Chmmr - Try New Things (Full Pupp:FPLP014)
Chmmr - Try New Things
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ニュー・ディスコ大使のPrins Thomas主宰によるFull Pupp、ノルウェーを中心としたアーティストの作品を大量に送り出してきた正にノルウェーを代表するニュー・ディスコなレーベルだが、この新作はそんな中でやや異色にも思われる音楽性を展開している。手掛けているのはノルウェーのEven BrendenことChmmrで、2010年頃からリリースを開始し途中からはFull Puppへと移籍し、2017年には初のアルバムとなる『Auto』において陽気なニュー・ディスコを軸にしながらも熱帯の豊かな色彩溢れるバレアリックやイタロのムードを持ち込んで、ダンスとリスニングを自然と横断する心地好いアルバムを完成させていた。それから2年を経たこの2ndアルバムはより空気は緩み最早ダンスフロアを全く意識させる事なく、アンビエントやフュージョンへと足を踏み入れて至上の楽園のような長閑な風景を見せる。アルバムの始まりは可愛らしいエレピと優美なシンセのコードだけによる子守唄のような"Ultrafine"、ビートは無くアンビエントな雰囲気もあり微睡みに誘う。続く崩れたダウンテンポがゆったりとリズムを刻む"1 More Day 2 Play"は、光沢感あるシンセが躍動し耽美なピアノが夜の帳を下ろしてダンスなパーティーの雰囲気も無いわけではないが、真夜中というよりは夕方の早いまだ和んだ時間帯。コンガや他のパーカッションも用いた"Adult Land #6"は微かにジャズやファンクの影響も滲ませて、情緒的なパッドやきらびやかなシンセに彩られる白昼夢状態のダウンテンポを展開し、"NFO Love Song"ではカチッとしたマシンファンクなリズムを刻む中で艷やかなシンセと朧気なエレピが意識も溶けてしまう程の甘い夢に誘う。トーク・ボックスを用いてロボット・ファンクな感も出しつつしかしぼんやりと緩んだシンセが持続する"We Live In Melas Chasma, Baby"は昨今のニュー・エイジにも共鳴し、シンプルなピアノと電子音の繊細なコードだけで簡素な響きながらもしんみりと心に染みるコンテンポラリー・ジャズな"1 4 cc"はChick Coreaへと捧げたと本人は述べている。耽美な鍵盤使いやフュージョン風な優美な響き、アンビエントの瞑想的な平穏にはダンスフロアの狂騒や興奮は一切無く、長閑な昼下がりの3時にうたた寝をするように甘美な時間帯を演出する。もはやニュー・ディスコの影さえも残さない意外や意外なアルバムだが、近年のバレアリックやニュー・エイジにアンビエントの再興が続く中で、このアルバムは見事に時代に適合した傑作だ。



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| TECHNO14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |

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