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2013/1/5 KMS RECORDS "TRIBUTE TO DETROIT" @ Air
2013年も遂に始まりましたが、その一発目のパーティーはデトロイトテクノのベルヴィル・スリーの一人であるKevin Saundersonが登場。Juan Atkinsがオリジネーターであり、Derrick Mayはイノベーターであり、そして一方Kevin Saundersonはと言うとエレベーター、つまり売り上げ的な面も含めて最もデトロイトテクノを高みに上がらせたアーティストです。コマーシャルな作風ではありつつもテクノ/ハウスの両面でヒット作を量産し、メジャーへ殴り込みを掛けたその功績は疑うべくもありません。そして今回は彼が主宰するKMS Recordsをフィーチャーしたパーティーと言う事で、日本からもデトロイト・テクノ/ハウスに造詣の深いSTEREOCiTIやDifferent World(Claude Young & Takasi Nakajima)らが招かれ、デトロイト好きには堪らないパーティーが開催されました。
日が変わってから現地入りした時にはSTEREOCiTIがプレイ中でしたが、相変わらずの余計な脂身を全て削ぎ落とした簡素で淡白な、つまりは骨格が剥き出しになったような音の流れはアナログでプレイしている事も含めてローファイ感が滲み出ていて渋い。派手ではないけれど低温で燻るソウルを奥に隠し込み、少しずつエモーショナル感情を吐き出しながらハウシーなセットで深みに連れて行ってくれます。今回はいつもよりもクラシックも多用してSystem 7とDerrick Mayの共作である"Altitude"や、凶悪シカゴ・ハウスの典型である"Club M.C.M."などテクノとハウスを横断しつつ、更にはアシッディーなトラックから終盤ではカチカチのシカゴ・テクノで攻め上げて、ゆったりと体を揺らすいぶし銀なプレイはいつも通りで、そこから終盤の質素な音ながらも少々ハードな展開のテクノで深夜に向かって上手く盛り上げていたと思います。最後はKMSの大ヒット作である"I Never Knew Love"、ソウルフルでなんだか感慨深い気持ちになれる素晴らしいハウスでした。

そしてDifferent Worldへと交代するとClaude YoungのTakasi Nakajimaの二人共がPCを使用したDJセットで、なんだか二台のPCを使ってのB2Bと言うDJも不思議な光景でありました。しかしプレイそのものは完全なテクノセットで先程までのハウシーな流れは断ち切って、夜中のピークタイム仕様な突進力は文句無しでした。KMSのパーティーである事を相当に意識したのかKMS音源をプレイし続けて、"Bassline (Joris Voorn Mix 07)"、"Future (C2 Edit)"、"World Of Deep"、"The Sound"、"Pump The Move(Samuel L Session Remix)"、"Rock To The Beat (Ben Sims Remix)"、"Good Life"などKMSお祭り仕様なセットリストには胸が熱くなるものがあり、こんな名曲やあんな名曲もあったなと懐かしい気持ちでKMSの歴史を感じ取る事が出来ました。その点今回はDifferent Worldの個性は希薄だったものの、KMSのド派手でレイヴィーで面やデトロイトソウルが満ちたディープな面など色々聴けたのは珍しい体験だったので、KMSのパーティーを最も感じさせてくれたのがDifferent Worldだったと言えるでしょう。ピアノと歌がソウルフルな"The Colour Of Love (Underground Resistance 12" Mix)"から"Incident"へと繋げた時の爆発力は並々ならぬもので、その時のフロアの盛り上がりは凄かったです。

夜も深まってからトリを務めたのがKMSのボスであるKevin Saunderson。過去にKevinをいつ聴いたのか確認してみたところ、最後はなんと2005年の9月。つまりは7年以上前の事でそれだけ時間が空けばDJにも何かしらの変化が見られるのかと楽しみにしていたのですが、この日は風邪をひいていて体調は絶不調。序盤はまだなんとか踊っていられたものの後半はさすがにぐったりきて、KevinのDJはソファーで休みながら遠くから聴く事に。基本的には重厚感のあるテクノ中心で、スピード感で押していくのではなく圧倒的な重さと跳ねるグルーヴの鉈の切れ味を思わせる豪快なDJセットでした。Kevinのコマーシャルな面も活きていてメロディアスなメロディーも入りつつ、その下では図太いキックが4つ打ちを刻みドンチードンチーとリズムが跳ね、鈍重と躍動感を紙一重に行き来する印象でした。昔に比べると緩急の付け方は緩やかになり揺さぶりは減ったかなと思いましたし、トライバルな曲も以前程には使わなくなっていて、これも時代なのかなと思う所もありました。それでも中盤でのファンキーな"I Called U(ATFC's Conversation Killer)"が聴けたり、終盤ではディスコティックな"Use Me Again (Carl Craig Remix)"で盛り上がったり、巨体から繰り出す豪快な盛り上げ方は以前と変わらずですね。前のDJがKMS音源をふんだんに使用したので敢えてKevinは使用しなかったそうですが、普段からKevinはデトロイトクラシックを多用するDJでもないのである意味では平常運転でしょう。

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