CALENDAR
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930     
<< September 2019 >>
RECOMMEND
RECOMMEND
I KNOW YOU LIKE IT(アイ・ノウ・ユー・ライク・イット)
I KNOW YOU LIKE IT(アイ・ノウ・ユー・ライク・イット) (JUGEMレビュー »)
Shinichiro Yokota,横田信一郎 Shinichiro Yokota,横田信一郎 Shinichiro Yokota
RECOMMEND
MEZZANINE REMIX TAPES 98 [12 inch Analog]
MEZZANINE REMIX TAPES 98 [12 inch Analog] (JUGEMレビュー »)
Massive Attack
名作MEZZANINEリリース時に予定されていたマッド・プロフェッサーによるダブ・バージョンが、今になりリリース。こちらはアナログ盤。
RECOMMEND
Mezzanine
Mezzanine (JUGEMレビュー »)
Massive Attack
メザニーンのリマスターに、上記のダブバージョンを合わせたCD2枚組。
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
FRKWYS Vol.15: serenitatem
FRKWYS Vol.15: serenitatem (JUGEMレビュー »)
VISIBLE CLOAKS,YOSHIO OJIMA,SATSUKI SHIBANO
MOBILE
qrcode
SPONSORED LINKS
The Mulholland Free Clinic - The Mulholland Free Clinic (Away Music:AWAYLP001)
The Mulholland Free Clinic - The Mulholland Free Clinic
Amazonで詳しく見る(アナログ盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
元々Reagenzというユニットとして繋がりがあるMove DとJonah Sharp、またMove DとJuju & JordashによるMagic Mountain Highというユニットもあり、それら3アーティストが一緒くたになった新プロジェクトがThe Mulholland Free Clinicだ。元々はハードウェア機材をベースにフェス等でジャムセッションを行った事がきっかけで本作の制作に繋がったようだが、この作品自体もベルリンで行った3時間のパフォーマンスが元になっている事からライブ盤と捉えるべきか。そのライブ自体も当然の如くアナログのハードウェア主体、完全即興のジャムだそうで、その意味では緻密に作り込まれた印象はないもののリラックスした雰囲気のライブ感が味わえるテクノ/アンビエントのセッションだ。LPでは3枚組というボリュームからも分かる通りそれぞれ長尺で、中には17分にも及ぶ曲もあり、瞑想へと誘う抽象性の高いアンビエント性が強い。その端的な例がアルバムの冒頭にある"Vital Signs"で、微かなSEを背景にアナログシンセが流動的にゆっくりと変化し続けて無重力空間のディープ・スペースを17分に渡って生むのだが、大きな展開もなくただただ音の波に揺られるようなドローン・アンビエントは、セッション性を活かした自由さによって成り立っている。続く"Boneset"でようやく弛緩したビートが刻み始めるが、やはり上モノのシンセはふらつくように虚ろで手の平をするすると擦り抜けるような掴み所のないエクスペリメンタルなハウスだ。シャッフルする比較的ダンスビートの強い"Gone Camping"は、弾けるリズム感とエモーショナルな旋律に引っ張られてSF的な世界を喚起させ、かつてのReagenzのようなAIテクノらしさが感じられる。続く"Ebb & Flow"もスムースに走るグルーヴに引っ張られるが、そこにブルージーで自由な旋律を描き出すギターと点描のようなシンセを散りばめて浮遊感とトリップ感を打ち出し、長い時間に渡って自由度の高いセッションの波に揺らされる。このアルバムに何か目新しさを感じる事はないし、また揃った面子以上のマジックを生み出しているわけでもないが、確かにそれぞれのアーティストのアンビエント感/ライブ性等の音楽性が一つになっていて、セッションを重視したプロジェクトとしては成功しているだろう。昼間の野外のフェス等で聞く事が出来たら、それは心地良い昼下がりの体験になるに違いない。



