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Enitokwa - o.n.s.a. (non-entertainment-research:nercd003)
Enitokwa - o.n.s.a.

2016年に『2069』(過去レビュー)で突如復活を果たしたTakashi HasegawaことEnitokwa、その勢いは止まらずに2017年も新作をリリース。本作は1865年創業のお茶屋さんである宇治香園が提唱する"Tealightsound"(Tea+Light+Sound)シリーズの第3弾と企画物ではあるものの、これが完全にEnitokwaのスピリチュアルな音楽観にはまった快作で、忙しない日常や喧騒にまみれた都会生活に疲れた人達にはうってつけの癒やしのアンビエントとなる事は間違い無し。『2069』でも非日常のユートピア的な夢想空間アンビエントを展開したEnitokwaであったが、ここではアンビエントと言う共通項は持ちながらも更に静穏さを強めた侘び寂び的な方向へと突き進み、プリペアド・ピアノにフィールド・レコーディングと電子音の超自然的な融和が成されている。便宜上5曲にトラック訳はされているものの一つの作品として特に曲名はなく、40分弱に渡っての禅への道が開かれているが、茶園を含む茶を作る一連の音、そして大阪や黒島でのフィールド・レコーディングを含む響きは静謐という表現が相応しい。長閑な雰囲気に鳥の囀りから始まるオープニング、川のせせらぎらしき音も加わり木々が生い茂る自然の中に居るような感覚に包まれて、静かにしかし確かに存在する生命の営みが浮かび上がる。静寂を強調するように純朴で無垢な電子音が点描のように打たれながら間を作り、そして2〜3曲目ではプリペアド・ピアノや不思議な音響(茶を制作する際の一連の音か?)も加わり、奇妙な世界観の中にも枯山水的な侘び寂びの風景を浮かび上がらせる。自然の中に存在する、いや自然と同化したかのように精神から意識は取り除かれ、ただただ清涼な自然音と電子音に身も心も満たされていく。4曲目では一点して不気味な効果音の中に雷鳴が轟き大自然の厳しさと共にそれが常に移ろいゆくものである事を示唆しており、だからこそそれがより超自然的な力をより明白に伝える。そしてラストの5曲目では不安だった天候から再度雲の切れ目から日射しが降り注ぐように煌めく電子音が繊細に浮かび上がり、体の隅々まで浄化する電子音がうっすらと延びながら綺麗に消失する事で一連の流れは何も無かったかの如く終結する。調和と不安が入り交じる自然の胎動に揉まれながら、最後には何も残らずに侘び寂びのみを肌に感じる感覚の研ぎ澄まされたアンビエント・ミュージックは、前作以上の忘我を体験させるに違いない。就眠時のBGMとして、昼下がりの白昼夢の音として、または寝ぼけまなこの早朝の目覚ましとして、どう使ってもぴったりとはまる快適性。極楽浄土はここにあったのだ。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
The People In Fog - Last Song EP (Sound Of Vast:SOV011)
The People In Fog - Last Song EP.
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日本人のKnockとベルリンのRed Pig Flowerによって設立されたSound Of Vastはまだ発足3年ながらも、近年特に成功したレーベルの一つに挙げられるだろう。ミニマル、テック・ハウス、ディスコ、アシッド・ハウスと何か型が決まっているわけではないが、どれもフロアでの実用性重視なダンス・トラックとして成り立っており、EPを購入するに辺りある程度の信頼の於ける指標を備えている。そんなレーベルの中心的存在の一人がThe People In Fogだが、実はDJ Sodeyamaの変名ではあるものの、もはやThe People In Fogの変名の方が特にアーティスト性が際立っているように思う。大雑把に分けるとしたらDJ Sodeyamaがテクノの、The People In Fogはハウスのグルーヴなのだが、その後者の名義に於いてもディープな空間系からオールドスクールなシカゴ・ハウス系まで幅はあり、しかしそのどれもが的確にフロアを捉えている。そして同レーベルからは3作目となる本作、ここでは前作のサンプリング主体の荒々しいファンキーなハウスとはまた方向性を変えて、普段よりも滑らかなモダン・グルーヴとひんやりしながらも華麗なテック・ハウス寄りの作風が打ち出されている。骨太なキックで始まる"Last Song"はその開始から無骨なハウスを予感させるが、しかし空間の奥底で鳴り続ける微細なノイズや残響のあるSEを用いて低空飛行を続けながら、そこから純朴で朗らかなピアノが現れてくると清々しく幻想的な響きが広がるハウスである事に気付かされる。