Cosmonection - Menorca EP (Delusions Of Grandeur:DOG70)
Cosmonection - Menorca EP
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もはや親レーベルであるFreerange Recordsよりも確固たる地位を築き上げたDelusions Of Grandeur、ブギーからビートダウンまで駆使しフロア即戦力となるハウスのグルーヴが高く評価されるレーベルは、ベテランから若手まで多彩なタレントが揃っている。絶対とまではいかないでもレーベル買いしても損は無い程にリリースされる作品の質は高く、筆者もおおよそリリースされる作品はチェックが欠かせない。このCosmonectionは2018年初頭にデビューしたばかりのパリの新星で、本作はまだアーティストにとって2作目ながらもその才能の片鱗をはっきりと感じ取る事は容易な程に印象的なEPだ。タイトル曲の"Menorca"はずっしりと安定感のある大らかなハウスビートの4つ打ちと軽やかなパーカッションに合わせて、デトロイトの影響を思わせるうっとりするパッドのコードと未来感や宇宙感のある叙情的なシンセの旋律が一つとなり、穏やかな雰囲気ながらも大空を舞い踊るようなバレアリック性もあるハウスだ。"You"はドタドタと忙しないドラムやパーカッションによってリズムは躍動してキレがあり、そこにぼんやりもやもやしたシンセが空間を浮遊する事で人肌の温度感を生み出していてるが、基本的には前の曲と同様に大らかに包み込む優しさがある。EPの中で最も印象的なのは"Light"である事に異論はないだろう。イントロから持続するコズミックで壮大なアルペジオに引っ張られながら透明感のある美しいコードが被さり、TR系の軽快なキックやタムもリズムを作って徐々に盛り上がっていくロマンティックなハウスは、パーティーにおける真夜中の狂騒を通り過ぎた先に朝日が昇り始める頃の多幸感にも似た感覚があるバレアリックな曲で、または現在形の陽気なアンビエント・ハウスと呼んでも差し支えはない。またリミキサーとしてDelusions Of Grandeur筆頭格のSession Victimが曲を提供しており、"You (Session Victim Remix)"は原曲から大きな作風の変化は無いものの、温かみをそのまま尊重しながら全体を上品にトリートメントしながらジャジーバイブスで包み込んでいる。どれもパーティーでのDJ仕様であるのは前提としてあるものの、何か強い特徴や個性が光るというよりはクラシカルなハウス・ミュージックに対しての愛が伝わってくるような、流行に左右されない普遍的な良質さがある音楽だ。



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| HOUSE14 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |

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