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Pepe Bradock - #12"@Last (Atavisme:ATA017)
Pepe Bradock - #12@Last
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アルバムは制作しないわ、このご時世に一切のデータ配信もしないわと、DJ以外にとってはなかなか作品を手に入れ易い環境を作る気が全く感じられない奇才・Pepe Bradockが、しかしその偏に余りにも個性的かつ独創的なコラージュ音響ハウスによって聞く者を魅了し、孤高の存在と化しているのは言うまでもない。自身で主宰するAtavismeから淡々と年に1〜2枚のEPをリリースし続けており、その意味では高い品質を保ちながら安定供給を可能とする作曲家の一人ではあるのだが、この2017年作もやはりそのぶっ飛んだ世界観のハウス・ミュージックは一聴して彼の音楽であると認識出来る程だ。いつも通りと言えばいつも通りのコラージュ的な作品ではあるものの、"Tresors"は潰れたようなキックの4つ打ちがいつもよりは力強いビート感を刻んでおり、そこにぼやけたて微睡んだようなシンセのメロディーから鈍く歪んだコラージュのようなメロディーへと変化する上モノ、その裏には繊細な効果音による音響を控え目に持ち込んで、音の隙間を活かしながらメロウネスとファンキーさを共存させたハウスを展開している。また体感的にはジャジーなグルーヴもあったり、そしてラストのビートが消えてからの様々に入り組んで混沌としたコラージュ風な構成は、非常にBradockらしくもある。逆サイドの"Tsundoku"は更に肉厚で太いキックが大地に突き刺ささり重低音のベースラインが蠢くハウス・グルーヴで、彼にしては随分とずっしりマッチョなビート感だ。しかし酩酊したようにふらふらした掴みどころのない上モノや時折奇妙な効果音が顔を出しフィルターで変化を付けて展開する構成は、フロアを揺さぶる機能的なダンストラックではありながらも、幻惑的なトリッピーさも伴っておりやはりBradockの個性が光っている。この狂ったのか酩酊しているのか壊れたようなハウス・ミュージックは、その崩れ行く様の中にも退廃美が存在している。



Check Pepe Bradock
| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Black Zodiac - True Places (Carry On:Carry On 009)

Black Zodiac - True Places
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ドイツのCarry OnからリリースされたBlack Zodiacなるアーティストの初作品、何の情報も無い中でリミキサーに名を連ねているDream 2 Scienceの記載を見れば、オールド・スクールなハウス好きな人にとっては多少なりとも食指が動くのではないだろうか。Ben CenacとGregg Foreから成るDream 2 Scienceは90年頃に僅かな作品を残しただけではあったが、しかしアンビエント性もある懐かしみのあるディープ・ハウスでカルトな人気を博し、その成果として2012年には時を越えてRush Hour Recordingsより旧作が復刻されるなど、その短い活動以上の高い評価を獲得したユニットだ。さて、Black Zodiacについては全く情報が無いので単にトラックに対してのみの言及となるが、何でも発掘されたデモトラックだと言う"True Places"は確かに90年台のアーリーハウスの懐かしい雰囲気が満載だ。緩やかで肩の力が抜けたスムースな4つ打ちのハウスビートが貫く中で、懐かしみのある綺麗なシンセのコード展開やTR系の乾いたパーカッションが爽快に響き、アシッディーなベースラインが曲にメリハリを付けるように引っ張っていく。すっと浮かび上がってくるアンビエント性もあるメランコリーなパッドでしんみりとした感情を誘発され、9分にも渡って滑らかに展開を繰り返すディープ・ハウスは徹底的に情緒的だ。そして"True Places (Dream 2 Science Remix)"はと言えば元の世界観にやらためったら手を加えて壊す事はなく、リズムをより弾けるようにパーカッシヴでダンサンブルに変化させつつ、ドリーミーで透明感のあるパッドを伸ばしたり動きのあるシンセの旋律で滑らかな躍動感を生み出している。中盤からのヴィブラフォンらしき柔らかい音色のメロディー、または終盤で入ってくる大胆なシンセソロなど盛り上がる展開も盛り込みつつ、全体としては大人びて洗練されながらも懐メロ感あるディープ・ハウスへと生まれ変わっており、Dream 2 Scienceの新作と言われても違和感を全く感じないだろう。Black Zodiacという謎のアーティストへの興味を抱かせるには十分な作品だが、Dream 2 Scienceのリミックスも素晴らしく、やはり古典的なハウス・ミュージックのファンならば一聴して損はないだろう。



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| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2018/9/14 solfa 10th Anniversary ”DAY 1” @ Solfa
2008年9月に中目黒という場所にオープンしたSolfaも今年で10周年。決して周りにクラブが多いわけでもなく環境的に優位でもないにもかかわらず、知名度だけではない確かな国内外のアーティストのブッキング、そしてまた都会的で洗練された内装等を売りに、堅実に10年の間運営を続けている。そんなクラブの10周年パーティーは4日間に渡って開催されるが、その初日は今や世界的アーティストであるGonnoやKuniyuki Takahashi、ベテランであるMoodmanやDr.Nishimura、そしてYou ForgotやNuboによるライブユニットのUnconscious Fusion OrchestraとBOW & SISINOBUと若手までフィーチャーし、中規模のクラブでありながらその内容はそれ以上と非常に楽しみに一夜だ。
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| HOUSE13 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Max Essa - Han Zon Roc EP (Hell Yeah Recordings:HYR7181)
Max Essa - Han Zon Roc EP
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イギリス出身で日本在住で活躍するMax Essaは、長い活動的を持ちながらも現在のバレアリック隆盛の中に自然と馴染んでいる。穏やかで包容力のあるバレアリックな彼の音楽性が過去から変わったのではなく、回り巡ってきた今という時代がようやく彼の音楽性にもシンクロするような自然な共鳴が、より彼の音楽性を際立てているようにも思われる。そして2017年にはイタリアン・バレアリックの先鋒であるHell Yeah RecordingsからEPをリリースしたが、そこでの相性の良さが証明されたのだろうか、続く新作である本作も同様に同レーベルからとなった。僅か3曲ではあるが彼の魅力を堪能するには十分過ぎる内容で、特に12分にも及ぶ大作の"Han Zon Roc (Midori Coup)"はストーリーを展開するサウンド・トラック的な構成も素晴らしい。ぼんやりとした幻想的なドローンから始まり煌めくシンセや繊細で哀愁あるギターが入ってくるノンビートの長いオープニングから、4分程経過するとようやくドラムの柔らかいリズムが入ってくるが、それと共にエグいアシッドもうねり出すという意外にも快楽的で恍惚の中盤、そこから微睡んだピアノの和音で朗らかに切り替わる流れなど長い尺を活かした展開の豊かさが突出している。そしてまた終盤、輝かしい光に包まれるような美しいシンセが放射されて次第にビートも消えていき、心地好い余韻を残して終わるドリーミーなバレアリック・ハウスは夏の終わりの寂しさを埋めるには十分だ。"How You Showed Me Everything"は肩の力が抜けたダウンテンポのスタイルで、ブルージーなギターが咽び泣くように響きコズミックな光沢感じさせるシンセが色鮮やかに鳴り、オーガニックな響きも相まってしみじみとした哀愁が込み上げる。そしてラストはアタック感の強いスネアやタムを用いたヒップ・ホップ調な"Rain Bird's Alfalfa Jam"だが、ここでもギターが存分に唸り動きのあるベースがうねり、バレアリック・ファンクとも呼べる開放感ありながらファンキーさが際立ったダンス・トラックに仕上がっている。どれも緩くありながら優しくエモーショナルな世界観に心も癒やされ、是非ともこの流れでHell Yeahからこの流れを踏襲したアルバムをリリースしてくれたらと切に願う。



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| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Esteban Adame - Mayan Basement EP (Mister Saturday Night Records:MSN030)
Esteban Adame - Mayan Basement EP
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ニューヨークでのパーティーから始まり2012年にはレーベルへと発展したMister Saturday Night Recordsは、今をときめくレーベルの一つだ。テクノ/ハウスを軸としながらもちょっと変化球を投げるような、メインストリートから外れながら、的確にダンスフロアを揺らすダンストラックを手掛けるレーベルで、良い意味で個性的で癖のあるアーティストを送り出している。その意味ではデトロイトのキーボーディストであり、Galaxy 2 GalaxyやTimelineにIcan等のメンバーでもあるEsteban Adame、所謂伝統派のデトロイト・ハウスのアーティストである彼がこのレーベルに取り上げられたのは少々意外ではあるが、レーベルが多様な方向性を指し示しているからこそ彼のようなアーティストも推されるのは意外ではなかったのかもしれない。本作に於いてもキーボーディストとしての力量が発揮されたメロディアスな作風は健在だが、その上でやや普段よりはリズムが弾けていたりする点もあるなど、Mister Saturday Nightのラフなファンキーさに寄り添った面も見受けられる。"Momma Knows"は如何にもな華麗なキーボードのコード展開とシャッフルするような弾けるビート感で軽快にスウィングするハウスで、潰れたようなラフなスネアやかっちりしたハイハットからはファンキーな響きも伝わってきて、耳を惹き付けるメロディアスな魅惑と荒いビート感が共存している。"Open House Memories"は均されてスムースなビート感はディープ・ハウス的だが、綺麗に伸びるデトロイト系のパッドにコズミックなシンセも乗っかってくると、デトロイトの未来的な感覚に包まれる穏やかなハウスで、ここでも楽しそうにキーボードをプレイしているであろうAdameの姿が浮かんでくるようだ。一番太いボトム感のある"Mayan Basement"ではズンドコどっしりした4つ打ちが身体に響く程にパワフルで、そこに耽美なピアノのコードと優美なストリングスが絡んでノリよく展開しつつ、ヴィブラフォンの柔らかいメロディーも入ってきたりと色彩感豊かで熱くソウルフルだ。どの曲もやはり演奏家としての力量が反映されてメロディアスな作風がベースにあり、そして心地好いグルーヴを生むハウスのリズムに安定感があり、やや古典的ではあるが故のハウス・クラシックス的な作品と言えよう。



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| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Alton Miller - All Things Good EP (Waella's Choice:WACH003)
Alton Miller - All Things Good EP
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2016〜17年にかけては自身のInner Muse Recordingsから過去の名作の復刻に勤しんでいたデトロイト・ハウスの古参であるAlton Millerだが、その一方で新作も精力的に制作してSound SignatureやNeroliにSistrum Recordings等名立たるレーベルから作品を送り出すなど、その控え目な知名度とは対照的に確かな実力を持つ堅実なアーティストだ。そんな彼による新作はロンドンの新興レーベルであるWaellas Choiceからで、元々柔らかくジャジーでソウルな雰囲気を持つハウス・ミュージックを得意とするMillerではあるものの、本作ではロンドンのレーベルからと言う事もあってか西ロンのブロークン・ビーツにも接近したような音楽性がやや強くなっているように思われる。タイトル曲と受け取れる"All The Good Things"は軽いパーカッションも弾ける心地好い4つ打ちのベーシックなハウスではあるが、控え目に情緒を発する優美なシンセやパッドの使い方で非常に洗練された雰囲気を持っており、無理に熱くなるのではなく自然な展開でじんわりと盛り上がっていく展開に、Millerの堅実な音楽性が現れている。"In The D"は更に軽快で爽やかなパーカッションを使った生っぽいハウスで、フュージョン風な流麗なシンセワークを前面に出して、ざっくりとしたビート感ながらも上品なソウルで纏めている。よりファンクやブロークン・ビーツとしての性質が強いのは"Beneath The Sun"で、崩れた変則ビートを刻みながら抜けの良いパーカッションが軽やかに弾け、内向的なシンセのコード展開に被せるように光沢感あるキーボードがファンキーにうねり、うっとりした情感ながらも躍動的なグルーヴが走っている。そして最もソウルフルな感情を打ち出したのはNikki Oをフィーチャーしたボーカル・ハウスの"The Storm"で、スポークンワード風に始まり温かく包み込むような歌へと変わっていくボーカルとヴィブラフォンらしき柔らかい音色や華麗なシンセが滑らかに展開する事で、実に心温まる優しいハウスになっている。何か心に圧倒的な印象を残す個性的な音楽というわけではないのだが、その普遍的で流行に全く影響されないクラシカルなハウスという点では信頼を寄せる事が出来る作曲家であり、リスナーとしても安心して聞く事が出来る。ならばやはりそろそろニューアルバムを期待せずにはいられないのだ。



