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Karim Sahraoui - Plenitude EP (R & S Records:RS 1804)
Karim Sahraoui - Plenitude EP
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ベルギーの名門テクノレーベルの一つであるR&S Recordsのカタログに、また新たなるアーティストの名が刻まれた。それこそデトロイト・テクノのソウルと共振する音楽性を持つKarim Sahraouiで、元々はDjinxx名義ではF-CommunicationsやDelsin等からもリリースしていたベテランかつ実力派アーティストだが、やはり近年の活動ではTransmatからのリリースでダンス・ミュージックの世界へと復帰したのが印象に残っているだろう。Derrick Mayに認められたエモーショナルなソウルを持ったテクノは、ある意味では近頃停滞しているデトロイト勢よりも更に本家デトロイト・テクノらしくもあり、だからこそTransmatの歴史の一部に加わった事も自然な出来事だったに違いない。その復活後以降は活動も軌道に乗りコンスタントに新作をリリースしていたが、ここに来てまた更なるキラートラックが届けられた。A面に収録された"Spy Of The Desert"は幽玄なパッドがふらふら酩酊しながらも彼にしては比較的エモーショナル性や大きな展開は抑制されており、その代りに疾走する勢いやグルーヴ感を持続しながらリズムで引っ張っていく機能性が重視されており、ミニマルなプレイとの親和性が高いか。本作ではB面の2曲がSahraouiに期待される音楽そのもので、"Born Again"はジャジーでスウィングするリズム感に柔らかいシンセのメロディーや幻想的に盛り上がっていくリフが用いられ、徐々に熱量が高まっていく情緒的な曲だ。だがしかし、彼のクラシックである"Nightflow"にも匹敵し、新たなるクラシックに成り得る可能性を秘めているのは"Before The 2nd Coming"だ。決して直球なダンストラックでもないためDJとしての使い所は限られるだろうが、荘厳でスピリチュアルなシンセパッドによる涙を誘う程の叙情性を旋律をなぞり、徐々に天上へと昇っていくようなドラマティックかつ甘美な構成を持ったこの曲は、正に90年代の栄華を誇ったデトロイト・テクノの時代から現在へと出現したテクノだ。少なからずともDerrick Mayの音楽性とも共鳴する熱き感情が渦巻いており、希望や癒やしと言ったポジティブな気持ちに満たされる。デトロイトがかつて程の勢いが無い中で、Sahraouiにはその穴を埋める存在として期待してしまうのも、本作を聞けば納得するに違いない。



Check Karim Sahraoui
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Scott Gilmore - Another Day (International Feel Recordings:IFEEL 069)
Scott Gilmore - Another Day
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好調な活動を続けるバレアリック・ミュージック筆頭格のInternational Feel、2018年の初作品はロスアンゼルスのScott Gilmoreによるもの。2017年には同レーベルよりアルバムをリリースしているものの、他には殆ど作品が無く詳細については分からないが、そのアルバムを聞く限りではチープな録音マシンやHammond 102200など古いシンセやリズムマシンを用いて宅録を行うDIYアーティストのようで、確かにレーベルのリラックスした開放感はありながらもまた今までのレーベルのアーティストとは異なる音楽性も含んでいる。本作でもその宅録な雰囲気ははっきりと感じられ、"Electric Gestures"からほのぼのとしたシンセで和みの旋律を描きつつ臨場感ある安っぽいリズムが爽やかなグルーヴを刻み、その力の抜けきったリラックスした雰囲気は正に海沿いの景色が広がるバレアリックではあるのだが、根源は何だか70年代のサイケデリック・ミュージックやプログレ等からの影響が感じられる。"Things Forgotten"は哀愁染み出る味わい深いギターと豊かなシンセストリングスによるAOR風で、やはりInternational Feelの他のダンス系のアーティストとは異なる方向性からレーベルの音楽性に適合している。"Lately"はエモーショナルで色鮮やかなシンセがリードしつつ、バックではか弱くギターカッティングがしみじみとした味わいを付け加えるビートレスなAORで、ぼんやりと夕暮れの景色を眺める郷愁ムードだ。そしてタイトル曲の"Another Day"、うきうきとノリの良いリズムが入り妙に光沢のある多層のシンセが多幸感を生むコズミックかつポップな曲で、やはり太陽の日が燦々と降り注ぐ野外の開放的な雰囲気はダンス・ミュージックの枠には当て嵌まらずともInternational Feelが示すバレアリックな方向性と一致する。どれもコンパクトに纏まった構成でDJMIX向けではないかもしれなが、曲そのもののリスニングとしての質の高さは保証されており、快適な時間を提供するホームリスニングとして素晴らしい。



Check Scott Gilmore
| HOUSE13 | 22:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Moonboots - Moments In Time (Music For Dreams:ZZZCD0121)
Moonboots - Moments In Time
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デンマークはコペンハーゲンからバレアリック・シーンを先導するレーベルの一つ、Music For Dreamsからまた素晴らしいコンピレーションが到着している。手掛けているのはマンチェスターでAficionadoというレーベル/パーティーを主宰するバレアリック系のアーティストであるMoonbootsで、MFDのレーベル紹介としてではなくあくまでバレアリックという音楽性に沿って選曲を行っていて、これがまたジャンルや時代を超越してムーディーな世界を作り上げており素晴らしい。ミックスではなく敢えてコンピレーションな事で、それぞれの曲毎の良さを十分に体感出来る、またそれだけにどの曲もそれだけで成り立つ質の高さが保証されており、Moonbootsの審美眼が光っている。アルバムはシンプルなピアノのメロディーとゆったりと浮かび上がるストリングスによるインスト曲の"Simple Trust"で始まるが、静謐で穏やかな響きは何処までも澄んでいて、この時点でもう気分はうっとり。続くはDavid Darlingによる"Cello Blue"で、鳥の囀り等のフィールド・レコーディングに加えチェロとピアノの落ち着いて優雅な旋律を聞かせるニューエイジ色の強い曲だが、スピリチュアル性に向かうでもなくあくまで自然体な響き。そしてJuly Skiesの"The Softest Kiss"、Beginの"Names In The Sand"とアコースティック・ギターの爽やかな響きが強調されたフォーキーな曲も続き、エヴァーグリーンな豊かさも聞かせる。一転してクラブ・ミュージック側からの選曲としてはFarbror Resande Macによるサイケデリックで幻惑的なダウンテンポの"Janne"、Gryningenによるしなやかなストリングスが延びメロウなギターが広がっていく海沿いのBGM的な"Fran Andra Hand Till Stranderna I Nice"もあり、ジャンルとしての制約から解放されて美しくメロウな曲が続く。後半ではジャズトリオであるBombay Hotelによる年を重ねて熟成されたような深い哀愁が滲み出るフュージョンの"Between Leaves"、Matt Deightonによるジャズの影響が感じられるフォーキーな"Tannis Root"もあり、円熟味は高まっていく。そしてラストはMFDでも活躍するThe Swan & The Lakeによる"Waiting For Spring"、可愛らしいマリンバに先導され浮遊感のあるシンセが広がっていく天上一直線なニューエイジ/アンビエントなこの曲はこの世とは思えない程に美しい。ここにはジャズやフォーキーなロックにフュージョン、アンビエントやダウンテンポにニューエイジなど複数のジャンルの音楽が収録されているが、それらはある種の雰囲気で統一されており、その感覚こそバレアリックを形成するものだ。特に本作ではメランコリーという感情が強く打ち出されており、ダンスで踊り疲れた時や忙しない日常の癒やしとなるであろう音楽がここにはある。



Tracklistは続きで。
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| ETC4 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Nightmares On Wax - Shape The Future (Warp Records:WARPCD275)
Nightmares On Wax - Shape The Future
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ダンス・ミュージックという荒波に揉まれる業界において、彼ほどマイペースで自然体という言葉が似合うアーティストはそう多くはないだろう。George EvelynによるNightmares On Waxは求道者としてダウンテンポを追求してきたアーティストで、ダブやレゲエにソウルやファンクなどのエッセンスも咀嚼しながら、溶けるように甘美でメロウな音楽を制作してきた。特にWarp Recordsという革新的なレーベルの最古参でありながら、その最新を切り開くレーベルの音楽性とは相反するように流行の波はそっちので心身共にリラックスさせるダウンテンポを追い続ける姿勢は、アーティストとして強い信念に基づいた事を考えると信頼の於ける存在だ。人気アーティストでありながらこの新作も前作から4年半と随分と長い時間が経過するほどにのんびりとした活動ではあるが、それだけの時間が経過しても多少のムードの移り変わりはあっても音楽的に大きな変化は見られない。アルバムは先行EPである"Back To Nature"から始まるが、しっとりとしたピアノや物哀しいストリングスに深みのあるボーカルも導入したダブ寄りのダウンテンポは正にNightmares On Waxのクラシカルな作風だが、前2作品の開放的で陽気なムードに比べるとじめじめと湿り気を帯びて内向的だ。続く"Tell My Vision"はもう少し小気味良いリズムにゆらゆら揺れるがしっかりと低音が支えとなり、二人の掛け合いのような優しいMCによって心地良いグルーヴを作っている。タイトル曲の"Shape The Future"はメロウの極みだろう、闊歩するようなシャッフル調のリズムに力強いピアノや幻想的なストリングスを配し、ゆったりとしながらも確実に身体を揺らす湿り気を帯びたR&B調のダウンテンポだ。"Tomorrow"辺りも彼等の古典的とも呼べる気怠く生温いダブ・サウンドでじめじめとしながらも甘美な空気が滲み出ているが、もう一つの先行EPである"Citizen Kane"は力強いゴスペル・コーラスをはじめ優雅なストリングスや躍動感に満ちたドラムのリズムも一体となり最早ダウンテンポではなく祝祭感もあるソウルと言った趣だ。どの曲も基本的にはリラックスしていてメロウなムードである事に変わりはないが、全体的にはシルキーな優しい響きがありメジャーなR&Bにも接近したよう作風で、良い意味でポピュラーな印象だ。驚くべき斬新性がある訳でもないが、日常的に聞きたくなるしとやかな音楽は正にダウンテンポとして機能している。



Check Nightmares on Wax
| ETC4 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2018/5/12 Sunset Lounge @ 江ノ島展望台
Sunset Lounge1

温かくなり始める春の季節と共にやってくる、そう今年も遂にやってきた湘南は江ノ島で開催されるSunset Loungeも前身のFreedom Sunsetから含めると15周年。海風が吹き抜ける江ノ島の頂上から夕暮れを見下ろせる絶好のロケーション、開放的な場で心も体も踊り出すダンス・ミュージックを浴びるパーティーは、人種や老若男女を問わずに魅了する。今回の5月開催ではレジデントとも言える井上薫を筆頭にオールジャンル・ミックスなクボタタケシ、繊細で煌めく電子音を聞かせるInner Science、DJ Kenseiらによるプロジェクトのcolorful house band、湘南をベースに活動するDJ Dante、そして主宰者であるshibaをユニットのsorto&nodo+shiba+No.9と、今年もジャンル問わずにダンスとリスニングの両面で楽しませてくれるアーティストが集まっており、期待せざるを得ない。
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| EVENT REPORT6 | 16:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |