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DJ EMMA presents NITELIST MUSIC 5 "ACID CITY 3" (Nitelist Music:NM-21039)
DJ EMMA presents NITELIST MUSIC 5 ACID CITY 3
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DJ EMMAが取り組んでいるアシッド・ハウス再燃への意識が作品化したのが、2013年に始まったこの『Acid City』シリーズだ。日本のテクノ/ハウス、メジャー/アンダーグラウンドの垣根にとらわれる事なく、EMMAが信頼するアーティストにアシッド・ハウスをコンセプトに作品を制作してもらい一枚のコンピレーションとして纏め上げているが、偏にアシッド・ハウスと言ってもバラエティーは豊かで色々な表現が可能である事を示しつつそのジャンルとしての深さも含んでおり面白いシリーズになっている。最新作となる第3弾も今まで以上にユニークなアーティストが参加しており、例えば大沢伸一&石野卓球による新ユニットのRubber Bankは注目せずにはいられないし、SERiや909stateといったアンダーグラウンド方面からアシッド・ハウスに焦点を絞って活動するアーティストや、今話題のロウハウス〜ディスコハウスでは世界的に知名度を高めているKeita Sano、そしてGonnoやKuniyukiにKen IshiiやNude(DJ Shimoyama & DJ EMMA)などお馴染みのアーティストまで、もう話題性だけでも興味を惹かれるのは間違いない。幕開けはEMMA & Hideo Kobayashiによる笑ってしまうタイトルの"ようこそAcid Cityへ"、いきなり激しいハイハットやブイブイ唸るアシッド・ベースに情熱的な女性ボーカルが入ってくるハイエナジーなハウスで、派手目の演出が感じられる今っぽいトラック。Zeebraをフィーチャーした"No Picture (On My Phone) [CHIDA Remix]"はロボット・ファンクと言うかエレクトロ気味と言うか、角ばったビート感に加工された不気味なラップも加わり鈍い中毒性が滲む。話題性で言えば一番のRubber Bankによる"Money"は、しかし可愛らしくユーモアの感じられるふざけたようなアシッド・ハウスだが、そのタレント性以上に期待を越えていく曲ではなかったか。その点Keita Sanoによる"Day And Night"はディスコを取り込んで個性を主張しつつも、じわじわと盛り上がってきてトランシーなアシッド・サウンドが入ってくる快楽的な流れが素晴らしく、ディスコ・アシッドと呼びたくなる華麗なアシッド舞踏会だ。その一方で極限まで無駄を削ぎ落とした構成でアシッド・ハウスに取り組んだのが909stateによる"#3 (Spinosaurus)"で、スカスカの骨だけになったようなリズムに単純なアシッドのラインの変化で流れを作っていくのだが、プロト・アシッドみたいな簡素な作風でも酩酊感を誘うのがアシッド・サウンドの魅力なのだ。そしてやはり特別な才能を発揮しているのはGonnoで、"3n55L7nE"では何とブレイク・ビーツを基底にヒプノティックなアシッドを散りばめながらズブズブと深い沼底は嵌めるような奇怪なトラックを披露しており、個性という意味で群を抜いている。他にもまだまだ面白い曲はあるのだが、それは各自で聞いてその魅力を知って頂きたい。アシッド・ハウスと言うジャンル/スタイルは決して一つに収束するものではなく、広がりがあり色々な表現によってトリップ感としても愉快なムードとしても作用する音楽で、実に魅惑的な魔力を持っている事を本作は証明している。



Tracklistは続きで。
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| HOUSE12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Takuya Matsumoto - (Some Lost) Time (BM:BM01)
Takuya Matsumoto - (Some Lost) Time

Claude YoungとのDifferent Worldでも活躍し、そしてまたソロではデトロイト・フォロワー的な音楽性でカルトな人気を博すIndigo Aeraからも日本人としては初の作品をリリースするなど、エモーショナルかつエッジの効いたテクノを手掛けるTakasi Makajima。この度自身でBMレーベルを設立して更に自身の求める音楽性の開拓を進める動きがあるが、そのレーベル第一弾には今や日本のみならず海外のレーベルからも引っ張りだこのTakuya Matsumotoが迎えられた。Matsumotoと言えば美麗なシンセやキーボード使いによって熱情を誘い、またテクノやハウスの中にジャズやフュージョンの要素も盛り込んだグルーヴ感があり、DJとしてではなくトラックメーカーとして機能性よりも音楽的な豊かさにおいて才能を光らせるアーティストだ。そんな音楽性があるからこそNakajimaのそれと共鳴するのは当然だったのだろう、今回は過去に制作された未発表作品を発掘してMatsumotoの魅力をより世界へと知らしめる事に繋がっている。"Time"からして哀しげなシンセのフレーズから叙情性が打ち出されており、そこに跳ねるようなシンセや流麗なパッドが多層的に重ねられて切なさに染まっていくような如何にもMatsumotoらしいトラックだ。機械っぽく響くざらついたブロークン・ビーツが淡々としておりメロディーや上モノとは対照的だが、冷えた雰囲気の中から燻るようにソウルが込み上げてくるように感じられる。こちらも鋭いハイハットが響き機械的な4つ打ちがクールな"Wrap"は、大空へと広がるようなフィルターの効いた淡いシンセや光沢のある綺麗な電子音のメロディーによって爽快感と開放感へと繋がっており、デトロイト・テクノ的なエモーショナルを感じさせる清々しいハウスだ。けたたましいキックに陽気なボーカルのループが印象的な"Springsdub"は、繊細に滴る美麗なピアノのメロディーがゴツゴツとしたグルーヴの中から控えめに優美な雰囲気を発しており、簡素で野太いリズム感が躍動しつつも心に訴えかける感情性も含んでいる。そしてMakajimaがリミックスをした"Jump Rope Music (Different World Remix)"、アコーディオンらしきメロディーが悲哀を奏で太いベースラインによって全体が支えられるこの曲は、当然揺れ動く熱き感情性を持ちながら比較的クラブでの機能性も意識した骨太さがリミックスの効果として現れている。それぞれ2011〜2014年頃に制作された曲のようだが、有名になる前のこの頃から既にMatsumotoのエモーショナルな個性が出来上がっていたのは驚きだ。決して古さを感じさせる事なく、タイムレスな作品であるように響いてくる。



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| HOUSE12 | 11:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Larry Heard presents Mr.White - Virtual Emotion (Alleviated Records:ML-2236)
Larry Heard presents Mr. White - Virtual Emotion
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Larry HeardとMr. Whiteのタッグ再び、過去にも幾度か手を組んで楽曲制作した二人が8年ぶりに再度邂逅する。シカゴ・ハウス、いやハウス・ミュージックという世界に於いては伝説と呼んでも差し支えないHeardは、何も足さない何も引かない的なシンプルな作風から人間味溢れるエモーショナルな心情を吐露する作風を得意とし、そこにMr.Whiteの湿り気を帯びた温かい歌が加わる事で余計に感情を熱くさせる。そんな二人の新作のコンセプトは「異世界のフューチャー・ハウス」だそうで、それが何を示すのかは理解は及ばないものの普段のハウスの作風に加えてややテクノ的な質感がある事が本作の特徴だろう。"Virtual Emotion (main)"は幾分か普段の作風よりも冷えているというかテクノ的な鳴りもあり、特にぶいぶいとした電子音が快楽的でもあるシンセベースがそれに関与している。からっとしたパーカッションや美しく厳かなピアノ使い、繊細に彩る控えめなシンセなどは普段通りで穏やかな情緒が滲み出ているものの、やはりシンセベースのアシッドにも似た太い響きが雰囲気をテクノへと寄せているのだ。そして囁くようなMr.Whiteのボーカルが深遠な世界へと手招きする。"Virtual Emotion (dub)"はそのボーカルを残響をかけて霞のようにダブ化したバージョンで、トラック自体に差異はない。"Supernova (main)"もダークで低辺で蠢くようなベースが強調されていて余計に不穏な空気が満ちたディープ・ハウスで、Mr.Whiteのボーカルにもややエフェクトがかけられているのか鈍い響きをしており、Heardの深遠なる世界は確かにあるものの彼がアシッド・ハウスに取り組んだ時の方向性に近い作風だ。テクノ寄りだからと言って決して激しさをやたらに強調したり硬い音を鳴らしたりではないが、いつもよりクラクラとする覚醒感や恍惚感が打ち出されドラッギーにハメていくタイプになっている。確かにいつもの平穏な日常の中にあるようなディープ・ハウスとは異なる点で、彼等が「異世界」というコンセプトを掲げているのは納得させられる所もあり、意外性を楽しみつつもシンプルな曲そのものの良さはいかにもHeardらしい。



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| HOUSE12 | 17:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
STEREOCiTI - Reflexions (Groovement:GR030)
STEREOCiTI - Reflexions

ベルリンへと移住したKen SumitaniことSTEREOCiTI、移住後も古巣Mojubaから侘び寂びと仄かなエモーショナル性のあるディープ・ハウスをリリースしていたが、この度ポルトガルはリスボンのレーベルであるGroovementから新作をリリースした。Groovementはレーベル関係者の一人でもあるJorge CaiadoやデトロイトのTerrence Parker、日本からはSaiもリリースをするなど注目されるレーベルになっているが、どういうわけかSTEREOCiTIもこのレーベルからリリースした事は何か彼に音楽的な変化があったのかは興味深くあった。"Eu Lembro"を聞いてみるとこれは過去のMojubaから出ていた作風と近いように思え、隙間を強調したミニマルでハウシーなグルーヴに幻想的に延びる上モノのパッド、奥行きを体感させる音響など如何にもSTEREOCiTIらしく思う。やや鋭利な切れ味のあるリズム感はテクノ寄りになったかと思わせるが、宇宙空間を漂うようなSEやデトロイト的な旋律などエモーショナルな点ではそう以前と変わってはいない。"Wee Hours"もやはりグルーヴとしてはハウスのそれと感じられるものの、鈍いアシッドサウンドやヒプノティックに反復する電子音などからはテクノの雰囲気が伝わってきて、ひんやりとクールで機能的な作風は何かしら変化が見受けられる。タイトル曲の"Reflexions"はオールド・スクールな音質と弾むようなリズムに朗らかに浮遊しながら動き回る電子音を配し、控えめに気品や優雅さを纏ったようなディープ・ハウスで、シンプルな響きから叙情性を引き出す魅力的な曲だ。そして"Cancoes do Vento Sul"は今までの作風よりも格段にオプティミスティックで、アブストラクトな音像があった過去の作風からぐっと霧が晴れて嬉々とした空気を浴びるハウス・トラックであり、透明感のある電子音も心地良く舞っている。何か心情的な変化が音に対しても変化を及ぼしたのか、それを知る由もないが、しかし確かな変革の時期は訪れているのか。そう言えば以前会った時にはDJよりもライブをもっとやりたいとも言っていたが、よりアーティストとしてトラックメーカーとして表現力を磨き上げたいという意思があったとしたら、この変化にも関連があるのかもしれない。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Lindstrom - It's Alright Between Us As It (Smalltown Supersound:STS320CD)
Lindstrom - Its Alright Between Us As It
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コズミック・ディスコの一大拠点である北欧はノルウェーにはこの手の音楽では外せない才人を擁しているが、Hans-Peter LindstromことLindstromもその内の一人だ。Prins Thomasとのコンビで話題をさらった彼も近年はソロでの活動が中心だが、ギターやベースにドラムも弾けるマルチプレイヤーとしての力量を発揮して、過去以上にニュー・ディスコやディープ・ハウスのみならずジャーマン・プログレやジャズの要素も咀嚼して、姿を変えるように奇天烈な音楽性を開花させている。特に5年前の『Six Cups Of Rebel』(過去レビュー)では派手派手しい響きやクラウト・ロック的なダイナミズムを取り入れた大作志向となっていたが、本作では再度フロア寄りに回帰しミュンヘン・ディスコやイタロ・ハウスにシンセポップ等のメジャー感が前面に出たダンス・トラックを手掛けている。ショーの幕開けのようなゴージャスで光沢感ある短いイントロの"It's Alright Between Us As It Is"で始まると、続く"Spire"ではディスコティックなドラムから徐々にけばけばしい程の輝きを放つシンセが導入されるシンセポップかエレクトロニック・ディスコか、しかしその艷やかで豊かな音色とスムースで美しい旋律に自然と高揚感を増していく。先行シングルである"Tensions"はLindstromらしいニュー・ディスコであり、シンセのアルペジオや陶酔感ある上モノと軽快に疾走するリズムで心身湧き立つダンス・トラックだが、そこにポップなムードや浮揚感もあって実に清々しい。本作ではボーカル物も用意されており、シンセベースが快楽的な上に色っぽい妖艶な女性ボーカルも起用してイタロ的に仕上げた"Sorry"、ややニューヨーク・ハウスらしくもある歌とエレクトロニック・ディスコを基調にした"Shinin"と、光沢感あるシンセをがっつり使用して派手な装飾を行いながらも歌による効果で情熱的だったりムーディーだったりと変化も見せる。アルバムの中では異色のバレアリック感の強い"Drift"は、ギターやシンセの残響を活かしながら屋外の開放感を感じさせる広がりのあるニュー・ディスコで、長閑な田園地帯をドライブするような雰囲気もあってアルバムの展開の中で落ち着く瞬間となる。そこから色気で誘うミステリアスなボーカルが乗っかった風変わりなディスコ変異体とも言える"Bungl (Like A Ghost)"を通過して、ラストの"Under Trees"は正にラストに相応しい極上の桃源郷が広がっている。透明感を生む神秘的なピアノのコードやメロディーが展開しながら、晴々しい方向に振り切れるかと思いきや混沌の中で情熱が燻り続けるような流れが続き、最後はそのまま淡い余韻を残して消えていく。ダンス・トラックと前衛の融和を見せる不思議な感覚がありながら、最後を締め括るには相応しい感動的な一曲だ。最初にこのアルバムがダンス・アルバムである事は書いたが、しかしそれだけではなくそこに演奏家らしい表現力や多彩な要素を盛り込む事で独自の奇異性も獲得している。やはり北欧のニュー・ディスコ勢の面白さは、こういった奇抜さも一因にあるのだろう。



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| HOUSE12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Session Victim - Listen To Your Heart (Delusions Of Grandeur:DOGCD07)
Session Victim - Listen To Your Heart
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モダンなディープ・ハウス系のレーベルであるDelusions Of Grandeurにおいてもはや疑いようもなく筆頭格と言えるのが、ドイツ出身のHauke Freer & Matthias ReilingによるSession Victimである事に異論を唱える者はいないだろう。間違いないの無い審美眼を持ったサンプリングを武器にファンキーかつエモーショナルなハウスを手掛けるこのユニットは、EPが主流のダンス・ミュージックと言う業界にもかかわらず前述のレーベルから本作にて3枚目となるアルバムをリリースする事からも分かる通り、DJがミックスとして使う単なるツール以上に音楽的な豊かさやライブ性を表現出来る稀有なユニットだ。勿論そんな彼等の真価が問われるのはDJではなくライブというスタイルであり、だからこそライブが前提にあるこのアルバムもサンプリングによって得たディスコやファンクにジャズと言った要素を持ち込んで、更にはドラムやギターやキーボードの生演奏も起用して生々しく胎動するグルーヴを生む事に成功している。幕開けは落ち着いてざっくりしたビートを刻む"Over And Over"、この時点でファンキーなギターやボーカル・サンプルが活きており、生演奏から生まれるであろう湿り気を帯びたディスコな感覚が根付いている。そして続く"Bring It Back"で早くもビートが加速するが、サンプルであろうループの継続感と乾いたパーカッションによる爽快感で、ブラック・ミュージック的なファンキーさを発す。マイナー調でビートダウン的な"Moons And Flowers"は途中から浮かび上がるエレピの旋律が哀愁を醸し、ざっくりしたリズムによるダウンテンポ調の"Unchained"は咽び泣くような枯れた味わいのギターに切なさが込み上げるだろう。また心地良いアフタービートと残響広がるダブの影響が強いムーディーな"Castle For Sale"など、こういった直球的なダンス・トラックとは逆の湿っぽいムードのリスニング調の曲にも長けているのは、やはり彼等がDJではなくアーティストとしての才能の現れだ。その後にやってくる先行EPの"Up To Rise (LP Mix)"はハイライトに間違いなく、耽美なエレピと華麗なキーボードにジャジー・グルーヴやファンキーなボーカル・サンプル、そしてブレイクで挿入される泣きの情熱的なサクソと、Session Victimの魅力を総動員したような作品によってドラマチックに感動の高みへと連れて行かれる。情熱的に盛り上がった後に最後の"Thermal Explorer"では、長き旅情から帰り着いた後のしみじみとした感覚にも似た侘しいダウンテンポで、ひっそりとアルバムは幕を閉じる。何かこれまでの作品から大きな変化があるかと言えば特には無いが、つまりはそれだけSession Victimのサンプリングを武器にした音楽性が完成されているという事でもあり、フロアを揺らすダンス・トラックから心に染みるリスニングまで自然な流れで配置したアルバムは、これまでと変わらず柔軟な多様性による高い完成度を誇っている。素晴らしいモダンなハウス・アルバムだ。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
UGFY - Nu Roots. EP / Workaholystics. EP (UGFY Records:UGFY 002/003)
UGFY - Nu Roots. EP UGFY - WORKAHOLYSTICS. EP

都内各所で熱く猛々しいソウルフルなDJをするYou Forgot、そして近年はDJ Yogurtと制作活動を行うMojaことNuboによるユニット・UGFYが2年ぶりの帰還を果たした。2015年の1stリリースである「Atom Tears EP」ではYou Forgotの敬愛するデトロイト・ハウスやロウ・ハウスへの影響が強く打ち出されており、そこにNuboによるプロダクションが加わる事で荒々しく骨が剥き出しになったような武骨な作品になっていたが、この2枚の新作は前作を軽く飛び越えブラック・ミュージックやデトロイトからの要素を含みながらも、他にはない奇抜さと暴力的にも近いパワーを持ったロウなテクノ/ハウスとして成立している。"Einstein Goes To The Disco"はつんのめるトリッキーなブレイク・ビーツの下で不気味なシンセが胎動を継続し、様々な電子音や効果音を散りばめる事で要所々々で刺激的な瞬間も導入しているが、地面を這いずり回るようなドロドロしたサイケデリック感が鈍く効いてくる。"Nu Roots."はファンキーというかライブ感があるというか、恐らく何かのライブの歓声をサンプリングした事で臨場感を生み出しており、ねっとりハウシーなグルーヴ感が活きている。表面的な音で言えばざらついたロウ・テクノではあるもののグルーヴ感がハウスだったりするのは彼等らしいが、途中から細かいアシッドのシーケンスと覚醒的なシンセのフレーズが入ってきて快楽的になってくるところはディスコティックな黒い芳香も漂っている。2枚のEPの中で最も勢いがあり過激なトラックは"WORKAHOLYSTICS (Live Ver.)"である事は間違いなく、マシンガンの如く放たれる強烈なビートと禍々しく暴走し連打されるアシッド・ベースが疾走し続けるロウ・テクノな作風で、盛り上がった所での一気に引くブレイクなども持ち込んだ構成によりフロア受けする事は保証されている。そんな暴力的なトラックとは逆に摩訶不思議な魅力があるのは"Iho de Sca Ayahuasca"で、呪術的なボーカル・サンプルを執拗に繰り返し奥深い電子音響を展開しながら出口の無い迷路を彷徨うような混沌とした曲調だが、16分にも及ぶ展開の中には覚醒的なシンセのメロディーや笛の響きらしきものなども現れて聞く者を惑わせる。強烈なダンス・トラックから奇妙な電子音響トラックまでそれぞれ4曲に異なる魅力があり、彼等のルーツでもあるデトロイトのテクノ/ハウスに影響は受けつつも模倣ではなくオリジナリティーを確立させた作品として素晴らしい。





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| HOUSE12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Terrence Parker - God Loves Detroit (Planet E:PLE65380-2)
Terrence Parker - God Loves Detroit
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電話機型ヘッドフォンを用いながらスクラッチをガシガシと多用したDJスタイルが印象的なTerrence Parkerは、敬虔なクリスチャンでもあり、それを反映したように祈りにも似たゴスペル・ハウスとも呼ばれる音楽性を武器にDJとして高い評価を獲得している。勿論アーティストとしてもファンキーで骨太なディスコ・ハウスから熱きソウルが燃えるボーカル・ハウスまで良質なDJ向けのトラックを手掛けてはいるが、過去に於いては決してアーティスト業がメインではなく積極的に継続してリリースを続けるタイプではなかった。