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2011/12/1 OL Killer presents "WIFE" @ WWW
岡村靖幸改めOL Killerが主宰するパーティー"WIFE"の初回ゲストは、なんとライブ出演で砂原良徳。砂原と言えば2002年のElectraglideでのKraftwerkの後に行ったライブが半ば伝説化していたが、そこからが混迷を極めいつまで経っても新作が出ない状態が続いていた。近年はちょこちょことライブを再開し出し、今年になってようやくアルバムを完成させてからはライブも以前より頻度にこなすようになり、今ではライブ自体も珍しいものではなくなった。が自分にとっての砂原良徳はあの時のElectraglideから時間が止まっている状態で、9年ぶりの再開には期待と不安が入り交じる気持ちだったのだ。
ステージの幕が開き金属的なクリック音が鳴り出し始めると…ステージには誰も居ない。幕開けは"The First Step"からだが、9年分のノスタルジーを切り刻むかの如く、鋭利な音が体の深くまで突き刺さる。Electraglideで感じたエレクトロニックソウルは身を潜め、夢から覚めたように獰猛な音が鳴り響く。曲も半ば過ぎた頃にようやく砂原とサポーターの久川大志が登場し、ステージ脇ではVJの中野誠也が機器を操作している。映像には原発関連や世界遺産の風景、宗教的な物まで脈絡無くあらゆるものを素早く切り替えて、まるでサブリミナル効果を狙ったかのような印象を残す。最初の3曲はそのままアルバム"Liminal"から続けて演奏したが、ブンブンと振動し肉体を強く打ちつける重低音や鋭いパーカッシヴな音による圧迫感は、過去への思い出を払拭し目前に迫る危機感を煽っている。音の選び方は非常に洗練されていて、研ぎ澄まされた音質の良さや鳴りの良さは素晴らしいのだが、感情を排したどころか昨今の日本の重苦しいムードが漂っており決して楽観的なものではない。その後続けて3曲はアルバム"Lovebeat"からだったが、こちらも"Liminal"仕様に硬くエッジの聴いた音が添加され、多少の思い出深いノスタルジーは匂わせつつも以前より攻撃的になっていた。VJはCGを多用した幾何学的な模様やレトロフューチャーな物へと切り替わり、その電脳的な世界へと吸い込まれて行く。続いてアルファベットや数字、メッセージや正方形のイメージが生物のように動きまわる映像が印象的な"Subliminal"では、メロディーも明瞭になりカラフルさも出てくるも、しかしやはり何処か機械的で無機質な感情を抱かせる。飛行映像が爽やかな"747 Dub"での軽やかな小旅行に続き、どうしたってファンキーな"Cripper's Discotic Break"では流石に客も音に身を任せて揺れていた。そしてラストを飾るに相応しい"The Center of Gravity"、まるで地球の重力に引き寄せられるように密度が高く重い音がダビーに響き、終焉に向かってゆっくりとドラマティックに盛り上がっていく。音は流れながらもいつの間にか二人はステージから去り、残響は朧げに消えて行く、微かな感動を残しながら。アップテンポな曲は無い、楽観的なムードも無い、非常に緊張の張り詰めた重厚な電子音響ライブだったが、動画と音のイメージを完全にシンクロさせたライブは実にエンターテイメント性があり、そして決して軽くないリアリティーを感じさせた。夢の中へ逃避行するノスタルジーは捨て去り、現実に立ち向かう強い意思を見せつける、そんな砂原の思いが感じられるライブだった。

Set List
1.The First Step
2.Beat It
3.Boiling Point
4.Spiral Never Before
5.Balance
6.Lovebeat
7.Subliminal
8.747 Dub
9.Cripper's Discotic Break
10.The Center of Gravity

■Yoshinori Sunahara - Liminal(過去レビュー)
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コメント
今回は「747 Dub」や「Cripper's Discotic Break」もやったんですね!
聴きたかった・・・。

それにしてもOL Killerって何なんだろう?
| びびんば | 2011/12/03 3:18 PM |
>びびんばさん
そうなんですよ、びびんばさんのブログでトラックリスト見てたんで、その通りにやるかと思ったら、まさかのCripper's Discotic Break!そしてラストに繋がる流れが最高でした

OL Killerは見ずに帰ったんですけど、なんか岡村含めたメンバーでDJやってるとか…
| マチュ | 2011/12/03 6:02 PM |
私も行きました。まりん初体験でしたが、素晴らしいライブでした。ハイハット一つまでにも神経を使ってるようなこだわりを感じました。ちなみにOL KILLERは岡村ちゃんです。岡村ちゃんはただノッてるだけでしたけど(笑)。
| ゾウィ | 2011/12/04 7:41 PM |
>ゾウィさん
砂原は音への執着心と言うかオタク気質な印象ですよね。
昔のライブより深く突き刺さりました。

岡村のDJは岡村は回さないと聞いていたので、スルーしました。何がやりたいんでしょうね〜
| マチュ | 2011/12/05 12:02 PM |
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