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2015/4/4 Deeep Detroit Heat @ Air
テクノに於ける聖地とも言えるデトロイトの中でも、特にDJ歴の長いTerrence Parker。1979年にDJを始めたそうで既に経歴は35年を越えるが、受話器ヘッドフォンを使用した見た目の特徴と、ヒップ・ホップのスタイルを応用してテクノからハウス、ファンクやソウルにイタロ・ディスコまでミックスするゴスペル・ハウスと称されるプレイは、多くのDJからも高い評価を得ている。元々来日自体はそれ程多くなく昨年は大雪が降る中で東京以外でツアーを行っていたのだが、今回は5年ぶりに都内でのクラブに出演となった。そしてそれを迎え撃つのはFuture TerrorにてParkerを初来日させたDJ Nobu、そしてDJ ShibataやYou Forgotなどハウス・ミュージックに於いてはそれぞれ定評のあるDJで、充実した布陣となった。
日が変わってから現地入りすると、DJ Shibataがプレイ中。メロディアスでしっとりとしたテック・ハウス〜ディープ・ハウスをプレイ。温かさのある感情的な歌モノを含むプレイは甘い陶酔感と洗練された西洋的な感覚を伴い、端正な4つ打ちのリズムで滑らかな展開を生む。次第に軽い浮遊するように加速しながら真夜中のフロアの雰囲気を作っていくが、そこにあっと言わせる"Home Computer"落とし込み、ぎくしゃくとしたエレクトロ・ビートで流れにアクセントを付ける。そこからはリズム感に幅を持たせながら再度加速を行うが、土着的なパーカッションが打ち鳴らされる爽やかなトライバル系なテクノ/ハウスへと移行し、フロアの高揚は真夜中へと向かって高まっていく。眠る野生の血を呼び起こすかのような土着臭は生命力のある躍動を生み、自然と体は大きく揺れて十分に体は温まった。

そしてフロアが人で埋め尽くされ、もう準備は万端、Terrence Parkerの登場だ。初っ端Vince Watsonによる幻想的なアンビエントである"A Moment With Lonnie"を投下しフロアを一旦落ち着かせるが、しかし強烈なミキサー手捌きによりアクセントを加えて、そこから硬めのテクノへと繋いでいく。早くもファンキーなスクラッチやクロスフェード手捌きで切り刻むような大胆な展開を披露し、そこから温度感の高いボーカル・ハウスも混ぜながら、どっしりと重いキックの4つ打ちへと移行する。非常にエネルギッシュかつ温度感の高いプレイは勢いもあり、生々しいラフさもある音は肉体的だ。Kerri Chandlerの"The Way I Feel"からRalphi Rosarioの"You Used To Hold Me"、そしてHardriveの"Deep Inside"などどっしりしたズンドコ系ディープ・ハウスを続けてミックスしながら、しかし過激にクロスフェードを行う事で歌は断片的に刻む事で、Parkerらしい特徴が生まれるのだ。フロアは幸せな空気に満たされながらも、熱狂的な興奮を見せて勢いに飲み込まれていく。熱くソウルフルなNYハウスからエレクトロニックで綺麗なハウスまで、そして"Can You Feel It (MK Dub)"や"Good Life"などクラシックと呼ばれる曲も全く躊躇する事なく、しかもそれらにキュルキュルとしたスクラッチも加えながら、熱量の高いファンキーな展開を繰り広げるのだ。しかしソウルフルな歌モノが続く中で突如として入ってくるあの音は…そう、まさかの"The Bells"だ。余りの予想外の展開に笑うのも堪えきれない者もいたが、しかしこの曲でさえも素早いクロスフェード手捌きでリズムは細かく刻まれながらフロアへと降り注ぐ。そして肉体感溢れるボディー・ミュージックへと繋がり、その勢いを保ちながら更に"Jaguar"から"Spastik"という怒濤のクラシック攻めへと繋がり、盛り上がりは最高潮へと達していた。そこからは一転してChicによる"I Want Your Love"で切ない感情を呼び覚ますディスコ・クラシックも投下し、沸き立ったフロアを宥めるように落ち着かせていく。そこにMJのポップスなども挟みつつ、暫くは落ち着いた展開で和やかにパーティーの雰囲気をキープする。

中盤ではRomanthonyによる"Let Me Show You Love"など、パーティーの雰囲気を壊さないように安定感のあるグルーヴのハウスが中心。ゴスペル・ハウスと称されるだけあり基本は歌モノ中心で、歌によるソウルフルな世界観が常にあるのだろう。歌モノであればポップな物であろうと使用する、それはMichael Grayによる"The Weekend"をプレイする事も分かるだろう。派手な音でポップな要素もあるが、Parkerによりミックスされればそれはガツンとしたグルーヴとなり体を震わす。そして煌めくようなフィルター処理が特徴のディスコ・ハウスで眩い光に包まれ、多幸感に満たされるハウスも続く。そんな中に突如として入ってくるCybotronの"Clear"、チージーながらも体に鞭打つような強烈なエレクトロ・ビートで一旦勢いを変化させる。やはりデトロイト出身だけあり、根底に流れるデトロイト魂は忘れない。その後は硬めのハードなテクノもミックスして再度朝に向かって猪突猛進し、怒涛の勢いでフロアを狂騒へと誘い込む。朝方にはお馴染みの"Strings of Life (Danny Krivit Re-Edit)"をプレイし、やはりこれにも素早いクロスフェード処理で切り刻むように加工を施していた。4時間のプレイは終始Parkerらしいテクニカルな技とやや大味な展開ながらもパーティー感満載で、正にゴスペル・ハウスと呼んで差し支えない幸せなムードに満ちていた。

人も疎らになってきた朝からはDJ Nobuが登場。いきなり"I Wanna Be Your Lover (Dimitri From Paris Re-Edit)"で祝祭感のあるエモーショナルなディスコをプレイして、ぐっと心を鷲掴み。水平構造のハウスでなだらかなグルーヴを生み出し、そしてミニマルな性質も伴い穏やかな波が広がるような展開を作り出す。Chez Damierの"Why (D's Deep Mix)"などゆったりとしながらも情緒的なディープ・ハウスから、そして生っぽく感傷的なディスコ・ハウスまで、朝方には最適とも思える包容力のある選曲だ。JD Twitchによる"Is It All Over The Place?"など官能的にぎらついたディスコもプレイするが、決してビートを荒げる事はなく滑らかな流れを保ち続ける。少しづつテクノの金属的な鳴りも強くなり奇怪な音響も現れるが、そこに突如としてBell & Jamesの"Livin' It Up"の賑やかでファンキーなディスコを織り交ぜれば、自然と笑みが溢れるような幸せな空気に包まれる。そしてJumpによる愉快なプログレッシヴ・ハウスの"Funkatarium"、Chillyによる汗臭いボーカルとシンセ・ベースがイタロ的なディスコの"For Your Love"など、古き良き時代の古典的な音や生の温度感やライブ感のある曲が紡がれると、躍動感のあるグルーヴとともに朝方の優しく穏やかな包容力が満ちていく。中盤以降はそれまでの落ち着いた展開から一転して、硬く骨太なキックが前面に出た力強いテクノが中心となる。それでも単なる4つ打ち中心の味気ない展開には陥らずに、変則的なリズムや不思議な音響も含んだラフな曲を中心に、無骨で硬派な世界観に纏め上げる。しかしまた暫くすると幸せな気分になれるディスコ・タイムへと突入。フロアの闇を切り裂いて鳴り響くゴージャスなストリングスやホーン系の音は、抗う事の出来ない絶対的な至福をもたらし、フロアで踊る者の心と一つにするようだ。ボトムに厚みのあるエレクトロニックなハウスにしても、底抜けに明るい多幸感がフロアに降り注ぐようで、他のパーティーからやってきた人も混じりながら、ラストに向かって多幸感を積み上げフロアは再度盛り上がる。終盤は徐々にテンションを抑えながら、乾いて辿々しいリズムを刻み郷愁の念が立ち込めるシカゴ・ハウスから、霧が立ち込める夢の中に迷い込むようなドローンなディープ・ハウス、そしてSo Inagawaによるしんみり物哀しいミニマル・ハウスの"Logo Queen"など、切なさを途切らせないように持続感を打ち出して延々と引っ張る展開だ。そして"Here & There (Sunshine & Rain Live Version)"など湿っぽいビートダウンを通過してから、最後はゴージャスな煌きを放つディスコを連発し、フロアが一体となってハッピーな気持ちを共感しながら落ち着いた日常を取り戻すようにプレイは終了。アンコールも一切なく歯切れの良い終わり方だったと思うが、気付けば朝の10時、DJ ShibataからTerrence Parker、そしてDJ Nobuへと各々が音やプレイスタイルは異なれどエモーショナルで熱いプレイを繰り広げ、心の底から喜びと幸せを感じられるパーティーはハウス・ミュージックなればこそのものだろう。

■Terrence Parker - Life On The Back 9(過去レビュー)
Terrence Parker - Life On The Back 9
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■DJ Nobu - Creep Into Shadows - The Midnight D Edits(過去レビュー)
DJ Nobu-Creep Into Shadows - The Midnight D Edits
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