Check "The Mulholland Free Clinic"
| TECHNO13 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Frequency VS Atkins - Mind Merge LP (Out Electronic Recordings:OUTA05)
Frequency VS Atkins - Mind Merge LP
Amazonで詳しく見る(MP3)

デトロイト・テクノのパイオニアであるJuan Atkins、そして同じくデトロイト・テクノの大ベテランであるOrlando Voorn、決してデトロイトがかつての繁栄を保っていない中でベテラン勢の中でも逆に息巻くアーティストもおり、両者とも今尚そのテクノの聖地としての存在を守るように新作を制作し続けている。本作はベルリンにて2010年に設立されたOut Electronic Recordingsからリリースされたもので、Voornを含めたデトロイト系のアーティストによる作品もカタログに載っており、レーベルにはアンダーグラウンド性の強いテクノの方向性があるようだ。AtkinsとVoornという所謂タレント的な存在によるコラボーレーションと言う事であれば作品的にも何か特別なモノを求めてしまうのは自然かもしれないが、プレスによれば「デトロイトのエレクトロ、ファンク、テクノの美しい真髄」という通りで、決して派手な作品ではないが彼らしい正しくファンクネス溢れるオールド・スクールなテクノを創り上げている。アルバムはミステリアスな空気を生むメロディーとエレクトロ気味の、例えば故Drexciyaを思わせるようなビートを刻む"Beyond The Beyond"で始まり、深海を潜航するようなディープなレトロ・テクノが広がっていく。続く"Entourage"は如何にもなシャッフルしてスピード感のあるリズムがAtkinsやVoornのテクノらしく、ファンキーなグルーヴ感に合わせて初期デトロイト・テクノらしいSF的なシンセを聞ける事に安心する。"Pure Soul"なんかはAtkinsのInfiniti名義の音楽性であるミニマル性が打ち出ており、ひんやりクールなマシン・ビートが特徴だ。コズミック感を生む動きのあるシンセが続くタイトル曲の"Mind Merge"、どっしりと重いキックが骨太なグルーヴとなり鋭利なシンセのフレーズと一緒になりファンキーさを感じさせる"Spacewalkers"、細くも叩き付けられるような刺激的なビートのエレクトロである"Back To The Future"、本作の何処を聞いても恐らく最新のテクノの音を感じる事はないだろうが、これこそがデトロイト・テクノだと言うパイオニアの自負のようなものが込められているのではないだろうか。何か変わった事をするでもなく今までと変わらぬテクノ/エレクトロを披露する辺りに、自分達が育ててきた音に対する信頼があるのだ。



