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2013/6/15 House of Liquid @ Liquidroom
リキッドルームの名物パーティーであるHouse of Liquidが久しぶりに開催される事になり、そこに国内外で活躍するディープ・ハウスのアーティストが集結した。フランスからは唯一無二の個性を発する変態系トラックが評判高いPepe Bradock、UKからは野外レイヴから小さな小箱まで沸かしてきたNick The Record、そして日本からはどんなパーティーであろうと自由自在に対応可能な奥深さを見せるMoodman、三者三様のハウスを体験出来るこの上ない一夜だ。
気合を入れて日が変わる前に現地入りするとメインフロアはまだ準備中で、リキッドロフトで酒を飲みつつ待たされる事に。しかしこの時点でもそこそこの人が待機しており、このパーティーへ期待している人の多さが感じられた。24時丁度にメインフロアがオープンとなりすぐさまに移動すると、殆ど人の居ないフロアでMoodmanがDJを始めている。ガラガラのフロアには後方からレーザーが照射され、その光が数多の星が光り輝く宇宙空間を描き出しているようで、フロア後方から眺めると非常に幻想的な景色となっていた。この日は本当にライティングが素晴らしく、派手ではないけれどこんなにも気持ちの良い空間を作り出す照明も可能なんだなと思わせられた。

それはさておきMoodmanのDJだが、ハウスパーティーとは銘打っているもののコテコテのハウスをプレイするでもなく、先日リリースした"SF"を思わせるインテリジェンステクノな音が紡がれている。これをハウスと呼ぶかどうかは別にしても、非4つ打ちの細かいビートが入り組むトラックや知的で厳かな佇まいのあるエモーショナルなトラックを中心に、様々なテクスチャーを張り合わせるようなプレイが素晴らしい。キックの重みや圧力に頼るグルーヴではなく、低域から中域、そして高域までバランスよく出力された音でキックも上モノのメロディーも綺麗に聞こえ、BPMは然程早くないにもかかわらず躍動感のあるグルーヴを生み出していた。徐々にミニマル化を強めたハウスで深い陶酔へと誘い込まれたりパキパキとした薄くも硬いテクノなども混ぜつつ、ハウスの4つ打ちの心地良さの中に微妙に4つ打ちを壊したブロークンビーツ風な癖のある展開を混ぜて、ちょっとしたエッセンスを加える事がよりイーブンキックが際立たせていた。パーティーをオープンを飾るDJではありながら、しかしこの日のベストDJは絶対にMoodmanだっただろう。リズムやグルーヴの幅の広さがありながら揺ぎない安定感があり、単なるハウスに終始せずに可能性を広げるハウスプレイであり、本当に素晴らしかった。

そしてMoodmanによって十分に温められたフロアは人混みで埋め尽くされ、真夜中のピークタイムにはNick The Recordが登場。この人も色々なパーティーに出てはハウスやディープ・ハウスにディスコなどプレイするので、この日はどんなスタイルで来るのか予想も付かなかったが、蓋を開けてみると少々テックよりのディープ・ハウスが中心だった。Moodmanが様々なテクスチャーをさくさくと切り貼りするのとは対照的に、Nick The Recordはじっくりと曲と曲と張り合わせ伸ばしていく。洗練されモダンな印象のある綺麗なテック・ハウスやディープ・ハウスはフラットな流れが滑らかで、どっしりと重みのある絶え間ないグルーヴを継続させていた。尖った個性を発するプレイではないものの普遍的なハウスの心地良さが感じられ、音に身を捧げて踊るには良かったと思う。終盤では早い時間帯にもかかわらず熱くて生の質感があるディスコな選曲へと雪崩れ込んだが、その後にPepe Bradockが控えていた事を考慮すると、Nick The Recordは最後の出演でも良かったんじゃないかと思うところもあった。

そして朝が近くなってからようやくPepe Bradockの登場。実は友人が以前聴いた時の評判やネットでの情報からはあまりDJが上手くないとは聴いていたので、それ程期待はしていなかったのだが…でもやはりその事前情報通りであまり印象に残らないDJだった。出だしはジャジーヴァイブスのあるハウスから始まりPepeらしさが多少あったものの、その後は線が細くも音自体はパキッと硬いテクノやハウス中心だったと思う。しかし流れにドラマが感じられず単に繋げているだけのプレイで、時折エフェクトを使用して展開は付けるもののいまいちフロアも盛り上がらない。思っていたよりもアッパーだったしフィルター系のファンキーなトラックも使用していたので、これならばPepeがメインタイムにプレイした方がまだ馴染んでいたような気もするが、朝方のDJではないかなと思う節もしばしば。終盤からはPepe Bradockの変態な世界が広がる歌モノとかも増えてきて狂い方が面白くなってきたものの、その頃には既に多くの客がフロアを後にしていたので時既に遅しだ。最後の方で印象に残ったのがGypsy Womanをネタにした"SPN EDT 001"からKraftwerkの"Numbers"に繋げた瞬間だが、でもちょっと強引かなとやはり思う。そんなこんなで7時で終わりだと思っていたら、再度Nick The Recordがブースに再登場していた。自分はPepe Bradockを聴いてフロアを出たが、パーティーは8時半まで続いたようだ。

House of Liquidと言うパーティー自体はとても素晴らしいもので、出音からライティングに遊びに来ている客層まで合わせて雰囲気が良く出来上がっていたと思う。eleven亡き今、リキッドルームに期待するところは非常に大きいのだ。DJプレイはと言うと一番最初にプレイしていたMoodmanが一番素晴らしく、やはり数多くのDJをこなしているだけあっての経験の賜物なのだろう。勿論Nick The RecordやPepe BradockのDJもそれなりには踊れたのだが、フロアの空気を掴むその嗅覚やパーティーへ合わせつつも個性的な自分の音を出すと言う点において、Moodmanが優れていたのだ。決して外タレだからと言ってDJが良いわけでもなく、日本人のDJだって外タレに負けない人がいっぱいいると再度認識させられた一夜だった。

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