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The It - The It EP (Alleviated Records:ML-2229)
The It - The It EP

孤高の存在…という言葉を簡単に使うわけにはいかないが、しかし深遠の淵にいるような深い情緒を抱かせる音楽を常に制作しているLarry Heardならばこそ、その表現は相応しい。人肌の温もりを感じさせる親しみ深さがありながら、しかし俗世的な世界からは遠くに位置するその俯瞰した視点は、正に孤高と呼ぶべきだろう。そんな彼も近年は耳を悪くしDJ活動も控えめになり新作のリリースも途絶えていたが、ここに20数年ぶりとなるThe It名義の新作が届いた。The ItはLarryに加え、Marshall JeffersonとのJungle Wonz名義で活動していたボーカリストのHarry Dennisとの共同名義で、過去にはアルバムもリリースするなど蜜月の関係であったようだ。随分と久しぶりとなるこの新作を聴いてもその相性の良さは言うまでもなく…実際にはLarryによるトラックが余りにもLarryらしい為に、いつも通り期待通りなディープ・ハウスに仕上がっている。出だしはブイブイとしながらもしっとりしたベースラインから始まり、薄っすらと情緒が乗った透明感のあるパッドが伸びていく"Somebody Somewhere"は、Harryによる渋いポエトリーと相まって感情を強く刺激する事はせずに、ただただ穏やかな波が広がるように静かに情緒で満たしていく。"Crying"はそのタイトル通りに物悲しさを誘うどんよりとしたキーボードのメロディーがリードし、少々暗さもありつつ囁くように問い掛ける歌によって癒やされる。裏面に収録された"Utopian Dream"はやや硬めのキックが厳つさを含みささやかに悪っぽさを漂わすアシッド・ベースによって、初期シカゴ・ハウスのまだ垢抜けなかった時代のオールド・スクール性が強い。そして比較的からっとしたパーカッションの響きが強調された"Beauty In A Picture"は、慎み深い音楽性の中にも静かに野生のトライバル感を込めているようなハウスだ。長らくLarryの音楽に触れている人にとっては新鮮味を感じる事はないような、だからこそ安心して聴けるクラシカルなディープ・ハウスを正しく継続しており、この変わらない事ことがLarryをLarryたらしめているのだろう。



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