Check Alton Miller
| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
DJ Koze - Knock Knock (Pampa Records:PampaCD013)
DJ Koze - Knock Knock
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DJとしてもアーティストとしてもレーベルボスとしての働きとしても、今最も注目すべき存在ではないだろうか。Stefan KozallaことDJ Kozeは元々はKompakt等を中心に捻れたダンス・ミュージックを手掛けていたものの、自身のPampaを設立後はより多彩で奇抜性の強いダンス・ミュージックへとのめり込む事になるが、そんな個性的な音の中にもしみじみとしたメランコリーが存在する音楽性は、キラートラックとしても成立する程に慣れ親しみ易さもある。前作から5年ぶりとなる3枚目のアルバムでもそういった個性に更に磨きを掛けて、多くのゲスト(Ada、Roisin Murphy、Jose Gonzalez、Mano Le Tough等)を起用したからという訳ではないだろうが、テクノからハウスにトリップ・ホップ、ポップにディスコやアンビエントにソウルなど最早ジャンルとしての壁が意味を成さない程に様々な要素が取り込まれ、捻れたポップ性に実験的でもあるユーモアとそしてダンスのグルーヴが共存している。幕開けとなる"Club Der Ewigkeiten"は優雅なストリングスやフルートにうっとりさせられつつ、ねっとりしたダウンテンポでドリーミーな夕暮れに染めていく。続く"Bonfire"は比較的ハウスのビートを保った曲ではあるが、サンプリングによる切なくも甘い歌声はネオソウル風でもあり、淡い色彩が滲む叙情に溶け込んでいく。Eddie FummlerやAdaを歌に起用した"Moving In A Liquid"はシャッフル調のリズムにうきうきとしつつ光沢感のあるポップなシンセでより弾けさせられるダンス・トラックで、そこから一転して"Colors Of Autumn"ではギターやベースも用いた有機的な序盤からトリップ・ホップ風のファンキーなリズムへと入っていく流れも、全く違和感が無いのはやはりKozeの淡いメランコリーやサイケデリアの統一性が故だろう。勿論"Pick Up"や"Seeing Aliens"のように光沢感を放つ煌めくような、または夕暮れ時のようなメランコリーが感傷的な、そんなサマーアンセム的なサンプリング系のフィルター・ハウスはパーティーが一番盛り上がっている瞬間に更にフロアを熱くするだろう。そして不鮮明な音像から甘くメロウな歌が浮かび上がってくるフォーキーなサイケデリアの"Muddy Funster"、ベース・ミュージックやダブ・ステップからの影響が感じられる可愛くも熱い感情が込められた"Jesus"など、アルバムは徹頭徹尾色々な音楽性が拡大するような構成だ。だからといって散漫な印象は一切無く、いやそれどころかクラブミュージックにしては随分とポップな世界観は、そういった異なるタイプの音を全て包み込んでDJ Kozeの個性を確立させている。夏はもうすぐ終わりだけれど、今夏を彩ったであろう素晴らしいセンチメンタル・ドリームだ。



