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2012/12/31 New Year's Eve Countdown to 2013 @ Eleven
2012年最後の、そして2013年の門出を飾るパーティーはElevenへ。なんといってもシカゴ・ハウスの伝説となっているレーベル・Prescriptionを共同運営していたChez DamierとRon Trentの二人が、90年代に袂を分かって以来同じパーティーでDJをすると言うのだから、ハウス・ミュージックを愛する者としてはこれに行かずしてどうする?と言う内容です。また単独来日でさえRon Trentは来日がそれ程多くはなく、Chez Damierに至っては国内へのクラブパーティーへの初参加は2011年と、来日自体が非常に珍しいアーティストでもあります。そんなハウス三昧になるのは間違いないパーティーへと足を運んできました。
メインフロアのオープニングを務めたのは日本から世界へと活動の場を広げているKez YM。彼の編み込まれたドレッドを見れば分かるだろう、その風貌から結び付くのはファンキーなプレイ。いつも通り全身をバネのように弾ませながらアクセル全開で飛ばしまくるハウスセットは、黒い煙を撒き散らしながら暴走するスポーツカーを思わせます。跳ねるグルーヴと生々しい野性的な躍動感、ホーンやピアノが華麗な旋律を奏でながらスモーキーなボイスサンプルが悪っぽさを演出し、荒々しい攻撃性と麗しいエレガンスを伴う黒さが突出していました。NYEと言う事もあってか早い時間から上げまくりのプレイで一向に勢いを下げる事なく、豪快なイコライジング捌きでズバズバとキックの抜き差しを行い、カウントダウン前のフロアを温めていました。

そして24時より少し前にChez DamierへとDJが交代すると、音圧が太い、音がでかい、そして体もでかいです。彼が手掛けるハウスは所謂ディープ・ハウスと言うジャンルに属するのですが、しかしDJプレイは比較的US的と言うかNYハウス系のボーカル物が多い印象でした。24時には一旦音を切って総勢でカウントダウンへの秒読みを行い、そして2013年を迎えての挨拶をし合って、再度DamierがDJを開始しました。正直日本酒飲みまくって酔っていたせいもあり記憶は定かではないのですが、前回のアシッド・ハウス〜テック・ハウス〜ディープ・ハウスまで披露していた幅のあるプレイではなく、今回は歌物や熱気溢れるソウルフルなハウスが多かったように感じました。Damierのお茶目でノリノリな性格からかDJする仕草も愛嬌が溢れていて、こんなオーソドックスなハウスにも愛が感じられてなんだか心が温まるようでした。Kez YMに負けず劣らず音としては黒さを感じさせつつ、図太いキックや厚みを体感させながらも、全身を優しさで包む包容力みたいなものが音に乗っているのは、そんな彼の性格の影響なのかもしれないですね。

そしてChez Damierは3時間程プレイをしてから、遂に盟友であるRon Trentへの橋渡しを実施。こちらは彼に期待している通りの音の連続で、幻想的なパッドのコードや乱れ撃つ軽快なダブパーカッション、そして浮遊感をも感じさせるアンビエンスな空気を纏い、怒涛の勢いで空へと飛翔するハウストラックを繋いでいました。Kez YMやDamierの音は黒いと言う言葉が適切でしたが、Trentの音はムーディーでナルシスティック。ピアノは零れ落ち、スペーシーなシンセが輝き、リヴァーブがかかったボーカルが広がるディープ・ハウスは、フロアの隅々まで爽快に響きわたっていました。Trentは朝方まで全く手を緩める事なく浮遊し続けるディープ・ハウスで攻めまくり、そこからはハウスDJの真骨頂であるアフターアワーズセットへと切り替わったのですが、歌物のポップスやエレクトロ・ポップにエレクトロ・ファンクなど時代を感じさせるダサかっこいい曲も、クラブのフロアで聴くと心に染み入る感が堪らないですね。そして一旦フロアの緊張を解きほぐしてからの再度アッパーなハウスに雪崩れ込み、Trentの必殺技であるドラムやパーカッション乱れ打ちのアフロトライバルなハウスも回して、まるで太古の祭事を思わせるようでした。そこからは終わりが全く見えず上げては下げて上げては下げて、華麗なフュージョンや胸がキュンとなる哀愁のR&Bに血が煮えたぎるファンクなどもプレイして、朝方の気怠さで満ちたフロアを愛撫するかの如くセンチメントで包み込んでいました。最後にプレイしたのはTrentの"Space Dance"で、ナルシストなボーカル入りの透明感溢れる余りにも美しいディープ・ハウスで感動的に幕を閉じました。

結局Ron Trentは7時間近くのプレイをやり遂げたのですが、NYEと言う気持ちの昂りがあった影響のせいもあるのでしょうが、非常に素晴らしいDJをしていたと思います。パーティー自体はハウスと言う軸を持ちながらも、各DJが個性を発揮しながら異なるハウスを聞かせてくれた事もあって、ハウスの多様性を堪能出来た事は満足でした。何よりもカウントダウンだからと言って集客だけを気にしたパーティーをせずに、ややもすれば玄人向けでもあるシカゴ・ハウスのレジェンズをカウントダウンパーティーに呼んだ事には頭が下がる思いです。

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