2008.10.07 Tuesday
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当ブログの読者に古いシカゴハウス物のレビューを頼まれたので、家にある音源をほじくり返して幾つか紹介したいと思います。でやはりシカゴハウスで絶対に外せないのが当ブログでも何度も紹介しているMr.FingersことLarry Heardですが、音楽的には既にシカゴやらハウスやらと言う言葉に囚われない人だと思います。確かに最初期の作品はTR-808のドタドタとしたリズムトラックと強烈なベースラインを中心としたアシッディーなシカゴハウスが多かったのですが、途中からはダンスする事を目的とぜずに機能よりも感受性に重点を置いた内省的な音楽性へと向かいました。この1992年作のアルバムでは既に現在のLarryと変わらぬ音楽性を完成させていて、透明感と清涼感と気品に満ちたピアノやシンセサウンドと、TR-808らのクラシックな機材を使用し懐かしさを感じさせるグルーヴィーなリズム、そしてLarryの優しい問い掛けの様なボーカルが既に出揃っています。またネタ使用や単純なリフの繰り返しは使用せずに、流麗なメロディーやコード展開でダンスせずとも聴く事が出来る音楽性を重視した事は、明らかに従来のシカゴハウス(と言うよりアシッドハウス)とは違うベクトルを向いており、より普遍的な音楽性を重視していた事が分かります。DJではなくアーティストとして唯一無二の孤高の存在として君臨し続けるには、そんな訳があったのでした。
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