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2014/12/13 Acid City @ Air
アシッド・ハウスに可能性を見出し再度その普及と発展に身を捧げているDJ EMMAが、新たに立ち上げたパーティーが"Acid City"だ。年内最後となる今回の開催は5年ぶりにリリースした自身の人生とも呼べる"EMMA HOUSE"のリリース記念も兼ねているそうだが、そこにはEne Recordsを主宰するChidaと、日本が世界に誇るアーティスト・Hiroshi Watanabeが登場する。
日が変わった頃に現地入りすると、まだフロアは人も疎ら。Chidaはパーティー序盤という事もあってかまだ落ち着いた透明感のあるディープ・ハウスをプレイしており、柔らかくふんわりとしたムード。そこに早くも"Atmosphere"を投下するが、その鳴りは穏やかでメロウな空気を発している。そして硬く荒いビートが入る"Strobelite Honey (David Morales Remix)"を繋げ、少しづつ夜のアッパーな流れへと進み、Gypsymenの"Hear The Music"のファンキーなサンプリング・ハウスも飛び出し、NYのクラシック・ハウスな趣に包まれる。そんな古典的なハウスもプレイしながら何時の間にかスケール感の大きいディープなエレクトロニック・ハウスへと移行し、ゆったりとしたビートながらも大きな波のうねりが広がる。そして浮かび上がってくるアシッド・ベースの連弾によりビキビキと延髄を刺激する中毒的な攻撃が始まると、フロアは喧騒の中へと突入。興奮を高めながらKaitoによる余りにも壮大で何処までも開放的な"Intension"に盛り上がりはピークへと達すると、そこからディスコティックな煌きやドープなアシッド・ハウスによる嵌めを見せながら、津波のような大きな波となってフロアを飲み込んでいく。最後にはシカゴ・ハウスの永遠のクラシックである"No Way Back"をプレイし、パーティー序盤から良い雰囲気を作っていた。

そして"Acid City"に楽曲提供を行なったHiroshi Wanatabeはライブで登場。セッティングはTB-3、TR-8×2、SYSTEM-1と計4台のAIRAとPCによるハードウェア機材が満載で、闇の中にグリーンに光る機材という事もあり見た目からして壮観だ。出だしからTR-8のリズムとTB-3のアシッドなベースラインが主導となり荒くもパワフルなリズムを刻んでいく。シカゴ・ハウスのような乾いた音質、そして凶暴な牙を剥くアシッドなサウンドはもはやアシッド・トランスかと思う程に強烈だ。のっけからピークへ達するような勢いで疾走し、禍々しいアシッドの流星が降り注ぐ中を体が震える程の重低音が迫り、刺激的なハイハットの連打が炸裂する。そして、何時しか浮かび上がっている叙情的なメロディー、そうなると彼らしい壮大でエモーショナルな世界観も見えてきたりと、激しさの中にもエモーショナルな衝動が姿を見せる。しかし普段以上にアグレッシヴで衝動的な面はかつてない程で、メロディーが再度姿を消しリズムのみが露わになると、TB-3/TR-8の音がより鮮明にダンス・ミュージックとしてのクラシカルな雰囲気として伝わってくる。グリグリとツボを押すようなアシッドの刺激、質素ながらもど迫力に躍動するリズムのうねり、圧倒的な音の洪水に飲み込まれるとそこはもう台風の真っ只中にいるようだ。執拗なまでのリズムによる攻勢で意識もぶっ飛ぶかのようなトランス感を誘発しながら、ラストには"Acid City"に新曲として提供された"Infinity Sign"が待ち受ける。情緒的なピアノの調べの間を擦り抜けるように鳴るアシッド・ベースが鳴り、アシッド・ハウスながらもHiroshi Watanabeの音楽性もしっかりと反映されたドラマティックな展開で、最後まで高いテンションを保ちながら怒涛の1時間は終了。

ライブ後は一端パーティーを仕切り直しするように、DJ EMMAがオーソドックスなディープ・ハウスからプレイを開始。エレクトロニックな音を打ち出したハウス中心にフロアを作り上げつつ、徐々にパーティーのコンセプトに合わせるようにアシッド・ハウスなプレイへと雪崩込むが、単に回顧的な曲ではなくモダンで洗練されたアシッド・ハウスが中心。多少快楽的で享楽的な性質もあるアシッド・ハウスは今風に豊かな音の膨らみもあり、派手なトランス作用と共に肉体もしっかりと響くような性質もある。そして"Acid City"のアルバムからはエレクトロ×アシッドな"A.S.I.D"もプレイしたりもしていたが、その後EDMのような少々派手でギラギラした展開もあり、DJ EMMAがこんな曲をプレイするのかと驚きと疑問が隠せない流れも。勝手な憶測だが昔からのファンだけでなく、新しい若い層も取り込みたいという考えなのだろうかと思いつつ、暫くしてソウルフルなボーカル・ハウスへと移行して一安心。そして"What You Need (Enzo Elia Balearic Gabba Edit)"のバレアリックな多幸感が満ちる展開へと続き、徐々に引き潮のような静かな流れで一旦フロアは完全に静まり返り、静寂のみが広がっていく。そんな中、突如としてフロアに響くハウス・ミュージックを宣言するあのスポークン・ワード…Chuck Robertsによる"My House (Acappella)"だ。ハウスはジャックだと語るセリフ、そしてそこに続くFrankie Knucklesへの追悼でもある"Dreams (Director's Cut Edit Mix)"。全くビートは入らない曲ながらも物哀しいピアノや感情的な歌でゆったりと切なさで飲み込んでいき、フロアの皆が静かにその曲に耳を傾ける瞬間、パーティーの中でも最も感動的な時間だったかもしれない。そこからは急発進し荒くゴリゴリなビートの疾走するテクノへと移り変わり、怒涛の勢いでフロアを揺らしていく。古典でもある壊れたアシッド・ハウスな"Acid Crash"からの極悪なアシッド・テクノの"R.E.S.P.E.C.T."へと繋ぐ展開もあれば自身による"Acid City"も披露し、新旧アシッド・ハウスを織り交ぜながら暴風雨が押し寄せたかのような破壊力をもって爆走し、その全く勢いは弱まる事なく不気味な暗黒テクノも飛び出し朝が近づいてくる。そして、突如として降り注ぐ光の粒子…そう、暗黒を切り裂いて浮かび上がったのは"Strandbar (Samba Version)"だ。朝の多幸感が満ち溢れフロアの雰囲気は穏やかに変わり始める。Bah Sambaによるサンバのリズムが軽快な"Reach Inside"など陽気なムードも現れ、ポップな日本語ボーカル・ハウスにファンキーなオルガンと華麗なピアノが先導する"Music Is My Flower (Sound Of Gold Mix)"など朝方のハウス・モードへ一直線。フロアはソウルフルで温かく、しかし力強いハウスの4つ打ちを刻み、何処までも何処までも踊る事は止めらない。しまいにはダウンテンポでエモーショナルな"Man With The Red Face (ATFC "When The Light Go Up" Remix)"からプログレッシヴ・ハウス寄りな"Air Alertness (Malawi Rocks Remix)"へと繋ぐ流れもあり、"Emma House XIX"の展開を再現する瞬間も。と、当方はそこら辺まで楽しみフロアから脱出。全てを体験したわけではないもののこの流れを後から考えてみると、"Acid City"と"Emma House"の両方を上手く同じ空間・時間に落とし込んだようなプレイで、そして実にDJ EMMAらしいソウルフルな人間臭さとドラマティックな展開を体験する事が出来た。後から知った話では11〜12時頃までパーティーは続いていたようで、流石DJ EMMAに着いてくるハウス・ミュージックのファンは凄いなとただただ驚くばかりだ。

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