Check "Juan Atkins" & "Orlando Voorn"
| TECHNO13 | 12:00 | comments(1) | trackbacks(0) | |
Nathan Fake - Providence (Ninja Tune:ZENCD240)
Nathna Fake - Providence
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
まさかまさかのレーベル移籍。奇才・James Holden主宰のBorder Community創立の初期からレーベルの中心アーティストとして名を連ねていたNathan Fakeが、なんとUKはこれまた奇才レーベルであるNinja Tuneから5年ぶりとなるアルバムをリリースした。今思うと既に毒気付いたサイケデリックなダンス・ミュージックを得意とするBorder Communityの枠を飛び越し、寧ろここ数年はダンス・ミュージックへのこだわりは希薄になっていたようにも思われるFakeが、だからこそよりフリーフォームなエレクトロニカ性を目指した事でNinja Tuneへと行き着いたのも何ら不思議ではないのかもしれない。くらくらとするようなサイケデリックな色彩は全く変わっていないのは、オープニングの"Feelings 1"を聞けば明らかだ。中毒性の高いギラギラとしたシンセがうねるようにシーケンスが組まれ、脳髄をこねくり回すように刺激する。続くタイトルトラックの"PROVIDENCE"も同様に神経質な電子音がドリルのように突き刺さってきて、そして刺々しく鋭利なドラムマシンが鞭の如く叩かれるが、所謂踊りやすいダンストラックとは別の変態的なベクトルに向いている。"HoursDaysMonthsSeasons"は初期の頃の牧歌的でのどかな世界観をやや思わせる所もあるが、アンビエントのようなふんわりとドリーミーな流れから徐々にリズムが消失して、神々しいシンセに包まれてドラマチックに盛り上がっていく圧巻の一曲だ。また新機軸として珍しくボーカルを起用した"DEGREELESSNESS"は、アブストラクトで不気味な歌と棘のような痛々しいリズムに先導されるダーク・エレクトロで、激しく盛り上がったフロアの後に残った喪失感さえ漂っている。ノンビートの曲にしてもリズムの入った曲にしても、それらが体を揺さぶらないというわけではないのだが、やはり一定のビートによるダンスという事を目的にするよりは自由な音響で意識・神経を直接作用するような刺激的な音楽を目指しているようで、Border Communityを離れた事で自己のアーティスト性を飛躍させているように感じられる。また"SmallCityLights"のドンシャリとしたリズムはロック的で、ドゥームメタルのようなスロウで重厚感があり荒廃した風景が広がる曲もあれば、"CONNECTIVITY"のようにノンビートながらもどぎついシンセのうねりが激しい躍動感を生み出す熱量の高い曲もあり、羽根を伸ばして心の赴くままにNathan Fakeという個性的な音楽を鳴らしている。テクノだとかエレクトロニカだとかそんなジャンル分けも無意味な程に自身の音を完成させ、ドラッギーなサイケデリアが満たされたアルバムだ。



Check "Nathan Fake"
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Anomaly - Galaxy (Soul People Music:SPM024)
Anomaly - Galaxy

今USテクノ/ハウスのアンダーグラウンドシーンで最も人気を博しているであろうFred P.は、ここぞとばかりの勢いで自身の作品の制作、または他者のリミックスを大量に行い、その量と質において高水準を保っている。Fred Peterkinという人の中に多数のオルターイゴーがあるかのようにFred P.からBlack Jazz ConsortiumにFP-Oner等多数の名義で作品を発表しているが、Anomaly名義では特にシンプルにツール性を重視したテクノを実践しているようで、特に彼の名義の中でもフロア向けの作品が多いように思う。A面に収録の"Light Work"は大きな展開はなく太いキックの4つ打ちで何処までも平坦に疾走するようなテクノではあるが、水平に伸びていくパッドを用いてスペーシーな感覚を含ませ、そこに覚醒的なSEも導入しながらディープな世界観も展開する。大袈裟なブレイクや大胆な上げ下げはなく基本的にはミックスされる事で効果が発揮される機能性重視だが、淡白にもならないところはFred P.の普段のエモーショナルな音楽性が少なからず残っているのだろう。"Truth Told"は粗雑な粗さもあるザクザクとしたリズムが先導する更にツール性を高めたテクノで、上モノは薄っすらと残る程度でいわゆるFred P.らしい叙情性を廃し、その代わりに刺激的なハイハットやパーカッションが現れて攻撃的な激しさの中へと突入する。最後の"Todays Future"だけはやや普段の彼らしい淡い叙情性があるパッドが乗っており、緩んだハウシーな4つ打ちとその中にコンピューターゲームのようなヒプノティックな電子音が反復して、中盤のブレイクではビートが消える事で無重力空間の宇宙に放り出されたような展開も。「Galaxy」というタイトルが示す通り確かにどれも宇宙を飛び交うような曲調、またはSF的なハイテック感もあり、この名義のミニマルかつツール重視な音楽性は発揮しつつもそこに宇宙というコンセプトも見事に投影されている。まだまだFred P.の快進撃はとどまる所を知らず、動向から目を離す事は出来ない。



