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Various - Claremont Editions One (Claremont 56:C56CD022)
Various - Claremont Editions One
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ディスコ〜バレアリックを提唱するシリーズ『Originals』で定評を得たClaremont 56。長らくバレアリックを主導するPaul Murphyが主宰するこのレーベルはディスコを軸にしながらも、フォークやプログレにソフトロック等にも取り組む事で所謂一般的なダンスのフォーマットを越えて、多様な音楽性を内包しながらバレアリックを体現してきた。そして前述の『Originals』シリーズは著名なDJによってジャンルを限定せずにレアな音源が纏め上げられ、バレアリックという雰囲気に統一したレーベルの音楽性を象徴する一連の作品となったが、そのシリーズが2013年に終了した後にMurphyが考えたのは、レアな音源ではなくレーベルに於いて成長しているアーティストに対しての後押しだったようで、それを形としたのがこの『Claremont Editions』シリーズだ。基本的には過去にレーベルと関わりを持ったアーティストの新曲を収録しており、それに加えてレーベル外からもClaremont 56のイメージに沿う曲も加えて、ジャンルレスに長閑で開放感のあるドリーミーな世界観に纏め上げている。Hear & Nowは今レーベルが最も一押しするユニットではないだろうか、このイタリアの二人組はディスコをベースにギターも多めに用いた作風が特徴で、朗らかなギターフレーズと多幸感溢れるシンセのラインが温かい太陽光が降り注ぐような感覚を生む"Alba Sol"は有機的なバレアリックで、底無しの優しさに抱擁される。Statuesもまだ作品数は少ないもののレーベルが発掘したトリオのようで、"Heaven Fades"は切り裂くようなサイケデリック・ギターと哀愁のピアノが物哀しい雰囲気を作りつつ、そこに有機的な電子音と朧げでドリーミーな歌が加わりながら、白昼夢に浸るようなソフトロックを奏でている。本作の目玉の一つはHF Internationalの"I Can't Go For That (No Can Do) (KI's Extended Disco Dub)"である事は間違いなく、Hall & Oatesの名曲をユニットがレゲエ・ディスコとしてカバーしたものを更にKoaru Inoueが手を加えているのだが、歌を削ぎ落としダブ化した事でディスコのリズムが際立ち朗らかなギターカッティングも浮かび上がり、トリッピーな効果音を織り交ぜながら心地好いダンスグルーヴを刻むディスコ・ダブと化している。Fursattlの"Leerlauf"に至ってはリズムが跳ねて走り、揺らめくようなフォーキーなギターが爽やかなクラウト・ロックだが、満ち足りた至福感のバレアリックという観点から見ると本コンピレーションに馴染んでいる。アルバムの最後はCanのメンバーでもあったHolger Czukayとその妻であるU-Sheによる数年前に録音された未発表曲の"Longing"で、オーケストラのようなゴージャスなストリングス使いとは対象的に気怠い歌によって弛緩した雰囲気はクラウト・ロック版のチルアウトで、終盤にかけてリズムが暴れ出して盛り上がっていく感動的な流れは締め括りに相応しい。他にもAORやダウンテンポを含むこのコンピレーションは多彩なジャンルが故に必ずしもフロアに即した音楽だけではないが、そのようなダンスもありながらダンスの枠組みも越えていく音楽性がClaremont 56の特徴の一つであり、その意味では非常にレーベルの方向性を示唆していると言えよう。第二弾も楽しみにならずにはいられない素晴らしいシリーズだ。



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| ETC5 | 12:00 | comments(0) | - | |
Pacific Breeze Japanese City Pop, AOR & Boogie 1976-1986 (Light In The Attic:LITA 163)
Pacific Breeze Japanese City Pop, AOR & Boogie 1976-1986
