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2014/9/13 groundrhythm @ Air
代官山はAirにおける最長不倒を更新しているレギュラーパーティーのgroundrhythmは、井上薫が中心となりながらその時その時で国内の若手からベテランまでジャンルと年代を越えるようにDJ/アーティストを起用し、新鮮さと懐かしさを伴いながら歩みを続けている。そして今回のgroundrhythmでは過去にSILICOMとしても活動し前衛的なテクノを展開するAOKI takamasa、そしてニュー・ディスコ方面で名を上げつつある二人組のユニットであるMonkey Timersら、またもやgroundrhythmに初出演となるアーティストを起用し変化をもたらす事となった。
12時半頃に現地入りすると丁度、Monkey Timersのプレイが開始するところだった。序盤はエレクトロニックなハウス中心だが、ボーカルにしてもシンセのリフにしても妖艶な覚醒感を伴い、夜の危うい空気を含むぎらついた質感が興奮を誘う。ずっしりとした安定感のある滑らかな四つ打ちのビート、耳に残るシンセのラインやベースラインなど一聴して魅了される選曲で、すんなりとDJプレイにのめり込めるとっつき易さがある。"Love Will Save The Day (Morales/Jellybean Classic House Mix)"のような王道な歌モノの親近感、時にはアシッド・ハウスも混ぜるがシカゴ・ハウス的な使い方ではなく、どちらかいうと西洋的なトランシーさに嵌める感じで、洗練され音に深みがあるのだ。更には煌びやかなディスコ・ハウスやエレクトロ・ハウスなど派手な音も詰め込みつつも、やり過ぎる一歩手前の絶妙な展開を継続して振れ幅の大きい劇的な瞬間さえ生んでいた。エネルギッシュでゴージャス、そしてエグささえ漂うプレイは徐々に勢いを増し、快楽的なシンセやアシッドの旋律がパーティーの狂騒を誘いフロアは興奮に飲み込まていく。そして深い音響に包まれるダブ・テクノで闇の中に潜航したかと思いきや、そこからのA Digital Needleのディスコエディットものである"I Who Have"などでミラーボールが派手派手しく輝くハッピーな方向に戻ったりと、確かに派手過ぎる印象も否定出来ないがそれも含めて抗えないパワフルな盛り上がりは原始的な欲求を呼び起こす。終盤では華やかなストリングスとボーカルが圧倒的なBlack Ivoryの"Mainline"もプレイしたりと、テクノ〜ハウス〜ニュー・ディスコを上手く渡り歩いてパーティー序盤からしてかなりの盛り上がりを誘っていた。

そしてAOKI takamasaのライブ。実は10年以上前に新宿リキッドルームでSILICOMのライブは聴いた事があったが、その当時は余りに複雑で抽象的なテクノのサウンドに戸惑いを覚えた事があったが…この日はいきなり脳髄をえぐるえぐるようなどぎつい電子音が小刻みに鼓動し、幾何学的で変則的なリズムがうねりを生み出していく。黒人音楽らしさは無いはずなのに、しかしそれと近似した電子音によるファンクネスを感じさせるのには驚きで、尚且つ予想外に肉体も刺激する独特のグルーヴ感が新鮮だ。重く太いベースラインははち切れんばかりに膨れ上がり、予想も出来ない変則的に配置された電子音が中を飛び交い、そこから徐々にリズムは端正に組み上がっていき切れ味を増していく。徹底して感情を排したように冷たい音感はストイックという表現以外に言葉は思い浮かばないが、かといってつっつきにくい音楽でもなくパーティー感に沿ったダンス・ミュージックでもある。リスニングよりもダンス、メロディーよりもリズムを軸にした切れ味がありながらも図太い電子音が突き刺さるようで、流動的に微細な変化を遂げていくリズムが主体となって展開を作っていく。明確なメロディーはなく歪で硬質な電子音が降り注ぐにもかかわらず、一見無機的なサウンドから有機的なうねりが生まれるのは、何とも面白い。複雑な展開を織り成しながらミニマルな流れが続き後半は少々だれたが、独特の電子音響ライブは非常に強い個性を放っていた。

かなり男気溢れる硬派なライブを行ったAOKI takamasaの後にプレイしたのは井上薫。がらっと世界観を変えるように初っ端"Trust 2014" (Motor City Drum Ensemble Deep Mix)"で望郷の念を募らせるような優雅なディープ・ハウスをプレイすると、更に続いて軽やかで華麗なるストリングスが舞い踊るフュージョン・ハウスの"Raw Cuts (Recloose Remix)"でぐっと心を鷲掴み。そして切ない感情を積み重ねる"Nightflow"も繋げ、最初の3曲でいつも以上にエモーショナルな世界観を展開しフロアをロックする。そこから徐々に音に硬さが現れ始めると"Bar A Thym (Tom Middleton Cosmos Mix)"のようなテクノの要素もあるカチッとしたビートでアッパーな流れに自然と移行し、パーカッシヴなミニマルでグルーヴ感を継続しつつ、そこから圧倒的な眩い光を放つAudionによる"Sky"で多幸感がフロアに満ち溢れ最初のピークを迎える。暗黒の闇の中で光を纏って疾走するように輝かしくポジティブな流れで、groundrhythmらしいオプティミスティックなパーティー感を打ち出し、そこから空高く飛翔していくハイテックな"Flying Bugz (Kaoru Inoue Remix)"や甘い夢の中へと誘い込まれるSueno Latinoネタの"D2-D2"でドラマティックな瞬間を何度も誘発し、やはり今夜の井上薫は何だかエモーショナルだ。そのような流れの中にも井上薫らしいエキゾチックなビートや旋律も含ませて個性を放出しながら、朝5時以降は定番のダンクラタイムへ突入。懐メロのようなピアノのコード展開やストリングスによる長いイントロが浮かび上がってくると、そう皆で合唱したくなる"Relight My Fire"だ。華麗なストリングスが舞い踊るようにフロアを彩り、ミラーボールから反射した光がキラキラとフロアを照らすそこ空間は正にディスコ。そこからサイケデリックなロック・チューンな"Don't Stop The Dance (Idjut Boys Dub)"などで生音を強く打ち出して、湿度も強めながら温かく感傷的な朝方へと突入する。その後もガラージクラシックスの"Deputy Of Love"、ライブ感溢れるゴージャスなディスコの"I Don't Know What I'd Do (If You Ever Left Me)"、そして締めにはPhreekの"Weekend"もプレイされてこれぞ井上薫らしくハイテックな序盤からセンチメンタルな終盤で一気に駆け抜けた。5時半以降はRyosukeによるアフターがあったものの、groundrhythmとしては井上薫のプレイを聴いたら満足というのもありその時点で撤収したが、今まで体験した事のなかったMonkey TimersやAOKI takamasaのプレイも素晴らしく充実したパーティーになっていたと思う。groundrhythmの前進は、今尚その歩みを止める事はないと実感した一夜だった。

■Groundrhythm 2 Mixed By Kaoru Inoue(過去レビュー)
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■Aoki Takamasa & Tujiko Noriko - 28(過去レビュー)
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