Shinichiro Yokota - I Know You Like It (Far East Recording:FER-06916)
Shinichiro Yokota - I Know You Like It
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「こういう音が、いいんだろォ…?」こんなCD帯のあおりに笑わずにはいられない横田信一郎のニューアルバム。今となってはジャパニーズ・ハウスの創世記のレジェンドとなったSoichi Terada(寺田創一)と活動を共にしながら、しかしネームバリューでいえば寺田の大きな存在に隠れがちではあったものの、寺田と共に長く活動をしていただけありそのハウス・ミュージックのシンプルさが生み出す素晴らしさは寺田に負けず劣らずだ。90年初頭からリリースをしているだけありNYハウスに影響を受けてリズムマシンによるシンプルなビートとベース、そして綺羅びやかなピアノや流麗なシンセによるキーボード主体のサウンド、そして和的なポップ感覚を載せたハウス・ミュージックは、シンプルが故に時代が経とうとも色褪せない強度と普遍性がありだからこそ今再度注目を集めているのだろう。そしてこの新作である、冒頭のあおり文句まんまにファンが期待するクラシカルなハウス・サウンドは良い意味で変わらない。新曲である"I Know You Like It"から直球ハウス、ソウルフルな歌と凛としたピアノのコード、贅肉を落としながらも跳ねるハウスのビート感であっさりした響きだが、ポップさ弾けるメロディーや美しいシンセの伸びがぐっと心を熱くする。"Tokyo 018 (Watashi Wa Tokyo Suki)"はなんと寺田との15年ぶりの共同制作だそうだが、可愛らしいシンセの音色やエフェクトを掛けたボーカル等からは確かに寺田の影響も感じられ、そしてシンプルなビート感と鍵盤を用いた流麗な展開のシンセコードには二人の音楽的な相性の良さが現れている。ややブレイク・ビーツでズンドコと重厚感のあるリズムを強調した"Time Travelling"も内向的な鍵盤と哀愁奏でる歌がしんみり切なさを誘い、"Gypsy Woman (She's Homeless)"を思い起こさせるキャッチーなピアノ使いが印象的でざらついて安っぽいビートは跳ね感がある"Take Yours"は途中からふざけたようなアシッド・サウンドも加わりユーモラスで、どれもシンプルではあるが丁寧に個性が込められている。YMOカバーの"Simoon"含むラスト3曲は実は90年前半の曲ではあるが、それがら新曲と並んでいても全く違和感なく聞こえるのは、やはり横田の音楽性が当時から大きくは変わってないない事を示している。90年代のハウス・ミュージック黄金時代が蘇る横田の音楽、決して新しいとか革新性があるとかではないが、「これでいいんだよォ!」と太鼓判を押したいアルバムだ。



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| HOUSE14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |

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