Wolf Muller Meets The Nile Project Featuring Kasiva Mutua, Adel Mekha, Rapasa Nyatrapasa Otieno (Nouvelle Ambiance:AMBIANCE003)
Wolf Muller Meets The Nile Project Featuring Kasiva Mutua, Adel Mekha, Rapasa Nyatrapasa Otieno
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バレアリックやニューエイジの方面ではInternational FeelやGrowing Binといったレーベルからの作品で評価され、Bufiman名義では奇妙ななハウス/ディスコを手掛けるJan SchulteことWolf Muller。彼の音楽性を何か特定のものに当て嵌めるのは難しく、変異体的な奇妙な音楽性が特徴となっている。この2019年リリースの本作ではナイル川周辺の国々で活動するアーティスト集団であるThe Nile Projectとのコラボレーションを果たしていて、パーカッショニストのKasiva Mutuaとニャティティという楽器とボーカルでRapasa Nyatrapasa Otieno、そしてまたボーカルでAdel Mekhaの3人との邂逅によって、民族音楽の要素も強いMullerの音楽性が更に拡張を遂げる事となった。冒頭の"Mabomba Dance (Long Version)"は15分にも及ぶ大作で、Mutuaによる原始的なパーカッションとエジプトのアーティストであるAhmed Omarのボーカルを加えた曲だが、やはり特徴は生々しく胎動するパーカッション。人間の根源にあるダンスの欲求を刺激するライブ感溢れるグルーヴを刻み、そこにSchulteによる快楽的なベースや奇妙な電子音を散りばめ、更にOmarの呪術のような呟きも加わって正に魔術的というか祭事というか、メロディーに頼る事なく覚醒感を誘うトリッピーなトライバル・ディスコを永遠かと思わせるように聞かせる。"Ruoth Radido (Nyangile)"ではOtienoによる打楽器と弦が一緒になったニャティティがフィーチャされており、乾いて響く抜けの良いパーカッションと朗らかな弦の響き、そこにSchulteによる奇妙な振動のジャウハープ(口琴)も加わって、完全に緑の木々が生い茂る深い森の中の原始な響きが生まれている。"Moso Radido Wuod Ndege (Nyatiti)"もエキゾチックなニャティティの旋律がフィーチャーされているが、こちらはアナログで素朴なドラムマシンもリズムや民族的な歌も加わり、何だか民謡を来ているような懐かしい感覚がある。"Southern Voice"ではハンドドラムと歌をMekhaが担当しているが、不思議な打撃音と祈りのような歌が魔術かのように催眠的な効果を発して、土着とディスコが奇妙にブレンドされたリズム重視のツール的な性質が。どれも普通の4つ打ち中心のテクノ/ハウスのダンスフロアでは使うのは難しいかもしれないが、トライバルな要素なりワールド・ミュージックもミックスするDJプレイの中では自然と存在するであろう大地と共鳴する音楽で、Mullerの民族志向が特に強く打ち出されたEPとして面白い。



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| HOUSE14 | 19:00 | comments(0) | - | |

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