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2014/5/18 Body & Soul @ 晴海客船ターミナル
Body & Soul 2014

Francois K.、Danny Krivit、Joe Claussellと3人の強烈な個性が入り乱れるダンス・ミュージックの祭典であるBody & Soulに昨年初めて遊びに行き、当初はベテランDJが祝祭として伝統芸能的にクラシックをプレイするものだと思い込んでいたものの、そうでありながらダンス・ミュージックの歴史を掘り下げつつ理屈抜きに楽しめるパーティーでもある事に考えを改める機会があった。で今年は9月ではなく時期が早まって5月開催となったのだが、場所は昨年と同様に晴海客船ターミナルと海風が吹き抜ける爽やかなシチュエーションだったので、今年もパーティーピープルの笑顔が満ちる祝祭を体験すべく足を運んできた。
昨年と同様に序盤のまったりとしたプレイを堪能したかったので、今年もオープンと同時に入場。今年もカラフルな風船デコが満載で自然とパーティー気分を盛り上げるが、なんと風船にはBody & Soulのロゴ入りとなってバージョンアップ。そして昨年と同様メインフロアの上には天幕が張ってあり、暑さを凌ぐためのホスピタリティーも万全。まだこの時間帯ではフロアはがらがらだが、そんな状況でビールをぐびぐびと飲みつつ落ち着いて音を聞き入るのもまた一興だ。序盤はゆったりとして湿り気を帯びたファンクから開始し、そこに甘く切ないバラードも織り交ぜて、内側から激情を絞り出すような年季の入った親父臭を発散させていた。体を振り乱して享楽的に踊るのも楽しいが、こうやって真摯に音と向き合うような時間帯があるのがこのパーティーの面白さでもあり、じっくりとパーティーを盛り上げる前の段階にも味わいがあるのだ。4つ打ちにこだわらずにプログレッシヴ・ロックのような過剰なギターの演出もある曲も、歌ものの甘いポップスもプレイしたり、そしてMoodymannの訝しくセクシャルなハウスやバレアリック・クラシックの"Stop Bajon"も掛かり始まると体がそわそわと動き出す。

正午辺りからはしっかりとしたビートも目立ち始め、スローなテンポでも腰をぐいぐいと揺さぶるリズムが打ち始める。爽やかな潮風を全身で浴びながら、レイドバックしたハウスやダウンテンポ、ポップなダンスものが風に乗って広がり、どこまでも広がる開放感を演出。クラブの暗闇の底にいるような閉鎖空間ではなく完全に解き放たれた陽の世界は、ラブ&ピースな世界観が既に出来上がっていて、音に聞き浸る層も野外の雰囲気に和む層も皆が自然と楽しんでいるようだ。音自体は新鮮というよりは年期の入った哀愁漂う味わいが強く、決して今時の音が多いと言うわけではないが、常にこの業界の最前線に長く居るだけあり心に優しく響く曲をありのままに自然と選ぶセンスは流石だろう。

13時頃からはミニマル系のディープなテクノや透明感のある清々しいテクノまで選曲は広がり、一気に青々とした空へと飛翔するように展開も上昇を始める。とそこにJoeがマグマが吹き出るような熱いトライバルなハウスを繋げたりと、三者の相互作用が働きながら早くもパーティーは高揚感を増していく。怒号のような大地の振動が響き渡り、土臭い香りに包まれながら、コテコテな熱さとアフリカンな音のJoe、クラシカルかつ洗練された大人のDanny、前衛的にテクノも投下するFrancoisの3人が持ち味が出始める瞬間だろう。"Welcome To Our World (of Merry Music)"などのダンクラも掛かり出し、ディスコやファンクなどの古き良き時代のダンス・ミュージックとテクノやハウスが邂逅を果たしていく。

