<< Yuri Shulgin - Acid Vertigo (Modernista:mod four) | main | Jovonn - Goldtones (Clone Classic Cuts:C#CC27CD) >>
2015/3/6 EUREKA! with Detroit Swindle @ Air
自らを「デトロイトの詐欺師」と称するオランダからの新星・Detroit Swindle。人を食ったようなそのユニット名とは対照的にデトロイトの音楽やヒップ・ホップにハウスなどの音楽に強い影響を受け、様々なスタイルを盛り込みながらもエモーショナルな性質を尊重した楽曲は、意外にもオールド・スクールな感もあり実に真っ当である。そんな二人がEUREKA!にて待望の初来日を果たすが、日本からは新世代ビートメーカーのSauce81がライブで、そしてEUREKA!のレジデントであるMidori Aoyamaらが出演と、充実した布陣でのパーティーが開催された。
現地入りして直ぐにSauce81のライブが開始。PCをベースにしながらのライブではあるが、自分で歌ったものをリアルタイムでサンプリングしながら、トラックへと被せていく。生々しい質感を刻むドラムのビート、ふわふわとした手弾き感のあるコード展開、切なさが込み上げるエレピの旋律から生まれるトラックは、ダンス・ミュージックとしての要素があるのは前提としながらも単にツールとしてではなく、目の前で複数の人間がセッションを繰り広げているようなライブ感さえも発している。決して激しくはないが、ゆったりとしながらも体を揺らす重心の低いグルーヴと、そして熱い感情を吐露するような装飾感の強いシンセのメロディーにより、ブギーかつフュージョンのような豊潤なサウンドが和やかにフロアに広がる。基本的には四つ打ちベースなもののライブ感を打ち出したビート感は、単調さとは真逆の生命力に溢れたものであり、とてもファンキーだ。後半にはスムースなビートも現れてしっとりと色気を醸すディープ・ハウスもプレイしながら、最後にはジャムセッション性が爆発して肉体感が前面に出たファンキーな曲まで披露し、Sauce81のルーツを咀嚼しそれを個性として生まれ変わらせた魅力が存分に体験出来ただろう。闇に包まれたパーティーのフロアに光を導き、フロアをポジティブな気持ちで満たし楽しさ溢れるライブになった。

Detroit Swindleは一転して序盤から大胆に揺さぶりを掛けていく。ディープ・ハウス、テック・ハウス、ディスコのネタものなどを入れ替わり立ち替わりで投下し、短いスパンでブレイクも差し込みながら、平凡と平坦を嫌うように常に大きな動きを伴なったプレイが目立つ。その展開の早さと大胆なキックの抜き差し故に大袈裟に思う瞬間もないわけではないが、それを差し引いてもあの手この手で楽しませようとするプレイの前に、踊らずにじっとしているというのも到底不可能だ。様々なジャンルが混ざった音の濁流に飲まれて撹拌させられる展開で、満員御礼のフロアは熱気を伴い盛り上がっていく。エディットものも目立っていただろうか、"Lost in Music (Gay Marvine Edit)"によるディスコ・ネタもので、ぐっと蒸し暑さを伴い感情的に胸を締め付けるような展開も垣間見せる。それ以降は断続的だったグルーヴを継続させる流れと移り、光の粒子が煌めくようなディスコ・ハウスや骨太なキックのファンキーなハウスなど、より直線的かつパワフルなプレイで飲み込んでいく。Detroit Swindleのプレイは常に外向的なエネルギーの向きと弾力性のあるリズム感があり、こういう音はやはり自然と人の感情を昂ぶらせ多幸感に満たし、フロアのテンションは一向に下がる事なく熱気に溢れていた。技術的に上手い云々ではなく、パーティーピープルを楽しませ踊らせる事を念頭に置いたような意志が感じられ、やや派手な展開ではあるものの肉体を刺激するファンキーなグルーヴが土台としてあるのだ。かと思えばAndresによる"Seasons So Long"もプレイと、デトロイトの情熱的な感情が爆発した切ないビートダウンでしんみり切なさに満たされ、そこから"Keep This Fire Burning (The Revenge Need II Edit)"の幸せな気持ちに包まれるディスコ・エディットへと繋ぎ、郷愁を誘う懐かしみの強い音が増えてくる。更に終盤にはミニマルかつトライバルなツール性の強い曲や硬くひんやりとしたテクノまで織り交ぜ、ごりごりとハードな攻めを見せる時間帯から、そしてその上げた流れにのってモダンな色気を発すテック・ハウスや大人びた渋目のアシッド・ハウスへも繋がっていく。「デトロイトの詐欺師」と自らを称するだけあり色々なジャンルが立ち並ぶプレイは、しかしファンキーかつエモーショナルで、そしてユーモアさえ感じられる楽しいものだっただろう。

パーティーの最後はMidori Aoyamaが担当。初っ端Chuck Robertsによるハウス宣言の"My House (Acappella)"により、フロアの時間を止めたように落ち着かせるが、一旦空気を入れ替えるように仕切り直してから、しなやかで優美なハウスへと繋げグルーヴは再度動き出す。熱狂的に盛り上がったフロアの昂ぶりをリラックスさせながらも温度感は保ち、柔軟な揺らぎと小洒落た雰囲気を伴うプレイは大人びてもいる。愛くるしい歌にうっとりするブロークン・ビーツやAndy Hartによる"Epsilon Girls"のねっとりとしたビートダウンまで、振れ幅あるものの情感の強さと品のある官能がぐっと胸を締め付ける。そんな序盤から次第に力強く四つ打ちを刻むハウスへと雪崩れ込み、再度フロアが沸き立つように揺らしていく。そして浮かび上がる明るく弾けるメロディー、Crackazatによる"Somewhere Else"だ。ノリが良く爽やかなビートを刻み、小刻みに動き回るシンセが心地良いハウスで加速を行いながら、軽快なパーカッションがアフロな空気を醸すハウスまでプレイし、大胆ながらも上品で華麗に舞い踊る。若々しいパッションや新鮮なエネルギーに満ちながらもその選び抜かれたエレガントな感覚は、正にEUREKA!というパーティーを象徴するようでもあり、他のパーティーよりも女性客が多いのも成る程なという気持ちだ。自然と心がウキウキし体も躍ってしまうプレイを楽しみながらも、当日予定があった為パーティー途中ながらも5時過ぎにはフロアを後にしたが、途中で抜けるには惜しいパーティーだった。終始フロアは人でごった返し、熱気と歓喜に満ち溢れた素晴らしい一夜になっていたと思う。

■Detroit Swindle - Boxed Out(過去レビュー)
Detroit Swindle - Boxed Out
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(日本盤)

■Sauce81 - All In Line(過去レビュー)
Sauce81 - All In Line
Amazonで詳しく見る(アナログ盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
| EVENT REPORT5 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
スポンサーサイト
| - | 21:00 | - | - | |

コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://matyu.jugem.jp/trackback/3605
トラックバック