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2015/3/14 Lair @ Grassroots
Grassrootsにて不定期開催されているKabuto主宰のLair。今までにもKabutoとの音楽性での繋がりを尊重して多くのDJを招き寄せていたが、今回出演するHarukaは特にその関係性が深い。何故ならば旧Future TerrorクルーのKabutoと現Future TerrorクルーのHarukaという新旧FTクルーという関係であり、そしてそんな二人がGrassrootsという独特の空間で一体どんなプレイを行うのか、それを想像するだけでも気分が沸き立ってしまう。特に多くの客を相手にする大きなクラブとは異なり酔いどれパーティーピープルが集まるGrassrootsなればこそ、客に迎合する事なくDJがやりたい事を自由に出来る環境で、KabutoとHarukaのロングセットが聴ける夜は貴重である。
当日はのんびりと深夜2時前に現地入りすると、KabutoからHarukaへとDJが交代するところだった。Harukaがプレイを始めると途端に電子音響を強めた音楽性へと変化するが、しかし普段のクラブでプレイするようなハードな四つ打ちとは異なりふわふわとした軽さの中でアトモスフェリックな上物が漂っており、それはアンビエント・ミュージックをも思い起こさせる。荒削りなビートは荒廃したロウ・ハウス的でもありデトロイト・テクノのようなエモーショナルなメロディーもあるが、音数を減らしながら間を活かした変則的なビートが直球テクノとは一線を画している。次第にリズムは重みを増しながらダンス・グルーヴを強めていくが、ドローンのようなノイジーな残響が微かに背景に浮かび上がり、ひんやりと無機的な電子音響により淡々とした世界観が広がる。タブのように強調されたマシン・ビート、不気味で虚ろげな持続音はまるでL.I.E.S.を思わせるロウかつインダストリアルな鳴りもあり、その感情を排したようなプレイは非常にクールだ。膨らみがあり揺れるビートを刻みながらも大きく上げる事もなく下げる事もなく、ゆったりと振幅する波のように穏やかなグルーヴを生み出し、途切れる事なくフロアを揺さぶっていく。中にはシカゴ・ハウス的な簡素で味気ない質感のマシン・ビートも聞こえるが、その辿々しくリズムもロウファイな感覚に繋がり、不思議な音響が小さなGrassrootsと言う箱だからこそしっくりくるような印象もある。Harukaのプレイは緊張感はありながらも無理やり盛り上げる事もなく、DJのやりたい事を自由にプレイしているようにも感じられ、こういった普段は聴けないプレイが聴けるのも小箱ならではだ。

KabutoへとDJが交代すると、やはり感情的で仄かに情緒さえ放出するプレイへと変化する。デトロイト・ハウス的なエモーショナルな曲から変則的なビートながらも人肌の温かいハウス、四つ打ちでファンキーながらも小洒落たハウスまで、優しく人間味のあるプレイはこれぞKabutoというDJの音楽性が現れている。日の出が近付いた深い時間帯ながらも決して強迫的に上げる事はなく、包容力のある穏やかな感情と心地良く刻まれ揺れるグルーヴを保ち、しっかりとダンスさせながらもリラックスした雰囲気の中で熱き感情が満ち溢れていく。しかしエモーショナルではあるが激情を掻き立てるのではなく、あくまで仄かに薄っすらと感情を発する控え目なバランス感が成り立っており、熱く甘くなり過ぎずに抑制の効いたプレイを長く持続させるからこそ、だらだらと楽しむ事が出来る。こういったプレイでも客がフロアを離れる事はなく、人と人とのコミュニケーションを楽しみながら音楽にも耳を傾けられる風景が見られるのは、Grassrootsに集まる酔いどれパーティーピープルのおかげだろう。

朝方になりHarukaの二度めのDJセットが始まる。Kabutoとは対照的にビートが硬質かつ機械的で幾分か上げ目ではあるが、汗臭さや人間味は抑えられた電子音響に包まれる。内面の感情を隠すように淡々とひんやりとしているが、アトモスフェリックな感じや空間の奥で鳴っているようなダブ感覚、トリッピーな効果音など不思議な音響は正にHarukaらしい。Atom TMの"Ich Bin Meine Maschine"のファンキーかつヒプノティックなミニマル・テクノの音響でトリップし、朝方の眠気と相まって心地良い陶酔感を誘う。無味乾燥として荒廃したエレクトロニックな音楽性が強いが、その音響の心地良さは朝靄に包まれるようでもある。

そして再度Kabutoの3度めのDJセットへ。またがらっと温かみのある音へと変わり、夜の闇から抜け出して軽快なグルーヴとエモーショナルなメロディーを軸に、朝の爽やかな時間帯も意識しているだろうか随分と包容力のあるハウスからテック・ハウスまでプレイする。崩れたビートによるスローモーなハウスから香り立つエレガントな響きにうっとりと酔わされ、Steven Tangの"Aerial"による透明感のあるデトロイト・テクノらしい曲で切なさに満たされ、Skipsonの"Eighto"では甘い叙情にうっとりとし、また簡素なビートを叩き出すシカゴ・ハウス寄りな曲など、アナログの淡い切なさに満たされていく。更には微睡みを誘う幻想的なパッドと簡素なビートのダウンテンポまで、もう完全に外は明るくなり日常の落ち着きを取り戻した朝の雰囲気だ。そこから再度ディープ・ハウスやテクノでかっちりとしたビートを叩き出すが、四つ打ちだけでなく崩れたビートまで持ち出してふらふらとした揺らぎを作り、アッパーではなくとも肉感的なグルーヴを生み出す。そして時間が経過するにつれてより奇妙な鳴りのハウスやテック・ハウスも増えだし、エモーショナルな面とミステリアスな面が自然と交じり合いながら、Grassrootsという小さな酒場にリラックスした空気を広げるのだ。流石に疲れと酒の酔いで朝方には何度か寝てしまったものの、ぐだぐだと過ごしつつ友達と会話を楽しみ酒を飲み、いつ終わるとも知れないパーティーをのんびりと楽しめるのはGrassrootsだからこそだと思う。熱狂的に盛り上がるのではなくだらだらとした緩い雰囲気はこの上なく心地良く、しかしどんな音楽にも対応出来る許容の大きさがあり、KabutoとHarukaの対照的なプレイであってもそれが違和感なく受け入れられる土壌があるのだ。そしてパーティーの終わりが近づき、最後の方ではビートの圧力は弱まりながら華麗で優美なウワモノが軽やかに彩り、霞が儚く消え入るよう音が停止したのが朝の10時半。KabutoとHarukaの二人だけでこれだけの12時間にも及ぶパーティーを敢行し、そして最後まで付いて来る多くのパーティーピープルがいる。言うまでもなくそれは素晴らしいパーティーになった。
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