終始一定したビートが続き劇的な展開はないが、その分だけじわじわとくる持続感と繊細な音響の中に美しく映えるピアノによって程良い高揚感を得る事が出来る。カラカラとした乾いたパーカッションとハイハットによる繊細なリズム、そこにふわっと漂う幽玄なパットによるテック・ハウス気味の"Get Funky"は、しかし軽快ながらも何処までも続くミニマル性とボーカルサンプルも効果的なファンク性があり、正にそのタイトルに偽りなし。同様にファンキーなボーカルサンプルを執拗に用いた"Allright"は、リズムは詰まったように変則的で抜けの良いパーカッションが乱れ打ち、浮かんでは消える霧らしく浮遊するパッドに惑わせられるユニークながらも幻惑的なテック・ハウスだ。作品毎に様々な顔を覗かせるThe People In Fog、実に面白くなってきた。



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| TECHNO13 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Michael Mayer - DJ-KiCKS (Studio !K7:K7348CD)
Michael Mayer - DJ-KiCKS
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クラブに行かなくても、そしてCDすら買わなくても、最早オンラインでパーティーでのプレイを録音したDJMIXが無料で聞けてしまう時代に、敢えてお金を取ってMIXCDを販売する意味を見つけるのは難しい(勿論音が良いとか、良く練られているとかはあるだろうが)。だからこそ逆説的にクラブの雰囲気ではなくパーソナルな感情を綴ったようなDJMIXとして成功したのが、このStudio !K7が送る『DJ-KiCKS』シリーズだ。1995年に開始して20年以上60作を超えるこのシリーズは、浮き沈みの激しいダンス・ミュージックの業界に於いては最早ど定番と呼んでも差し支えないが、その一方でクラブのハイエナジーな雰囲気を再現しただけのMIXCDとも異なる点で独自性を確立させていた。本作はKompaktの主宰者の一人であるMichael Mayerによるもので、普段はテック・ハウスを軸にミニマルなグルーヴ感でポップやニューウェーブの雰囲気を含むプレイをする記憶があるが、ここでは本人も「できるだけパーソナルな内容にしたかった」と述べている通り一般的な真夜中のダンス・パーティーで聞けるプレイよりもリラックスした緩やかさと程良い甘さがあり、そして丁寧に各曲の魅力を伝える事に専念するかのように1曲を長くプレイしている。幕開けはアバンギャルドなトロンボーン楽曲の"The Tape Is Chill"で夢現の朧気な雰囲気で、そこに自身の新曲であるパーカッシブなハウスの"The Horn Conspiracy"を繋げてビートが動き出す。ギラついて毒っ気もあるニューディスコ調の"The Darkness (I:Cube Remix)"からジャーマン・プログレのダンス版みたいな"Feuerland"の流れは、Kompaktらしいユーモアとポップさもあるのはやはり頭領だけの事はあるか。中盤でのロックでニューウェーブ調の"Gary"で俗世的に攻めつつ、"Apart (Michael Mayer Remix)"や"Please Stay (Royksopp Remix)"等のメランコリーな歌物やポップなニューディスコによってしっとり感情が温まる後半の流れは盛り上がりどころで、そして"Hot On The Heels Of Love (Ratcliffe Remix)"によるエクスペリメンタルながらも叙情性ふんだんなダンス・トラックで多幸感はピークに達する。そしてビートが消失して落ち着きを取り戻す牧歌的な"Landscapes"から、再度力強くリズムを刻み出して感情を昂ぶらせる"Abandon Window (Moderat Remix)"でドラマティックなフィナーレを迎える。やや陰鬱さや内向的な要素もありながら、しかしポップでメランコリーに振れる展開もあり、普段のミニマル寄りのプレイと違っても確かにここにはうっとりと酔いしれてしまうような魅力があり、『DJ-KiCKS』として存在意義も感じられる好内容。夜の
ベッドルームでじっくり耳を傾けて聞くのにぴったりだ。



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| TECHNO13 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Dices - Internal Ambience EP (Pandora:PAN 003)
Dices - Internal Ambience EP
