Mediterranean Key Collective - Fragranza (Cosmic Rhythm:CRM15)
Mediterranean Key Collective - Fragranza

2016年に発足したイタリアのCosmic Rhythmはまだ歴史は浅いものの、シカゴ・ハウス由来のロウな響きのリズムとイタロ・ハウスを継承した美しく鮮やかな音色を基にしたオールド・スクールかつディープ・ハウスな作風に焦点を絞り、良質なEPをこのご時世に配信もせずにヴァイナルオンリーでリリースし続けている。そんなレーベルから新たにデビューしたMediterranean Key Collective、実はイタロ・ハウスの大ベテランであるDon Carlosと、Cosmic Rhythmの主力として活動するRhythm Of ParadiseことMichele Lamacchia、そしてレーベル主宰者であるCosmic GardenことNicola Loporchioの3人による新たなるプロジェクトという事で、どうしたって注目してしまうのも当然だ(ちなみに同レーベルのカタログに並ぶB.U.M.、Rydm Sectors、Loss Of Gravityなど大半の名義も、実はLamacchiaとLoporchioに依るものである)。イタロ系の古典とも呼べるIrmaやCalypsoから多くの名作をリリースしてきたイタロ・ハウスの大御所と、そして新世代の二人が手を組むという世代を越えたプロジェクトは、確かに各々の魅力が取り込まれて単なる話題性だけではない納得の内容となっている。ローファイというか乾いてチージーな音質のリズムが跳ねる"Fragranza"は、しかし耽美でスムースなエレピコードにファンキーな効果音を織り交ぜて、中盤から入ってくる艶と色気のあるサックスソロが地中海の楽園的なムードを吹き込み、如何にもイタロ的なドリーミーなハウスで説得力を持っている。"Il Tramonto"は膨らみのあるキックを用いて穏やかな4つ打ちを刻んでおり、そこに流麗で透明感のある鍵盤コードを重ね、色彩豊かに煌めくようなシンセのメロディーを散らし、波打つ水面から太陽光が乱射するような美しさのあるバレアリックなハウスを展開。別バージョンとなる"Il Tramonto (Mediterranean Mix)"はより太いキックとざらついたハイハットが強調されて骨太感があるが、澄んだエレピとホーン系のメロディーが穏やかなアンビエンス性を生み出しており、そこに繊細で綺羅びやかな鍵盤ソロも入ってきて優雅で大人のディープ・ハウスといった趣きで実にリゾート感覚に溢れている。最後はリラックスしたビート感の"La Casa Del Sole"で、ドライなタム系と金属的なパーカッションの響きに合わせ幻想的で微睡んだシンセコードで夢現な状態が続く、甘美でドリーミーなイタロ・ハウス。やはりイタリアのアーティストが揃っただけあり如何にもイタロ的なピアノの使い方や、美しく清涼なシンセの響きを前面に打ち出して、作風としては古典というかオールド・スクールというか新しい事は何も無いものの、基本に忠実だからこそ逆に盤石な質の高さを示している。一回限りのプロジェクトとしてはもったいなさ過ぎるので、是非とも継続して欲しいものだ。



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| HOUSE15 | 09:00 | comments(0) | - | |

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