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2014/11/2 Grassroots 17th Anniversary Party DAY @ Grassroots
東高円寺のローカルなクラブ…もとい酔いどれ酒場であるGrassroots。今では日本各地で活躍しているDJもかつてはこの酒場でのレギュラーパーティーを開催するなどアンダーグラウンドな性質を持ちながら、決してストイックな場所としてではなく音楽と酒に浸りつつ人との出会いもある溜まり場としてのアットホームな場であるGrassrootsは、当方にとっても特別な場所として存在している。今年もアニバーサリーの時期が到来したが、フライヤーでは「草ノ根音楽酒場」と謳っている通り、やはりここはクラブというよりは酒場なのだ。さて、そんな酒場の17周年の2日目はHikaru、YA△MA、DJ Nobu、PAPALTZ a.k.a. Altzが出演する。
折角なので出演者全員を聴くために0時に現地入りすると、まだ店内には10人位のみと落ち着いている様子。その中でHikaruがプレイ中だったが、彼らしいジャンル特定不能なロックにテクノ、ジャズからダブにレゲエまで様々なジャンルを跨ぎ、国籍不詳な世界観のサイケデリックな空気で満たしていく。まだまだ上げる時間帯ではない、ねっとりと生々しい音を中心に変則的なビートと自由な流れでフロアをほっこりしっとりと温める。お約束のメロウな日本語ラップも飛び出してセンチメンタルな気分を誘いつつも、ポップスも使用してリラックスした和やかな時間が続くが、一時頃からようやくハウスビートが登場した辺りでDJは交代。この頃から徐々に人が集まりだし、フロアは熱気が立ち込め始めていた。

YA△MAは最初から四つ打ち中心でテクノやハウスにディスコビートまで、滑らかに丁寧に繋ぐ変遷を見せるが、時折差し込んでくるアシッドなサウンドがドラッギーな覚醒感を呼び起こし、その焦らし感が心憎い。無闇に上げる事はなく穏やかな波が引いては押し寄せるような勢いで、絶え間ない継続感を引き伸ばしながら夜のしっとりした空気や温かい温度感を保ち自然な揺れを誘う。熱狂的ではなく優しいビート感でフロアを包み込み、リラックスしたテンションを保ちながらも踊らせるプレイは、会話の邪魔にもならず酒場としての交流も促すようだ。終盤には無駄のないミニマルな流れも目立ち始め、真夜中らしいパーティー感は強まってたいたが、Mirko Lokoの"Love Harmonic"や"Around The Angel"など繊細なメロディーやリズムが活きた美しいハウスもしっとりしたプレイにハマっていたと思う。

さて、ハウスやベース・ミュージックにレイヴクラシックをプレイする断言していたDJ Nobuは4時頃登場。もうこの頃には身動きするのも困難な程にフロアには人が溢れており、熱狂的な夜のピークを迎えていた。しょっぱな熱いボーカルが感情を揺さぶるベース・ミュージックでぐっと温度感を上げて開始するが、そこから一旦ビートレスな音響モノでフロアを冷ますと、そこにエスニックな雰囲気のあるメロディーにアシッド・ベースが絡んだ不思議な展開へと雪崩れ込む。暗く不気味なダブ・ステップも用いてフロアのテンションを落としながら深く潜っていき、淡々としたビートを刻むロウ・ハウスでひんやりとフロアを抑え、普段のモダンな選曲を用いて爆発力を打ち出したプレイとは対照的なロウファイで味のあるプレイは小箱ならではだ。四つ打ちではなく崩れたブレイク・ビーツのような曲、横にぐいぐい揺さぶるダブ・ステップやシャッフルするビートもの、またはソウルフルな歌も入ったUKベース・ミュージックなど、ざくざくと切り刻むような緩急自在のビートで攻める。中盤には"Still Life (Keeps Moving) (Kevin Saunderson Remix)"のような派手なレイヴトラックで爆発させつつも、歌モノもしっかり混ぜる事でソウルフルな展開は保ち、普段のドイツテクノ選曲とは異なる卑俗な音楽観に自然と体が反応した。終盤ではインダストリアルをも匂わせるレイヴ系や変態系UKテクノも飛び出して、例えばアシッドな音があったとしても覚醒感や継続感を生み出すのではなくビートの大胆な動きが瞬発力を生み出し、DJ Nobuの普段とは異なる一面を如実に物語るプレイだった。

多少フロアからは人が減ったか、しかし夜から朝へと移り変わってもパーティーは終わらない。7時からはPAPALTZ a.k.a. Altzがプレイしていたが、Hikaruと同様にジャンルの区分けが意味をなさない不定形な選曲が面白い。生モノのファンク系から可愛らしいサウンドのダンス・ポップ、ダンスグルーヴなうねりのあるリズム感が小気味良いロック、カチッとしたビートのシンセ・ファンクなど目まぐるしくジャンルが入れ替わっていく。奇想天外な冒険をするようなAltzらしい予想もつかない展開だが、PAPALTZ名義ではお父さんらしい包容力や落ち着きがあり、朝方のフロアをしっとりと和ませるプレイだ。ジャンルは多岐に渡れど色彩豊かなサイケデリックな統一感はあり、そこに普段よりも朗らかなポップな味をブレンドする事で、PAPALTZとしてのプレイが確立されている。その後もやディストーションが唸りをあげるロック、プレ・イタロ・ディスコな"Music For Us (Italo Version)"、祝祭感たっぷりのモダンソウルなBrass Constructionの"Give And Take"、しまいには陽気なノリが爽やかなブラジリアン・ファンクな"Segredos Do Samba"までと、テクノ/ハウスを一切用いないながらもしなやかなダンス・グルーヴでフロアを優しく揺らしていた。

9時過ぎからは2回転目でHikaruが再度登場。紫煙の向こうのが揺らぐような残響が効いた気怠いダブから始まり、ロービートなヒップ・ホップでねっとりと深い泥沼へと嵌めていく。そこから小刻みに鋭角的かつ強烈なビートで攻めるラップでテンションを上げるが、やはりHikaruのプレイで際立つのは日本語ラップ。メロウな旋律と美しいストリングスに穏やかなラップが絡むBron-Kの"Paper Paper"は特に耳に残った。他にも愛らしいコーラスワークにしんみりするR&B、ゴージャスなホーン使いに昂揚するディスコなどHikaruらしく行き先未定のジャンルレスな流れでクロスーヴァーしつつ、終盤には井上薫による和風スピリチュアルな祭囃子の"Forbidden Dance"からアフリカンでサイケデリックな"Demented (Or Just Crazy)"へと繋ぐ怒涛の展開も。10時過ぎにはYA△MAへと引き継がれ、端正なミニマル・ハウスで空気を落ち着かせながらまだまだ音楽酒場は続いていた。

当方は10時半にはフロアを後にしたが、結局3日の23時過ぎまでパーティーは続いていたようだ。合計24時間、4人のDJだけでそれを成すのは容易な事ではないが、それに着いてくるパーティーピープルの存在も恐るべし。勿論4人のDJが異なるスタイルだからこそ、それぞれの時間帯で飽きる事なく楽しめるようにもなっているのだが、ジャンルが多岐に渡りながらそこに遊びに来る客層からは、音楽そのものを楽しむという前提は当然としてパーティーを楽しむという気持ちが伝わってくる。今のパーティーに必要なのはこんな許容というか自由度とか、もっとパーティーを純粋に楽しむ事なのかもしれない。そんな気持ちさせてくれるのがGrassrootsなのだ。
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