Check DJ Koze
| HOUSE13 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Rick Wade - Conscience EP (Unknown Season:USJS-008)
Rick Wade - Conscience EP

デトロイト・ハウスの作曲家としては恐らく最も多作を誇るであろう生粋のアーティスト、それこそRick Wade。特にここ数年のリリースペースは尋常ならざるもので、自身のHarmonie ParkやHolic Trax、HousewaxやYore Records等の著名なレーベルからよりマイナーなレーベルまで所構わず新作をリリースし、ディスコ・フィーリングな煌めくハウスからしっとりムードあるディープ・ハウスまで安定した品質を保ってアーティスト性を確立している。その反面、余りにもリリースペースが早いので作品の全てを拾い切るのは困難でもあるが、本作に於いてはブラックネス溢れるハウス〜ヒップ・ホップに素養のあるHugo LXや、叙情性を強く奏でるハウス・アーティストのTakuya Matsumotoがリミキサーとして参加している事もあり、必然的に惹かれて購入した。新曲の"Conscience"は彼にしては随分とジャジーでムーディーなハウスで、流麗なストリングスや内向的なキーボードワークを軸に軽い風が舞い込むようなラテンフレイバーもあるドラムやリム等のリズムが軽快なビートを刻み、身体が火照るようにメランコリーでしっとりした情感を滲ませるこの曲は、ピークタイムよりは例えばパーティーの早い時間かまたは朝方の寝ぼけ眼な時に聞きたくなる。また"Authentideep (Hugo LX Twelve Hundred Mix)"は原曲よりもざっくり生っぽいリズム感を強調しているが、叙情的な部分は残しつつもより上モノや散りばめられた音の粒は陶酔感が強くなり洗練されたテック・ハウスな響きもあり、黒っぽさとアダルトなエレガンスが融合している。特に個性的な作風になった"Conscience (Takuya Matsumoto's Low Position mix)"、重心が低くねっとりとしたロウなビートが先ず耳に入ってくるビートダウン・ハウスで、そこに催眠的なシンセのリフをミニマルに用いてじわじわと絡み付くように粘性を持って展開する異形な音楽性ながらも、そこから発せられる黒さは原曲以上だ。最後の"Mack Equation"はデジタルオンリーだった作品の初ヴァイナル化で、ディスコティックなストリングスが優雅に舞いエレピが色鮮やかに彩るミッドテンポのディスコ・フィーリング全開で曲で、落ち着いた展開ながらも陽気なノリに心がうきうきとする。Wadeのオリジナルには安心印があるし、またリミキサー二人も個性を発揮した曲を聞かせてくれており、全曲外れ無しの磐石な内容だ。



Check Rick Wade
| HOUSE13 | 14:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Marcel Lune - Family Grooves EP (Super Tuff Records:ST004)
Marcel Lune - Family Grooves EP

可愛らしい鼠のラベルに惹かれて試聴してみたところ、ゴージャスな響きのあるクロスオーヴァー系のディープ・ハウスにやられて購入した一枚。作品を手掛けたのは過去にはLocal TalkやStudio Rockersからもリリース歴のあるMarcel Luneで、ジャズやファンク等の要素を咀嚼したディープ・ハウスを制作するアーティストだ。本作のリリース元であるSuper Tuff Recordsは2017年発足とまだ新しいレーベルで、最初の3枚はニューカマーの紹介的なコンピレーションEPだったものの、この作品にてようやくソロアーティストの発信に着手しただけあり、その内容も充実している。出だしの"Moon Sequence"こそ意外なノンビート作品ながらも、繊細で叙情的なピアノと豊かな艶のあるシンセによってシネマティックに盛り上がっていく展開で、静かながらも壮大な世界観としっとりしたムーディーな空気が満ちている。そして"You Can Do It!"では弾ける乾いたパーカッションと軽やかなキックで爽快なリズムを刻みつつ、そこにゴージャズなシンセや控えめに耽美なピアノのコードを織り込んだディープ・ハウスだが、自由に躍動する大胆でゴージャスな光沢感あるシンセやコズミックなSEでフュージョン的な感覚も獲得している。波しぶきの音やかもめの鳴き声を用いてバレアリックなムードも打ち出した"Unknownz"はよりソリッドでジャジーな4つ打ちビート感が出ているが、ここでも眩い光を放つような輝かしいシンセソロが躍動して開放感ある野外を感じさせ、清々しい多幸感が溢れ出している。ラストの"Sun"はフラメンコのようなハンドクラップと崩れた変則ビートでじわじわと引っ張る曲で、ここでもやはり優美なシンセやストリングスが装飾しながら下部では太いベースがファンキーさを付加し、そのエレガントな音の響きが際立っている。ビートの有無にかかわらずどの曲も豊潤な響きのシンセが特徴で、そしてハウス・ミュージックを軸にしながらもクロスーオーヴァーな広がりのある音楽性が発揮されており、アーティストの個性がしっかりと感じられるお勧めな一枚だ。



Check Marcel Lune
| HOUSE13 | 11:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Trinidadian Deep & Lars Bartkuhn - Sonics & Movements (Neroli:NERO 041)
Trinidadian Deep & Lars Bartkuhn - Sonics & Movements

イタリアにて優美なハウス・ミュージック〜クロスオーヴァー系には定評のあるNeroli、その新作はTrinidadian Deep & Lars Bartkuhnによる共作だ。Ron Trent直系でオーガニックかつアフロ・パーカッシヴなフュージョン・ハウスを量産するTrinidadian Deep、そして元Needsのメンバーでありジャズやフュージョンからの要素をハウス・ミュージックへと昇華させ耽美な世界観を創造するBartkuhn、そんな二人の音楽性がNeroliに合わない訳もなく、そしてその二人がコラボレーションしたのであれば興味を惹かずにはいられない。A面にはTrinidadian Deepのソロが2曲収録されているが、揺れるリズムに軽やかで爽やかなパーカッション使い、そして煌めきのある耽美なシンセにダビーな処理を加えて奥行きも演出した爽快感溢れるディープ・ハウスの"Native Palo"は、おおよそアーティストに期待している音楽そのものだ。途中から入ってくる麗しいシンセソロなど、一曲の中で魅力的な展開も作っている。"The People"はよりトロピカルなパーカッション使いに体も軽やかになり、スティールパンの朗らかな旋律やオルガンソロが躍動して、ラテン×フュージョンのような陽気なハウスだ。そして裏面には二人の共作がバージョン違いで収録されているが、"The Parish (Full Experience)"こそ両者の音楽性が正にフュージョンして、壮大でエレガント、豊かな表情を見せるディープでアフロなハウス傑作になっている。10分を超える大作なれど様々な要素を持ち込み飽きさせる事なく、かもめの鳴き声らしいオープニングから土着的で軽やかなパーカッションが快活なリズムを刻み、すっと伸びる光沢感あるシンセと耽美なエレピのリフで優雅に引っ張っていく。咽び泣くようなエモーショナルなシンセソロでぐっと郷愁を強めつつ、ダビーなパーカッションが空間の広がりを創出し、次には繊細なピアノが滴るように入ってきて、あの手この手で装飾するように展開を繰り広げる作風はアーティスト性の強いBartkuhnの手腕が発揮されている。バージョン違いの"The Parish (Dub)"はそのタイトル通りで、民族的なパーカッションが空へと響き渡るように爽快さが強調されており、特にオリジナル以上のダブ処理によってより躍動感を獲得している。どの曲もNeroliというレーベルの華麗な美しさを纏う音楽性に沿っており、二人のアーティストの相乗効果も抜群に作用した名作と断言する。



Check Trinidadian Deep & Lars Bartkuhn
| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |