2012.08.01 Wednesday
Amazonで詳しく見る(US盤) Amazonで詳しく見る(MP3)
オランダと言えば欧州においても屈指のデトロイト狂が集まる国でもあり、古くはEevo Lute Muziqueから近年のDelsinやRush Hourまで過去のデトロイトを未来へと繋いでいく存在感を示している。そして100% Pureも1992年からかつてはデトロイトの影響下にありながら現在進行形のレーベルである。そのレーベルから95年にリリースされたのがSteve Rachmadの初のアルバムである本作であり、永らく廃盤となっていたもののリミックス等を含む形で目出度くリイシューされた。Rachmadと言えばテクノファンにはご存知の通りデトロイト信者の一人でもあるが、このアルバムを聴けば分かる通りでオリジナルのデトロイト・テクノに見受けられる過剰な情熱やラフな質感は精錬され、透明感のあるピュアな音質を生かしたクールなテクノを披露している。もっと言ってしまうとこれは90年代前半に流行っていたAI(Artificial Intelligence)テクノをフロア向けにアップデートしたように理性的に作られており、憂いのあるメロディーや自然なコード展開を尊重していて随分と耳に馴染み易い。また時代が時代だけにオールド・スクールなアナログ機材を多様した影響は音にそのまま表れており、幾分か簡素で乾いたあっさりした質感の音は懐かしくもあり、完璧に音が精錬された近年テクノとは異なる素朴な印象も受ける。凝ったギミックや派手な展開も無ければモダンなミニマルの覚醒感も無いけれど、テクノにかける純真な情熱が伝わってくるエモーショナルな作風は質実剛健と褒め称えるべきであろう。
試聴
Check "Steve Rachmad"