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Andres - Believin' (La Vida:LA VIDA 003)
Andres -Believin

デトロイト・ハウスを愛する者だけでなくDJ DezことDez Andresの2012年作、"New For U"は多くのクラバーを魅了したその年を代表する曲となったのではないか。事実、Resident Advisorのトラック・オブ・ザ・イヤーのベスト1にも選出されるなど、ソウルやファンクにヒップホップなどの黒人音楽の要素を元に感情豊かなクラブトラックとして磨き上げたこの曲は、パーティーで聴かれる機会も多かった。Andresと言えばMoodymannにその才能を見出され過去にはMahogani MusicやKDJからのリリースが中心だったが、2012年に自身で立ち上げたLa Vida(第一弾は前述の"New For U"だ)からの作品でよりエモーショナルで温かいハウスミュージックの性質を強め、その注目度はデトロイト一派の中でも特別な程に成長している。La Vidaからの3作目、実に3年ぶりとなるこの新作も文句無しに素晴らしい。タイトル曲である"Believin'"はセクシーな男性ボーカルと熱い女性ボーカルが交互に現れ、しっとりと温かくメロウなキーボード使いが感情的で、そこに乾いて質素なビートがタイトなグルーヴで飲み込んでいく優雅に黒いディープ・ハウスだ。デトロイト・ハウスと言うともっとねっとりと粘着性があったり、より熱量の高いソウルフルな物もあるが、Andresのこの感情的ながらも生っぽく爽やかな心地良さは彼の特徴であろう。生っぽいベースがしっかりと基礎を支え乾いたパーカッションが小気味良いビートを叩き出す"Can't Shake It"は、展開は抑えめなミニマルな性質ながらもうっとりと耽美なエレピも添えられて、DJツール的な作風の中に人間味のある温かさも注入されている。一方"Jungle Pain"はローズやコズミックなシンセが華々しく用いられ、そこに跳ねるようにスウィングするジャズのようなビートが軽い躍動感をもたらしている。しかしどの曲も古ぼけたラジオから流れてくるような、何だか味わいのあるラフな音使いが耳に優しく馴染み、このサンプル使いがAndresの音楽性を確立させている。きっと本作も2015年のパーティーで幾度と聴かれる事になるような、そんな予感がせずにはいられない。



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| HOUSE10 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jose Padilla - Day One (International Feel Recordings:IFEEL039)
Jose Padilla - Day One
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バレアリック方面の音楽では飛ぶ鳥を落とす勢いのInternational Feelだが、そんなレーベルから元祖バレアリックの一人・Jose Padillaが新作をリリースしている。イビサにてバレアリック・サンセットを体験出来るCafe Del MarのレジデントDJとしての活動で知られるPadillaに対し、その音楽性に共感したInternational Feelが2014年には契約を結び、そして復活の狼煙となる"Solito"をリリースした。本作はInternational Feelから2作目となるEPであり、これからリリースされる予定のアルバムの試金石とも呼べる作品ではあるが、その"Day One"は正に感傷的な夕方を想起させるバレアリックスタイルのハウスで期待通りの作品となっている。共同プロデューサーとして名を連ねるノルウェーからのニューディスコ方面の新星・Telephonesの功績は大きいだろう。牧歌的なマリンバとラグジュアリーなシンセが溶け合った余りにもドリーミーなメロディーはTelephonesからの影響に思われるが、控えめに官能的な女性の声のサンプリングも用い、一点の曇りも無い開放感溢れるバレアリック・ハウスに仕上がったこの曲は、ここ最近のInternational Feelの作品群の中でも特に快楽的だ。その耳に残る美しいメロディーや官能的な世界観は、2015年度版"Sueno Latino"と呼んでも差し支えないだろう。そして裏面にはTelephones自身が"Day One (Telephones Club Dub)"としてリミックスを提供しているが、こちらはそのタイトル通りに所謂リミックスらしいリミックスではなく、大幅に手を加える事はせず原曲を最大限に尊重してよりドリーミーにより"Sueno Latino"風に近付けたような作風だ。2014年には彼が名声を高める契機になったCafe Del Marで再度DJを始めるようになったPadillaだが、その影響かイビサの情景をふんだんに含んだ音楽性が楽曲へも反映されており、バレアリックの酸いも甘いも知り尽くしたアーティストの帰還を告げるに相応しい作品だ。



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| HOUSE10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Linkwood - Expressions (Firecracker Recordings:FIREC013CD)
Linkwood - Expressions
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スコットランドはエディンバラを拠点にアンダーグラウンドなテクノ/ハウスを手掛けるFirecracker Recordingsは、発足当初はLinkwoodやFudge Fingasによるスプリット盤が年に一枚出るか出ないかの非常にスローペースな活動を行うレーベルだった。その作品の少なさがレーベル性をミステリアスなものとし、高品質な音楽性と相まってカルト的な人気を博していたが、最近では積極的にアルバムリリースも行うまでにレーベル/アーティスト共々に成長している。そんなレーベルの最新作がレーベル発足当時から中心的存在として活動しているNick MooreことLinkwoodによるアルバムだ。Linkwood自身は過去にPrime Numbersからアルバムをリリースしているのでこれが初になるわけではないのだが、古巣であるFirecrackerからは初のアルバムと言う意味で、ようやくファンが望んでいたであろう形でアルバムがリリースされた事になる。しかし1stアルバムのリリースが2009年、つまりは既に6年前の話なのだから最新作はそれから随分と音楽性を変えている事は、今となっては驚くべき事実ではないのかもしれない。ディスコやフュージョンにファンクなど黒人音楽からの伝統にビートダウンを溶け込ませた音楽性は後退し、新作ではテクノの要素やアルバムとしての多様性を発揮しつつモダンなハウス・ミュージックへと傾倒しているように思われる。アルバムはいきなりリゾート地での優雅な一時を過ごすようなノンビートの"Sonrise"で始まり、続く"Outside In"も非常に穏やかな流れの中で耽美なコードのシンセが浮かび上がるサウンドトラック風な曲で、出だしは予想外にも抒情的だ。3曲めの"Off Kilter (No Midi Mix)"でようやくハウスらしいキックが入ってくるが、ここでも黒人音楽の匂いは薄く非常に今っぽく洗練されたエレクトロニックな音で耽美な世界を作り上げている。更に幻想的なパッドを用いながらも執拗なシンセの反復がテクノを思わせる"Object"や、音と戯れているようなアンビエント風のインタールードとして用意された"Minus 12"や"Coral"など、以前の作品に比べると表現方法は随分と多様性を見せている。勿論"Expressions"のようにフロアでこそ真価を発揮するディープかつ幽玄なテック・ハウスや、シカゴ・ハウス風なベースラインを用いつつディープ・ハウスの微睡んだ深みを持つ"Ignorance Is Bliss (Live Mix)"など、決してフロアを忘れた訳ではない事も明白だ。しかしかつての黒人音楽への偏愛や古き良き時代の復権とは違う路線を、つまりは伝統に束縛される事なく自身の道を確立させる動きが、本作には強く感じられる。もしかすれば予てからのファンには戸惑いが全くない訳でもないだろうが、Linkwoodのアーティストとしての成長や個性を作り上げるその過程として、本作は面白いアルバムだと思う。



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| HOUSE10 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Mark E - E-Versions Vol 1. (Merc:MERC019)
Mark E - E-Versions Vol 1

近年はより自身の個性/音楽性を確立すべくサンプリングを用いずに、ソウルフルなハウスと力強いテクノへと傾倒した作品を手掛けているMark E。元々ソウルやディスコのリエディット作品において一躍注目を集めたアーティストが、しかしその手法を禁止し路線を変更した事で、得たものと失ったものはあるだろう。その後者は恐らく既存のフォロワーだったと思うがそれを救済すべくの意味が込められているのか、2014年に自身のレーベルであるMercからシリーズ化されたのが「E-Versions」だ。4枚に渡りアナログでリリースされたこのシリーズは彼のルーツであるリエディット作であり、その意味ではMark Eの活動初期からのファンにとってはこれこそ期待していたものでないだろうか。そしてそのシリーズを纏めたCDが本作であり、収録されている楽曲の元ネタは予想以上に大ネタばかりでやってくれましたと言わんばかりの内容だ。"Kahn"の元ネタはChaka Khanによる"I'm Every Woman"だが、ソウルフルで情熱的なボーカルや華麗なオーケストラの響きはそのまま活かしつつもグルーヴは完全に今のハウスへと塗り替えられ、クラシカルなディスコの面影を残しつつがっつりと勢いのあるキックがフロアでより機能するだろう。Level 42によるガラージクラシックでもある"Starchild"を拝借した"Child Star"は、元々の横への揺さぶりが強いファンク感よりはループを多用してハウスのスムースなリズム感を打ち出し、また煌めくようなフュージョン風だったサウンドも落ち着いた音へとトリートメントされて、原曲よりは派手さを抑えたツール的な性質が強い。更にはMadonnaのポップなダンスものである"Vogue"をリエディットした"Magazine"、こちらは弾けるようなポップな要素は随分と後退し、その代わりに骨太でテクノ的なリズムや冷たく厳ついシンセで塗り替えられて今っぽいダンスミュージックへと見事に生まれ変わっている。これだけの大ネタを大胆に用いながら、そして原曲の面影を残しつつ時代に即した音楽性へと作り変える、これこそリエディットの醍醐味の一つではないだろうか。また玄人でないと分からないような元ネタではなく、一般的に馴染みのある有名な元ネタを使っている事も、リエディットを楽しむ点では上手く作用している。オリジナルの楽曲制作と共に、やはり時々でもよいのでこうやってリエディットを手掛けてくれると嬉しいものだ。



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| HOUSE10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Nick Hoppner - Folk (Ostgut Ton:OSTGUTCD33)
Nick Hoppner - Folk
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Panorama Barのレジデントを務め、そしてそのクラブが主催するOstgut Tonの元レーベルマネージャーとして、音楽の販売方面から貢献してきたNick Hoppner。しかし2012年にはレーベルマネージャーの役職を退任しよりアーティストとして表現する活動に専念していたが、遂にキャリア初のソロアルバムを完成させた。一般的なOstgut Tonのイメージと言えばやはりハードなテクノの印象は強いと思うが、Hoppnerに関してはPanorama Bar側のハウスサウンド、特に妖艶なメロディーとディープな世界観が打ち出された音楽性が特徴だ。アルバムの冒頭に配置された"Paws"は暗い緊張感に包まれながらも覚醒感を呼び起こすメロディーが執拗に繰り返されるが、闇夜を繊細に彩っていくような音の使い方は優美でもあり、疾走するグルーヴを伴うテクノ/ハウスの中にHoppnerの耽美な美意識が存在している。続く"Mirror Images"では一転してリラックスしたハウスの4つ打ちに幻想的で淡いパッドや可愛らしいタッチのシンセが情緒を添えて、デトロイト・テクノとも共振するエモーショナルなディープ・ハウスを聞かせるが、リスニングを意識しながらもフロア対応のダンストラックとしての前提は忘れていない。繊細なメロディーが活かされているのは他に"Rising Overheads"でも聞けるが、これもダークでオドロオドロしい雰囲気の中からテッキーな上モノが現れ、真夜中の時間帯のパーティーで心を鷲掴みにするディープな世界観がある。そこに続く"Grind Show"はアルバムの中では異色な遅いBPMのダウンテンポだが、圧力のあるキックやベースが膨らみオーケストラのような荘厳な上モノが、地震のように体を震わすだろう。後半にはブロークンビーツ風な変則的なビートに煌めくようなシンセを絡めてエレガンスを極めた"Airway Management"、ラストを飾るに相応しく凛とした多幸感を放出しながら爽やかにフェードアウトしていくようなディープ・ハウスの"No Stealing"など、やはりダンス・ミュージックという機能的な面だけでなく豊かな感情を含むようにタイムレスな音楽性を心掛けているようだ。何か特別なコンセプトを感じられる作品ではないが、しかし元からアルバムを意識して制作したと発言している通り、リスニングとしても楽しめる纏まりのあるアルバムかつ機能的なクラブトラックが並んでいる点に、Hoppnerのアーティストとしての才能を感じずにはいられない。



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| HOUSE10 | 17:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Alex Burkat - Pay The Rent (Permanent Vacation:PERMVAC 137-1)
Alex Burkat - Pay The Rent
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ヨーロッパに比べると何となくアメリカ産のハウスミュージックはかつての90年代黄金時代の勢いを失っているが、だからと言って新世代の台頭が全く無いわけでもない。NYはブルックリンで活動するAlex Burkatは2013年からこの名義で作品をリリースしているが、既に100% SilkやThird Ear Recordingsといった評価の高いレーベルにも楽曲を提供するなど、まだ経歴は浅いものの注目しておいて損はない存在だ。新作はドイツはミュンヘンにて様々なタレントを抱えるPermanent Vacationからとなれば、ある程度はその質もお墨付きと見做してよいだろう。過去の作風から察するにこの人の特徴はエレポップのような煌めくシンセ、またはディスコティックな感覚を持ち込んだハウスのようで、この新作に於いてもその特徴は確かに現れている。"Pay The Rent"からして多幸感いっぱいに光の粒子が輝くようなシンセが前面に打ち出され、生っぽくざっくりとしたビートが心地良いグルーヴを生んでいく。ブレイクでは牧歌的な笛の音色も加わり極楽浄土のように至福なムードも添えながら、少々懐かしくもダサめなディスコティックな世界観を背景にセンチメンタルに染め上げるハウスで、朝方のフロアを絶対的な幸福感に満たすであろう。対して"Three Rivers"もディスコティックな要素はあるものの、捻れたようなアシッドのベースラインがボトムから強烈に刺激してくる悪っぽい雰囲気があり、その攻撃的なベースとエグいシンセが真夜中のパーティータイムを盛り上げるであろう。裏面にはドイツはMagazineのアーティストであるBarntが"Pay The Rent (Barnt remix)"としてリミックスを提供しているが、原曲のディスコティックなムードに抑えながら気怠くも色っぽいボーカルを加えて、落ち着いた展開ながらも神秘的かつドラマチックな流れへと手を加えられている。



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| HOUSE10 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Orchestral Madness & Laughter - Daniel Wang's Personal Salsoul Megamix (Octave-Lab:OTLCD5083)
Orchestral Madness & Laughter - Daniel Wangs Personal Salsoul Megamix
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近年盛り上がるSalsoul Recordsの音源のリイシュー。ディスコサウンドの代表的レーベルでその名の通りサルサとソウルを融合させたディスコを世に送り出し、今も尚ハウスやディスコの界隈だけでなくダンスミュージックのファンから愛されるレーベルの一つだろう。そんな音源を使用してメガミックスを作成したのが70〜80年代のディスコに対し偏執的とも言える深い愛情を持つDaniel Wangで、特に現在のサンプラーを用いて金太郎飴のように作られるディスコよりも、昔のドラムマシンやシンセサイザーに生の演奏が基本となったより音楽的なディスコに理解のある彼だからこそ、Salsoulのミックスを制作したのも納得と言うものだ。しかし2014年5月にはリリースパーティーも開催され遂に音源もリリースされるかと思いきや、そこからが長い長い。宇川直宏によるアートワーク制作に気合が入りすぎたのか、音源は出来上がっていたものの一向にリリースはされず度重なるリリース延期の告知がなされ、当初の予定からおおよそ一年を経て遂にリリースされたのが2015年3月の話だ。もうリリースもされないのかと諦めかけてテンションも下がっていたものの、しかしこうやってリリースされた音源を聴いてみれば、Salsoulのディスコやソウルにファンクといった要素をふんだんに盛り込みながらWangのハッピーなディスコ精神が爆発した内容に、自然と緊張もとけて笑顔が浮かんでくるものだ。宇宙への探検を始めるようなギャラクティックな"Into The Milky Way"で幕開けし、豪華なオーケストラによりポップな世界観を見せる"Soul Sister"、ダンクラとして有名なファンク寄り"I Got My Mind Made Up"など序盤から往年の懐かしくも人間味溢れるディスコが続き、華々しいオーケストラサウンドとファンキーな演奏により心ウキウキ体クネクネと、心身を賑やかに刺激する音楽性が弾けている。中盤での"My Love Is Free (Eugene Tambourine Edit)"や"Dreamin'"の心が切なくなるようなソウルフルな展開、終盤では映画のフィナーレを迎えるようなド派手な盛り上がりを見せる"Magic Bird of Fire"から急転直下テンションを落としてしっとりと切ない展開もあり、兎にも角にもこれぞディスコの熱く情熱的な血潮が滾る音楽性がこれでもかと詰まっている。Salsoul Recordsのショーケース的な制作にWangのラブリーな気持ちが込められた、とても幸せで愛らしいミックスで素晴らしい。Wangによる楽曲解説も付いており、ディスコに興味のある方にも是非とも手に取って欲しい。

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Tracklistは続きで。
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| HOUSE10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Manuel Fischer - Neighbourhood (White:WHITE 026)
Manuel Fischer - Neighbourhood
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ここ数年、ベルリンにおけるハウスミュージックの躍進は目覚ましいものがある。その一つとしてOskar Offermann & Edwardらを輩出したWhiteも繊細かつメランコリーな要素をよりモダンに磨き上げた音楽性が評判となっており、決してメジャーな扱いを受ける事は無くとも堅実に良質な音楽のリリースを続けている。そんなレーベルの2015年第1弾はスイスからのニューカマー、Manuel Fischerによる作品だ。Fischerについて詳細は見つからないものの、おそらくまだ24歳の若手アーティストでありこれが初めての音源リリースとなるようだが、Whiteが認めただけあってその質は保証されている。デトロイト・テクノを思わせる叙情性の強いメロディーは何だかふわふわと掴み所がないが、そこにカタカタとしたロウなビートや個性的な分厚いアシッド・ベースを組み合わせた"Like One Of Yours"は、軽い浮遊感も伴う大らかな展開に身を任せたくなる。一方"Loft"もシンセのメロディーが前面に出ているが、ぼんやりとしたベースラインと相まってミステリアスな空気を含みながら、かっちりとしたキックやハイハットが端正な4つ打ちを刻むモダンなディープ・ハウスを聞かせる。裏面には再度アシッド・ベースが空間の奥で不気味に蠢きシカゴ・ハウスのような乾いたリズムからも廃れた世界観が漂ってくる"Neighbourhood"、物哀しいピアノのコードやオルゴールらしき旋律が特徴となり真夜中に闇夜の中を徘徊するようなミステリアスな世界観の"Merida Dub"と、こちらもメロディアスな作風ながらも時間帯は完全に真夜中のパーティータイムを思わせる。Fischerにとって初のリリースではあるが、Whiteの音楽性を踏襲しながら実に今っぽいハウスミュージックに仕上がっており、是非注視しておきたいアーティストとなるであろう。



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| HOUSE10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Tales Ov Rossi, BitterSuite - Pieces Of A Puzzle / Familiar Currents (DeepSystems Music:SYSTEMS001)
Tales Ov Rossi, Bittersuite - Pieces Of A Puzzle / Familiar Currents

