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The Hacienda : How Not To Run A Club / Peter Hook (著)
The Hacienda : How Not To Run A Club Peter Hook
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The Hacienda、1982〜1997年まで営業を続けていたマンチェスターの元祖スーパークラブ。Factory Recordsが手掛ける作品としてFAC51のカタログナンバーを持つクラブであり、そしてUKにおけるアシッドハウス・ムーヴメントの起点にもなった伝説的なクラブだ。それを運営していたのがFactoryのメンバーでもあるかの有名なTony WilsonやRob Grettonであったのだが、そこにNew Orderのメンバーも共同経営者として参加させられてしまった。本書はNew Orderとして活躍していたPeter Hookの視点から見たThe Haciendaに纏わるストーリーであり、Peter Hookの波乱万丈な人生の回顧録でもある。Hookの記憶によれば真実のみを書いたと言う本書を読むと、The Haciendaの負の側面として認められているエクスタシーをクラブで使用していた人は実際には多くても1割だった言う意外な話や、New Orderが産み出した多くの利益はThe Haciendaと言うブラックホールの殆ど飲み込まれていたと言う冗談にも聞こえた伝聞が、今やっと真実として受け止める事が出来る。そして80年代前半、Paradise Garageの音楽とオーディエンスこそが全てと言う姿勢に影響を受けライブハウスからクラブ営業へとシフトし、80年代後半のアシッド・ハウスとエクスタシーによる大爆発を得るまでの音楽的な変遷を読むだけでも面白いのだが、その裏で常に赤字を垂れ流していたのがThe Haciendaだったのだ。お粗末にも経営的手腕が無いメンバーがしかし音楽に対する深い愛情があったからこそ、その様なクラブが成功(?)を収めた事には悦びと共に虚無感も漂うが、もしNew Orderが売れて利益を出していなかったらThe Haciendaとその後に続くカルチャーも無かったのかもしれないのだ。全てはFactory RecordsのメンバーとNew Orderの音楽への愛情が成せた変革だったのかもしれない。そしてドラッグと結び付いたアシッドハウス・ムーヴメントの過剰な盛り上がりは、負の側面としてドラッグ密売や暴力と言った問題を生み出し、その結果クラブの衰退へと繋がっていくのは何とも皮肉な事だ。クラブでの11周年記念ではDavid Moralesがゲストに呼ばれていたのだが、誰かがMoralesの背中を瓶で殴り彼の背中がぱっくりと切れてしまったそうだ。その時のMoralesの発言が「血を流すほどのギャラはもらってないんだけど」とあり、いかにクラブ内が混沌と危険に満ちてしまったかのかを示唆している。Hookにとっては暗くなるような話もあるが、当時のシーンを皮肉混じり語る筆者の口調に陰鬱さはなく興奮や隆盛が素直に伝わってくる作品だ。
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