さてこのパーティーは11時〜20時までと非常に長い開催だったので、当方も休憩用にとチェアを持参していたが、座って酒を飲んでいるとやはり眠くなってしまう。昼下がりの時間帯は心地良い音も相まって余計に睡魔に襲われ何度か眠りに落ちてしまったが、しかしどの時間帯であっても色々なジャンルが混ざり合っているので、多少プレイをすっ飛ばそうが大した問題ではない。事実、午後からは荒れ狂う海のような大きな波が押し寄せては、一気に潮が引いたように落ち着いた展開へと入れ替わったりと、ジャンルと展開が入れ代わり立ち代わりで大味な祝祭が延々と続くのだから。特にJoeの恒例となっているド派手なイコライジング捌きはやり過ぎ感はあったり、展開を無視したような繋ぎも多々あったりと大味な点は否めないのだが、なんせお祭りなのだからそんな事に茶々を入れるのは野暮と言うものだ。

Debbie Jacobsの"Don't You Want My Love"の激ファンキーな地響きで目を覚まし、再度踊り出すとJoeがお気に入りの"Most Beautiful"もプレイ。ソウルフルなコーラスが正に美しい瞬間を表現する感動的なハウス・トラックが切なく響き渡るが、そこに悲壮感はなくよりパーティーを盛り上げる原動力となっていく。Level 42の"Starchild"をプレイしたのはFrancoisだっただろうか、コズミック感溢れるフュージョンが夕暮れ時の切なさにはぴったりだった。そして日が沈む頃にやってきと最も感動的な瞬間、それがJoeがプレイした"The Sun, The Moon, Our Souls"だろう。オレンジ色に染まった背景の中で切ないピアノやアコギが零れ落ちる余りにもスピリチュアルな曲の前で、皆が静かに音に耳を傾けてあの風景は忘れる事など出来やしない。Dannyも負けじとソウルフルな歌と華麗なストリングスが優雅に舞う"Fable (Frankie Knuckles Director's Cut Classic Club Mix)"をプレイと、夕方のドラマティックな構成にはハウス/ガラージ/ダンクラへの愛がいっぱいで、例え知らない曲であっても今までずっと身近にあったような親近感がある。体と心を刺激する彼等のプレイは決して闇雲にアンダーグラウンドに閉じ籠もる事もなく、喜びや幸せを皆で共感しようとする気持ちに溢れていて、彼等が道標となってリスナーを音楽の旅路へと導くのだ。他にもヒップホップやR&B、ソウルにエレクトロなど心に染み入る曲が引き出しのように様々なジャンルから選択され、もっともっと音楽を知りたいと刺激されるところは多々あった。

夜の帳が下りるとライトも灯ついてカラフルな光線が辺りを照らしながら、パーティーのラストへ向かっての興奮を更に刺激する。終盤ではデトロイト・クラシックの"Big Fun"で懐かしい気持ちに浸りつつ、ラストはChicのダンクラ名曲である"Everybody Dance"で皆で踊ろうよと言う意志を示して、会場全体が一体となるようなシンパシーに包まれて終了。そこでFrancoisが「ボディートソウル、ウゴイテマスカー?」みたいなスピーチをしてパーティーピープルを鼓舞しつつ、そこからはアンコールタイム。3人が1曲ずつプレイしてのラストは偉大なるハウス・ミュージックのオリジネーターであるFrankie Knucklesへ捧げられた、Chante Mooreの"This Time Frankie Knuckles Bomb Mix"。恐らく多くの人が最後はFrankie Knuckles関連だとは予想していたと思うが、やはりそれでも尚感傷的になってしまうのは避けられなかった。最後に王道のハウス・ミュージックで切なさに包み込みながら、今年のBody & Soulは昨年に比べると少々湿っぽい気持ちになって幕を閉じたかと思うが、色々なジャンルと年代が一つのパーティーでかかるBody & Soulは体と心を刺激する祝祭感に溢れており、音だけでなく環境や雰囲気も含め素晴らしいパーティーとなった。

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