言えばダンス・ミュージックだけではなくジャズやソフトロックに区分される作品もリリースしており、その一貫性の無さは一体どんなレーベルなのか掴みづらい点もあるかもしれないが、大らかな自由度があるエクスペリメンタル性でのある程度の共通項を持ってレーベル性を確立している。そんなレーベルから2018年2月にリリースされたアルバムこそ本作で、Bufiman名義でも活動するJan SchulteことWolf Mullerと、そして予てから彼の作品に参加してきた打楽器奏者のNiklas Wandtのコンピによる初の共同アルバムだ。Mullerと言えばかのInternational FeelやMusic From Memory系列からの作品でも人気を獲得していたり、またはドイツ産のアフロ/トロピカルな音楽のコンピレーションも手掛けていて、そんな経歴を知るだけでもGrowing Binとの相性の良さは理解出来るのではないだろうか。アルバムジャケットを見ると、緑豊かな自然の中で数多くの原始的な打楽器や電子楽器に向き合って演奏している二人の姿が写っており、そこからもおおよそ自然回帰やユートピア的なニューエイジ感覚も掴み取る事は可能だろう。なんと言ってもタイトル曲であり始まりの曲でもある12分にも及ぶ"Der Mitte Der World"が素晴らしく、コズミックな電子音や効果音がコミカルな動きを見せつつ様々な金属系/電子系の打楽器が摩訶不思議なトロピカル空間へ連れて行く前半から、中盤以降は躍動感のあるキックも入ってアンビエント・ハウスへと展開する極楽浄土一直線なダンス・トラックは、しかし二人が電子楽器と戯れているかのような遊び心もある。"Lockerina"はより二人の音楽性が強く感じられるか、森の中の鳥の鳴き声風のサンプリングやオカリナの響き、そしてドタドタと生っぽいドラムと野生感溢れるパーカッションが深い森の中のエキゾチック感を打ち出し、自然の神秘性も漂っている。"Expedition"も同様に様々な打楽器が複雑に絡み合い土着的なグルーヴを生み出すジャングル系エキゾチック・ディスコで、12分にも渡って密林の中を彷徨いながら和やかなシンセがバレアリックなフィーリングに包み込んでいく。続く"Welcome Zum Paradies"も11分の大作、ニューエイジ/アンビエントな抽象的なシンセが神秘的な秘境空間へと誘う幕開けから、太古を思わせる響きのリズムが加わってゆっくりと胎動し、そこにドイツ語のナレーションや雄叫びに鳥の鳴き声等を被せてバレアリック・ダウンテンポを展開する摩訶不思議な曲だ。アルバムの中では比較的ダンス色の強い"Traum 4"にしても、やはり未開の地を思わせる原始的で奇抜なパーカッションが土着的な空気を伴い、そこに透明感のある爽やかな電子音のメロディーを合わせ、極彩色のトロピカル・ハウスを演出している。"Ahu"では最早クラブ・ミュージックよりはワールド・ミュージックの方面に分類されるか、壊れたようなリズムマシンの音とシンギングボールやボンゴ等の民族的な楽器が奇妙なグルーヴを刻み、そこにトリッピーで捻れたシンセが加わって更に無国籍感を増していく。シンセ担当のMuller、打楽器担当のWandtとおおよそ役割が分けられた中で、それぞれが個性的な演奏を披露する事で神秘的かつ自然派志向のバレアリック感が形成されており、Growing Binらしい自由な実験性に寄り添いながらも非常に楽園的な多幸感に溢れた作品になっている。民族音楽好きから奇妙な電子音好き、そしてバレアリック・ミュージックのリスナーにも訴求する大作だ。



Check Wolf Muller & Niklas Wandt
| ETC4 | 14:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Benedek - Earlyman Dance EP (Second Circle:SC010)
Benedek - Earlyman Dance EP
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現在形のニューエイジ/アンビエント/バレアリック代表格のMusic From Memoryが、2014年から新たに始動させたラインが傘下のSecond Circleだ。MFMとの大きな違いは?と考えるとエクスペリメンタルではありながらももう少しダンス寄りな印象のあるレーベルで、とは言いながらもやはり普通のダンスではなく原始的な衝動や剥き出しなファンクやエレクトロの質感があったりと、他の音楽に埋もれてしまう凡作にならない点がやはりセンスの良さを感じさせる。本作はUSはロスアンゼルスの音楽家であるNicky BenedekことBenedekによる作品で、ビート感はハウス・ミュージックになっているがブギーやファンクにディスコやローファイといった、捉え方によっては様々な要素が感じられる混合物なダンス・ミュージックだ。"Earlyman Dance"からして生っぽくアタック感の強いドラムマシンが迫力あるビートを刻み、そこに艶のあるトランペットの響きとうねりの効いたベースにサイケな電子音を組み込んで、懐かしくも味わいのあるシンセ・ファンクを聞かせる。別バージョンである"Earlyman Dance (Canyon Version)"はトランペットが省かれてリズム重視ながらも、美しい上モノを加えてキャニオンから夜明けの太陽が昇ってくるような光景が浮かび上がるバレアリックなハウスへと生まれ変わっており、こちらはモダン・バレアリックと呼んでも差し支えないだろう。安っぽく生々しい響きのリズムが印象的な"MACA"は例えばテクノやハウスが生まれる前のプロトタイプ的なダンス・ミュージックといった趣で、ぼやけたような淡いシンセのメロディーや空間を飛び交うSE風な電子音がどこかレトロフューチャーな懐かしさにも繋がっている。そしてエキゾチックな金管系のシンセのメロディーと笛の音色、ドタドタとした慌ただしいキックが生み出すローファイ電子ロックな"Tengu's Mystery"、色っぽくムーディーなトランペットとダブ感ある隙間を強調した音響を活かしたブギーなディスコの"Sixtern"と、ここらへんでもやはり洗練とは真逆の宅録DIYな音の響きがレトロな曲調となっている。MFMの懐かしさを誘う郷愁のリスニング性をそのままにダンス性も加えたような音楽性、そしてそれはMFMが過去のリイシューが多いのに対しSecond Circleは今産み落とされた音楽という点で、レーベルの個性を作っている。



Check Benedek
| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Takashi Kokubo - A Dream Sails Out To Sea (Get At The Wave) (Lag Records:LAGREC003)
Takashi Kokubo - A Dream Sails Out To Sea (Get At The Wave)
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まだまだ再評価は著しい和モノ音楽は特に国内からではなく海外からの力が強いが、2017年にUKにて始動したLag Recordsは日本の音楽の再発掘をコンセプトを明確に掲げている。そんなレーベルからの復刻3作目は小久保隆が1987年にリリースした『Get At The Wave』のリイシューで、元々は家電メーカーであるSanyoのエアコンのプロモーション音楽として制作されたもので一般発売はされていないという非常に貴重な音源だ。小久保はシンセサイザーを用いる音環境デザイナーで1980年代からシンセサイザーの音を前面に打ち出したアニメの音楽や建築物内のBGMを手掛けるなど、環境音楽家の先駆者の一人。ここでも正に環境音楽、つまりアンビエント・ミュージック的でもあるが、現代的に言うならばバレアリックな澄み切った多幸感が広がるサウンドデザインだ。新たに用意されたジャケットは無垢なトロピカル感の佇まいがあり、これだけでも何となくアルバムの音楽性を想像する事は出来るだろうか。クリスタルな透明感のあるシンセが伸びる中に耽美な響きを鳴らすハープ、そよ風を全身で受けるような優しく平穏な世界観の"Symphony Of Glory And Wind "は、点々と音が配置される事で間も活かされて実に落ち着いたバレアリック・アンビエント。"Underwater Dreaming"に移るとリズムは入っていないものの動きのある多数のシンセによって緩やかなビート感が生まれ清流に流されるような爽やかな雰囲気に満たされ、中盤から極彩色の羽衣が舞うような電子音のシーケンスが現れると、行き着いた先は悩みや苦しみから開放された極楽浄土の世界。A面ラストは繊細で美しいピアノ線の細いシンセによって静けさが強調される"Breath Of Blue Water"で、水が滴り落ちて波紋が広がっていくような臨場感のありながらただただ静謐で、静けさの中にもバレアリックな多幸感を見つける事が出来るだろう。B面にはオリジナルアルバム製作時の未発表音源である"Ocean Breeze"が収録されているが、15分にも及ぶこの曲では波の音から始まるフィールド・レコーディングも用いて、そこに優雅でクリアなシンセを加えて何処か南の島の楽園のようなトロピカル感覚に包まれる。音そのものに意味を込めずにひたすら音の鳴りの気持ち良さを強調した音楽は想像性を喚起するようでもあり、自分の心の中で現実を離れたトリップをさせる。80年代にこんなに素晴らしい環境音楽、そして今でも通用するバレアリックな音楽が日本にあったとは驚きだが、こういった音楽がクラブ・ミュージック側の人達から再評価されるのも、ハードワークなパーティーライフからの解放何ていうのもあるのだろうか。日常の中でずっと聞いていたいBGMだ。



