New World Science - Osmos (Movements) (Temple:TMPL005)
New World Science - Osmos (Movements)
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電子音楽の界隈で見直されるニューエイジやアンビエントの世界、それらが活発化する事で現在の時代に即したモダンなそれらも生まれているが、カナダはモントリオールから初めて耳にするNew World Scienceなるユニットのアルバムは2019年度のニューエイジでも特に目を見張るものがある。ニューカマーなのかと思っていたものの調べてみるとPrioriとしても活動するFrancis Latreilleを筆頭に、TempleのレーベルオーナーでありEx-Terrestrialとして活動するAdam Feingold、サックスフォン奏者のEmあmanuel Thibau、ニューエイジやレフトフィールド路線で活躍するRamzi、そしてTempleから作品をリリースしているRichard Wengerの5人組プロジェクトである事が分かった。電子音楽やニューエイジの方面で経験を持つぞれぞれのアーティストの技術を反映させ、ヴィンテージなシンセにフルートやサックスにギター、コンガやパーカッションも用い、電子とアコースティックの調和、即興的でありながら構築的な作風によって深い瞑想世界へ誘うモダンなニューエイジを展開する。"Movement 1"は15分にも及ぶ大作でどんよりとしながらアンビエンスを発するドローンから始まり広がるシンセのリフレインに合わせ、抽象的でスピリチュアルなサックスが現実世界でなく異空間へと誘うディープ・メディテーションな一曲。ゆっくりとした速度感でドロドロと変容しながら15分にも渡って、深い精神世界の旅が始まる。"Movement 2"ではドラムマシンやギターも用いられたダンス寄りの作風だが、朗らかなシンセのメロディーに奇妙な効果音を重ねながら土着的なパーカッションや生々しいリズムが民族間溢れるニューエイジ性を発し、原始的な祭事の踊りのようだ。そしてシンセのアルペジオが牧歌的でバレアリックな雰囲気もある"Movement 3"は、複数のシンセの層が淡い絵の具の色をぼかしていくような透明感溢れる美しさがあり、その中で叙情的なサックスフォンが引っ張っていく。"Movement 4"は5人のメンバー総員で制作した曲で、コンガ等の土着的なリズムの中に生暖かいフルートやサックスフォンが混沌と溶け合いながら生命の胎動の如く自由さがあり、ジャズやアンビエントに現代音楽等の要素が融解して一つになったようなインプロビゼーション性溢れる本EP屈指のニューエイジだ。内向的/外向的、ダンス/リスニングと振れ幅を持ちながらどれにもニューエイジによく引用される辺境性とスピリチュアル性が備わっており、例えばSuso Saiz辺りの音楽性が好きな人にとってはこのNew World Scienceもピンとくるだろう。



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| ETC(MUSIC)4 | 12:30 | comments(0) | - | |

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