Check "Fred P."
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Kuniyuki Takahashi - Newwave Project (Mule Musiq:MMD-61)
Kuniyuki Takahashi - Newwave Project
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(日本盤)
生演奏の温かさ、スピリチュアルな世界観、有機的な響きを含んだハウス・ミュージック、高橋邦幸の音楽についての一般的に知られているイメージはそのようなものだ。工業で機械的というイメージとは真逆で、電子楽器を用いながらも生命の営みを彷彿させるハウスは慎ましく厳かで、何より大地の胎動と共鳴するような霊的な力を含んでいる。しかしそんな彼が近年取り組んでいたニューウェーブ・プロジェクトと名付けられたシリーズは、そのタイトル通りにニューウェーブやインダストリアルミュージックに寄り添ったものだ。本人に拠れば元々それらの音楽性もルーツにあったそうで、実際にDRPというEBM(Electronic Body Music)系のユニットも組んでいたりするのだが、ここにきて"新たな波"を生み出した原動力はやはり彼の創造性に対する渇望が故なのだろう。これまでのオーガニックなハウスは封印し、むしろサンプリングも用いてダークで退廃的なテクノへと寄り添った本作は、Kuniyukiが考える現在のニューウェーブなのだ。そうは言いながらもKuniyukiらしさはそこかしこに残っており、民族的なパーカッションの響きが目立つ"Steam"は正にそれだが、しかし機械的に刻まれる冷えたスネアの8ビートや灰色のトーンが工業的な風景を喚起させる。続く"Cycle"は擦れたような荒いリズムでグルーヴは走り出すが、色褪せたようなモノトーンな音が続く。先行EPの一つである"Newwave Project #2"は展開は抑制してミニマルでハウシーなグルーヴで踊らせるツール系の曲だが、そういったところはダンス・フロアを忘れないKuniyukiらしくもある。ブレイク・ビーツ系のざらっとしたエレクトロのリズムとヒプノティックなシンセを用いた"Blue Neon"、アシッド・ハウスを更にインダストリアル的に歪ませたような"Mind Madness"、ニューウェーブとジャズが融合したような奇怪なリズムを見せる前衛的な"Puzzle"などは、このプロジェクトだからこその挑戦が強く打ち出た曲だ。Kuniyukiの既存のオーガーニックでメロディアスな路線とは異なるこのプロジェクト、異色を感じはさせるがやはりライブでこそ映えそうな曲質は、そこもKuniyukiらしい音楽性があり是非ともフロアで体験すべきだろう。



Check "Kuniyuki Takahashi"
| TECHNO13 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Inner Science - Assembles 9-12 (Terminal Dream)
Inner Science - Assembles 9-12

ヒップ・ホップをルーツにサンプリングと多様なリズムを打ち鳴らすドラムマシンを用い、そして岩清水のような綺麗な透明感のある電子音を散りばめて色鮮やかに躍動するダンス・ミュージックを制作する西村尚美によるInner Science。彼にしか成し得ない個性的なダンス・ミュージックの本流と共に、近年は「Assembles」なるシリーズを立ち上げて精力的にその方向性を推し進めている。このシリーズは彼固有の電子音の響きは用いながらもそれを異なる方面から展開し、また表面的なリズムからの解放を推し進め、抽象的なコラージュ/エディット・サウンドで独自のアンビエントを引き出す事に成功している。さてそのシリーズの新作は自身のPlain Musicからではなく、ロシアはモスクワの新興レーベルであるTerminal Dreamからのリリースとなった。何でもレーベルに音源を送ったところ即座にOKを貰いリリースに至ったそうで、結果的にはこれを契機に海外への普及にも繋がる事に期待をしたい。普段の作風とは異なり、いや寧ろ自覚的に同じ事の積み重ねにならないように積極的に抽象性を突き詰める「Assembles」シリーズは、確かに一聴して掴み所はなさそうで手の平からするすると零れ落ちてしまいそうな程に自由度が高い。スクラッチや逆回転を思わせる効果、左右に極端に振れるパン、ミニマルとは真逆の流動性と、全編通して一時として同じ瞬間は感じない程だ。また目立ったビートは殆ど鳴っていないものの一つ一つの電子音の連なりがリズムとして機能しているようにも思われ、大胆かつ流れるような旋律によって静かなる躍動感へと繋がり、決して落ち着いたアンビエントに収まるでもなく生き生きとした生命力さえ感じさせる。そう、音が生きているように変化し奇妙なコラージュ・サウンドとなっているのだが、そこに突き放す難しさは無く寧ろ色とりどりの宝石がぶつかり合って弾けるような色彩感や美しさがあり、音の一つ一つに魅了されるのはInner Scienceの普段の音使いが発揮されているからだ。音そのものとの戯れ、響きへの遊び心に溢れた定形の無いコラージュは良い意味でBGMとして機能し、無意識的にアンビエントとして作用する。オプティミスティックで気持ちの良い電子音、ただそれに尽きる。



Check "Inner Science"
| TECHNO13 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
David Alvarado - Machines Can Talk
David Alvarado - Machines Can Talk
Amazonで詳しく見る(MP3)

前のアルバムから実に13年ぶり、通算4枚目となるアルバムを完成させたDavid Alvarado。近年はOvum Recordings等から極僅かながらもEPをリリースする程度の活動で日本への来日も過去に一度だけと、少々地味な存在のために注目される事は少ないが、DJ/アーティストとしてもっと評価を受けてもおかしくはない。かつてPeacefrog RecordsやNRK Sound Divisionからリリースしたアルバムは深い残響と弾けるパーカッションが爽快で、ミニマルな展開を軸にしたダビーなテック・ハウスとして実にフロア受けの良い楽曲性があり、また数枚のMIXCDでは前述の音楽性からプログレにデトロイトからソウルフルなハウスまで使い分けてグルーヴィーなプレイを披露している。海外では幾らかは日本よりも評価は高いのだろう、事実彼が手掛けた曲は多くのMIXCDに用いられている。さて、それはさておき久しぶりのアルバムは、どのレーベルに属す事もなく配信のみでリリースされている(極限定でアナログもあったようだが)。その意味ではレーベル性に束縛されずに自身が本当に作りたい音楽であろうと推測出来るが、過去の音楽に比べるとやや変化は感じられる。始まりの"Translat"こそ静謐さが広がるアンビエントかつダビーな音響に、静かな中にも壮大なテック感が感じられるが、続く"Gabriel's Run"も確かに奥深い残響やパーカッシヴなリズムは息衝いているが、ギラギラした上モノはプログレッシヴ・ハウス的にも思われる。颯爽と小気味良いグルーヴに浮遊感があり幻想的な上モノに覆われていく"Hope Between The Lines"はかつての作風にも近く、エモーショナルと言うかドラマティックと言うかスケール感の大きさが際立っている。一方で"Language"はリズム感が平坦に続く展開に、光沢感あるシンセのシーケンスでじわじわと盛り上げていく構成で、流れを適度に抑制しながら持続感を打ち出す事で既存の作風からの変化が汲み取れる。"Machines Can Talk"も同じタイプの曲で快楽的なシンセのフレーズはほぼプログレッシヴ・ハウスであり、重いキックは弾けるパーカッションで揺らすのではなく、耳に残るメロディーで恍惚を誘うタイプだ。そういった点で以前よりも浮遊感や開放感よりもシンセのメロディーや響きに重きが向いているように思われ、また全体的にダビーな残響に頼り過ぎる事なく躍動感を程よくコントールして落ち着いた雰囲気も持たせた点には、ある意味ではアーティストとして丁寧に聞かせるタイプへの成長と捉えられなくもない。ここまで随分と待たされ過ぎた感は否めないが、大人びたDavid Alvaradoの今がここにある。



Check "David Alvarado"
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Shed - The Final Experiment (Monkeytown Records:MTR069CD)
Shed - The Final Experiment
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
Ostgut TonやDelsin等からのテクノ、自身で主宰するPower HouseからはWK7やHead High等の変名を用いてブレイク・ビーツを基調にしたレイヴサウンドを披露し、DJではなくライブアクトとして名を馳せるRene Pawlowitz。そこにはデトロイト・テクノからアンビエント、ベース・ミージックからダブ・ステップにドラムン・ベースまで飽くなき欲求の如く様々な音楽を実験的にも取り込み、フロアを震撼させる曲を創り出してきた。元々多くの変名を用いて活動しているだけに作品数も多いのだが、この数年は過去に比べるとやや生産性は鈍っていたように思う。そんなところにShed名義としては5年ぶりに通算4枚目となるアルバム『The Final Experiment』が届けられたのだが、この自身で立ち上げたレーベル名を冠した点からも何か意気込みのようなものは感じられる。ノンビートを軸に壮大なシンセを用いてシネマティックに仕立て上げた"Xtra"からアルバムは始まり、その後の爆発的な展開を予感させる。事実そこに続く"Razor Control"からして撹拌させられるような荒々しいブレイク・ビーツを用いつつ、揺らめくようなスペーシーな上モノが抒情性を発し、この時点で溜まったエネルギーが爆発しそうだ。そしてローリングする厳ついブレイク・ビーツが走る"Outgoing Society"は、しかし一旦勢いを抑えるように穏やかなパッドに包み込まれて、ふわふわと揺らぐような心地良いダンス・トラックだ。アルバムというフォーマットを活かして中間には"Extreme SAT"のようにビートが消え去り、その代わりにIDMを思い起こさせるインテリジェンス・テクノ的な洗練された曲もあり、実に展開にそつがない。そこからも弾けるビートが連打されるツール的な"Flaf2"や、剥き出し感のあるリズムに叩かれながらもデトロイト・テクノ的なエモーション炸裂するシンセが展開する"Taken Effect"など、あの手この手で全く飽きさせる瞬間がない。他にもアンビエントやベース・ミュージックにレイヴ風まで、つまりは既存のShedやHead Highとしての音楽を踏襲するものであり、その意味ではファンが安心して聞けるアルバムになっている。4つ打ちではなく変則的なビートによる揺らぎ、感情を秘めるのではなく前面に押し出したメロディー、肉体を刺激するグルーヴなど、最早Shedの十八番と呼んでもよいくらいだ。しかし様々な名義を持つ彼にとって、WK7やHead HighとこのShedとの違いは一体何処にあるのかという疑問と、また作風がおおよそ確立された事で新鮮味は薄くなってきているのも事実だ。アーティストとして期待しているからこそ、もっと前進出来るのではという思いもある。



Check "Shed"
| TECHNO13 | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Powder - H (CockTail d'Amore Music:CDA017)
Powder - H

