Waajeed - Mother EP (Planet E:PLE65390)
Waajeed - Mother EP
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Theo ParrishやAmp Fiddlerとの絡みでハウス・ミュージックの方面でも名前をよく見るようになり、2018年には自身のDirt Tech Reckから9年ぶりとなるアルバム『From The Dirt LP』(過去レビュー)をリリースし、ジャズやファンクも咀嚼したハウスでクロスオーヴァーな音楽性を開花させ豊かなソウルを披露したRobert O'BryantことWaajeed。元々はデトロイトのヒップ・ホップ集団であるSlum Villageのメンバーでもあった事から当然ヒップ・ホップで名があったのだろうが、近年はハウスへと方向性を転換し、特にその流れで大きな知名度を獲得する事になったのがデトロイトの老舗レーベルであるPlanet Eからのリリースとなった本作だろう。大雑把に言ってしまえばどれもハウスなのだが、そこにはテック・ハウスやファンキーなハウス、またはディープ・ハウスと呼ばれる性質が曲毎に存在し、Waajeedの豊かな音楽性を見つける事が出来る。Steffanie Christi'anをフィーチャーした"Mother"は特に素晴らしく、ボンゴらしき乾いたパーカッションによるアフリカンなリズム感、そこに伸びやかなシンセストリングスと優美なピアノのコードを被せ、希望を抱かせるようなソウルフルな歌が一体となり、デトロイトのメロディアスで実に感情性豊かなハウスを聞かせる。"Earth"でもボーカルにBlaktonyを起用しているが、こちらは暗めで覚醒感のあるシンセリフによるループにしっとりした繊細なピアノを合わせ、呟き風な歌も相まってテッキーなディープ・ハウス色が強めだ。"Obba"ではハンドクラップや弾けるリズムが爽快なグルーヴを生み、そこにエレクトリックな響きのベースやリフを用いる事でハイテックな感覚を打ち出した実に高揚感のあるハウスとなっており、シンセストリングスも入ってくればデトロイトらしい壮大な叙情性に包んでいく。"Frances"もまた非常にデトロイトらしいというか、コズミック感溢れるシンセのループを配置しながらしっとりしたピアノコードとギラギラしたメロディーで引っ張っていくソウルフルかつハイテックなハウスで、斬新な音楽ではないがデトロイトという古典を今風の音として咀嚼して古き良き時代の音楽をアップデートしている。デトロイトがかつて程の勢いを失っている状況で、こういった新たなアーティストの台頭は嬉しいばかりで、非常にこれからを期待させる存在感を放っている。



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| HOUSE14 | 14:30 | comments(0) | - | |

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