Kapote - What It Is (Toy Tonics:TOYT090)
Kapote - What It Is
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2012年頃に設立されまだ10年も経っていないにもかかわらずリリースは100以上、ジャズやファンクにディスコやハウスといった音楽性を強烈なダンス・グルーヴに纏め上げるToy Tonicsは、現行のダンスシーンの中で確かな存在感を放ちつつも流行り廃りとは無縁と言わんばかりに実直にブラック・ミュージックに根ざした音楽を追求する。ある意味では非常に分かりやすいというか、革新性や斬新性よりも王道を突き進むその姿勢はだからこそ信頼に足るレーベルで、フロアを沸かせるヒット曲を量産するのも当然だろう。そんなレーベルを運営するのがMathias ModicaことKapoteで、かつてはMunkを含む複数の名義でも活躍しており、既に活動歴は20年以上に及ぶ大ベテランだ。当然このKapoteの音楽性こそがレーベルの方向性を指し示すと言っても過言ではなく、ダンスフロア即戦力を目指すEP中心とした長いレーベル運営の中で、初のアルバムを担当するのがKapoteとなった事も自然な流れだろう。さて、このアルバムはKapoteがデビューして以降のEPからの曲も多く収録されており、結論から言うとキラートラックがふんだんに並んでいる。アルバムの幕開けを飾る新録となった"Jaas Func Haus"からして非常にファンキーなハウスで、うねりにうねるベースラインが先導しつつフィルター・ディスコ的なサンプリングと、Modicaによるピアノ等の鍵盤の演奏も加わり、粘性の高いブラックネスを生み出して強烈なファンクネスを発している。続く"Delirio Italiano"はそのタイトル通りにイタロ・ディスコの系列だが、しかし快楽的なシーケンスを活かしたイタロではなく、もっと根源的で生の煮えたぎるような音を打ち出したディスコティックな作風が強烈なパワーを秘めている。先行EPの1曲である"Brasiliko"はブラジルのディスコを意識したのか非常にリズミカルだが、一方で流麗なフルートや耽美なエレピのソロ、そしてしなやかに美しくストリングスが舞い踊り、ダンスグルーヴに溢れながらも心もしっとり濡れるような情緒的な曲だ。これもまた過去のEPからとなる"Fuck Music (Short)"、フィルターの開閉で展開を付けているフィルター・ハウスを軸にした典型的な意味でパーティー・チューン、勢いと陽気な雰囲気もあってフロアも盛り上がらないわけがない。配信のみに収録された"Spacedrum"はダウンテンポというかヒップホップ調で、ゆったりとしながらも腰を横に揺さぶるグルーヴ感とメロウな鍵盤コードや麗しいシンセのメロディーで、落ち着いたファンクネスを演出。Toy Tonics自体はドイツのレーベルではあるが、そういったドイツのテクノ然とした音楽性よりはNYやロンドンのハウスに影響された音楽性がアルバムに現れており、流行とかは無縁でありながらしかしサンプリングと生演奏を巧みに活かしたダンス・トラックは非常に強烈だ。



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| HOUSE14 | 12:30 | comments(0) | - | |

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