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ドイツからロシアや日本のディープ・ハウスをも掬い上げるRough House Rosieは、アブストラクトな音像や瞑想を誘発するアンビエント性を伴った特色を持った個性的なレーベルだが、そこから派生した姉妹レーベルであるPandoraは更にアンビエントへと向かい揺らめく深い音響を持つ事に特化している。2014年に立ち上がったレーベルはまだ作品数は少なく本作で3枚目ではあるが、Rough House Rosie路線を追っている人であれば勿論Pandoraの音楽にも魅了される事を保証する十分な質の高さを既に発揮している。Dicesについては余り情報が無いのだがサンクトペテルブルクで活動するロシア系のアーティストらしく、過去にはUdachaからのリリースやVakuraにもフィーチャーされるなど、何となくではあるがアンビエントな要素を持っている事が想像される。ここでも踊らせるのでもなく非現実の中を夢遊するアンビエントが展開されており、"Part 1"では環境音らしき微小なノイズの中に遠くで鳴っているような耽美なピアノが浮かび上がり、ゆったり揺らめくディレイの効いたダビーなリズムや様々な効果音を取り入れて、幻想に包み込むように惑わせる。"Part 7 (with Nick Ossia)"は11分にも及ぶ大作で最も不鮮明で抽象度を高めており、微細なノイズや朽ち果てた金属音に泡の弾けるような音などがバックで鳴りつつ、淀んだ霧の中でゆっくりとしたキックがビートを刻む。ぼやけた音像の中には叙情的な旋律が隠れており決して無味乾燥とはせず、寧ろ生温かくオーガニックな響きさ伝わってくる。B面はややリズムが強くなったトラックが収録されており、宙をうねる電子音と金属的な鳴りのするハイハットにより硬質さが打ち出てサイケデリックな酩酊感を及ぼすダブ・ハウスの"Part 5 (with Nick Ossia)"、そして潰れたような粗いドラムが激しく鳴る本EPでは最もダンス色の強い色褪せたミニマル・ダブ×テクノな"Part 3"と、意外にも真夜中のダンス・フロアでも高揚感を誘うであろう曲もある。しかしどの曲にしても掴みどころのないミステリアスな響きが - それは秘匿性の強いアーティストの存在感そのものでもあるが -、 微睡ろんで夢の中を揺蕩うような感覚に陥らせるのだ。



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Rhythim Is Rhythim - Icon / Kao-Tic Harmony (Vince Watson Reconstructions) (Transmat:MS 091)
Rhythim Is Rhythim - Icon  Kao-Tic Harmony (Vince Watson Reconstructions)
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リリースのずっと前から噂になっていて随分と待たされた2017年の目玉作品の一つ、それがRhythim Is RhythimことDerrick Mayによる名作であるIconとKao-Tic Harmonyのリミックス。手掛けたのは強烈なデトロイト・テクノ愛が自身の音楽性にも反映されているUKのVince Watson。歴史に残る名作のリミックスを行うのはおこがましい、または手に余る可能性が大きいのだが、そこはデトロイト・テクノの叙情性にも負けず劣らずな音楽的才能を持つWatsonであればこそ、原曲の魅力を損なう事なく現代のダンス・ミュージックに寄り添い機能性を磨いたリミックスを披露している。オリジナルへの敬意もあるのだろう、そしてオリジナルの揺るぎないクラシックたる存在感は、やたらめったらに手を加える必要はなくただその流れに沿えば良い。"Icon (Vince Watson Remix & Reconstruction)"はあの幽玄に微睡むようなぼんやりと浮かび上がるパッドはそのままに、Watsonお得意の物悲しくも闇の中に映える美しいピアノを加え、滑らかでハウシーな4つ打ちにする事によって他の曲とのミックスの相性も増した作風。オリジナルがその曲だけで成立する程のものだから決してミックスに向いているとは言えないが、それはWatsonによって幽玄さを保ちながらもツールとして使用される事も考慮したアップデートが成されたのだ。若かりしCarl Craigも制作に参加していた曲も、Watsonの手にかかれば繊細なブレイク・ビーツからハウスの4つ打ちに生まれ変わった"Kao-Tic Harmony (Vince Watson Remix & Reconstruction)"、これも曲のSF的なレトロ・フューチャーの世界観や壮大な叙情性は全く損なわれていない。