2019.09.03 Tuesday
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ディスコやファンクのみならずイタロやバレアリックまで咀嚼したモダン・ハウスを量産し、今やダンス・ミュージックの中枢でもあるベルリンに於いても快進撃を続けるレーベルがToy Tonics。ベテランから若手までタレントが揃っているが今やレーベルの主軸にもなっているのがミュンヘンの二人組ユニットであるCoeoで、2012年頃から作品をリリースし始めてからToy TonicsからLet's Play HouseにRazor N Tapeといったレーベルから15枚ものEPをリリースするなど、その勢いはとどまるところを知らない。リエディットやサンプリングによるディスコ/ファンクな作風は一貫しており、ブギーなダンス・グルーヴとキャッチーなメロディーを展開した分かりやすい作風は、ハウス・ミュージックのファンにとってはおおよそ苦手な人はいないだろうと思う程だ。そして本作に於いては80年代の日本の歌謡曲、いやポップスと呼んでもいいだろうが、そんな曲を原曲の和的な雰囲気を全く損なわずに骨太グルーヴィーなディスコティックな作風へとリエディットした話題性抜群な内容だ。ブレッド&バターによる原曲はスローモーなファンクだった"Japanese Woman"は、ここではややピッチを上げてリズムも太く跳ねて、太いベースラインもうねりながらファンクの要素をしっかり強調して、生演奏的な感覚はありながらも現代のエレクトロニック・ディスコへと見事に生まれ変わっている。"Matchbox"は角松敏生による"Girl In The Box"のエディットで、キックが強く打ち付ける4つ打ちにシンセベースもパワフルに躍動しながら、大胆な上モノのピアノや光沢感あるゴージャスなシンセ使いを活かして、肉体感溢れるシンセ・ファンクになっている。国分友里恵による"とばして Taxi Man"が元になった"Uber Man"は、元々はファンクとポップスが調和した曲だったが、ここではネオンライトが光り輝くようなシンセをばりばり用いて、光に溢れる都会の夜のディスコ的な仕上げ方が古き良き時代に夢見た未来の東京か。そしてEPOによるエキゾチックな雰囲気もあるシンセ・ポップの"Tibetan Dance"、Coeoの手に掛かればアタックの強いキックを活かして強固なビートを刻み、音圧を増したブギーでファンクな骨太ディスコへと変容する。元々選んでいる曲自体が素晴らしいのもあるのだろうが、捻りを加えるでもなく素直にリエディットをする事で原曲の持ち味を活かしたモダン・ディスコへと塗り替える手腕により、全てがフロア即戦力と言っても過言ではない。尚、原曲もこの際に聞いてみたが、どれもキャッチーなシンセ・ポップ/シンセ・ファンクで素晴らしく、世界中でシティポップの再燃が起こるのも何も不思議ではない。
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