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2015/2/21 Secretsundaze @ Air
昨年に引き続き今年もロンドンのサンデーアフタヌーンパーティーであるSecretsundazeがAirで開催されるに合わせ、レジデントのJames PriestleyとGiles Smithが来日する。本国では午後の早い時間帯から開催される事から、テクノやハウスだけでなくジャズやソウル、ファンクにブロークン・ビーツなどフリースタイルでゆっくりとフロアを温めていくスタイルだったと彼等は述べるが、ここ日本ではオールナイトでの開催が恒例となっている。またパーティーを主宰するだけでなくThe Secret Agencyなるエージェンシーも運営し、将来有望な若手から実力が認められているベテランまでアーティストのプロモートを行うなど、DJとしての活動だけでなくシーンを作っていくような動向は目が離せない。
パーティー序盤のShinya Okamotoはまだ早い時間帯に合わせて、揺蕩うようなリラックスしたビートとアトモスフェリックで微睡む上物が幻想的なディープ・ハウスをプレイしており、フロアは穏やかな波に揺れている。そのまま穏やかな展開が続くのもありかと思っていたが、流石に真夜中のパーティーなので徐々にかっちりとしたキックが目立ち始めダンス・モードに入って行く。それでも無闇に上げる事はなく自然と滑らかな展開を保ち、しっとりとして妖艶なディープ・ハウスが中心で快楽的だ。そこからもう少々テクノ寄りなテック・ハウスも織り交ぜて、華麗な上物とダンスなグルーヴでじわじわと盛り上げていく。浮遊感と共に繊細かつ色気を醸す上物は強みを帯びて、リズムにも揺れ出す変化を加えながらドラマティックな展開を作り、喧騒の時間帯へと夜は深まっていく。パーティー序盤から甘美な陶酔を誘発するプレイは、最後に"Bells (Dream Sequence)"を回した所でピークを迎えていた。

Kikiorixがプレイする事にはフロアも人で埋まり、パーティーの雰囲気は完全に出来上がっていた。しかしそれまでの幻想的な音楽性からは一転し、音の数だけでなく情緒さえも削ぎ落とすりょうに骨格だけが残ったロウなテクノをプレイする。その分だけ骨太で無骨なリズムが強調され、簡素ながらも荒々しい機械的なビートが刻まれる事になる。色っぽい女性の歌が入るハウスもプレイするが、鞭打つような鋭利なリズムは強烈で、決して甘い方向には進まない。上物も時折入れてくるもののメロディーではなく最小限のリフを刻む反復が中心で、やはり音色の雰囲気よりはグルーヴ感で引っ張っていく。次のDJへと繋げる事を意識しているのだろうか、フロアの適度な緊張感を保つ為に上げる事せずに辛抱強いプレイだと思う。途中からはロウな質感のシカゴ・ハウスやストリングスが煌めくディスコなど、オールド・スクールな味のあるファンキーな音楽性も加わり、しぶとくフロアを揺らしていた。

そして遂にSecretsundazeの一人、Giles Smithの3時間セットが開始。意外にも昨年以上の混み具合で、フロアには外人も多く良い雰囲気で盛り上がっている。先ずは重心低めのディープ・ハウスで開始するが、やはり時間帯を考慮してかSecretsundazeにしては随分と上げめのグルーヴだという印象を受ける。そして歪なアシッドのベースが入るハウスも回すなど、序盤からフロアを煽るように盛り上げていく。しかしテクノかと思うほどに激しいパーカッションが打ち鳴らされ、完全に夜中のモードだ。そんな中から陶酔感のある情緒的なパッドが色気を発してくると、激しさの中にもエモーショナルな要素が浮かび上がりSecretsundazeに期待する面も現れてきた。元々フリースタイルが持ち味なパーティーだからか、テック・ハウス中心ながらも統一感よりは曲毎にバリエーションが見受けられ、昨年よりも大味かなと思う所も。フロアの盛り上がりに触発されたのか、それともオールナイトだからなのか、兎に角この日のGilesのプレイは序盤から飛ばしまくりのテック・ハウスなプレイで、フロアが混み合っていた事もあって序盤はいまいち嵌まれなかった。朝方になった5時頃だったか、ようやく"Quetzal"から"Tobacco Ties"に繋ぐデトロイト・テクノのクラシックな時間帯へと突入すると、そこからは一気に叙情的な展開へと移り変わり、そこからは多少テンションも落ち着かせながら綺麗めのテック・ハウスが続く。更にはフュージョン的な煌めくメロディーが躍動するテクノもプレイし、郷愁を呼び起こして徐々に朝の至福に包まれた雰囲気へと変わり始めていた。そしてGilesのユニットでもあるTwo Armadillosによる"Ronin"もプレイされると、フロアには勢いよりも穏やかな空気が満ち始め、長閑な日曜日の朝を迎える。闇を抜け出てからはオプティミスティックな音が増え、この時間帯がSecretsundazeらしいのではと瞑想にふけっていた。

朝の6時からはSecretsundazeのもう一人、James Priestleyが登場。一旦は落ち着いたフロアに活を入れながら、再度闇へと戻るようににテンションを上げていく。"Woman (Africa Hi Fi Mix)"のようにアフロなリズムかつ爽快で開放感溢れるディープ・ハウスも飛び出して、ようやくディープな方向性に進むのかと思ったが、しかしJamesもやはり尚上げめのプレイだ。それでも"Poor People Must Work (Carl Craig Remix)"のようにマッドかつドープな深みへ達する流れがあり、民族的で怪しいホーンに煙に巻かれるハウスに硬質なビートを刻むテクノ寄りなハウスなどをプレイしながら、全体的に音の深みという点からはJamesの方がややディープ・ハウス色は強いか。と思っていたが、やはりビートはキレを増して再度上げる展開へと突入し、一向にフロアを落ち着かせる事なく攻撃的に煽っていく。7時過ぎには"Pump The Move"も投下してレイヴ調な空気を持ち込み、 そこから清々しい空へと飛翔するディープ・ハウスや危うさと耽美を伴うアシッド・ハウスなど、スケール感を増して大仰な流れが目立っていた。その時点でまだまだパーティーは続いていたものの、流石にラストの9時まで遊ぶ体力は残っていなかったので、Jamesのプレイの中盤でパーティーを離脱。

パーティー自体は兎に角盛り上がっていたし、Secretsundazeの二人だけでなく、いや寧ろShinya OkamotoからKikiorixの流れも楽しめたし良い雰囲気になっていたと思う。ただ昨年も感じたように自分がSecretsundazeに対し持っているイメージ - 落ち着いたパーティー序盤から徐々に盛り上がっていくサンデーアフタヌーン的な - からはやはり乖離しており、日本で開催する場合のSecretsundazeはオールナイトだからそうなのか、それとも本国でも今のSecretsundazeはそうなのか、と疑問は残ったままだ。もっとハウス寄りで、その上でじわじわと盛り上げていくような二人のプレイをいつか日本で聴けたらと思う。
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