繊細でパーカッシヴなリズムによる跳ね感は活きつつも滑らかに疾走するグルーヴが生まれ、そして物憂げで何処か儚くもあるシンセのメロディーはそのままに、デトロイト・テクノのソウルを大切に扱ったリコンストラクションだ。本作に限って言えばクラブ・ミュージックとしてのリミックスの妙を楽しむような作品ではない、寧ろオリジナル・デトロイトの音に忠実に今風な装飾を施した程度で、現在のダンス・ミュージックらしくツール性にも気を遣った再構築と捉えるべきだろう。驚くべき作品ではないが、ずっと心にあり続けていた音が今に蘇ったような懐かしさのある名作だ。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Space Dimension Controller - Exostack (R & S Records:RS 1703)
Space Dimension Controller - Exostack
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2016年には2枚目となるアルバムをNinja TuneからリリースしたJack HamillことSpace Dimension Controller、しかしその音源はリリースの8年も前に制作された音源であり、デビュー以降のR & S Recordsからリリースしていた音楽性とはやや乖離していたと思う。そのアルバム以降初の作品となるのが本EPで、R & Sへ帰還しての新作はこれこそSpace Dimension Controllerらしいコズミックなシンセ・ファンクで、レーベルとの親和性の高さを伺わせる。タイトル曲の"Exostack"が何と言っても素晴らしく、キラキラとしたサウンドとモヤモヤした抽象性のコズミックな幕開けから軽くも鋭い4つ打ちが入ってきて、そして彼らしい分厚いベースがファンクを鳴らすダンス・トラック。宇宙遊泳を体験するような浮遊感あるシンセに導かれながら、奇抜なSEが入ってきたりうねる電子音が炸裂する中盤はその険しい旅路を表現しているのか、ストーリー仕掛けのSFを展開する彼らしさは十分だ。"Biopan"はストレートなハウストラックで、シカゴ・ハウス風な安っぽくカタカタしたリズムに宙を浮遊するモヤモヤしたシンセを配して、ややアンビエントな夢想の中を漂い懐かしさも含んだレトロ・フューチャーな世界観がある。そしてスウェーデンのStudio BarnhusからリミキサーとしてKornel Kovacsが"Exostack (Kornel Kovacs Remix)"を提供しているが、上モノの浮遊感ある印象はそのままにボトムは太いキックに差し替えた4つ打ちディープ・ハウス色が強く、更にディレイする耽美なパッドも加えてエレガントに彩られてガラッと様相を変えており、フロアでの使い易さも意識した機能性を兼ね備えている。Space Dimension Controllerの宇宙志向なオリジナル、リミックスのハウス・グルーヴも上手くはまっていて、どれも期待通りの作品だ。



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| TECHNO13 | 11:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Satoshi & Makoto - CZ-5000 Sounds & Sequences (Safe Trip:ST 006)
Satoshi & Makoto - CZ-5000 Sounds & Sequences
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販売されていなくても素晴らしい音楽は実はひっそりと存在している、但しそれを見つけるには飽くなき探究によってのみなのだろう。イタロ・ディスコ/ハウスをこよなく愛するYoung MarcoがCZ-5000というカシオのシンセサイザーを調べているうちに、YoutubeでCZ-5000を演奏している双子のSatoshi & Makotoの動画を見て、それに感動したMarcoはリリースする為に二人とコンタクトを取り音源を送ってもらったそうだ。結論から言うとこのアルバムは本年度の電子音楽系のベスト5に入れたい程に素晴らしい作品で、CZ-5000という発売から30年以上経過している古い電子楽器を用いても、こんなに豊かな表情を持った音楽を作れるなんて驚き以外にない。二人はYMOやKraftwerkに興味を持っていたそうだが、正に電子音楽への探究心はいつしかCZ-5000を舐め回すように愛着へと変わり、その結果CZ-5000の魅力を最大限に引き出す事に成功したのだろう。ジャンル的にはビートの無いアンビエントか多幸感ふんだんなバレアリックかと言った印象だが、クラブに向けてではなくベッドルーム内での音楽はやはり内省的にも思われる。ふわふとしたサウンドの反復によって長閑な日常を彩るような明るいアンビエントの"Flour"、ノスタルジーにも近い切なさを誘発するしんみりしたメロディーと抜けの良いパーカッションを用いた"Bamboo Grove"、決して享楽的な志向ではなくイマジネイティブでもある豊かな情景が浮かび上がる。控えめにリズムも入った"Untitled"はプロト・ハウスとでも呼ぶべきか、素朴さが可愛くもある。広大な夜空に瞬く星のように電子音がきらきらと広がる"Ar"、夢の中を浮遊するドリーム・アンビエントは優しく、そして心地良い。"Lumiere"も同様に昼下がりに微睡みに落ちて行くようなアンビエントだが、"Poincare"では一転して目が覚めた如く電子音が軽快に弾けるポップさもあり、CZ-5000だけを用いた制作ながらも実に曲毎に豊かな表情を見せる。偏に二人のCZ-5000への愛情がその可能性を引き出した事実、それがSafe Tripというレーベルのバレアリック性に適合した事、そしてその音楽がMarcoの目に留まった流れは奇跡的にすら思える。シンセサイザーの魅力がたっぷりつまったドリーミーなバレアリック/アンビエント、聴き逃す事なかれ。



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| TECHNO13 | 11:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
GAS - Narkopop (Kompakt:KOMPAKT CD 136)
GAS - Narkopop
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2017年のテクノシーンに於いて絶対に欠かす事の出来ない話題の一つに、本作は間違いなく含まれている。それこそドイツはKompaktの創始者の一人であるWolfgang VoigtによるGas名義のニューアルバムであり、この名義では何と17年ぶりとなる新作だ。30にも及ぶ変名を用いながら様々なジャンルを展開してきたVoigtにとっても、このGas名義はかつてのMille Plateauxで成し遂げたアンビエント×ミニマルの究極的な形であり、4枚のアルバムを送り出してからはパタリと活動が停止した事で逆に伝説的なプロジェクトとして評価されていた。近年はGas以外の複数の名義を用いてテクノだけに留まらない音楽性とそこにアートとしての要素も加えて芸術家的な活動を精力的にしていたVoigtだが、やはりこのGas名義は別格と言うべきか、その音の存在感や快適性は格段にスケールが大きい。アルバムには10曲が収録されているがそれらは便宜上トラック分けされているだけであり全ては繋がっており、またイメージを排除するようにかつてのアルバム同様曲名は付けられておらず匿名性を際立たせて、ミニマルの性質と抽象的なアンビエントによって終わりの時を迎える事が無いような音楽の旅を展開している。寒々しく虚構の中にあるような森の写真がジャケットに用いられているが、鳴っている音楽も正にそのようなイメージで、フィールド・レコーディングと電子音のドローンとオーケストラのサンプルによって生まれるシンフォニーは何処までも抽象的だ。アルバムは重厚で荘厳なオーケストラによる"Narkopop 1"で始まり、寒々しい電子のドローンが重苦しくガスの様に充満しつつその中からハートビートらしきリズムが現れる"Narkopop 2"、一転して物哀しいオーケストラによって悲壮感に包まれる"Narkopop 4"と全ては繋がりながら境界を不明瞭にしながら展開を繰り広げる。そしてドローンに満たされながら潰れたような4つ打ちのリズムがエレクトロニック・ボディ・ミュージックを思い起こさせる"Narkopop 5"、歪なノイズが持続しながら華やかで美しい弦楽器が明瞭なメロディーを奏でる"Narkopop 6"、そして最後の17分にも及ぶ"Narkopop 10"で総決算の如くぼんやりとした4つ打ちのリズムと不鮮明なドローンと荘厳なオーケストラが一体となり、ミニマルな展開の中で時間軸も分からなくなるような迷宮的な流れによってなだからに終焉を迎えていく。音だけを聞いてもGasというアーティスト性が分かる完全に個性が確立されたミニマルかつアンビエントな音はここでも変わらず、前作から17年の歳月を経てもそこから途切れる事なく続いていたかのような音楽で、VoigtにとってもGasはライフワークと呼べるものに違いない。催眠的で快眠なアンビエント、意識は深い森の中に埋もれていく事だろう。



Cjheck "Wolfgang Voigt"
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Juan Atkins & Moritz von Oswald Present Borderland - Angles (Tresor Records:resor296)
Juan Atkins & Moritz von Oswald Present Borderland - Angles
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Tresorがかつて成し遂げたデトロイト×ベルリンの交流の成果、それはレーベルの第一弾が今となっては奇跡的なX-101(Underground Resistance)である訳だが、今も尚その交流は別の形となって現れている。それこそがデトロイト・テクノのパイオニアであるJuan Atkinsとミニマル・ダブのオリジネーターのMoritz von OswaldによるBorderlandで、
2013年に発足したこのプロジェクトは単発プロジェクトに留まらずに進化を続けている。2016年には2ndアルバムとなる『Transport』(過去レビュー)をリリースしたばかりだが、音楽への意欲は全く留まる事を知らずベテラン二人は更なる新作を投下した。僅か2曲のみの新作ではあるが、その内容たるや熟練者としての洗練された音響とテクノへの純粋な愛が表現されたもので、流石の貫禄を感じさせる。"Concave 1"は程よく厚みのあるベースラインや無機質なハイハットが機械的でひんやりしたビートを作りつつ、Atkinsらしい浮遊感とスペーシーな鳴りを伴う上モノのシーケンスで、無駄な音を付加する事なく微細な変化を織り交ぜながら徹底的にグルーヴ重視のフロア・トラックに仕上がっている。一方"Concave 2"はMoritz色が打ち出たのかBasic Channelを思い起こさせるリバーブを用いた上モノのモヤモヤした音響の艶めかしさ、曲尺は10分近くにまで延ばされてよりミニマルに、そして空間の奥ではアシッド的な電子の靄が渦巻いて、亜空間的なミニマル・ダブ音響を構築している。どちらのバージョンにも言える事は余計な音を削ぎ落としながら隙間を感じさせる空間的な響きがあり、またデトロイト・テクノ特有の宇宙への思いが馳せるようなシンセの使い方と、つまりは前述のデトロイト×ベルリン同盟の交流の成果の証なのだ。流行の音楽に一切左右されず、自ら開拓してきた道を更に伸ばしていくその仕事は職人的でさえある。



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| TECHNO13 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Sven Weisemann - Separate Paths EP (Delsin Records:121dsr)
Sven Weisemann - Separate Paths EP

ベルリンから美しさに秀でた音響ディープ・ハウスを追求するSven Weisemann、テクノ〜ハウス〜ダブと振り幅を持ちながらもどの作品に於いても彼らしい静謐な美的センスが現れており、ダンス・ミュージックとリスニングの間を上手く渡り歩くアーティスト。過去にはオランダに於いてデトロイトの叙情性ともシンクするDelsin RecordsからEPをリリースしていたが、同レーベルに2年ぶり復帰したのが本作だ。ともすればフロアから意識的に乖離したようなリスニング向けの作品を作る事もある彼が、ここではDelsinというレーベル性に沿ったように比較的ダンス色の強いトラックを聞く事が可能で、それでも尚繊細なダブ音響も体感出来る点で秀逸だ。特にA面の2曲が素晴らしく、うっすらと浮かび上がる叙情的で空気感のある上モノに合わせてずんずんと胎動のような4つ打ちで加速する"Dopamine Antagonist"は、朧気な呟きやリバーブの効いたサウンドを活かして奥行きを演出したディープなダブ・テクノで、勿論フロアでの機能性は前提としながらも揺らめくような官能性にうっとりとさせられる。A面のもう1曲である"Cascading Lights"はややテクノのプロトタイプのようなたどたどしさが打ち出た音質のリズムで、そこにしなやかに伸びるパッドを用いて初期デトロイト・テクノらしいエモーショナルな響きを合わせ、例えばCarl Craigの初期の作品とも共鳴するようなあどけなさが感じられる。またB面にも落ち着きを伴うダンス・トラックが収録されており、淡々とした4つ打ちで冷静さを取り戻しつつしっとりとしたダブの音響や音の強弱を用いつつ、暗闇の中で煌めくようなシンセワークも用いてBasic Channelの作風を踏襲したダブ・ハウスの"Maori Octopus"と、ビートが極端に落ちた分だけ正に空気の如く揺らぐダビーな音響が強く感じられるダブ/レゲエをテクノとして解釈したような"Separate Paths"と、これらもWeisemannの音響への拘りが如実に発揮された作品だ。僅か4曲のみ、しかしそこには個性と振り幅があり最大限にアーティストの音楽性を体験するには十分過ぎる内容だ。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |