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2014/8/8 DAIKANYAMA UNIT 10th ANNIVERSARY Maurice Fulton x dj sprinkles @ Unit
先週に続き今週もまだまだUnitの10周年記念のパーティーは続いている。メインフロアを担当するのは二人、NYのアンダーグラウンドハウスからキャリアを開始し今では独特の世界観を確立させたTerre ThaemlitzことDJ Sprinkles、そして元Basement Boysとしてハウスの才能を磨きつつ様々な音楽性でも個性を見せているMaurice Fulton。音楽性では必ずしも一致しないこの二人が、各々の奇才とでも呼ぶべき個性をぶつけ合うパーティーは一体どうなるのかと期待と不安を感じつつも、二人だけのパーティーだからこそ存分にその個性を体験出来るという点で興味は尽きない。
先週と同様に25時前入店だと入場料が2000円なので、25時前には入店。オールナイトパーティーはいつも出向くのが遅くなるが、こういったサービスがあると早めに行く気持ちにもなれるし、心からありがたいサービスだと思う。パーティーの前半はDJ Sprinklesが担当していたが、既にテンションは上げ目のプレイでボトムラインは太い四つ打ちを刻み、分厚い音が迫り来るようだった。しかしDJ Sprinklesらしい静かに燃え上がる感情を吐露する真っ当なハウス選曲で、少々派手さもありながらそこに洗練や耽美な性質を含む世界観は彼らしい。激情的ではあるが黒さや汗臭さは殆ど発する事なくクールな温度感を保ちながら、中には低空飛行するヒプノティックなディープ・ハウスで深みの底へとダイブしたり、ハウスというジャンルを軸に大きな展開で揺さぶっていく。ミックス自体が巧みで上手く流れを作るタイプのDJではないと思うが、自前で持ち込んだであろうエフェクターをこまめに弄りながら、残響やイコライジング処理を施しては曲毎にライブのような味付けを加えていて、独特の世界観を構築するプレイはDJというよりはアーティストに近いと思う。甘い陶酔、穏やかな覚醒で包み込みながら途切れる事のない永続的な四つ打ちが続き、激昂させる事なく緩やかにフロアを揺らしている。終盤30分位からは更にDJ Sprinklesの混沌が渦巻く美しい世界が展開され、自身の侘び寂びに満ちたハウスの"Sisters I Don't Know What This World Is Coming To"である種の宗教的な荘厳さが広がり、より彼らしいスピリチュアルな世界観が打ち出される。そしてそこからNina Simoneの"Sinnerman"で激情が溢れ出すピアノが炸裂するジャズ・トラックも用いながら、混沌とした濁流に飲まれる展開が狂おしくも美しかった。余りにも個性的な選曲の為に踊らせる目的のDJというよりはショーケース的な趣もないわけではないが、DJ Sprinklesという世界観を確立させているのは間違いない。

対してMaurice Fulton、トラックメーカーとしての奇才っぷりは理解済みなもののDJを聴くのは初めて。しかしDJ Sprinklesとは対照的に意外にもしっかりと踊らせるセットで、しょっぱなThe Blackbyrdsの"City Life"というジャズ/ファンクで一気にフロアの温度と湿度を上げるような曲を投下。そしてMutsumiのディスコ・パンクな"58, 26, 34 & 20"へと繋いで、尖ったセンスは感じさせるもののウキウキする高揚感があり、奇才という印象よりもただただ楽しいプレイだと感じられる。更にはサルソウルのGazの"Sing Sing"でブギーなライブ感ある曲、Bobby Womackの"I can Understand It"など熱い歌が感情を刺激するソウルフルな曲など、あれ?っと思う程に実にベタな選曲をしていく。息遣いさえも伝わるような生々しさと鼓動のように脈打つビートは激しく、生音とエレクトロニックな音が交互に入れ替わりながら、クラシカルな選曲も混ぜながら行き先も予想出来ない無軌道なプレイは良く言えば奇才なのだろう。その後もファンクやディスコにエレクトロやディスコなどが、熱い黒さと生々しいビートを叩き付け、うねるシンセベースが腰を揺らす。幅の広い選曲と目まぐるしい上げ下げを繰り広げながら、単純にダンスの快楽的な楽しさを伝えるプレイはDJ Sprinklesの自己陶酔的なプレイとは馬逆に位置するもので、そんな二人が同じパーティーでプレイするというのも何だか面白い。しかしMauriceは元Basement Boysのメンバーでもあった背景もあるが、思っていた以上にダンス・クラシックスを多用するという点で、自分が思い込んでいたイメージを覆していく。C.J. & Companyの"We Got Our Own Thing"の蒸し返す熱さのあるディスコ、Stevie Wonderの"As If You Read My Mind"の軽快なポップス、Columbus Circleの"If You Read My Mind"のゴージャスなパーティー感のあるディスコなど、DJとしての踊らせる事ばかりの機能性に偏る事なく、普遍的な曲の良さが感じられる選曲が心に染みる。しまいにはMFSBの"Love Is The Message"も飛び出すなどすると、Mauriceのある意味では雑多な選曲が適当にも取られかねないぎりぎりの状態でありながらも、その深い思案もなくパーティーのわくわくする楽しさを誘い出すプレイにもう完全に心はハッピーな気持ちになる。ミキサー使いやミックスそのものにはあれっと思う所はあったものの、和やかなムードと激しいビートを織り交ぜながらずっと変わらないテンションで素敵な選曲を行い、リラックスしたパーティーは終始良い雰囲気であった。最後の方ではDJ Sprinklesも加わってB2Bを少しだけ行うも、やはりDJ Sprinklesの方は音の雰囲気がシリアスなのが際立っていた。でラスト間際にはメロウな歌がパーティーの空間にいる人々を現実へと引き戻すThe Gap BandのR&Bナンバーである"Yearning For Your Love"もプレイされ、パーティーが終わる切なさと心地良い余韻を残しながら、楽しい一夜はしんみりと幕を閉じた。Maurice FultonとDJ Sprinklesという少々マニアックなな二人が出演しながらも、だからこそその奇才の共演を楽しみたいパーティーピープルが意外にも多く集まり、結果的には音楽的にもパーティー的にも充実した一夜となったのだ。

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