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2015/1/30 UGFY Records presents ”Ugly.” 2nd Anniversary @ Oath
もうすぐ初のアナログがリリース間近となるYou Forgot。DJとしてもアーティストとしても成長著しい彼が、Oathで主宰するパーティーが"Ugly."だ。当初は平日開催だったものの2014年からは奇数月の第1金曜日開催へと格上げされ、1DJ/1hourのショートラリー方式で一晩で各DJが2〜3回転しながらプレイするスタイルのパーティーが好評を博している。そんな"Ugly."も2周年を迎えたのだが、その記念の夜となるパーティーのスペシャル・ゲストにはどんなジャンルでも難なくこなしてしまうプロ中のプロであるMoodman、そしてMariiやBOWをゲストに迎え、そこにレジデントのYou Forgotが迎え撃つ。
25時前には現地へと到着したがこの時点でフロアは人混みで埋まっており、アニバーサリーらしくパーティーは盛況だった。DJブースにはMariiが入っていたが、エレクトロニックな音を中心にリズミカルなプレイで揺さぶりをかけている。厚みのあるテック・ハウスやブリーピーなテクノまで、しなやかさと厳つさを、エモーショナルかつ多幸感を伴う大箱向けなセットで早い時間帯からフロアを盛り上げている。時折、変化球を加えるように個性的で愉快なアシッド・テクノやファンキーでふざけたようなハウスもプレイしたりと、敢えて軸からあちらこちらに振れなる展開は遊び心も感じられるようだ。終盤は徐々に機能的な方向へと収束するようにグルーヴも四つ打ち中心となり、悪い雰囲気のアシッド・ハウスやミニマル性の高いハウスなどをプレイして、上手く次のDJへと繋げるように纏めていたと思う。

そして登場したのがスペシャル・ゲストのMoodman。既にこの時点ではフロアに入りきれない人がOathの店前に溢れており、アニバーサリーとは言えども予想外の動員に驚きを受ける。そんな中、Moodmanは優雅で色気のあるテック・ハウスからプレイを開始。イーヴンキックな安定感を保ちつつ滑らかにするする紡がれていく展開は余りにも自然で、やはりそのプレイは本物だ。序盤からエグい毒気のあるアシッド・ハウスも盛り込んだりするものの流れは非常にスムースだが、そこに恍惚感が溢れるMr.Vの"Yo"の快楽的なハウスも織り交ぜ、意外にも大仰な音楽性も盛り込んでくる。しかしふっと張り詰めた空気を解放するように、Glenn Undergroundによる望郷の念を駆り立てるフュージョン系の"We, The Party (Lets Get Down)"へと繋げて、しんみりとした展開でフロアの盛り上がった空気を適度に調整する場面も。そこから再度、図太くエレクトロニックな方面へと戻り、低音を強調した太いグルーヴを中庸なテンションでプレイしながらじんわりと圧力をかけていく。そして、爽快に飛翔するようなテック・ハウスの"Portland (Tuff City Kids TB Mix)"など、時折入れてくる軽めのグルーヴの曲も展開をコントロールするのに上手く用いたいたと思う。大きな上げ下げを作るのではなく平坦ながらもタイトなグルーヴですっきりと纏めて、ここぞという瞬間にブレイクも入れながら、実に自然な流れでフロアを盛り上げていた展開の作り方はには舌を巻く程だ。中盤ではMirko Loko & Stacey Pullenによる"Formulaic Mode"というトライバルかつ神々しい大ネタを投入し、小さなOathの中に壮大な宇宙空間を創出するような瞬間もあった。そんな大箱向けなトラックさえ違和感なく織り込みながら、いつしかプレイはピークへと達しフロアの熱狂も高まっていく。盛り上がった後はそのテンションを保ちながらミニマル調な展開へと移り、パキッとしたリズム感でタイトなグルーヴで引き締めを掛けていく。もはやテクノともハウスとも区分けが無い程に境界を曖昧にしながら、ストイックにリズム攻めによるプレイを継続し丁寧に編み込んだグルーヴで緊張感が張り詰める。大きく上げる事もなくもたつく事もなく、回転数の早いビートで程良い緊張感を保ちつつ疾走し、丁寧なミックスながらも無骨で芯のあるプレイは正に熟練者の技だろう。ひたすら畳み掛けるリズムを打ち鳴らし半ば強迫的な勢いでフロアを飲み込んで、終盤まで途切れる事なくフロアを沸かしていたが、最後の方ではダブ色強めなテクノで幻惑的な揺らぎも見せながら3時間のプレイを締めくくった。

朝の5時、レジデントであるYou Forgotへと交代すると、しょっぱなBehind The Grooveによるしっとりソウルフルなハウスである"What You Gonna Do About It"でフロアの空気を入れ替える。が、そこから錆び付いて朽ち果てたアシッド・ハウスへと転換し、序盤から強烈な個性を打ち出していく。骨が剥き出しになったようなゴツゴツと荒いビートを叩き出し、それまでのMoodmanの洗練されていた音とは対照的な衝動的で激しい音楽性だ。更にはChip E.の"If You Only Knew (If You Dance Mix)"のような初期シカゴ・ハウスの垢抜けない曲を投下するが、それはYou Forgotがプレイする現在のロウ・ハウスとも親和性が高く上手く、ダサい音さえも衝動へと変えていく。テクノもハウスも猛々しく生々しい質感の曲を用いているが、そこにYou Forgotは体を大きく揺さぶりながら感情を絞り出すミックスを行い、大胆かつ激しい展開を加えていく。また優美なピアノの旋律が特徴的なジャジー・ハウスや、汗が吹き出る熱狂的なディスコなど、ジャンルに幅はあるので一見散漫にも感じられるかもしれないが、そこには黒人音楽のファンクという要素を軸にした一貫性があるのだ。そんな荒波の中から浮かび上がってくる弱いピアノの旋律、そう彼自身の新曲である"Atom Tears"だ。ロウでささくれ立ったビートと悲しくも美しいピアノ・サンプルが生み出す世界は、人生における儚い一瞬を切り取ったような美しさがあり、その切なさにフロアは郷愁に包まれながら沸き立っていた。それまでの激しい展開から一気に転換する事で、より感傷的なムードが際立つのだろう。そこからふっと緊張が解けながらブレイク・ビーツへと雪崩れ込み、最後には幸せな気持ちに包まれるボーカル・ハウスの"Life Goes On (Dance Ritual Mix)"で朝の清々しさを発しながらプレイは終了。理性ではなく衝動に突き動かされるようなYou Forgotのプレイは、今夜も熱いダンス・ミュージックとなって肉体を刺激してくれたのだった。

6時過ぎになっても続々と何処からか集まってくるパーティー・ピープル、フロアの中も店の前も音楽に合わせて踊りお酒を飲み、談笑する人達で賑わっている。そこからはまだまだパーティーは終わらせないという気概が感じられるBOWがアッパーなテクノセットを披露し、勢いは止まる所を知らずにより盛り上がっていた。当方は友達も朝から集まってきて十分に踊りきった後の心地良い朝を迎えつつも、7時前にはパーティーから離脱したが、きっとその後もまだまだ盛り上がっていたのだろう。

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