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近年日本のジャパニーズ・アンビエント/ニューエイジの掘り起こしの勢いには目を見張るものがあるが、その代表的なコンピレーションである『Kankyō Ongaku (Japanese Ambient, & New Age Music 1980 - 1990)』(過去レビュー)を手掛けたUSのLight In The Atticは、それ以前にも例えば細野晴臣の複数のアルバムを復刻しており日本の音楽に興味を持っていた事は間違いないだろう。そんなレーベルが続いて送り出したシリーズは、日本のシティ・ポップやAORとブギーに焦点を当てた「Pacific Breeze」シリーズ。その第一弾となる本作は1976〜1986年に制作された日本産の音楽で、細野晴臣、大貫妙子、吉田美奈子、高橋幸宏、鈴木茂、高中正義、井上鑑、佐藤博、松任谷正隆、F.O.E.、石川鷹彦、惣領智子、佐藤奈々子、小林泉美、阿川泰子、当山ひとみ、豊島たづみの曲がコンパイルされている。ジャケットを担当したのは大滝詠一の『A Long Vacation』のアルバムカバーも手掛けた永井博で、バックに澄んだ青々しい空が広がるリゾート地のような絵も完全にシティ・ポップの雰囲気そのもので、聞く前の雰囲気作りからして完璧だ。しかし何故、今更日本のシティ・ポップやAORなのか。暗くどんよりしたムードと閉塞感が続く世の中で、キラキラとしたクリスタルな感覚を持つポップな音楽がそういった暗雲を少しでも振り払ってくれるからだろうか。そんな仮定を抜きにしてもこの古き良き時代の日本の音楽は、海外の音楽を咀嚼しながら当時まだ新しかった電子楽器と生演奏を匠に融合させ、お洒落で日本独特のポップな感覚に昇華しており、実は時代が移り変わろうとも色褪せない普遍的な魅力を持っていたのだ。佐藤のヴォコーダーを用いた歌に爽やかなギターカッティング、そしてブレイクでのフュージョン的な鍵盤ソロなど都会的で洗練された音を聞かせる"Say Goodbye"、そして甘ったるくもきざな歌と煌めきを感じさせるシンセが魅力的な高橋の"Drip Dry Eyes"等は『Pacific Breeze』の雰囲気に最適でシティ・ポップの魅力を実直に伝えてくる。しかし本盤を聴き通してみるとシティ・ポップと一口で言っても多様な要素が存在しているのが分かり、スティール・パンの乾いた音が可愛らしく腰に来るリズム感がファンキーな高中の"Bamboo Vender"はラテン・ジャズ・ファンクだし、電子音とパーカッションも用いてエレクトロ的なリズムを叩き出すF.O.E.の"In My Jungle"は土着ファンクで、阿川の艷やかで夜のアダルトな空気が滲む"L.A. Night"はアーバン・ソウル、小林のトロピカルやファンクも咀嚼した"コーヒー・ルンバ"のエキゾチック感と、海外からの時流の音を貪欲に取り込みながら日本の都会的な音として表現している。またこのコンピレーションでは女性アーティストの曲が多い事も印象的で、情緒たっぷりで切ないディスコ・クラシックである吉田の"Midnight Driver"からゴージャスな音使いと魂が叫ぶような和製ソウルな豊島の"待ちぼうけ"、フルートの朗らかな音色に引かれてブラジリアン風なリズムが爽快でポップな大貫の"くすりをたくさん"等、特に女性の声がこのジャンルに合っているように感じられる。電子楽器やエキゾチカも取り込むなど先鋭的な感覚を持っていたこれらの音楽は、そしてネオンライトに溢れる都会的なキラキラした輝きもあり、非常に時代性の強い音楽であり懐古的な気分になる事は否めない。しかし、その魅力は普遍的なものだからこそ現在に於いて再度評価されるのだろう。ああ、何だか懐かしいクリスタルな日々が目の前に浮かび上がってくるようだ。



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| ETC5 | 12:00 | comments(0) | - | |
Susumu Yokota - Cloud Hidden (Lo Recordings:Lo166CD)
Susumu Yokota - Cloud Hidden
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2015年3月に亡くなられた横田進は日本のテクノ創世記の礎となった一人だ。活動が盛んな頃には半年に一枚のペースでアルバムをリリースし、その内容もどんどん変化してアシッドからテクノにハウス、アンビエントやダウンテンポにブレイク・ビーツ、果てはエクスペリメンタルまで、兎に角歩みを止めずに溢れ出すアイデアを即座に作品に投影して自身の唯一無二の世界観を確立していた。そんな音楽に魅了された人は多く、事実ダンス・ミュージックの枠を越えて他のアーティストからも評価されており、日本に於ける電子音楽の伝説的アーティストと呼んでも過言ではない。そんな横田の多大な功績もあってか彼が亡くなって以降は初期のアルバムが複数枚復刻されていたが、本作は復刻ではなく完全なる未発表音源だ。