<< Julian Alexander - Hustlin' EP (Dungeon Meat:DMT 03) | main | O.Utlier - Genesis EP (Soul People Music:SPMB005) >>
2015/1/17 Guidance 〜導き導かれる人生〜 10th Anniversary @ Amate-raxi
音楽と人に導き導かれて参加するみんなでパーティーを作り上げるGuidance。様々なクラブを渡り歩きながら続いてきたこのパーティーも遂に10周年を迎えた。移り変わりの早いクラブ・ミュージックにおいて10年もの歳月は色々なものを変えるだろうが、Guidanceのコンセプトは基本的に変わらない。また音楽だけでなくデコレーション、アート、フードに物販などパーティーを様々な面から楽しめるような工夫、みんなで楽しみたいという気持ちが伝わる主宰者の思いは今までに参加した者であれば感じ取れるはずだ。今回はそんなパーティーの10周年に合わせシカゴからThe Black Madonnaの初来日が予定させていたものの、直前になり体調不良でキャンセルになってしまったが…しかし、日本に久々に帰還するSTEREOCiTIのロングセット、ライブを再開させているAltz、そして大阪よりFlower of Life/POWWOWを主宰するDNT、ラウンジにはRee.Kやjinseiクルーと、アニバーサリを祝福すべく多くのアーティストが集結した。
この日はノーゲストとなり花を持参した人がディスカウントとなる粋なはからいだったので、当方も蘭を持参。現場へと到着すれば多くの人が花を持参しており、ラウンジでは持ち寄った花を用いて生花が行われていた。既にラウンジは多くの人で賑わっており、流石にアニバーサリーとなるパーティーの熱気はいつも以上だった。地下のメインフロアではDNTがプレイ中だったが、単なるダンス・ミュージックではない変異体とでも呼ぶべきプレイが面白い。サイケデリックなロック風からハウスやテクノ、アシッドからディスコ・ダブまで混沌が渦巻くごった煮な選曲は、快楽的でありながら面白い。まだ早い時間帯だったのでやたらめったら上げる事はせずに、危うい空気を発しながらも重心の低いグルーヴでねっとりと浸食するような攻め方だ。艶めかしいファンキーなハウスや気の抜けた様なアシッドもの、果ては覚醒的なミニマルまで、手の平をすり抜けて行くような自由なプレイは、型にはまらずに拡張性がありながらも芯のあるグルーヴで踊らせる。そして雑多なジャンルに揉まれながら猥雑とした、そして訝しくサイケな香りを発しながら、次第にフロアの熱気は湿度を帯びながら高まっていく。そんな音に合わせて効果的だったのがOHPを使用したVJで、光と流動的な液体を駆使しながら意識も融解するようなサイケデリックな色彩が、ドラッギーな音と相まって精神に中毒的な覚醒感を引き起こす。原始的とでも呼ぶべきOHPを使ったVJは手作り感があるが、しかしその効果はパーティーを盛り上げるのに一役買っていたのは間違いない。そんな色彩により視覚を刺激される中で、色々なスタイルの音が混ざり融解しながら、混沌の中から酩酊じみたトリップ感が生まれる展開は蠱惑的だ。パーティー序盤から快楽の連れて行かれつつ、終盤ではJohn Barera & Will Martinによるでデトロイト・テクノ的な"Nomad"もプレイして、正に空へと飛翔するように真夜中へと突入。

Altzのライブが始まる頃にはフロアは人で溢れており、蒸し返すような熱気と興奮に包まれていた。ハープの音らしきアルペジオが響き渡り、予想だに出来なかった桃源郷にでも迷い込んだかのようなオープニングだ。そこにワルツの3拍子のリズムとゴージャスなオーケストラが彩る展開で、喜びに満ち溢れた祝祭のような展開へ。ブイブイとしたファンキーなベースがうねりだし、カチッとした鋭利なビートも走り出すとダンスモードへと突入するが、ふざけたような効果音も入ってくれば最早そこは無国籍なAltzの世界観が繰り広げられる。奇想天外なトラックはジャンル不定で、狂ったようなアシッドも這いずり回りながらフロアを怪訝なムードへと変容させる。しかしリズムは完全にテクノのそれで硬く規則正しく刻まれ、非常に硬派でひりつくような緊張感さえも感じられる。そこから乱れ打つ民族的なパーカッション、ヒプノティックに響くサウンドがフロアをお祭り騒ぎのように揺さぶっていく。そして女性ボーカルやファンキーな生音にうねるアシッド・ベースが入ってくると、そうAltz.P名義の"Dodop"だ。オリジナル以上に迫力のあるグルーヴ感を増し、スピード感を伴う生き生きと躍動するこの曲は正にライブにうってつけだ。本人によるボコーダーを利用したボーカルもその奇抜性を強調していたが、そこに続く"World 1st Day (version ALTZ)"のも素晴らしかった。ダブ処理の施されたギターが反響するサイケデリックな曲でくらくらと視界も歪むようで、その流れにのって終盤は無国籍で多幸感が溢れ出すダンス・ミュージックが、怒涛のグルーヴを叩き出し幸せが大爆発して弾けるようにライブは終了した。昨年末にもライブを披露したばかりだったが、その時とはまた異なる展開でよりテクノ的なグルーヴが強まった音楽となり、Altzのライブが更に進化していると事を感じさせるものだった。

そして待ちに待っていた1年ぶりのSTEREOCiTIのDJは、それまでのお祭りムードとは対照的に厳かで内向的なディープ・ハウスで開始する。序盤に幽玄なサウンドの中にファンキーな歌が主張する"Iori's Raw City Beats"もプレイしていたが、肩の力が抜けた程良いテンションを保ちながら既に仄かな情緒を滲ませていた。そして同じMojuba組みであるKonstantin Siboldによる"I'm in Need"など枯れた味わいの中に艶も光るディープ・ハウスで、ゆったりと深遠の淵を彷徨うように深さをキープする。落ち着いたピアノの旋律や夢のような儚いパッドが伸び、激昂させる事なく穏やかな音のムードや情緒で酔わせるプレイは円熟の極みだろう。ロウな質感のあるリズムも相まって人間味のある温かい音は優しく響き、包容力さえ感じさせる穏やかな展開が続く。かつてない程に優しく聞こえる"Atmosphere"は盛り上がると言うよりは音に心酔するような聞かせ方で、STEREOCiTIの一歩引いたような奥ゆかしいさは既に発揮されていた。また展開としては比較的なミニマルな要素のプレイなものの、決して味気ないわけでもなく内向的ながらもデトロイト・テクノやシカゴ・ハウスのような人間臭さがが持ち味なのだ。決して派手な音や流れはないが淡々とグルーヴをキープしながら、燻るように感情に火を灯すのだ。

次第に剥き出し感の強い荒いリズムも現れると、滑らかに勢いを増してくる。杭を打ち込むような力強いビート、同時に幽玄でしとやかなメロディーが揺れ動き、激しさの中にもエモーションが同居する。"Rescue (Fred P Reshape Dub)"のように官能的な歌が美しいディープ・ハウスから乾いた質感ながらもエモーショナルなハウス、そして遂にはスリージーなシカゴ・ハウスまで、じわじわと感情を侵食するように情緒的なプレイを継続させながら、STEREOCiTI自身による"Edit de Ghetto"では跳ねるファンキーなグルーヴとソウルフルな歌が弾けてフロアに活を入れる。いつしかグルーヴは走り出しテック・ハウス気味な軽快な流れでふっと雲が晴れるような爽快な時間帯もあり、朝の光が差し込むようだ。KDJによる"Winter Breeze"もプレイすれば黒くも爽やかな空気が広がり、メランコリーなディープ・ハウスでしっとり撫でるように包容しと、デトロイト〜シカゴ〜NYとこれでもかとハウス攻めを続ける。

瞑想に耽るようなディープかつミニマルなModel 500による"Neptune"のプレイは意外だったが、そこからAaron-Carl のソウルフルな感情が弾けた"Tears"へと移行すると、朝方は比較的ハードなテクノ寄りの音が強めだっただろうか。野太いリズムが跳ねたり、またはゴリゴリと荒削りなキックが打ち付けるな曲まで、疲れと眠気を吹き飛ばすかのように勢いを付けて攻める。勿論ハードな質感ながらも決してコントロールを失う事はなく、緩急は上手く抑制され引いては寄せる波のように盛り上がりを作っていく。そしてRomanthonyによるナルシスト的な艶のある"Let Me Show You Love"では官能に染め上げながら、デトロイトの未来感、シカゴのアシッドの狂気も織り交ぜて、ハウス愛が滲み出るプレイには抗う事など出来やしない。終盤で心を奪われたのは美しいローズ・ピアノと透明感のある音が絡む華麗なジャジー・ハウスの"Human Beings (Atjazz Remix)"からKerri Chandlerの"Rain"へ繋げた瞬間だっただろうか、静から動へと切り替わりながらも甘い陶酔が持続する展開で、フロアは朝の微睡みに包まれていた。1年ぶりのSTEREOCiTIは期待していた通りに流行とは無縁にハウス・ミュージックを追求したスタイルが素晴らしく、無駄のない慎ましいその世界観には隠者のような達観した音楽性を感じ取る事が出来た。

8時になってもまだ落ち着いた雰囲気のフロアでSTEREOCiTIプレイは続いていたものの、当方はその時点でパーティーから離脱したのだが、その後もGuidanceはメインフロアもラウンジでも続いていたようだった。帰る前には参加したみんなが持ち寄った花で作られた生花がほぼ完成しており、ラウンジの中心でその存在感を主張していた。みんながGuidanceに参加したという証として。

■STEREOCiTI - Never Trust A DJ(過去レビュー)
STEREOCiTI - Never Trust A DJ
Amazonで詳しく見る
 Amazonで詳しく見る(MP3)

■STEREOCiTI - Kawasaki(過去レビュー)
Stereociti - Kawasaki
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(日本盤)
| EVENT REPORT5 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
スポンサーサイト
| - | 12:00 | - | - | |

コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://matyu.jugem.jp/trackback/3576
トラックバック