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2013/3/2 Ostgut-Ton presents Sound of Panorama Bar @ eleven
アンダーグラウンドな音楽性から巨大で謎めいた設備と客を選り好みするポリシーなど様々な面に於いて、ドイツのクラブシーンで圧倒的な地位を築き上げたBerghain/Panorama Bar。前者が徹底的にハードな面を打ち出したテクノフロアであり、後者は対抗してハウスフロアと言う対極的な音楽でより多くのパーティーピープルを魅了しているのだが、今回は雛祭りに合わせてなのだろうかPanorama BarよりSteffiとVirginiaの女性レジデントDJを招致した。Steffiは2年前の同公演にも出演済みだがVirginiaは今回が初来日となり、二人で現在のPanorama Barの音楽性を披露する一夜となった。
メインフロアのオープニングDJはDazzle DrumsのNagi。自分が聴いていた時間帯は90年代のNYハウス全盛期の頃のトラックもかかっていて、美しいピアノのコード感に抜けの良い弾けるパーカッションにホットな歌が加わり拳を振り上げて踊りたくなるソウルフルな熱さを発する瞬間もあった。Panorama Barでは古典的なハウスもかかる印象を持っているのでこのような普遍的なハウスは至極納得のいくプレイではあるし、テッキーな音も混ぜながらメインの前ではありながらハウスの心地良い4つ打ちのグルーヴでフロアの空気を上手く作っていたと思う。

そしてDJがVirginiaに交代すると予想していたのに対し音は硬くテクノ的で、ハウスのグルーヴ感はありながらもその時点でPanorama Barと言うパーティーに対する違和感を少々感じていた。しかし音自体はオールド・スクールでもあってテクノ〜シカゴ・ハウス〜デトロイト・テクノ〜フィルター・ハウスなどを行き来しながら、大胆な選曲とディープかつエモーショナルな選曲で自分の好みの音でもあった。"Southside"がかかった時のフィルターの爆発力には本当に頭をガツンと叩きのめされるし、そんな攻撃性と共に深みのある曲調もあり予想していた以上に格好良いプレイだった。またDJをしながら時折マイクを持って歌を被せていくのだが、うっとりと官能的な声がトラックに夜の艶やかさを加えて、女性らしい包容力のある一面も見せていたと思う。

途中ではメインフロアで楽しんでいたので後ろ髪を引かれる思いでラウンジへと移動して、Kez YMとSTEREOCiTIのプレイを聴く事に。日本では数少ないPanorama Barでのプレイ経験があるDJだが、そんな実績があるなしにかかわらず彼らのハウスセットは素晴らしいもの。昨夜はラウンジもメインフロアに負けじと良い感じで人が集まっていて、そんな中で大胆なミキサー使いでファンキーかつディープなハウスセットで躍動感溢れる荒々しいプレイをしたKez YMと、そして無駄な音は削ぎ落とし荒涼としたミニマルなハウスが骨太で武骨な男気を見せたSTEREOCiTIと、両者ともラウンジの空気を読み取りつつ盛り上げていくプレイが素晴らしかった。表面的には派手/地味と対極的な音にも聴こえるが、しかし両者とも熱き感情を持ったエモーショナルな人間性が伝わってきて、メインフロアよりもこちらの方がPanorama Barに合っていんじゃないかと思う位だった。

そしてメインフロアに戻ってSteffiのプレイを聴きに行くも、フロアに入った瞬間に高速のBMPと間を埋め尽くす圧倒的な音数のハードテクノ爆撃に流石に驚きを隠せなかった。Panorama Barのパーティーに来たのにBerghainみたいなどっかんどっかんとした絨毯爆撃、これはこれで凄い好きなんだけどPanorama Barの音を期待して来ると肩透かしを喰らうだろう。前回来日時のように陶酔感のある美しいハウスセットが聴けると思っていたので、疎外感を感じつつ酒を飲み過ぎて疲れたていたので少々横になって休む事に。

朝方に起きてフロアに戻ると再びVirginiaがDJブースに入っていた。その前にはVirginiaとSteffiによるB2Bもあったようが、その内容は知る由もない。しかし流石にこの時間になってVirginiaのプレイはかなり落ち着いてきて、クラシックも多用したテクノ〜ハウス〜ディスコ選曲で朝方だからこそ体験出来る多幸感があった。男泣きを誘う哀愁ディスコティック・ハウス"Use Me Again"、アフターアワーズにばっちりはまるピアノが美しいデトロイト・ハウス"Love's Got Me High"、ヒップホップ的ハウスな温かみのある"New For U"の3連発にはやられたし、デトロイトのファンク精神爆発な"Soulsaver"には非常に痺れてしまった。Steffiに比べるとVirginiaの方がオールド・スクールが好きなんだろうと思わせられる選曲で、朝方だからこそベタなプレイも素直に楽しむ事が出来た。そして最後の方はSteffiも一緒になってプレイして、ミックスもせずにアンコールに何度も応えながら一曲一曲クラシックを回していた。涙を誘うメランコリーな"Quetzal"、ブリブリとした狂ったアシッドの"Da Funk"、最後の前には二人が頬を寄せあって"Yours"を一緒に歌いフロアを官能的に彩っていた。Steffiのプレイも決して悪くはなかったが、Virginiaのプレイが思っていたよりも楽しめてパーティーの趣旨には合っていたのではと思うが、間接的に遊びに来ていた浅沼優子さんの話を聴いた限りでは最近のPanorama Barは結構ハードらしい。ではBerghainとの差別化は一体どうなっているのだろうか?

■Steffi - Yours & Mine(過去レビュー)
Steffi - Yours & Mine
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