日本から世界へ飛び立った若かりし、そして女性である事以外には詳細もあまり伝わってこないミステリアスな存在であるPowderは、日本に於ける次世代の期待の星だ。2015年にESP Instituteからデビューし、そこからBorn Free Recordsから2枚のEPもリリースして既に海外で高い評価を獲得しているが、テクノでもありハウスでもありポップかつ奇妙な雰囲気や豊かなメロディー感を持った多様性が彼女の武器だろう。勿論そんな風変わりな曲ではあっても、根底にはフロアに根ざした機能性を含んだダンス・ミュージックである事があり、単に奇抜なだけで評価をされているわけではない。さて、新作は何とも可愛らしくユーモア溢れたハート型お尻のジャケットが目を引くが、曲名も全て「H」で始まるなどややコンセプチュアルなように見受けられる。曲自体のユーモアと言うか奇天烈な印象もいつも通りで、乾いて無機質なパーカッションの連打やアシッド風なサウンドを中心に空虚ささえも漂うマシングルーヴを刻む"Hip"、何だか初期シカゴ・ハウスの安っぽくラフな感がありながらもトリッピーな鳴りをしている。逆に"Heart"はディスコ・テイスト溢れる豊かさがあり、印象的に耳を引き付けるベースラインが走りコズミックなSEや過剰なシンセも用いて、イタロ・ディスコ的なギラツキ感溢れるダンス・トラックがハイエナジーで快楽的である。B面は特に強烈なトラックが収録されており、インダストリアルな雰囲気を持つ"Hole"はドロドロしたベースラインと破壊的なリズムが硬質に響き、大きな変化を見せる事なく音の抜き差しでじわじわとハメていく不気味な曲だ。最後には変則的なリズムと膨れ上がったベースが押し寄せるようなハイエナジーなディスコ・ハウスらしき"Hair"が、しかしこれは非常にサイケデリックで意識をくらくら惑わせる。どれも異なるタイプの曲はPowderの多様性を示しているが、その上でどれもフロアで間違いなく受けるであろうダンス・ミュージックとして一貫し、本作によってPowderのトラックメーカーとしての実力が最早疑いようのないものである事を確信した。



Check "Powder"
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Various - Dreamy Harbor (Tresor Records:Tresor.291CD)
Various - Dreamy Harbor
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
テクノ帝国ドイツにおける元祖ベルリン・テクノと言えば何を置いてもTresor Recordsである事に疑いようはなく、デトロイトとベルリンの交流を成功させ1991年以降浮き沈みの激しいダンス・ミュージックの流れの中を生き抜き、今もストイックな活動を続ける伝統的なレーベルかつクラブだ。流石にレーベルとしての活動の長さ故に確かにクラシックと呼ばれる作品を多くは残しつつも、最近はやや往年のテクノというイメージが拭えないものの、今も尚ベテランから新鋭まで抱え込み大量に作品をリリースするテクノの工場のような運営はなかなか他にはない。そして2016年はレーベルにとって25周年となる年だったが、その記念の一環としてリリースされたコンピレーションが本作だ。既発の曲から完全なる新曲まで、テクノの歴史に名を残すベテランから新世代まで、選曲から意図は読み取れないもののこれぞテクノだと誇らしげに紹介出来る曲ばかりを纏め上げている。例えば正に前述のデトロイト×ベルリン的なJuan Atkins & Moritz von Oswaldによる"Electric Dub"、デトロイトのコズミックな宇宙感とベルリンのダブ・テクノの融合は非常にTresorらしくある。こちらも生粋のTresor組のTV Victorによる"La Beff"は96年作で、何だかアフロで土着的にも聞こえるリズムの爽やかなダブ的処理が心地良く、ダンスではなくリスニングとして催眠的な効果が感じられる。元々は廃墟となったデパートを利用したクラブであったTresorの雰囲気は、例えばMarcelusによる凍てついた温度感と錆びついたような金属的な鳴りのするテクノな"Odawah Jam"からも匂ってくるようで、このようなダークなテクノがベルリンらしさの一部でもあったと思う。勿論本作には新世代も参加しており、Tresorとの関連性は余り無い筈だがイタリアの人気アーティストであるDonato Dozzyが暗くもトリッピーさを活かした覚醒感抜群の"The Night Rider"を提供し、コンピレーションに新しい息吹をもたらしている。他にもShaoやMonicなどTresor新世代、または70年代後半から活動するワールド・ミュージックのJon Hassellらが曲を提供しており、本コンピレーションの曲調に特に一貫性はないものの言われればTresorらしさは感じられなくもないか。Tresor世代の人にと言うよりは、これからテクノを聞く若い世代にテクノの入門としてお勧めしたくなるアルバムだ。



Tracklistは続きで。
続きを読む >>
| TECHNO13 | 12:30 | comments(1) | trackbacks(0) | |