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2013/8/30 Better Days @ 0 Zero
一夜限りのBetter Daysが復活。Takamori.K、No Milk、STEREOCiTI、Misuzuが集まり荒廃したデトロイトと言う街から生まれた希望をもたらす音楽によって、「ある日々が少しでもより良い日となる」ことを祈って主宰していたデトロイト・ハウスを中心としたパーティーがBetter Daysだった。2004年から2006年頃までの短い間ながらも早くからデトロイト・ビートダウンの普及にも務めるなど、もしかしたら早すぎるパーティーだったのかもしれない。今回はMisuzuは不参加ながらも日本に於いても黒人並みのブラックネス溢れるファンキーなプレイを実践するKez YMを招き、デトロイト・ソウルが還ってくる。
24時半頃現地入りしたところ、序盤はTakamori.KとNo Milkの二人が一緒になってプレイをしており、"Good Life"からURの"The Illuminator"へと繋げたり、"Beau Mot Plage (Freeform Reform Parts I & II)"や”Use Me Again”もぶちかますなど、まだ人の少ない時間帯からもデトロイト祭りセットを繰り広げていた。派手な面は否定出来ないがここまでおおっぴらにデトロイトへの熱い愛を示されれば清々しいもので、デトロイトの希望の魂はテクノだけではなく、ハウスやエレクトロも存在すると言う事を身を持って証明していた。

続くKez YMはいつもながらミックスも選曲もDJの仕草も、そして鳥の巣のように爆発したドレットも全てがパワフルでエネルギッシュだ。体の奥底に眠っているソウルの全てを爆発させ発散させるような外向的な力で、大胆なミックスやイコライジングを施し躍動感のある流れを作っていく。過激にEQをいじりたおしてキックや高音を削り落とし荒々しく音に感情を込めるが、決してグルーヴを途切れさずに脈打つビートを継続させていた。完全に縦ノリの激しいビート感でズンドコとしたハウスの猪突猛進スタイルではあったが、爽やかなブラジリアン・ハウスや血が煮えたぎるデトロイト・ハウスに歌モノハウスなど、とにかくハウスと言う軸からぶれずに黒い空気にフロアは包まれていた。かと思えば一転して暗く粗悪なシカゴ・ハウスでフロアを抑制しながらも不良っぽい悪さを醸し出したり、緩急も付けながら野性的で肉体感溢れるグルーヴが炸裂する。非常に感情的なハウスではあるが基本的にはミニマルな反復性の強い展開で、歌が入るにしてもボーカルサンプルが繰り返されるツール的な要素が強く、自然と疾走するグルーヴに体が動き出してしまうのだ。最後はまさにデトロイト・ビートダウンな"Sky Walking"でSTEREOCiTIへとバトンタッチ。まるで昔の格好良かった頃のDerrick Mayみたいなファンキーなプレイだなと、久しぶりにKez YMのDJを聴いて再認識した。

そして最後はSTEREOCiTIによる3時間のロングセットだったが、それまでのKez YMが外向的に感情を爆発させるのに対し、STEREOCiTIは一転して内向的なDJだったのが印象的だった。体の中に感情を溜めながらじわりじわりと汗腺から微熱を帯びた情熱が漏れだしてくるような、長くゆったりとした上げ下げでフロアをキープする感覚だ。そして音自体も生っぽく、いわゆるロウハウスと呼ばれるざらついた質感はデトロイト・ハウスと共通するものだ。そんなたどたどしいロウハウスや時に金属的に硬質なミニマルなテクノ/ハウスでフロアを刺激したり、逆にディープ・ハウスで深く潜り陶酔へと誘いこみ、耽美な瞬間とエグい瞬間が入れ替わり立ち代りにやってくる。デトロイト・ハウスも忘れてはしない、高らかにポジティブなメッセージを投げかける"Don't You Want It"をプレイした瞬間は間違いなく幸福に包まれた瞬間だった。そして朝が近づくに連れ幽玄なディープ・ハウスの割合が増え、優美な佇まいを放つ"Morning Factory"や"Deep Burnt"と言ったクラシックで夢現な時間帯を通過し、朝方には最新のダブハウスである"Electric Garden"でフローティング感に包まれてからの"Theme From Guidance"で昇天。オールナイトと言うスタイルで真夜中の闇の先に差し込んでくる光を浴びるような、絶対的な包容力を持ち合わせたハウスは、やはりこう言った朝方で体験するのが最適なのだ。その他にもMoodymannやTrack ModeにNDATL Muzik辺りの優しくもスモーキーな黒いハウスがたっぷりと聴けて、Better Daysに期待していた音楽性を十分に味わえるプレイだった。

全体的に古典的な面が強かった印象もあるが、決して古臭いだけではなくモダンなハウス/テクノとの親和性を保ちながら古典への敬意を表したようなパーティーだったと思う。その意味ではデトロイトやビートダウンと言った音楽に馴染みのない人にも体験して欲しいし、自分にとっては自分のルーツを立ち返り懐かしみつつ、感情的に心を揺さぶるエモーショナルな音楽をの素晴らしさを再度実感出来た。今日は昨日よりもちょっと良い日になったような、そんな気分だ。
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