しかし2013年にPlanet-Eよりリリースした17年ぶりのアルバムである『Life On The Back 9』(過去レビュー)を機に、再度アーティスト業にも力を入れ出しDefectedやGroovementにLocal Talkなど多くのレーベルから新作/リイシューのラッシュ状態。そしてPlanet-Eからの前作が評判が良かったのかまたしても同レーベルからニューアルバムが届けられた。ここでは近年Parkerと活動を共にするデトロイトの女性DJ/アーティストであるMerachka、そして過去にもParkerの作品のボーカリストとして共演しているCoco Streetが参加しており、彼らしいボーカル・ハウスの魅力も詰まっている。先ずはMerachkaをフィーチャーした"Bassment Beats (TP's Bassment Mix)"で幕を開けるが、熱量の高い歌ではなくスピーチとして声を利用し野太いベースラインとパーカッシヴで力強いトラックによって、初っ端から勢いと熱さが発せられる。続く"Don't Waste Another Minute (TP's Classic Piano Mix)"もMerachkaを起用しているがゴスペル的なピアノコードと希望を語るような歌を前面に打ち出し、これぞParkerらしい魂揺さぶるデトロイト・ハウスで、何か笑顔さえ浮かぶようなハッピー感だ。その後の"God Loves Detroit (The Resurrection)"は逆にDJツール的と言うか継続したハンドクラップと展開の少ないループ構成のハウスだが、メロディーではなくグルーヴ感重視な作風が爽快なファンキーさに繋がっている。面白い事にCoco Streetを起用した曲では"Latter Rain (The Healing Rain Mix)"と"Latter Rain (TP's After The Storm Mix)"と異なるミックスが連続しているが、ビートレスにした事でストリングスが映えてアンビエント的な前者とクラシカルなガラージの流れを汲んだUSハウスらしい後者と、元は同じ曲でも随分と違う表情を見せている。そしてシンプルに反復する電子音を用いてテック・ハウス仕立ての"Let's Go"、デトロイト・テクノのアンビエント解釈と言うべき"The Sabath"など今までよりもテクノに寄り添った作風も開花させつつ、ラストにはピアノ主導に神々しいストリングスも用いた祈りを捧げるようなビートレスの"Will You Ever Come Back To Me"で、鎮魂歌を捧げるような慎ましく幕を閉じる。前作からの大きな変化は然程無くおおよそParkerに期待している音楽性だから驚くような作品ではないのだが、これがデトロイト・ハウスなのだという主張は存分に伝わってくる。何と言ってもタイトルが「神はデトロイトを愛している」なのだから。



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| HOUSE12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Talamanca System - Talamanca System (International Feel Recordings:IFEEL063CD)
Talamanca System - Talamanca System
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現行バレアリックを引率するInternational Feel自体が注目の的ではあるが、そんなレーベルからタレントが集まったプロジェクトであれば尚更興味を惹くのは当然だ。それこそレーベルを主宰するMark Barrott、Tuff City KidsからはPhillip LauerとGerd Janson(Running Backの主宰者でもある)が手を組んだプロジェクト、Talamanca Systemである。快楽的な真夜中のフロアとは異なる平穏な日常の視点でバレアリックを解釈するBarrott、イタロやオールド・スクールからの影響が強いニューディスコを得意とするTuff City Kids、そんな人達が集まれば当然の如くダンス・ミュージックという前提は崩れないがその音楽性は穏やかなメランコリーと豊かな色彩感覚を持ったものとなる。始まりのドスドスした簡素なリズムの"Transatlantique"でも古いディスコのような趣きがあるが、清涼感溢れるピアノのコードや透明感あるシンセのラインからは、太陽光が燦々と降り注ぐ野外のバレアリック感が伝わってくる。続く"104"はスローモーなニューディスコ系でブリブリとしたシンセベースが快楽的だが、ここでも凛とした光沢を持つピアノのコードが特徴的だ。"Ancona Ancona"に至っては潰れたようなドラムやゴージャスな光沢あるシンセ使いが80年台のシンセポップを思い起こさせるが、逆にしっとり妖艶で仄かに情緒的なディープ・ハウス性もある"Ocean Grill"ではじんわりと染みるようなメランコリーを発しつつ、そこに心地良いアシッド・サウンドが良い陽気なムードを付け加える。アルバムの後半は奇怪さが打ち出ており、原始の胎動を思わせる土着的なアフロ・リズムに奇妙な獣の鳴き声らしきものも聞こえる"Conga Cage"、ロウなビートに様々のトリッピーな効果音が用いられて恍惚感を煽るイタロ的な"Experc"、華々しい電子音がラストを飾るべく祝福を奏でてサントラ風と言うかシネマティックな叙情性を描くノンビートの"Aurorca"と、3人のアーティストが集まっただけに音楽性は多用さを獲得している。勿論そこにはバレアリックと要素が中心にあり、密閉されたフロアの中ではなく広大な空の下で豊かな自然に囲まれた開放感溢れる場所で聞きたくなる、そんな太陽に照らされた明るさが通底する。3人だからこそのマジック…というものではなく、予想を越えてくる作品ではないが3人の音楽性を丁寧に反映させており、アルバムからは正しく長閑なバレアリック感が広がっている。



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| HOUSE12 | 15:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
246 aka Susumu Yokota - Classic and Unreleased Works 1995 (Music Mine:MMCD-20021)
246 aka Susumu Yokota - Classic and Unreleased Works 1995
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2015年3月27日に人知れず他界したSusumu Yokota。日本のテクノ/ハウスの創世記から活動しジャンルにとらわれる事なくユーモアやメランコリーを織り込んだ独特の世界観を以てして、早くから日本よりも寧ろ海外で高い評価を獲得していたアーティストの一人である。彼が亡くなって以降に追悼の意味も込めて過去の複数の名作が復刻されたが、その恐らく最終章が246名義の本作である。この名義では1995年に2枚のEPをリリースしたのみでそれ以上の拡張はなかったものの、ここでは前述のEPと共に同時期に制作された未発表の5曲を追加して初CD化となった。この頃のYokotaと言えば複数の名義で膨大な作品を残しており、それと共にアシッドからトランスにアンビエントまで到底一人のアーティストによるものとは思えない程の音楽活動を行っていた。そんな中での246名義では比較的シンプルなハウスに着目しており、と言っても例えばコテコテソウルフルなハウスでもなければ当時隆盛を誇っていたタフなハードハウスとも異なり、ここでもYokotaの繊細かつ研ぎ澄まされた審美眼が活かされたハウスを展開している。リズムはオールド・スクールで乾いた質感の簡素さが通底する4つ打ちの"Do Up"、しかし薄っすらと張り巡らされたパッドや繊細なピアノの耽美な響き、その一方で遊び心溢れるアシッド・ベースがうねりながら疾走するハウスは、これが誰の物真似でもないYokotaの音である事を主張する。ソナーのような電子音の反復と正確な4つ打ちによるタイトな"Deck Up"は、感情が排除されたように熱くもならずかと言って冷めるでもなく淡々とミニマル的な要素があるが、控えめに用いられる優雅な電子音のメロディーにはYokotaらしさがある。やはり乾いたキックとスネアにハイハットが強調された"Escape"のオールド・スクール感、そしてピアノ系の流麗なコード展開を聞いていると同時期に活動していた寺田創一の音楽性を思い起こさせる点もあり、所謂近年世界的に見られるジャパニーズ・ハウス再評価の中に本作も含まれるべきだと思う。または同時期にリリースされていた『Metronome Melody』に通じるようなハウスもあり、例えば快活な電子音のシーケンスと滑らかなグルーヴの"Chill Up"は催眠的だ。一貫して言えるのはどの曲に於いても強く感情性を打ち出すと言うよりは、Yokotaらしい侘び寂びにも似た最低限の装飾による控えめな美しさが光っており、それが成熟を迎える前の段階だったのかそれとも既に境地に至っていたのかは定かでないが、しかしそこに彼の個性が見つけられる。これにてYokotaの音楽の掘り起こしは終わりかと思うと少々寂しくもあるが、とても素晴らしい作品だ。

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| HOUSE12 | 01:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |