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2015/1/16 The Field Live In Tokyo 2015 @ Unit
昨年の来日ツアーから丁度一年、今年は東京のみとなるがThe Fieldが来日ライブを披露する。昨年はアルバムをリリースしたばかりであった上に、バンド体制ではなくソロでのライブという点で新生The Fieldを体験出来る意味合いもあった。しかし、今回は特にアルバムリリースもなかったので昨年からの変化はないのではと気になる点もあったが、ファンとしては素直にThe Fieldの音楽をあるがままに楽しみたいと思い遊びに行ってきた。そしてその脇を固めるのは日本からはHiroshi WatanabeとGonno、Berghain系のOstgut-TonからBarker & BaumeckerのBarkerと、DJ陣も全く隙のない実力派が揃い、パーティーの体制は万全だ。
遅く現地入りすると既にGonnoのプレイは終盤に差し掛かっていたが、重く安定感のある四つ打ちはスピード感よりもどっしりと根を下ろしたリズムが主張している。ディスコティックな煌めきもありつつ非常に図太く揺るぎない強靭なグルーヴが貫き、上げずともしっかりと引き寄せ続けるグルーヴ感は流石だ。そしてリリースしたばかりの強烈なアシッド・ベースが牙を剥く"Stop"や脳髄を刺激するブリーピーなテクノまでプレイし、そのエグさもGonnoの強烈な個性として発揮され、そのまま鈍く唸るアシッド・ハウスまで辿り着きじわじわとフロアを悪い空気に染め上げていた。30分程しか聴く事は出来なかったがそんな短い時間でもGonno特有の個性はしっかりと感じられ、また次の機会に長いプレイを是非体験したいと思わずにはいられない。

このパーティーの中でブッキングとして謎だったがのOstgut-TonからのBarkerだった。The Fieldとの相性的にもどうなのだろうという不安もあったが、実際にDJが始まってしまえばそれは単なる杞憂だったようだ。Gonnoの安定感のあるグルーヴに対してBarkerはリズムに多様性を持たせて、プレイク・ビーツやつんのめるようなビートによって緩急を付けながらとグルグルとフロアを攪拌するように揺さぶっていく。音自体はベルリン的というかひんやりと無機質で金属的な硬質感があり、そこにダブな音響も織り交ぜて空間的な広がりも持たせながら拡張する。次第に増していく疾走感、叩き付けるような四つ打ちのビートやダブ・ステップのような変則的なビートも打ち出し、縦横に体は揺さぶられる。The Fieldの前のプレイいう事でDJのやりにくさもあるのでは心配していたが、いつしかフロアにいる多くの人もそのけたたましいビートに体を揺らし、荒涼とした空気を伴いつつパーティーとしての興奮は高まっていった。後半にはテック系のウワモノも入ってきて意外な流れがあり、そこからロマンティックな"I Wanna Be There"に繋がった瞬間は驚きを隠せなかった。しかしUnitのサウンドシステムのおかげか随分と骨太で肉厚なリズムが強調されており、セットの中に上手くはまっていたと思う。

そして興奮も高まった所で遂にThe Fieldのライブが開始。昨年と同様にバンド体制ではなくAxel Willner単独でマシンを操りつつ、アアアーというボイス・サンプルと膨張したベース・ライン、そしてスローモーで鈍いビートで始まったのは"No. No..."。今にもはち切れんばかりの膨らみのある音に圧倒されつつ、エッジの効いたハイハットがビートを刻み出せば、徐々にグルーヴは増していく。シューゲイザーのように淡く儚いノイズに包まれ、執拗に繰り返されるボイス・サンプルは夢の中へ手招きするようで、開始からいきなりうっとりとするような陶酔感を発する。そして続く"They Won't See Me"では芯のある四つ打ちが刻まれる中、恍惚感のある光を纏ったシンセがどこまでも伸び意識は融解するようだ。バンド体制でない分だけ生ドラムの躍動感よりはマシン的で淡々としたビートが感じられ、ループやミニマルを軸とした構成はより生かされているのではと思う。また、曲間は途切れる事なく曲は移り変わっていくのも、その持続性を増す事に成功していた。その後もシャキシャキとしたハイハットと肉厚なキックが体を揺らしつつ、白色光のようなシンセが放射され多幸感で満たされる展開が継続。激流のような激しい流れを作るのではなく、雰囲気の維持やグルーヴの継続に重点が置かれるが、音は地平の果てまで広がるようで曲自体のスケールは大きい。次第にトランス感覚も誘発しながら軽快なビートが入ってくると、"Black Sea"の始まりだ。優しく牧歌的なシンセのフレーズは夢心地で、爽やかなビートが疾走しながら穏やかな空気に包まれる。しかし途中で転調するようにアシッドなシンセが入ってくると、心地良い盛り上がりは狂騒へと変わるような刺激的な展開も。そこからラスト2曲は"Everyday"と"Over The Ice"という初期のヒット曲をプレイしたが、その辺りはやはりファンも待っていたのだろうか歓声も湧いてフロアは熱狂する。"Everyday"では随分とダイナミックなドラムのおかげでバンド・ライブのようなグルーヴもあり、後半の切ないボーカル・サンプルからは郷愁が染み出してくるようで、最後の"Over The Ice"ではポップなフレーズのループと多幸感のあるボイス・サンプルを軸に、何処までも登り詰めていく高揚感をもたらしていた。ライブ自体はThe Fieldらしいシューゲイザーかつ牧歌的な音が満載で十分に楽しめたものの、しかし流石にライブも4回目の体験となると最初の頃に感じた衝動は失われ、新鮮味を失いつつあるのも確か。特に多くのファンは初期のヒット曲のような作風を求めているようで、最新の曲には余り反応が無い所にもAxel Willnerとして悩ましさがあるのではと思う。The Fieldとして新たなる方向を模索するのか初期の作風を守りぬくのか、今後どのような方向に進んでいくのか気になるライブでもあった。

最後はHiroshi WatanabeのDJセット。いきなりポジティブなシンセが溢れ出すテクノに、過激なキックの抜き差しを行ってフロアに残った人達をこれでもかと煽っていく。叩き伏せるように連打するビートが降り注ぎ、半ば強引にでも体を踊らすパワフルなプレイだが、それと同時にエモーショナルなメロディーが広がる音楽性は正にワタナベヒロシの音楽性そのもの。激しく疾走するリズムと琴線に触れるメロディーが相まって、大河のような壮大なスケールを生み出していくプレイからはストーリ性もあるのだ。中盤では幾分かプログレッシヴ・ハウス寄りなギラついた音もあったが、しかし気迫溢れる激しいプレイは一向にテンションを落とす事なく激励するように体を揺さぶる。激しく荒ぶるリズムによるビートは過激ながらも疾走し、空間の奥行きを感じさせる残響を伴うトラックにより壮大さを生み出し、常にシンセを満たしながら休ませる事のない攻めのプレイはトランス感さえも生じさせるのだ。起伏を伴いながらも加速を続けどこまでも上昇する高揚感で、90分のプレイは突き抜けるように終了。しかしフロアからのアンコールによりDJを再度始めると、そこからは徐々に暗闇が開けて朝の光が差し込むようにポジティブな要素が強くなり、アシッドの粒子の間を切ないピアノの音がすり抜ける"Infinity Sign"やまるで映画のワンシーンのような感動的な展開を見せる"Star Of Snow"もプレイし、全ての感情を出しきったようにドラマティックな流れで思い残す事なくパーティーは終了した。The Fieldのシューゲイザーな音を浴びるライブ体験はもとより、GonnoやHiroshi WatanabeにBarkerとパーティーらしく踊らせてくれたDJセットと、どの時間帯も楽しむ事が出来た充実したパーティーになっていたと思う。

■The Field - Cupid's Head(過去レビュー)
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■The Field - From Here We Go Sublime(過去レビュー)
The Field-From Here We Go Sublime
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