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2013/8/24 HOW GOOD IT IS! That's Fred P. @ Womb
長らくNYハウスが低迷している現状に希望をもたらす存在となっているのが、アンダーグラウンドハウスシーンから登場したBlack Jazz ConsortiumことFred Pだろう。Underground QualityやMule Electronicと言った良質な作品を手掛けるレーベル、そして自身で主宰するSoul People Musicなどから新しい時代の息吹を吹き込みながら、日本に於いてもここ2年連続でフェスやクラブパーティーでプレイし高い評価を獲得している。そんなFred P.がWombへと初登場、そして日本からはシカゴ・ハウスやディープ・ハウスの方面で玄人気質なDJを披露するSTEREOCiTIがメインフロアに初登壇と、あの派手な雰囲気の箱とそこの客層に対してどういったプレイを披露するのか期待と不安が入り交じるパーティーが開催された。
日が変わって半刻程経過してから現地入りすると、既にフロアは程良く人で埋まっており良い具合に盛り上がりを見せていた。Hyota. & Chris Akiraはこの日のパーティーに予想していたエモーショナルで空気感のあるディープ・ハウスをプレイしており、重みのあるキックでズンドコとフロアを揺らしつつも上げだけではない浮遊感覚のあるグルーヴ感で音の波を広げていた。僅か30分しか聴く事が出来なかったがフロアを創り上げる序盤の役目を果たして、STEREOCiTIへとバトンタッチ。

そしてWombのサブフロアでは何度もプレイをしているSTEREOCiTIは、メインフロアを務めるのは今回が初と言う事で期待していたのだが、これが本当に格好良いプレイで見事に期待に応えてくれた。場所柄取り敢えず遊びに来る外国人や派手に騒ぎたいみたいな日本人、決して音楽への造詣が深いわけでもない客層が多い箱で、例えば玄人受けするようなDJは大丈夫だろうかと言う杞憂もあったのだが、それはそれであのメインフロアでも受けるテクノセットでしっかりと客の心を掴んでいた。そうテクノセット、確かにそれは普段よりはテクノの硬質な音の鳴りであったが、ビート感覚で言えばハウスのそれも混在していた。そして良い意味でいつもより派手な音や展開と言うのもあったが、STEREOCiTIらしい脂を落とし切って無骨で乾いた音質と言う個性は失わずに、シカゴ・ハウスの不良っぽい悪い雰囲気やアシッド・ハウスの中毒的なベースラインに、そして粗い鳴りのパーカッションやアナログの味気ないTR系のキックまで響いていて、しっかり大箱ながらもSTEREOCiTIの浮世離れしたDJとして成り立っていたのだ。微妙な上げと下げによりフロアを抑制しながら興奮の坩堝へと誘い込み、テクノ/ハウスの両方面を行き交いながらピークタイムを見事に演出していた。普段は小さい箱で聴く事が多いのでこういった彼のプレイを聴ける機会は少ないので、大箱のフロアを意識してパワフルなプレイを聞かせてくれたのはある意味では貴重な体験と言えるかもしれない。

最後は期待のFred P。過去のプレイ動画をみるとダウンテンポなど緩いのも織り交ぜたテック系のプレイだったが、この日はやはり終始上げ目の選曲。真夜中の盛り上がる時間帯と場所柄を考慮すれば当然と言ったプレイだったが、テック・ハウスを中心として優美な旋律と焚き付けるような疾走感のあるプレイは想像していた以上に素晴らしかった。こちらもテクノの鋭さやキレに硬質さがあったが、グルーヴ感としては的確に打ち付けるハウスの滑らかなビート感覚がり、攻撃的ではあるが下品ではなく内向的に深く潜っていくような感覚が満ちていた。意外だったのはNYのアンダーグラウンド発のDJだからなのか、90年代NYハウスの傑作であるMood II Swingの"Closer"などクラシックや歌モノも使用して、往年のハウス黄金時代のソウルフルな空気も織り交ぜて温故知新な流れがあった事だ。新世代とは言いながらも過去の良いところも存分に示しつつ、現在形のハウスと違和感無く混ぜて盛り上げる点が素晴らしかった。序盤から中盤まではかなり音の密度が高いアグレッシヴでハイテックなプレイだったが、音の圧力がそれ程高いわけではなくしっかりとシャッフルするファンキーなリズムで客を乗らせていたのも好印象だ。ともすればただ派手なだけ、アッパーなだけのつまらないDJもいるが、BPMに影響されない腰にくるグルーヴ感は重要なのだ。中盤以降から終盤に至るまでに徐々に音数も削ぎ落としながらパキッとさっぱりしたテクノ/ハウスへと移行し、徐々に終焉に向けて落ち着きを取り戻しつつ5時きっかりで一旦プレイは終了。しかしFred Pのプレイに魅了されたのか興奮は収まらずに、フロアに残った客が執拗に煽りを続けアンコールを2回も行った。最後はビートを落としねっとりしたビートダウンなディープ・ハウスで、湿り気のある感情を滲ませながらしっとりとパーティーをシメた。

結局終わってみればパーティーは大盛況の内に幕を閉じた。決してFred PやSTEREOCiTIを目当てにした客が多くもないであろう状況だったと思うが、それでも前知識が無い客を熱狂的に踊らせたのはDJが空気を読んでプレイした結果だろうし、内向的なディープ・ハウス/テック・ハウスに合うようにフロアの照明をかなり暗めに設定しミラーボールも極限まで下げてアンダーグラウンドな雰囲気を作り出した結果だろう。体をくねらせて踊りや音楽に没頭する人達、男女の甘い関係にはまっていた人達、騒いで楽しんでいた人達、そんな雑多な人間が集まってパーティーとしては喧騒に包まれた素晴らしいものとなっていた。そしてこういうパーティーで音楽やDJに魅了され興味を持ってくれる人が増えれば、嬉しいなと思う。

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