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Motohiko Hamase - Intaglio (Studio Mule:8)
Motohiko Hamase - Intaglio
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世界的にも再評価著しい和モノ音楽、特に昨今のニューエイジ/アンビエント発掘の中で和モノも例外から漏れずに名盤珍盤が掘り起こされているが、その流れに与するようにMulu Musiqの新ラインであるStudio Muleは昔の日本の音楽に目下焦点を当てている。そんなレーベルが次に目を付けたのは濱瀬元彦による1986年作だ。濱瀬は1970年代から活動するジャズベーシストだそうで勿論基本はジャズであるが、このソロ作品ではシンセサイザーも多用してコンテンポラリー・ジャズところかニューエイジとも受け止められるリスニング性の高い音楽を披露しており、ジャズと言うジャンルを特に意識せずとも聞かれるべき内容だ。その上特筆すべきは原盤権利の関係でリイシューが出来ないため、本作では本人によって全て再録音された制作されている事で、単なるリイシューではなく生まれ変わった現代版として新たなる作品になっている。柔らかい笛やマリンバのミニマルな旋律から始まりストリングスも加わって優雅でありながら催眠的である"Circlet"、しかし中盤からはフレットレス・ベースも加わってジャズらしい動きも見せて、ジャズと現代音楽の混合といった印象を受ける。"Rain Calls For Bird"でも笛らしき音とシンセの音が絡み付くように重層的な旋律をなぞり、荘厳なシンセボイスやピアノが加わるとスピリチュアルなニューエイジ性も出てくるなど、曲のパーツ毎でも異なる音楽性がありミニマルでありながらも躍動的だ。アタックの強いドラムに引っ張られつつも笛やシンセのミニマルなフレーズが続き、そして中盤からマリンバの優しい音色の反復に切り替わる"Lung"も、やはり自由な構成が現代音楽的でそしてメロウな世界観に心酔する。"Symptom"や"Elan Vital"もシンセや生楽器を多用して夜のしっとりムードある曲調だが、濱瀬によるフレットレスベースの躍動的な響きも存在感があり、コンテンポラリー・ジャズとしての一面も存分に感じられる。そしてラストのタイトル曲である"Intaglio"は笛や鉄琴にマリンバなど多数の楽器によって重層的にひたすら美しい旋律を鳴らし、鋭い音のドラムによる衝動的なリズムで迫力を増し、そしてフレットレス・ベースは色っぽいムーディーさを演出するなど、場面がどんどん切り替わっていくようなシネマティックで想像性豊かな構成の曲だ。どれも再録音された事で音質も向上しクリアな響きとなっているのは言うまでもないが、本作を聞くと和モノ再評価が単なる流行りではなく音楽の質そのもので評価されていると思う程に快適なBGMになる音楽性があり、時代を超える=タイムレス、つまりはクラシックな作品だからこそ埋まり変わり今リリースされたのだろう。



Check Motohiko Hamase
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Gigi Masin - KITE (ASTROLLAGE:ASGE-13)
Gigi Masin - KITE
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ここ数年のニューエイジ/アンビエント隆盛の中で一躍時の人となったイタリア人アーティストのGigi Masin。一時は音楽活動自体から遠ざかっていたのも嘘かのように、過去の埋もれた名作のリイシューによる再評価を機に、今では積極的に新しい音源も制作するようになる等、齢60を越えながらも単に過去の掘り返しどころか今も尚前進を続ける現在形のアーティストだ。そんな彼が2018年2月にBandcampでリリースした作品が本作で、本人の説明では近年制作された「夢や愛について語るために書いた曲」を集めたプライベートな作品だそうだ。発表から半年を得て今回日本では幸いな事にCD化もされており、Masinの現在の音楽性を知る良い手掛かりとなるのは間違いない。さて、ここではバレアリック性の高い電子音を打ち出した曲もあれば、内向的で悲哀の感じられる如何にもMasin的なクラシック寄りの有機的な曲もあり、そう言えば昨年の初来日では「balearic state」と「piano concert」とコンセプトを変えて2回ライブを行った内容がここにも反映されている。"Kite"はその前者で披露された曲で、静謐で物悲しいピアノの旋律に加えて正にバレアリックな雰囲気全開のディレイの効いた輝くような電子音が地平の広がりを感じさせ、殆どループの単純な構成の面から考えるともしリズムが入っていればテクノになっていてもおかしくないような曲だ。続く"Aphrodite's Eyes"は1分半の短い曲だが、喜びに心沸き踊るピアノの旋律だけで構成されたMasinのピアニストとしての感性が表現されている。そして同様にピアノを用いながらも音の隙間を活かして静寂の美を際立たせる"Closer"は、ECMの世界観とも共通している。また9分越えの大作である"Irish Dove"はバレアリック性とオーガニック性が共存する曲で、さざ波のような電子音のリフレインの中から伸びやかなシンセストリングスが現れ、そして点描のようにポツポツと絵を描いていくようなピアノの旋律も加わり、この世とは思えないおとぎの国の中を彷徨う夢のひとときへと誘われる。電子音系とオーガニック系の曲が混在している事からアルバムを目的として制作されたと言うよりは、気ままに作った曲を一つのアルバムに纏めたように思われるが、それでも静けさや間が強調された静謐な美しさやメランコリーはMasinの音以外の何物でもなく、心に沁みるエモーショナル性に泣けてしまう。尚、CD盤にはコンサートでMasinの前座を務めたharuka nakamuraによる"Irish Dove_haruka nakamura Remix"も収録されており、こちらも要注目だ。



Check Gigi Masin
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