なんでも過去に横田と共作をしたMark BeazleyことRothkoは、2002年作の『The Boy And The Tree』と同時期のラフスケッチが収録されたDATテープを過去に横田から受け取っていたそうで、それをLo Recordingsを主宰するJon Tyeが「横田の作品の精神と遺産に敬意を表して形にした」との事だ。この2002年頃には既に普通のダンス・ミュージックの枠を飛び越えて、ダンスに依存しないエクスペリメンタルな方向へ足を踏み出していた時期で、実際この未発表曲群も最早ダンスフロアとは無縁のイマジネーション溢れる現実と虚構が入り乱れる倒錯の世界のようで、また『The Boy And The Tree』と同様に和的というかオリエンタルな雰囲気も感じられる。夢の中で鐘や弦などの原始的な楽器が鳴り響いているようなエキゾ・トライバルな"Spectrum Of Love"で始まり、寺院のスピリチュアルな雰囲気ながらも迫力あるパーカッションが乱れ打つニューエイジの"Implications Of Karma"、寂れたギターらしき物哀しいメロディーを軸にした怪しげな笛が加わるアブストラクトな"The Reality Of Reincarnation"と、序盤から形容のし難いジャンルながらも横田らしい静謐な美学が光っている。光が放射し圧倒的な眩しさと多幸感に包まれる"Ama and the Mountain"はもう完全にニューエイジそのもので、一方でガムランらしき音とぼんやりとした電子音が揺らぐ"The Seven Secret Sayings of God"はバリ島のガムランのアンビエント化で、この頃はアジア音楽に興味を持っていたのだろうか。ダンス・ミュージックではないものの原始的な胎動が潜み、この世とあの世を行き交うような夢想の世界は霊的で、聞く者を一時の白昼夢へと誘うだろう。また現在盛り上がっているニューエイジ/アンビエントの流れに乗っても違和感無く、横田の早過ぎた傑作と断言したい。



Check Susumu Yokota
| TECHNO15 | 10:30 | comments(0) | - | |
As One - Communion (De:tuned:ASG/DE029)
As One - Communion
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なんと2006年の前作から13年ぶりとなる本アルバムをリリースしたAs One。UK屈指のデトロイト・テクノ信仰者であり、そしてジャズやフュージョンへの造詣も深く、エレクトロニクスとアコースティックを匠に操るKirk Degiorgioが抱える多くのプロジェクトの内の一つでるAs Oneは、90年代初頭のベッドルームに電脳世界を創出するようなインテリジェンス・テクノの代表格だ。事実彼の初期活動においてはB12やPlanet Eからのリリースもあり、正にダンスに依存せずに知的さを感じさせる未来的なテクノ・ソウルがAs Oneの個性であった。本作のリリース元であるDe:tunedは2019年の間はそういった90年代の音楽の名作を10枚の『DE』シリーズで復刻していたのだが、復刻だけに飽き足らずにまさかAs Oneにインテリジェンス・テクノの最新系を表現する場を用意したのだから感心せずにはいられない。As One自体は実は2000年前後においてはブロークン・ビーツやジャズのオーガニック路線へ傾倒していたものの、しかしこの最新作は90年代初頭のファンが最も好むであろうエレクトリック・ソウル路線のテクノを表現しており、特にデトロイト・テクノの影響大なクラシカルなコード展開やシンセサウンドがそこかしこに存在している。始まりの"Absorption Spectra"はまるでオーケストラのような重厚感と華やかさがあるシンセと繊細な電子音が揺らめき、ビートレスな構成もあってアンビエント的だが、SF感のある未来的な感覚がインテリジェンス・テクノと呼ばれる所以だろう。続く"Downburst"は力強く弾けるベースと複雑なブレイク・ビーツに拘りのあるテクノだが、次第に幽玄なパッドも加わると途端に叙情性に包まれて、宇宙空間を遊泳するような感覚に陥る。柔らかくしなやかなビート感に望郷への思いが馳せるようなデトロイト系のパッドを重ねて、慎ましい思慮深いテクノの"Irimias"、そして動きの多い重層的なシンセのメロディーと有機的なブロークン・ビーツを合わせてジャジーな"The Ladder"など、正に初期As Oneの音楽性そのものな曲もある。"Aimpoint"も特に過去のAs Oneの最良の瞬間を思い起こさせる曲で、ジャズの要素もある変則的なリズムに幻夢のように惑わせる浮遊感あるシンセは深いインナートリップを体験させ、強迫的なダンス・グルーヴで踊らせるのではなく想像力を刺激するような瞑想音楽的だ。これらはそれまでのダンスフロアに依存した強烈なグルーヴではなく、4つ打ちを逸脱した自由なリズムと情緒豊かに揺らめくような上モノを用いたテクノで、ダンスとしてではなく電子音楽の無限の可能性を広げる事に寄与している。アルバムの最後も1曲目と同様にビートレスな"Emanation"で、美しいシンセストリングスを軸に夢幻の電子音響で儚さを演出しながら静かにその世界を閉じていき、アルバムの構成/流れも見事でAs Oneの中でも最高傑作と呼んでも過言ではない程だ。激しくタフなツール特化型のテクノが猛威を奮う現在において、再びインテリジェンス・テクノが注目を集めるかどうかはさておき、流行り廃りとは無縁の深遠なる世界が広がる本作はタイムレスだ。



Check Kirk Degiorgio
| TECHNO15 | 17:30 | comments(0) | - | |
Various - The First Circle (Neroli:NERO 050)
Various - The First Circle

かつてイタリアのブロークン・ビーツのシーンを引っ張ってきたのはArchiveというレーベルであるのは間違いなく、その主宰者であるVolcovはそこからよりハウスへと傾倒したレーベルとしてNeroliを立ち上げて、現在もソウルやファンクにフュージョンといった音楽性を咀嚼した先鋭的なハウスをリリースし、確実な評価を獲得している。そんなNeroliの発足20周年、そしてカタログ50枚目の記念として制作された本作は、レーベル名の元となったBrian Enoの『Neroli』にインスピレーションを得たそうで、ドラム等のビートが強調されたものではなくメロディーや雰囲気を尊重した内省的な音楽を参加アーティストに依頼したそうだ。そのアーティストとはUKからはデトロイトの魂を受け継ぐIan O'BrienやKirk Degiorgio、そしてブラック・ミュージック性を前面に出すDegoやLinkwood、更に新世代のK15、USからはデトロイトのPatrice ScottにGerald MitchellやPirahnahead、人気絶頂のFred P.、そして変則的なリズムを得意とするAybeeらであり、確かに皆ダンスミュージックを作りながらもDJ視点の単なるツールではなくメロディーやハーモニーを大切にするアーティストとしての面が強い人達が揃っている。だとしても本作ではリズムに頼る曲は少なくメロディーと雰囲気で繊細に聞かせる曲が大半で、ともすればアンビエント的な感覚さえも少なからずあり、そのリスニング志向なコンピレーションに驚かずにはいられない。K15の内省的で切ないエレピが主導するメランコリーなモダン・ジャズ風の"Disillusioned"で始まり、Kirk Degiorgioの宇宙の無重力空間を感じさせるスペーシーなエレクトロニック・アンビエントの"Leave Everything Behind"を通過し、Patrice Scottの"Untitled"もディープな空間の広がりを感じさせる音響を用いつつも途中からは切れ味鋭いブレイク・ビーツも入ってくるが、リズムよりも繊細なピアノが情緒的な雰囲気を作っている。叙情性のある曲調であればIan O'Brienは最適だろう、ピアノやストリングスを用いて切ない心象を吐露するような静謐なコンテンポラリー・ジャズの"Music Comes From Within"を提供している。一方Gerald Mitchell+ Volcov+Pirahnaheadによる"Snow"は、厳かなパッドと静かにビートを刻む上に咽び泣くように咆哮するギターが炸裂する激情溢れるセッション風の曲で、ダンスではないものの非常に熱量の高さが溢れている。またDegoは分厚いシンセメロディーが優雅なフュージョンを思わせる"31 Losses 31 Wins"を聞かせているが、Fred P.はビートが入っていれば普段のテクノと大きな違いは然程無い深遠な世界を覗かせる"Star Crossed"を披露しており、しかしアンビエントなムードによってアルバムの一片としてはまっている。普段はブロークン・ビーツやハウスを基調にしたダンス・ミュージックを手掛けるNeroliからこういったリスニング志向なコンピレーションがリリースされるのは意外だが、前述の音楽性からダンス成分を削ぎ落としつつ情緒豊かにメロディーとハーモニーを丁寧に聞かせる作風にアーティストの個性も見受けられ、結果的には各々の内なる深い精神世界が広がる素晴らしいコンピレーションになっている。



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| ETC5 | 12:00 | comments(0) | - | |