Adam Oko - Diet Of Germs (Second Circle:SC 016)
Adam Oko - Diet Of Germs
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現在のニューエイジ/アンビエント(だけではないが)をリードするMusic From Memoryがどちらかというと内省的なリスニング性の強い音楽であるのに対し、その傘下のSecond Circleも同様に多様なジャンルを継承しているがその上でフロアを意識したダンス・ミュージックとしての性質が強く、普段テクノやハウスを嗜む人にとってはこちらの方がより肌に馴染むかもしれない。とは言いながらも一癖も二癖もある個性的なアーティストがカタログに名を連ねており、この新作もレーベルのユニークさに見事に適合している。手掛けているのはロンドン出身で現在は東京を拠点に活動するAdam Okoで、実はこの『Diet Of Germs』は2015年に10曲入りのカセットテープ限定でリリースされていたものを、今回Second Circleが選りすぐって4曲に再編してリイシューしたものだ。10曲から4曲へ減った点については聞く前は物足りなさを感じていたが、実際に聞いた後では(オリジナル作は未聴ではあるが)良質な曲を吟味して選んだであろう審美眼も伝わってきて、このリイシューが少なからずOkoの後押しに繋がるであろうと信じている。基本的にはどれもニューエイジ/アンビエントの雰囲気を纏う作風ではあるが、"The Burrow"は大気から情緒が沸き立つようなドラマ性の強い曲調はサウンド・トラック的でもあり、ビートレスな構成ながらも神秘的なシンセのアルペジオを幻想的なメロディーが絡み合いながらぐぐっと感情を揺さぶっていく流れで、もしビートが入っていたらエモーショナルなテクノになるような曲だ。続く"Suketo"も序盤は瞑想的なギターと穏やかなドローンを用いて内省的なニューエイジ色強いものの、中盤からぱっと視界が開けたように潰れたようなキックのリズムと陽気なメロディーが踊りだし、ローファイなシンセファンクへと切り替わる。"Legs Akimbo"もローファイで辿々しいリズムが打ち付けつつ、そこにミステリアスで抽象的な音像やトリップ感のあるボーカルサンプルが覆っていく様はサイケデリックなエレクトロニカ調で、スローモながらもダンサンブルで自然と体が揺れる。生っぽいドラムが躍動しライブ感もある"Diet Of Germs"は豊潤なシンセの響きもあって全体が生き生きとジャジーなノリを刻み、抑制されながらも内側にエネルギーを貯めながらもどんどん高揚へと向かう牧歌的な曲で、Second Circleのダンス性やエクスペリメンタル性と特に共鳴していると思う。自身のベッドルーム・スタジオで録音されたという本作は、どれもローファイな質感と手作り感に溢れていて、その素朴さが牧歌性や郷愁の空気をより濃くしているのだろう。2015年のリリース以降はリリースが無いOkoだが、本作はより多くの作品を聞きたいと渇望させられる魅力を放っている。



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| TECHNO15 | 12:01 | comments(0) | - | |

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