UKはブライトンから隔週月曜日の夜に放送されているインターネットラジオ局のDeepSystems。公式サイトから試聴した限りでは欧州ディープ・ハウスを中心とした音楽性のようだが、この度そのラジオ局が同じ名前を用いてDeepSystems Musicというレーベルを立ち上げた。レーベル初の作品は新しいユニットであるTales Ov Rossiと、過去にFinale Sessions等からもリリース歴のあるBitterSuiteによるスプリット盤となるが、実はどちらのユニットにもJon Grayなるアーティストが作曲/プロデューサーとして名を連ねており、実質はほぼJon Grayによる作品なのだろうか。Tales Ov Rossiによる"Pieces Of A Puzzle"は、硬質でひんやりとした4つ打ちのキックが続く上をミニマルなリフや浮遊感のあるパッドが微かに鳴っているだけの、極力展開を排除したDJツール向けなダブ・テクノとなっている。微かな残響が奥深い空間を演出しながら淡々とタイトなリズムで反復を重ねながら覚醒感を煽っていく展開は、DJがミックスしてこそ曲の機能的な面を活かす事が出来るのだろう。裏面にはBitterSuiteが2曲提供しているが、どちらも広大な青空へと飛翔するような壮大な展開を持ったディープ・ハウスを披露している。引き締まり厚みのあるハウスのキックとアフロなパーカッションが乱れ打つ中で、優美なシンセが軽やかに舞い踊るよう美しい旋律を描き出す"Familiar Currents Part 1"、メロディーは控えめに後退しダブバージョン的にキックやパーカッションが強調され残響が広大な空間を演出する"Familiar Currents Part 2"、そのどちらにもどこかスピリチュアルな神聖な佇まいと煌めくような華麗な音色からRon Trent直系のディープ・ハウス性を感じずにはいられない。異なる音楽性が両面に収録されているものの、どちらも即戦力と言わんばかりの内容だ。



Check "Tales Ov Rossi" & "BitterSuite"
| HOUSE10 | 20:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Dan Shake - Out Of Sight (Black Acre:ACRE053)
Dan Shake - Out Of Sight
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2014年にMahogani Musicから鮮烈なデビューを果たしたロンドン在住のDan Shakeが、その勢いに乗って早くも新作をリリースしている。リリース元はブリストルにてダブ・ステップやフットワークを中心とした黒い音楽を手掛けるBlack Acreとなるが、Shakeはそんな音楽性にもお構いなくデビューを飾ったMahogani Musicからリリースした作品の様に、煙たく湿り気を帯びたデトロイト・ハウスを再度手掛けている。"Out of Sight"は完全にKenny Dixon Jr.ことMoodymannの音楽性の配下にあり、特に初期のハウスの体裁を保っていた頃を思わせる楽曲だ。執拗なボーカルのサンプリングや妖艶な女性ボーカル、揺らめくようなシンセのフレーズや黒い情緒を生むオルガンのコード、そして妙に生々しく響く艶かしいドラムのリズムなど、一般的に想像されるデトロイト・ハウスを忠実になぞっている。曲そのものの良さは否定はしないが、しかしデビュー作と続けて聴くとやはり同じ事を繰り返している為に、アーティストの個性は以前よりも色褪せているようにも思う。裏面の"Traders II"ではカナダからデトロイト・テクノを追うRennie Fosterが制作に参加しており、その影響かかっちりと硬いキックからは少々テクノの面影も見せる。しかし蛇の様にうねるアシッドなベース・ラインの上を湿ったように蒸し返すサックスの妖艶なメロディーが感情を露わにするように蠢き、ジャズの響きも取り入れながら勢いのある骨太なデトロイト・ハウスとなっており、こちらの方は作品として面白いと思う。デビュー作に比べるとややインパクトは薄いもののそれでも新星の中ではやはり注目すべき才能に疑いようはなく、じっくりと時間を掛けて楽曲を制作し個性を磨き上げる事を期待したい。



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| HOUSE10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |