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MASANORI NOZAWA
MASANORI NOZAWAの初のアルバムは美しく情熱的なテクノ/ハウス、バレアリックなムードも。リミキサーにはXtalやInner ScienceにHiroshi Watanabeなど。2枚組で充実した力作です。12/27リリース!
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Pop Ambient 2018 (Kompakt:KOMPAKT CD 142)
Pop Ambient 2018
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シリーズ物としては長い歴史を誇るKompaktが手掛ける『Pop Ambient』シリーズもこの2018年を冠した本作で18作目に突入。アンビエント・シリーズとしては最高峰に属するのは言うまでもないが、それもKompaktの元頭領であり現在は芸術的に音楽を追求するWolfgang Voigtがこのシリーズに限ってのみ監修をしているからこそで、昔よりはやや商業的な動きもあるKompaktの中でもこのシリーズのみはVoigtの審美眼によって純粋にアンビエントの追求を継続している。例えば日本からは過去のシリーズにも登場しているYui Onoderaが本作にも(しかも2曲も)起用されていたりと、他のアーティストもそうだが単に知名度を優先したような選び方でない事は明白だ。またVoigtが来日した際に制作を依頼されたと言うHiroshi WatanabeことKaitoもシリーズ初参戦を果たす等、Voigtのネットワークが有効に働いているのだ。アルバムはKompaktの中では新世代に属するFresco & Pfeifferの"Splinter"によって幕を開けるが、凍えきった厳寒の空気が広がる冬景色の中でか弱い灯火で暖を取るようなアンビエントは、静けさの中に優しさが溢れている。そしてYui Onoderaによる"Prism"は彼らしい荘厳なドローンと弦の音色を用いて大人数の演奏によるクラシックを聞いているかのような重層的な響きがあり、ゆっくりとした流れの中に生命の胎動にも似た動きが聞こえる。レーベル初登場となるカリフォルニアのChuck Johnsonは、薄いパッドを静けさを保ちながら伸ばしてその中に悲哀を醸すペダル・スチール・ギターを鳴らし、夢と現の狭間に居る心地良い"Brahmi"を提供。そしてダンス・ミュージックだけでなくアンビエントに対しても造詣の深いKaitoには当然注目で、アコースティック・ギターの和んだメロディーとしなやかに伸びるパッドで広がりのある大空へと浮かび上がっていくような開放感ある"Travelled Between Souls"を提供しており、幻想的なトランス感を誘発する。Kompakt組として常連のThe Orbはやはり普通のアンビエントをやる事はなく、ややダブ/レゲエの音響やリズムも匂わせコラージュ的な捻れた世界観のある"Sky's Falling"はアーティスト性が出ていて面白い。同様にレーベルの古参のT.Raumschmiereは雪が吹き荒れる厳寒のような重厚なドローンによる"Eterna"において、大きな動きはないものの圧倒的なドローンの重厚さの中にロマンティックな響きを閉じ込め、ただただその壮大さに圧倒される。他にも同シリーズには常連のKompakt組がいつも通り静謐で美しいアンビエントを提供しており、シリーズの長さ故に金太郎飴的な点もありつつも他の追従を許さないレベルの高さを誇っている。凍える冬に温まるBGMとして是非利用したいアンビエント・アルバムだ。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Laurent Garnier - Tribute EP (Kompakt Extra:KOM EX 95)
Laurent Garnier - Tribute EP
