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2013/12/29 off to nowhere @ Louver
年の瀬が近くなってもパーティーの足音は止まらない。今年は幾つかのクラブが閉店しつつも、それと共に新しいクラブが生まれてもいる。その一つが西新宿に9月頃にオープンしたLouverだ。クラブと言うと渋谷や六本木に青山と言った場所に多く存在しているが、西新宿と言う高層ビル群の外れにクラブがオープンするのは珍しいのではないか。まだ歴史は浅いながらも単に集客だけを重視した俗っぽいパーティーに頼る事なく、音楽性を重視したパーティーを開催しているようで、今回も'dj masda & yone-ko tour 2013'の一環としてdj masda、yone-koの両人と共にCMT、DJ Katsuyaを迎えてパーティーが開催された。
大久保駅から高層ビルの方へ向かって歩いて10分もしない内に現地へと到着。地下へ降りて入場すると先ずはソファーが置いてあるバーカウンターがあり、その奥へ進むとフロアが一つ。スピーカーは前方に2つあるだけだが、アタックの強い音がクリアに出ており音質は上々だ。内装はコンクリ打ちっぱなしの素っ気ない状態で、抑圧的に低い天井や暗く浮かび上がる朧気な照明などが、スタイルとしてのウェアハウス感を打ち出している。派手ではないので客を選ぶ感じではあるが、アンダーグラウンド指向のパーティーが多く開催されそうな印象だ。ただキャパに対して個室トイレが2つだけなのは、客がフルで入った時には問題となりそうな事が予想される。

ブースにはDJ Katsuyaが入っていてプレイしていたが、やはりベルリンへと活動拠点を移した影響は音に表れていて、以前のようなスピリチュアル系のディープ・ハウスの面影はなかった。ベルリンっぽいダークな音の中にもNYハウスやデトロイト・ハウスも混ぜてプレイはしているのだが、蒸気を発する温度感や汗臭さは感じさせずにクールな音で統一されている。大袈裟な展開をひけらかす事もなくパーカッシブかつテッキーな曲を中心に、心地良い陶酔感を持続させるように深く潜っていく。時折、幽玄なメロディーも闇の中に浮かび上がってきたりするものの、ムード自体は無機質かつ硬質でひんやり冷めているのだ。ハウスのグルーヴ感ではあるがテクノの質感で覆われた音で、パーティー序盤のフロアをじっくり作り上げていたと思う。

その次にプレイしたのがCMT。最近何度か彼のプレイを聴いた時はハウスになっていたのだが、今夜はまあ当然と言うか前のめりに攻める獰猛なテクノセットが爆発していた。潰れるように鈍く響く剥き出し感の強いキックやシャリシャリとざらつくハイハットが鮮明に4つ打ちを鳴らし、途切れる事なく水平構造のグルーヴを紡ぎ出す。生っぽい野性的な音ではあるが、それでも熱い感情を表に出すのではなく淡々とダークな世界観に染め上げる事に徹しながら、ボーカルトラックを混ぜたりしてもミニマルな構成を貫いて猪突猛進で攻め上げる。と思いきや終盤からは闇を切り裂いて白色光が差し込むようにバレアリックなハウスも投入され、アッパーではあるが徐々に温かさが満ちて開放的な流れに。最近のCMTらしい多幸感が溢れ出てくるプレイは、雰囲気が陰から陽へと裏返る事でよりインパクトを残していた。

最後はdj masdaとyone-koによるB2Bスタイルでのプレイが待っていた。yone-koのプレイを聴くのは2年ぶりだろうか、以前は比較的ミニマルでハウシーな音だったと思ったが、今回は確かにハウシーでありつつも随分と音がテクノらしく逞しく図太くなっていたと思う。手数の多いパーカッションが鳴るテクノを用いて音を多く詰め込みながらも、それとは対照的に上物はゆったりと薄く延びていき、足元が少しだけ地面から浮くような浮遊感がある。そこそこにハードな印象だが暴力的なスタイルではなく、引き締まった肉体性を感じさせるすっきりしたハードな音で、ミニマルの陶酔感を螺旋階段を上り詰めるように持続させていた。単に曲と曲をミックスするのではなくムードを上塗して積み上げていくような感覚と言うのか、ああ言う感覚がDJミックスの妙技なんだなと思わせられるプレイ。心地良く揺らぐグルーヴから終盤はリズムが暴れ出しながらも、仄かな叙情が放出されしっとりと湿り気を帯びてエモーショナルな展開もあった。基本的にはメロディーが前面に出る事はなく、リズムの変化や波がうねるようなグルーヴに乗って悦に入るミニマルなプレイで、ミニマルの陶酔に没頭しつつも精神が音に集中させられるものだったと思う。パーティー全体として大袈裟で俗っぽいところがまったくなく、まるで禅問答を行うようにストイックな一夜だった。
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