2013.06.13 Thursday

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一流のDJが必ずしも一流のトラックメーカーでない事は当たり前の事だが、フランスを代表するDJであるLaurent Garnierも制作と言う点においてはムラが多い。その振れ幅が大きい分だけ当たった時はクラシックと呼ばれる作品と化す事もあるが、逆にセンスを疑いなくなるような作品もあり、後者に当たるのが丁度一年前にEd Bangerからリリースされた"Jacques In The Box"だった。本作はその続編としてGesaffelstein & BrodinskiとLaurent自身がリミックスしたEPなのだが、結果としてはやはり残念であると言わざるを得ない。原曲はアップテンポで大仰なシンセが継続して高揚感を増して行くテクノだったが、対して"Brodinski & Gesaffelstein Dirty Sprite"はぐっとBPMを落として不気味なスクリュー感のある粘性の高いテクノへと姿を変えている。元々あったギラついた光沢感や悪っぽい空気は全く失っていないが、疾走感で突き抜けるのではなくそこに居座り続ける重さがあり、言葉通りにリミックスらしいリミックスと言えるだろう。そしてLaurent自身による"Chicago Bordelo Remix"は、原曲よりも派手な音色を抑えつつトランシーなシンセリフを用いてよりフロアの闇を感じさせるモードへと生まれ変わっている。不吉な声のサンプリングが絶え間なく反復している点やオールド・スクール感のあるラフなリズムトラックには、タイトルのシカゴらしさが滲み出ており、原曲よりは好感が持てるリミックスだ。とは言っても昔からのファンがLaurent Garnierに求めているものとは乖離しているように思われ、少々今後の行先を心配してしまうのだ。ちなみにアナログを購入してもダウンロードコードが付いてくるので安心だ。
試聴
Check "Laurent Garnier"