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So Inagawa - Integritithm (CABARET Recordings:CABARET 005)
So Inagawa - Integritithm
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2009年、Yone-Koやdj masdaの作品が収録されたレーベルにとって初の作品となるEPがリリースされた。しかしそれ以降は暫くの間作品のリリースは無く、同名パーティーとしては評価を高めつつもレーベルの活動は一向に見えないままだった。しかし2013年、So Inagawaのリリースを皮切りにBinhやU-Moreまでリリースされると、アナログだけのリリースにもかかわらず海外での余りの人気に各作品はリプレスされこのご時世に売れまくっていると言う。そう、それがdj masdaやSoによって運営されているCabaret Recordingsだ。元々は2000年頃からSoやSackraiによって名古屋で開催されていたパーティー・Cabaretが母体なっており、そのシンプルで無駄を削ぎ落としたミニマル性の強いテクノ/ハウスを主体とした音楽性が、そのままレーベルへと反映されているのは言うまでもない。本作はSoにとってもレーベルにとっても喜ばしい初のアルバムであるが、元々はアナログ2枚組でリリースされていたものに既発のEP2枚からの曲も追加して、MIXCD仕様で纏められた作品だ。何でもアナログオンリーでのリリースにファンから不親切だと詰められて、仕方なくCD化した事をSoはインタビューで述べていたが、そんな微笑ましい経緯はありつつもCD化を喜ばずにはいられない。Soの音楽は前提としてフロアで機能するスタイリッシュなテクノ/ハウスである事は言うまでもないが、本作を聴けばそれだけでなく宅内でリスニングとして聴けるエレガントな世界観も持ち合わせている事に気付くだろう。端正に磨きのかかったミニマルなリズムだけで引っ張るのではなく、そこに控えめな情緒を付加する音楽的なコード展開やしっとりと肌に吸い付くようなオーガニックな音質が、肉体的な方面からだけでなく気分的な方面からも魅了するのだ。そういう意味ではどれ一つとしてフロアを騒ぎ立てるような音楽性はなく、むしろ闇の中にいつの間にか引き込むようなじんわりと侵食するスルメ的な味わいが強い。そんな曲だからこそ - レーベルの意思には沿わないのかもしれないが - 本作がMIXCD仕立てでアルバム化された事は、流れを継続して聴ける事でよりSoの音楽的な魅力が伝わりやすくなった点で、非常に意義深いものがある。Cabaret Recordingsの音楽性やパーティー感を理解する上でも、とても適切なアルバムであろう。



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