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2014/5/24 CHAOS @ Liquidroom
テクノ番長と言う称号も懐かしい田中フミヤによる実践の場であるChaos。早くからミニマル・ハウスに可能性を見出しロングセットだからこそ成し得る深みへの誘いを行うパーティーであるが、2011年には彼が活動の場をベルリンへと移した事でChaosの開催はレギュラーパーティーから年に1〜2回の開催へと変わり、残念ながら以前程に定期的に体験する事は出来なくなっている。当方も2011年に開催されたChaosから田中フミヤのプレイからは離れており最近の音楽性を掴む事は出来なかったのだが、この度久しぶりのChaosでは田中フミヤによるオープン〜ラストでの1Night1DJが体験出来るとありパーティーへと足を運んできた。
パーティーがオープンしてからまだ1時間も経たずに現地入りするも、まだ早い時間帯なのでフロアはガラガラ。田中フミヤもまだフロアに活を入れる事もせず、微細なボイスサンプルと共に朧気なベースラインがうねりペチャペチャとしたキックが虚空に響くのらりくらりとしたトラックで、パーティー序盤の方向性を探るようなプレイで誘導する。無感情にも思える無味乾燥としたクリック・ハウスでなよなよと踊らせるが、かと思うとどこか懐かしみを覚える90年台のミドルスクール・ハウス風のファンキーな四つ打ちハウスで、予想外にもエモーショナルな流れを打ち出す前半には少々驚きを感じつつも心惹かれる場面があった。

そんな情感のあるハウスを混ぜながらも、乾いてカチコチしたクリッキー音が特徴のハウスによって、黙々と意識を排除しながら深みに到達させるプレイは一切の歓声も湧き上がらない地味なフロアを作り上げ、各々が自身の世界へと嵌り込むようなストイックな時間帯が続く。豊かな音が濾過されたような味気無い音の群が積み重なり、徹底的な反復による展開が何時しか時間軸を狂わせ、何時の間にか田中フミヤが生み出す深く覚醒的なループへと嵌っているのだ。

徐々にベース音は膨れ上がり歪なリズムが横の揺さぶりを掛け始める。まるでゆったりと揺れる船酔いのような、しかし心地良い酩酊感を誘発し、にわかに展開は上昇を開始。フロアにも十分に人が埋まりだし、それに呼応するようにプレイも幾分かパーティーらしい盛り上がりを見せていくが、それでも尚フロアからは一切の歓声は湧かずにひたすら各々が音と対峙し黙々と踊り続ける光景が広がる。また田中フミヤがプレイするトラックに基本的に歌はないが、それとは別に特徴的なボイスサンプルが闇の中から浮かび上がる事で微かな刺激を誘発し、大きく変わらない展開の中でもアクセントとなっているのだ。そして叙情感のあるキーボードの旋律が入ったミドルスクール・ハウスの四つ打ちも、それだけを強調する事なく自然とミックスの中に溶け込み、ストイックな一連の流れの中でノスタルジアを誘っていた。

ある時間帯では全く棘の無い艶やかなディープ・ハウスが色っぽくフロアを染め上げ、禅問答を行うようなCHAOSにある種の穏やかな性質も付加していたのは意外だった。そういった滑らかで心地良い展開が持続しリラックスしたムードも織り交ぜながらも、だからといって決してオーヴァーグラウンドに浮かび上がる事はなく深海を潜行するように外界からは閉ざされた空間が広がり、執拗なまでのミニマルなかつドープな展開が覚醒感を煽り不気味な盛り上がりを誘発する。瞬発力ではなく持続力、トラック単位ではなく一連の流れのみが酩酊感を増長するプレイ、田中フミヤの真骨頂が聞こえ始めていた。

四つ打ちも崩れたリズムの曲も荒削りで中音〜低音にかけて太く音が出ており、明確なメロディーが入る事がなくてもうねるような強靭なグルーヴが体を揺らす。時折入るヒプノティックなボイスサンプルが効果音のように刺激的で、クニャクニャと捻れたようなリズムさえもが独特の魅力となって快楽的にフロアに降り注ぐのだ。また深い時間帯からは音数も増えゴリゴリとした厳つい質感のハードなミニマル・テクノ色が前面に出てきて、暴力的とまではいかないものの荒ぶれるグルーヴが芽を出し淡々としたフロアに幾分か盛り上がりを与える時間帯もあった。それでも尚早いBPMに頼る事はなく、あくまで粘り気のあるグルーヴが体に纏わりついて、ねっとりとした疾走感が持続させると言うなかなか他のDJからは感じられない不思議な世界観があった。

朝方になり徐々に人は減り始めるが、そこからもまだまだディープの底は見えずに更に深み深みへと潜って行くような流れがあり、またしっとりと情緒を発するディープ・ハウスも時折プレイし、永続的に止まらないグルーヴを作っていた。田中フミヤのプレイには山場と言う山場は存在せずに各曲は単なるパーツでしかなく、一聴してクラブ・ミュージックと言う種類の中では非常に地味なプレイだと思う。単体では味気無い曲さえも田中フミヤと言うキャンバスに上手く当て嵌めていく事で一夜の風景が完成するようなプレイは、局所的な時間で体験するのではなくある時間帯を継続して聴く事で生まれる覚醒感を体験する事でのみ理解出来るものであり、それは決して万人受けするものでもない。しかし徹底的にミニマルな展開に、微細な音数の増減とリズムの変化は一時も途切れる事はなく、だからこそランナーズ・ハイのような疲労感の先にある快楽へと繋がっていく。ひたすら光も射さない海底を突き進むプレイは9時間にも及びフロアに居る人もゾンビのように踊り続ける中で、最後の1曲は闇から解放させるようなドラマティックな幻想的なテック・ハウスで終了。いやはや、9時間と言う途方も無い長い時間を一人で完遂した田中フミヤ、時間帯によっての振れ幅がありつつも抜け出す事の出来ない沼の世界は流石だろう。ゲストが居なくても…と思えるパーティーはなかなか無いのだが、CHAOSは正にそんな田中フミヤの独壇場だった。

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