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2013/3/15 Guidance 〜導き導かれる人生〜 × Iori Wakasa First Vinyl EP Release Tour in Tokyo @ Air
音楽を介して人から人への繋がりをテーマにする"Guidance 〜導き導かれる人生〜"。それとは別に日本全国の強烈な個性を持つDJ/アーティストを招致する事で、パーティーに遊びに来た人への音楽の指標となる意味に於いても"Guidance"と言うパーティー名は相応しく感じられる。そんな"Guidance"がこの度AIRへの初登場となるのだが、音楽だけでなくデコレーションやVJにフードなど様々な要素を盛り込んで一夜を彩ってきたパーティーは、AIRでも素晴らしい一夜を繰り広げる事となった。
トップバッターは初EPリリースの記念を兼ねていたIori Wakasa。まだ日が変わったばかりなのでフロアの空気を温める事に専念していたとは思うが、アッパーに盛り上げるのではなく重心の低いミニマルなテクノで粘り強く背中を後押しするようにぐいぐいと引っ張っていくスタイルで、真夜中の喧騒へと誘い込む時間帯に適切な音だった。

次にプレイしたのはDJ SOで、ここら辺から徐々にDJ毎が持ち味を打ち出してくる。洗練された綺麗目のテック・ハウス、デトロイト・テクノを思わせる抒情的な切ないメロディー、深く沈み込むディープなテクノなどスムースに上げ下げの変遷を辿りながら聴かせる事を踊らせる事を両立させた内容。音が美しく響きしっとりした心情もあった。

フロアで音にのめり込む一方、フロア横のラウンジにはシーシャバーやフードが出店しておりそこで料理や水タバコを嗜み寛いで過ごす事も出来るようになっていた。またリアルタイムペイントの実技もやっていたので、音に耳を傾けつつそれ以外の事で楽しむ事が出来るのが"Guidance"の強みだろう。渡り廊下の様になったラウンジにはデコレーションも施され普段のAIRとは全く異なるオリエンタルな雰囲気も面白いし、フロアの天井から吊り下げられた丸型スクリーンを使用したVJも凝っており、多角的な方面で心がうきうきするパーティーを開催したいと言う強い想いが主催者から伝わってくるのだ。

夜が深まるに連れフロアも賑わいを見せていたが、圧巻だったのはDJ Nobuのプレイだ。先週のFuture Terrorでプレイを体験した時にはディープに寄り添っていた為、自分が期待していた音とは乖離がありのめり込めなかったのだが、しかし今日は違う。のっけから飛ばしたプレイで空間を切り裂く鋭利な音が差し込み、中域と低域に厚みが感じられる鋭くも重厚感が感じられるテクノで攻めていた。薄いノイズが空間を埋め尽くしながらグルーヴは先走り、テッキーな音と暗黒なムードがフロアを支配する攻撃的なプレイ。そしてダビーな音響も活かしたディープなトラックも混ぜつつ、ハードとディープを行き来し溜めから即座に爆発へと繋がるプレイはピークタイムに合っていたと思う。そして中盤での"RED 2"のファンキーなフィルターテクノは脳髄を刺激し、それ以降はノイズの霧靄が晴れよりタイトで骨身丸出しなグルーヴでみぞおちをぶん殴る。終盤ではアシッドなベースラインが暴れまくる"Overkill"が炸裂し、オールド・スクールとモダンなハード・テクノが自然と融和した緊迫感に満ちたテクノセットを披露していた。

十分に盛り上がったフロアを引き継いだのはHiroshi Kawanabeで、ある意味安定感のあるタイトでリズムを前面に打ち出したストイックなプレイだった。兎にも角にも贅肉を削ぎ落としつつ硬質でパキパキとしたキックなどが軸となり、フロアを跳ねるようにリズムが主導権を握る前のめりなテクノだ。音が暗かったり地味だと言う事ではないのだが、熱気や汗臭さを感じさせないクールですっきりしたテクノで、こう言ったスクエアなビート感は一聴して肉体への刺激があるので自然と体が動いてしまう。

この日一番の不思議なプレイを見せたのは、言わなくても分かるだろうがEYEだ。久しぶりにEYEのDJを聴いたのだが、伝え聞いたところによるとPCとミキサーを自前で持ち込んでいたようだ。自分でエディットした曲をプレイしていたようなのだが…出てくる音がテクノともハウスともクラブ・ミュージックとも形容のし難い摩訶不思議なダンス・ミュージックだった。廃材を利用しがむしゃらに音を掻き出したトライバルな曲や、原始的な雄叫びが響き渡る肉感溢れる曲、ノイズが散乱する気が狂った曲、それにロックも混じりながら得体の知れないグルーヴを生み出していたが、この原始的な衝動を音に投射したプレイはナチュラルトリップと言えよう。目まぐるしく移り変わるBPMと音の景色に安心出来る時間などなく、ぶっ飛んだ世界が広がっていた。

その後はAltzがDJブースに入りプレイしていたようなのだが、疲れたソファーでぐったりしていた為誰がプレイしていたのかは分からない。ハードテクノがかかっていたと思うのだが、Altzがプレイしていたのだろうか。ラスト間際にフロアに戻るとIori WakasaがDJをしていて、パーティーの最後を締め括るべく気怠い体を優しく包み込む幻想的なテック・ハウスを繋げていた。多くのDJがプレイしていたが誰一人と似たようなプレイをする事なく、各々の個性がはっきりと感じ取れるプレイを一晩中飽きる事もなく楽しめ、そのおかげで感傷に浸りつつしっとりと充実した気持ちで清々しい朝を迎える事が出来た。その意味では"Guidance"と言うパーティーは勿論パーティーに遊び慣れた人も楽しむ事が出来るのだが、むしろまだパーティーを余り体験した事のない人にとってこそ素晴らしいパーティーを体験出来る機会となるモノであり、ここからこう言った世界への繋がりとなる事を期待したい。

■DJ Nobu - On(過去レビュー)
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