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フランスのテクノ…いや、ダンス・ミュージックに於ける伝道師のLaurent GarnierはDJとしては超一流である事は間違いなく、ジャンルに束縛されずにその垣根を飛び越えながらフロアを揺らすスタイルが彼の武器になっている。その一方でアーティストとしての側面もあるものの、やはりDJ気質な故かその作品の出来にはムラっ気があるのも事実だ。そんな彼の2年ぶりの新作はKompakt系列のKompakt Extraからとなれば当然の如くツール性も意識してフロア向けの作品となっており、どちらも10分以上の長尺の構成を活かしてじわじわと盛り上げていくピークタイム使用な出来だ。"1-4 Doctor C'est Chouette"はフランスからデトロイト・テクノへの回答とも呼べるクラシック"Man With The Red Face"を思い起こさせるエモーショナルなトラックだが、テクノだけではなくエレクトロやアシッドにプログレッシヴ・ハウスといった要素が混在する作風で、それはさながら彼が一晩で様々なジャンルをプレイするダンストラックを凝縮したかの様でもある。締まったキックによるミニマルな4つ打ち、覚醒感を煽る鈍いベースラインから始まりぼんやりと浮遊する電子音を散らして疾走しながらもじわじわと侵食する序盤、それはまるでピークタイムに向けてエネルギーを溜めているのか。そして遂にピコピコとしたシーケンスとアシッド気味のエグいメロディーが出現し暴走気味になる中盤以降のピークタイム、真っ暗な宇宙空間を高速で飛んでいくロケットのような危険と隣り合わせながらもドラマティックな展開は、フロアでも特に盛り上がる時間帯に完全にハマるだろう。もう1曲の"From The Crypt To The Astrofloor"も壮大な展開を繰り広げるが、ギャラクシー空間の惑星間を擦り抜けていくような鬼気迫る雰囲気はRed PlanetやUnderground Resistanceのコズミック色の強いテクノへのGarnierによる回答と勝手に解釈してしまう程だ。分厚く鈍いベースがウネリながらプログレッシヴかつスペーシーなシンセが伸びていく中で、鋭利なハイハットや叙情性の強いパッドが現れ精神波らしくディープに作用する曲調は、一触即発な危うさと共に劇的なエネルギーを放出する。どちらもGarnierの強烈なダンス・グルーヴとロマンティックな世界観が投影されたピークタイム向けの大作で、何だか聞いているだけで彼が熱狂的なダンスフロアの中でプレイしている様が目の前に浮かび上がってくる。



Check Laurent Garnier
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
DJ Stingray - Kern Vol. 4 (Tresor Reocrds:KERN004CD)
DJ Stingray - Kern Vol. 4
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バラクラバを被った印象的な顔写真がジャケットに起用された本作を見ると、例えば匿名性の高いアンダーグラウンドな活動を行っていたUnderground Resistanceを思い起こすのもおかしくはない。そのアーティストは、アーティスト名とバラクラバはデトロイト・エレクトロの最深部でありURの一員でもあったDrexciyaの故メンバーから貰ったのだと言う事からも分かるであろうが、つまりはオリジナルのデトロイト・エレクトロを今に継承する人なのだ。その人こそUrban TribeとしてPlanet-EやMo Waxでの活動で注目を集め、その後はRephlexやMahogani MusicからDrexciyaの魂を受け継ぎデトロイト・エレクトロを開拓してきたSherard Ingramである。今、彼の音楽は面白い事にヨーロッパで求められており例えばBerghainでもプレイをしたり、または2017年のTresorでの年越しパーティーにもブッキングされるなど、水面下に沈んでいた本場エレクトロがアンダーグラウンドと言う世界から浮上し大衆から渇望されているように思われる。しかしアーティストとしての活動は多くの人はご存知だろうが、そもそもDJとしての活動(日本への来日も数える程だ)は決して注目を集めていたわけでもないだろうし、一体どんなDJをするのか?と気にはなっていたが、本作で蓋を開けてみればエレクトロ節全開でオールド・スクールから現在形のそれまで懐古的になる事なく未来の視線を向いた内容になっていた。先ずはDrexciya繋がりのDopplereffektで始動を告げるように8ビット風のピコピコな電子音で幕を開け、隙間だらけのカクカクしたエレクトロビートが鞭打つように入ってくれば、もう勢いは早くも増していく。続いて連打するような忙しないビートの"We Run Your Life"でスピード感を得て、"Mind At Sea"や"Dissociation"辺りは電子音震えるモダンなテクノで、直線的なビートの勢いに飲み込まれていく。そして評価すべきはSherardが時代の止まったエレクトロ盲信者ではなく、近年のクールでデトロイト・ソウルを継承したエレクトロを積極的にプレイし、過去と現在がしっかりと線になり繋がっている事だ。勿論最も古いものでは1989年産の暗くもヒップ・ホップかつストリート系の"Professor X"もプレイしたり、そして中盤ではDrexciyaの爆発的なエネルギーを持ちながらもメランコリーも含んだ"Lost Vessel"でピークを作ったりと、元祖への愛情と言うか敬愛も含まれている。Drexciyaの曲が多いのはご愛嬌といったところだが、しかし1時間に27曲を繋ぎ合わせるミックスによって矢継ぎ早な展開がギクシャクしたリズムと直球4つ打ちのリズムを掻き混ぜるように緩急自在に躍動し、肉体が震える程の刺激を生み出している。エレクトロを軸にテクノな音も同居し刺々しい攻撃性の中にもダークなメランコリーもあり、確かにこれはDrexciyaを継ぐ者である。予想以上に骨太なプレイに踊らずにはいられない。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
The Irresistible Force - Kira Kira (Liquid Sound Design:LSD 103)
The Irresistible Force - Kira Kira
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まさかまさかの19年ぶりのニューアルバム、最早リリースされる事はないだろうと諦めていたアンビエント・ミュージックの伝道師であるMixmaser MorrisことThe Irresistible Forceによる新作が放たれた。1998年にNinja Tuneからリリースされた『It's Tomorrow Already』では当時ハマっていたと言うジャングルやドラムンベースの要素も持ち込み、繊細かつしなやかなリズムを持ったソフトなアンビエントを展開し、多少の物議を醸していたのは懐かしい話。しかし何故かそれ以降は一切新作をリリースする事はなく、新作は完成しているもののそのぶっ飛んだ内容にNinja TuneがリリースをOKしないだとかの噂も流れるなど、謎が謎を呼ぶ状態であった。何故今になって新作がリリースされたのかと言う理由は分からないままだが、日本語で「キラキラ」と名付けられた本作は19年前の前作の延長線上にある柔らかいブレイク・ビーツを用いた作風で、時を超えてThe Irresistible Forceの音楽性が続いているようだ。オープニングの"Call It Music"ではサンプリング・ボイスとしっとり湿ったブレイク・ビーツを刻み前作路線でいきなり夢現に引き込まれるが、胸を締め付ける感傷的なサクソフォンやMorrisによるメロウなピアノを用いる事で随分と生っぽい質感もあり、アンビエント・ミュージックではあるが随分とラウンジ的なムード性が強い。"Warmer Than The Sun"も大らかなダウンテンポを基軸に開放感やメロウネス溢れる上モノを被せ、豊かな新緑が満ちる田園風景を喚起させるオーガニックな響きをもって、正にアルバム・タイトル通りのキラキラサウンドが広がっている。"Laniakea"では優雅なピアノが舞い踊りつつオーケストラ風なストリングスの荘厳な装飾がなされ、そこに不思議の国で鳴るようなトリッピーな電子音や奇妙さを生むボイスが入り混じり、ユーモアと倒錯が交差するドリーミーな世界観が出来上がっている。"Suikinkutsu"は日本庭園にある水琴窟の事であり日本に馴染みの深いMorrisらしいネーミングだと思うが、恐らくその音色をサンプリングしたであろう水の響きらしきものも用いられ、正統派アンビエントらしい浮遊感や無重力感のあるスペーシーな楽曲は神秘的だ。そしてラストの"Space Elevator"はやはり男女の呟き風ボイスや滴るピアノにも似た電子音がタイトルまんまに宇宙への旅行感覚を誘うが、比較的ハウスのビートが刻まされている事からダンス・フロアでプレイする事も可能だろう。Morrisの初期の作品はどちらかと言えばチルアウト志向だったようにも思われるが、やはり『It's Tomorrow Already』から連なりダウンテンポやブレイク・ビーツのリズムはしっかりと入っていて夢の中を彷徨う甘さとメロウな成分が随分と馴染みやすいものとなっている。



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| TECHNO13 | 17:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Asian Psilocybe Foundation / DJ Yogurt & Moja - Daikaku EP (Mental Groove Records:MG124)
Asian Psilocybe Foundation / DJ Yogurt & Moja - Daikaku EP
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2016年にスイスのMental Grooveから『Water Vein EP』(過去レビュー)によって邦人としては初リリースをしたAsian Psilocybe Foundation。そこでの成功がレーベルとの関係を蜜月のものにしたのか、更なる新作が同レーベルよりリリースとなったのが本作。ここではAsian Psilocybe Foundationの新作1曲、そして前作にはリミックスを提供していたDJ Yogurt & Mojaが異なるバージョンで2曲を提供しており、前作からの流れが継続しているように思われる。それは音楽性としても同様で、APFによる"Neo Tokyo"は寺院の中で鳴っているようなアンビエントなムードもあるテクノだ。APFはフロアを強烈に揺らすコズミックなテクノを制作する時もあれば、『Water Vein EP』のように民族的で自然との融和を成すようなスピリチュアル感強い曲を手掛ける時もあるが、本作ではその後者に属するものだろう。マリンバの温かく包み込むメロディーとガムランを思わせる有機的な響きを軸に、ジャングルの中を探索するような迷路的アンビエントと言うか出口の無い瞑想世界はひたすら霊的で、体を強烈に突き動かすダンストラックではないものの10分にも及び長さも相まって深い精神の旅へと誘う。オーガニックな優しい音響は体の隅々まで綺麗なスコールが汚れを洗い流す如く作用し、癒やしにも思われるエキゾチック・ハウスはひたすら穏やかだ。対照的強烈なトライバル感を打ち出したのがDJ Yogurt & Mojaによる"Reconstruct"で、同じジャングルの中でも危険が潜む中を駆け抜けるような疾走感があり、ベルの音が幾重にも響き渡りざらついたパーカッションが鳴らされ、真夜中のダンスフロアの興奮を掻き立てるハイエナジーなテクノになっている。そしてそのダブバージョンである"Reconstruct (Dub)"は更にボンゴやコンガらしき打楽器のリズムを強調したリズム主体のアフロ・トライバルな作風で、ガムラン性を打ち出した民族的ハウスと呼ぶべきか、生身の肉体が鼓動するオーガニック性もあって訝しくサイケデリックだ。アンビエント・サイド、ダンス・サイド、どちらもそれぞれのアーティストの個性が適切に表現されているが、単なるダンス・トラックをリリースするだけではなく奇才が集まるMental Grooveだからこそ、こういったスピリチュアルな音楽性も求められた結果であり、今後も同レーベルとの関係には期待したいものだ。



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| TECHNO13 | 20:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Enitokwa - o.n.s.a. (non-entertainment-research:nercd003)
Enitokwa - o.n.s.a.

2016年に『2069』(過去レビュー)で突如復活を果たしたTakashi HasegawaことEnitokwa、その勢いは止まらずに2017年も新作をリリース。本作は1865年創業のお茶屋さんである宇治香園が提唱する"Tealightsound"(Tea+Light+Sound)シリーズの第3弾と企画物ではあるものの、これが完全にEnitokwaのスピリチュアルな音楽観にはまった快作で、忙しない日常や喧騒にまみれた都会生活に疲れた人達にはうってつけの癒やしのアンビエントとなる事は間違い無し。『2069』でも非日常のユートピア的な夢想空間アンビエントを展開したEnitokwaであったが、ここではアンビエントと言う共通項は持ちながらも更に静穏さを強めた侘び寂び的な方向へと突き進み、プリペアド・ピアノにフィールド・レコーディングと電子音の超自然的な融和が成されている。便宜上5曲にトラック訳はされているものの一つの作品として特に曲名はなく、40分弱に渡っての禅への道が開かれているが、茶園を含む茶を作る一連の音、そして大阪や黒島でのフィールド・レコーディングを含む響きは静謐という表現が相応しい。長閑な雰囲気に鳥の囀りから始まるオープニング、川のせせらぎらしき音も加わり木々が生い茂る自然の中に居るような感覚に包まれて、静かにしかし確かに存在する生命の営みが浮かび上がる。静寂を強調するように純朴で無垢な電子音が点描のように打たれながら間を作り、そして2〜3曲目ではプリペアド・ピアノや不思議な音響(茶を制作する際の一連の音か?)も加わり、奇妙な世界観の中にも枯山水的な侘び寂びの風景を浮かび上がらせる。自然の中に存在する、いや自然と同化したかのように精神から意識は取り除かれ、ただただ清涼な自然音と電子音に身も心も満たされていく。4曲目では一点して不気味な効果音の中に雷鳴が轟き大自然の厳しさと共にそれが常に移ろいゆくものである事を示唆しており、だからこそそれがより超自然的な力をより明白に伝える。そしてラストの5曲目では不安だった天候から再度雲の切れ目から日射しが降り注ぐように煌めく電子音が繊細に浮かび上がり、体の隅々まで浄化する電子音がうっすらと延びながら綺麗に消失する事で一連の流れは何も無かったかの如く終結する。調和と不安が入り交じる自然の胎動に揉まれながら、最後には何も残らずに侘び寂びのみを肌に感じる感覚の研ぎ澄まされたアンビエント・ミュージックは、前作以上の忘我を体験させるに違いない。就眠時のBGMとして、昼下がりの白昼夢の音として、または寝ぼけまなこの早朝の目覚ましとして、どう使ってもぴったりとはまる快適性。極楽浄土はここにあったのだ。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
The People In Fog - Last Song EP (Sound Of Vast:SOV011)
The People In Fog - Last Song EP.
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日本人のKnockとベルリンのRed Pig Flowerによって設立されたSound Of Vastはまだ発足3年ながらも、近年特に成功したレーベルの一つに挙げられるだろう。ミニマル、テック・ハウス、ディスコ、アシッド・ハウスと何か型が決まっているわけではないが、どれもフロアでの実用性重視なダンス・トラックとして成り立っており、EPを購入するに辺りある程度の信頼の於ける指標を備えている。そんなレーベルの中心的存在の一人がThe People In Fogだが、実はDJ Sodeyamaの変名ではあるものの、もはやThe People In Fogの変名の方が特にアーティスト性が際立っているように思う。大雑把に分けるとしたらDJ Sodeyamaがテクノの、The People In Fogはハウスのグルーヴなのだが、その後者の名義に於いてもディープな空間系からオールドスクールなシカゴ・ハウス系まで幅はあり、しかしそのどれもが的確にフロアを捉えている。そして同レーベルからは3作目となる本作、ここでは前作のサンプリング主体の荒々しいファンキーなハウスとはまた方向性を変えて、普段よりも滑らかなモダン・グルーヴとひんやりしながらも華麗なテック・ハウス寄りの作風が打ち出されている。骨太なキックで始まる"Last Song"はその開始から無骨なハウスを予感させるが、しかし空間の奥底で鳴り続ける微細なノイズや残響のあるSEを用いて低空飛行を続けながら、そこから純朴で朗らかなピアノが現れてくると清々しく幻想的な響きが広がるハウスである事に気付かされる。終始一定したビートが続き劇的な展開はないが、その分だけじわじわとくる持続感と繊細な音響の中に美しく映えるピアノによって程良い高揚感を得る事が出来る。カラカラとした乾いたパーカッションとハイハットによる繊細なリズム、そこにふわっと漂う幽玄なパットによるテック・ハウス気味の"Get Funky"は、しかし軽快ながらも何処までも続くミニマル性とボーカルサンプルも効果的なファンク性があり、正にそのタイトルに偽りなし。同様にファンキーなボーカルサンプルを執拗に用いた"Allright"は、リズムは詰まったように変則的で抜けの良いパーカッションが乱れ打ち、浮かんでは消える霧らしく浮遊するパッドに惑わせられるユニークながらも幻惑的なテック・ハウスだ。作品毎に様々な顔を覗かせるThe People In Fog、実に面白くなってきた。



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| TECHNO13 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Michael Mayer - DJ-KiCKS (Studio !K7:K7348CD)
Michael Mayer - DJ-KiCKS
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クラブに行かなくても、そしてCDすら買わなくても、最早オンラインでパーティーでのプレイを録音したDJMIXが無料で聞けてしまう時代に、敢えてお金を取ってMIXCDを販売する意味を見つけるのは難しい(勿論音が良いとか、良く練られているとかはあるだろうが)。だからこそ逆説的にクラブの雰囲気ではなくパーソナルな感情を綴ったようなDJMIXとして成功したのが、このStudio !K7が送る『DJ-KiCKS』シリーズだ。1995年に開始して20年以上60作を超えるこのシリーズは、浮き沈みの激しいダンス・ミュージックの業界に於いては最早ど定番と呼んでも差し支えないが、その一方でクラブのハイエナジーな雰囲気を再現しただけのMIXCDとも異なる点で独自性を確立させていた。本作はKompaktの主宰者の一人であるMichael Mayerによるもので、普段はテック・ハウスを軸にミニマルなグルーヴ感でポップやニューウェーブの雰囲気を含むプレイをする記憶があるが、ここでは本人も「できるだけパーソナルな内容にしたかった」と述べている通り一般的な真夜中のダンス・パーティーで聞けるプレイよりもリラックスした緩やかさと程良い甘さがあり、そして丁寧に各曲の魅力を伝える事に専念するかのように1曲を長くプレイしている。幕開けはアバンギャルドなトロンボーン楽曲の"The Tape Is Chill"で夢現の朧気な雰囲気で、そこに自身の新曲であるパーカッシブなハウスの"The Horn Conspiracy"を繋げてビートが動き出す。ギラついて毒っ気もあるニューディスコ調の"The Darkness (I:Cube Remix)"からジャーマン・プログレのダンス版みたいな"Feuerland"の流れは、Kompaktらしいユーモアとポップさもあるのはやはり頭領だけの事はあるか。中盤でのロックでニューウェーブ調の"Gary"で俗世的に攻めつつ、"Apart (Michael Mayer Remix)"や"Please Stay (Royksopp Remix)"等のメランコリーな歌物やポップなニューディスコによってしっとり感情が温まる後半の流れは盛り上がりどころで、そして"Hot On The Heels Of Love (Ratcliffe Remix)"によるエクスペリメンタルながらも叙情性ふんだんなダンス・トラックで多幸感はピークに達する。そしてビートが消失して落ち着きを取り戻す牧歌的な"Landscapes"から、再度力強くリズムを刻み出して感情を昂ぶらせる"Abandon Window (Moderat Remix)"でドラマティックなフィナーレを迎える。やや陰鬱さや内向的な要素もありながら、しかしポップでメランコリーに振れる展開もあり、普段のミニマル寄りのプレイと違っても確かにここにはうっとりと酔いしれてしまうような魅力があり、『DJ-KiCKS』として存在意義も感じられる好内容。夜の
ベッドルームでじっくり耳を傾けて聞くのにぴったりだ。



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| TECHNO13 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Dices - Internal Ambience EP (Pandora:PAN 003)
Dices - Internal Ambience EP
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ドイツからロシアや日本のディープ・ハウスをも掬い上げるRough House Rosieは、アブストラクトな音像や瞑想を誘発するアンビエント性を伴った特色を持った個性的なレーベルだが、そこから派生した姉妹レーベルであるPandoraは更にアンビエントへと向かい揺らめく深い音響を持つ事に特化している。2014年に立ち上がったレーベルはまだ作品数は少なく本作で3枚目ではあるが、Rough House Rosie路線を追っている人であれば勿論Pandoraの音楽にも魅了される事を保証する十分な質の高さを既に発揮している。Dicesについては余り情報が無いのだがサンクトペテルブルクで活動するロシア系のアーティストらしく、過去にはUdachaからのリリースやVakuraにもフィーチャーされるなど、何となくではあるがアンビエントな要素を持っている事が想像される。ここでも踊らせるのでもなく非現実の中を夢遊するアンビエントが展開されており、"Part 1"では環境音らしき微小なノイズの中に遠くで鳴っているような耽美なピアノが浮かび上がり、ゆったり揺らめくディレイの効いたダビーなリズムや様々な効果音を取り入れて、幻想に包み込むように惑わせる。"Part 7 (with Nick Ossia)"は11分にも及ぶ大作で最も不鮮明で抽象度を高めており、微細なノイズや朽ち果てた金属音に泡の弾けるような音などがバックで鳴りつつ、淀んだ霧の中でゆっくりとしたキックがビートを刻む。ぼやけた音像の中には叙情的な旋律が隠れており決して無味乾燥とはせず、寧ろ生温かくオーガニックな響きさ伝わってくる。B面はややリズムが強くなったトラックが収録されており、宙をうねる電子音と金属的な鳴りのするハイハットにより硬質さが打ち出てサイケデリックな酩酊感を及ぼすダブ・ハウスの"Part 5 (with Nick Ossia)"、そして潰れたような粗いドラムが激しく鳴る本EPでは最もダンス色の強い色褪せたミニマル・ダブ×テクノな"Part 3"と、意外にも真夜中のダンス・フロアでも高揚感を誘うであろう曲もある。しかしどの曲にしても掴みどころのないミステリアスな響きが - それは秘匿性の強いアーティストの存在感そのものでもあるが -、 微睡ろんで夢の中を揺蕩うような感覚に陥らせるのだ。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Rhythim Is Rhythim - Icon / Kao-Tic Harmony (Vince Watson Reconstructions) (Transmat:MS 091)
Rhythim Is Rhythim - Icon  Kao-Tic Harmony (Vince Watson Reconstructions)
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リリースのずっと前から噂になっていて随分と待たされた2017年の目玉作品の一つ、それがRhythim Is RhythimことDerrick Mayによる名作であるIconとKao-Tic Harmonyのリミックス。手掛けたのは強烈なデトロイト・テクノ愛が自身の音楽性にも反映されているUKのVince Watson。歴史に残る名作のリミックスを行うのはおこがましい、または手に余る可能性が大きいのだが、そこはデトロイト・テクノの叙情性にも負けず劣らずな音楽的才能を持つWatsonであればこそ、原曲の魅力を損なう事なく現代のダンス・ミュージックに寄り添い機能性を磨いたリミックスを披露している。オリジナルへの敬意もあるのだろう、そしてオリジナルの揺るぎないクラシックたる存在感は、やたらめったらに手を加える必要はなくただその流れに沿えば良い。"Icon (Vince Watson Remix & Reconstruction)"はあの幽玄に微睡むようなぼんやりと浮かび上がるパッドはそのままに、Watsonお得意の物悲しくも闇の中に映える美しいピアノを加え、滑らかでハウシーな4つ打ちにする事によって他の曲とのミックスの相性も増した作風。オリジナルがその曲だけで成立する程のものだから決してミックスに向いているとは言えないが、それはWatsonによって幽玄さを保ちながらもツールとして使用される事も考慮したアップデートが成されたのだ。若かりしCarl Craigも制作に参加していた曲も、Watsonの手にかかれば繊細なブレイク・ビーツからハウスの4つ打ちに生まれ変わった"Kao-Tic Harmony (Vince Watson Remix & Reconstruction)"、これも曲のSF的なレトロ・フューチャーの世界観や壮大な叙情性は全く損なわれていない。繊細でパーカッシヴなリズムによる跳ね感は活きつつも滑らかに疾走するグルーヴが生まれ、そして物憂げで何処か儚くもあるシンセのメロディーはそのままに、デトロイト・テクノのソウルを大切に扱ったリコンストラクションだ。本作に限って言えばクラブ・ミュージックとしてのリミックスの妙を楽しむような作品ではない、寧ろオリジナル・デトロイトの音に忠実に今風な装飾を施した程度で、現在のダンス・ミュージックらしくツール性にも気を遣った再構築と捉えるべきだろう。驚くべき作品ではないが、ずっと心にあり続けていた音が今に蘇ったような懐かしさのある名作だ。



Check "Derrick May"
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